『咲-Saki- Portable』は2010年に発売されたPSP用ゲーム。漫画・テレビアニメ『咲-Saki-』のゲーム化作品である。現在ではDL版も発売中。販売・開発はアルケミスト、発売は加賀クリエイト。
OP・EDアニメーションおよび対局中等のキャラクターのイラストはアニメと同じくGONZOが担当。
概要
『咲-Saki-』のキャラクターで麻雀をやるゲーム。当然ながらただの麻雀ではなく、原作通り多くのキャラクターには局を有利に進めるための特殊能力が設定されており、派手な対局が展開される。いわゆる超能力麻雀系のゲームで、こちらも原作漫画が超能力麻雀であるアーケードゲーム『兎-野性の闘牌-』や、ニコ動で有名な『野性の闘牌 鰻』と同種のゲームと言える。
能力は対局中に常時発動しているもの、特定の行動をしたときに発動するもの、ランダムで発動するものに分かれ、その効果もまた攻撃的能力、守備的能力、他家妨害能力といったものに分けられる。能力発動中はキャラクターの絵の横に一筒マークが表示される(常時発動タイプの能力では表示されない)。
キャラクター全員が能力持ちというわけではないこの作品では能力持ちキャラと能力なしキャラの格差が不安になるが、このゲームには能力とは別に全キャラクターに配牌・ツモ補正が存在しており(連荘時のそれが特に大きい)、能力なしキャラでも能力持ちキャラを食うことが十分可能なゲームバランスになっている。
ちなみに、能力をオフにして戦うことも可能。この場合は何の変哲もない普通の麻雀となる。
ゲームモード
ストーリー
アドベンチャーゲームチックなキャラクター同士の掛け合いの合間に麻雀パートが入る。アニメーションではなくいわゆる紙芝居形式。ボイスはPCとして登場するキャラクターは概ねフルボイス、それ以外のキャラクターはテキストのみ。哀れ京太郎…
アニメ一期のストーリー(長野県大会団体戦決勝まで)を追う前編と、和の家で行われる咲と和の逢s…お泊まり会が久の企みで様々なキャラクターに邪魔されるオリジナルストーリーの後編に分かれる。前編は紙芝居とはいえアニメ一期の内容をほぼ網羅しており、キャラクターによってはアニメより台詞が多い。ボイスはアニメの流用ではなく改めて収録されている。
麻雀パートは指定された条件を達成することでクリアとなる。クリア条件は「和了れ」「半荘1位」といった単純なもので、第1話で咲がやった70符2飜のような無茶な要求をされたりはしない。
難易度は「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3つがある。「やさしい」は切る牌が完全に固定され、指定された牌を切っていれば勝手に手ができてクリアできる仕様で、雰囲気だけ楽しみたい人向け。「むずかしい」は自分だけ能力をオフにされた状態で対局させられる鬼仕様。「むずかしい」をクリアしても特に特典はない。
チャレンジ
様々なシチュエーションで指定されたノルマを決められたキャラクターでクリアするモード。クリアすると画像各キャラの着せ替え衣装が手に入ったり、隠しキャラクターが解禁される。難易度は楽々クリアできるものから運ゲーとしか言いようのない異常な難しさのものまで様々。
咲キャラクター達を敵に回したときの恐ろしさを嫌というほど味わうことができる。特に咲・優希・和を残り1,000点しかないマホで相手にしなければならないチャレンジ21は鬼畜難度で有名。
フリー対局
個人戦と団体戦の2つが存在。
個人戦は最初に自分が操作するPCを選び、その後相手になる3人のCPUを選ぶ。解禁されていればキャラクターの衣装変更ができる。同キャラ対戦が可能で、自分・CPU含め全員同じキャラクターといった対戦もできる。
団体戦は長野県大会団体戦を模したモードであり、自分が使う学校を選んで先鋒・次鋒・中堅・副将・大将のオーダーを組む。選ばなかった学校(CPU)は自動的に原作・アニメと同じオーダーになる。複数の学校の混合チームは組めない(例えば、咲と衣で同じチームは組めない)。
通信対局
アドホック通信で対戦可能。面子が4人に足らない場合は残りの面子をCPUが補う。
ギャラリー
各種モードで入手した画像・ボイスを閲覧できる。ボイスは各キャラクターの「ポン」「チー」「カン」「リーチ」「ロン」「ツモ」の6種が各カットイン付きで保存される。一部のキャラクターは通常の6種以外に特殊な行動をしたとき(例:咲が連槓した時の「カン2」)のみ見られるカットインが存在し、それもここで閲覧できる。
採用ルール
主なもののみを記す。
以下のものはフリー対局時のみ対局前に設定可能。
- 東風戦or半荘戦
- 赤ドラ有無(有の場合は五萬の1枚、五筒の2枚、五索の1枚が赤ドラとなる)
- ハコ下有無(有でも0点は飛びにならない)
- 喰い断有無
- 切り上げ満貫有無(有の場合は子7,700点・親11,600点が満貫扱い)
- ルールではないが能力の有無もここで設定できる。
登場キャラクター
ここでは能力解説の記述にとどめ、キャラクターとしての設定の解説は割愛する。各キャラクターの記事を参照されたい。
清澄高校
- 宮永咲(みやなが さき)
- 能力は「カンをすると嶺上牌から有効牌を引く」。また、それとは別に配牌・ツモ補正として手が縦に伸びやすく、ただの対子があっさり刻子や槓材になるレベル。この能力を最大限発揮できるようになっている。
聴牌時にカンすれば嶺上開花できるし、暗刻ができやすい特性から四暗刻も割とあっさり作れる。また、原作とは違い槓ドラが普通に乗るので、ドラ爆を仕掛けることもできる。
- 本作最強候補。さすが魔王。
- 原村和(はらむら のどか)
- 能力は「能力発動時有効牌引き率アップ」「最善手アシスト機能」。アシスト機能はストーリーモード「やさしい」のそれに似ているがそちらほど絶対的なものではなく、指示通り打っても上がれなかったり放銃してしまったりすることはよくある。過信はしないこと。
もう一つの有効牌率アップの能力はどんな手でもいいので一回でも上がれば発動する。卓がデジタルチックなフィールドに変化し、ツキがアップする。連荘補正も相まって爆連荘できたりする。
- 片岡優希(かたおか ゆうき)
- 能力は「開始から数局の間有効牌引き率アップ」。具体的には対局が始まって最初の3局(必ずしも東三局までという意味ではない)でツキ上昇する。能力が終わった後も連荘補正が残っていて割と強かったりする。南場になると能力が下がるなんてことはない。
- 竹井久(たけい ひさ)
- 能力は「上がり牌の残り枚数が少ないと引き率アップ」。具体的には、聴牌時に山に残っている当たり牌が3枚以下の場合に当たり牌をツモれる確率が高くなる。カンチャン待ちや単騎待ちだとこの状態になりやすい。逆に待ち牌が多いと引きづらいというようなマイナス補正はない。聴牌するまでは能力無関係なのでそこまでは自力で進めなければならないものの、かなり強力な能力と言える。
能力の仕様上、立直をかけなくても一筒マークで聴牌したことがバレてしまうのが欠点。
- 染谷まこ(そめや まこ)
- 能力は「能力発動時危険牌が解る」。対局後半になると発動し、自分の手にある他家の当たり牌が赤い表示になる。また、それとは別に能力発動中は萬子の引き率が大幅にアップし、染め手が作りやすくなる。混一色や清一色はもちろんのこと、場合によっては九蓮宝燈さえ狙える。ただし他家に放銃してしまうと能力が消滅する。
- 危険牌がわかることで他家の手を止められてさらに染め手の高火力も発揮できるという、攻守兼ね備えた能力はゲーム中でもかなりの上位に入る。ワカメ始まったな!
龍門渕高校
- 天江衣(あまえ ころも)
- 能力は「聴牌すると海底牌に当たり牌を呼び込む」「能力発動時対局相手の不要牌引き率アップ」「相手の聴牌かわかる」の3つ。字面だけ見ると原作通りのトンデモ能力に見えるが、以下の理由によりそこまで圧倒的な能力とはなっていない。
- 海底摸月の能力は自力でツモ順を調整しないとハイテイコースに入れず、海底牌を引けてもその時点で山に当たり牌が残っていなければ空振りになってしまうのでできるだけ多面待ち推奨。他家に不要牌を引かせる能力は気休め程度なので過信しないこと。また、久と同じく聴牌時に一筒マークが表示されてしまうので聴牌がバレてしまう。他家聴牌察知は常時発動で、聴牌している相手の手が赤い表示になる。
- 能力とは別に配牌時に字牌が暗刻になりやすい補正が存在し、早上がりにも高打点にも利用できる。実のところ、上記の3つの能力よりもこの補正のほうが遥かに有用だったりする。
- 龍門渕透華(りゅうもんぶち とうか)
- 能力は「一定飜数以上の立直で一発ツモ率アップ」「相手の聴牌かわかる」の2つ。一定飜数とは具体的には4飜。一発ツモ前提なら立直・一発・門前清自摸和の3飜が既に確定していることになるので他に何か1飜(ドラでもいい)ついていれば能力が発動することになる。能力の仕様上、鳴いてしまうと恩恵を得られない。
- 他家聴牌察知能力は衣のものと同じ。
- 井上純(いのうえ じゅん)
- 能力は「鳴くと1巡有効牌が引ける」「鳴くと相手に1巡不要牌を引かせる」。発売前は「能力が強すぎる」と不安視されたキャラクターであった。実際には鳴き前提になり打点を上げにくいことと能力が一巡しか持たず本当に「流れ」を変えてしまうほどの能力ではないためほどぼどの性能となっている。
- CPUの純はあまり能力を使おうとせず普通に立直してきたりする。
- 国広一(くにひろ はじめ)
- 能力はなし。
- 沢村智紀(さわむら ともき)
- 能力はなし。
風越女子高校
- 福路美穂子(ふくじ みほこ)
- 能力は「能力発動時、相手の手牌が色で識別できる」。萬子は赤、筒子は青、索子は緑で表示される。ガン牌とまではいかないものの相手の手牌ほぼ丸見えになる。さらに、能力発動中は配牌・ツモ補正がかかる。
- ただし能力は対局後半に発動(まこよりも発動は遅い)。キャプテンを操作するチャレンジ9はこの能力発動の遅さのためにかなり苦労させられることになる。
- 池田華菜(いけだ かな)
- 能力は「能力発動時に好配牌になる」。これだけだとよくわからないが、発動条件は自分の点が10,000点未満になった時。つまり、華菜ちゃんはずーずーしいから!まだまだあきらめないっ!!ということである。意図的に10,000点以下の点数にするのは非常に面倒なので、能力を見たいのであれば最初から0点で始まるチャレンジ10をプレイするのが手っ取り早い。
- 対局中とにかくよくしゃべるキャラでもある。「にゃっ!!」「これだし!」「ケチついちゃったかなァ」のほかにも、上記能力発動中に上がると「そろそろ混ぜろよ」と言ったり、鳴くかどうかの選択表示で放置していると「早くツモれよ」と言われる等等。
- 吉留未春(よしとめ みはる)
- 能力は「振込み牌を捨てようとした際にキャンセル可能(同巡内1回)」。危険牌(と判定された牌)を捨てようとすると「危ない」のセリフと共に打牌がキャンセルされる。しかし危険牌かどうかの判定は和のアシスト機能並みで絶対的なものではなく、あまり頼りにならない。
- アニメの時に比べて妙に声が低い。
- 深堀純代(ふかぼり すみよ)
- 能力はなし。
- 文堂星夏(ぶんどう せいか)
- 能力はなし。
鶴賀学園
- 加治木ゆみ(かじき ゆみ)
- 能力はなし。ただし一気通貫が作りやすい配牌・ツモ補正が存在する。ごく稀に国士無双手も入る。
- 槍槓ロンすると見られるかじゅのボイス「ロン2」の取得はチャレンジ21を上回るこのゲーム最大の壁。
- 津山睦月(つやま むつき)
- 能力はなし。
- ゲームを初めて最初に画面に姿を現すのはなぜかむっきーである。
- 妹尾佳織(せのお かおり)
- 能力は「一定確率で役満手を引くことがある」。能力発動はランダムで、発動すると配牌で四暗刻・国士無双・緑一色のいずれかが狙える手が入る。
CPUの佳織は挙動が独特で、このゲームのCPUはキャラクターに関わらずほとんど降りることが無いのだがCPU佳織は能力が発動していないときはまるで上がりに来ずたまに字牌を鳴くだけで流局してもほぼノーテン。逆に能力が発動した時は的確に役満に向けて手を進めてくる。ただし稀に四暗刻を三暗刻・対々和に、緑一色をただの役牌・混一色にして上がってしまうこともある。
- 蒲原智美(かんばら さとみ)
- 能力はなし。
ワハハの上がりが見られるのはゲームだけ!
- 東横桃子(とうよこ ももこ)
- フリー対局のキャラクター選択画面で抜群の影の薄さを発揮するステルスモモ。能力は「能力発動時すべての演出をカット」「桃子の捨て牌に対する行動に時間制限が付く」の2つ。対局後半に発動し、能力が発動すると姿が薄くなる。
- CPUモモを相手にしたときの捨て牌に対する行動(チー、ロン等の選択)時間制限はそれなりに脅威(通信対戦時は特に)だが、能力発動時の演出カットは微妙で、姿は消えてもリー棒は見えるのでちゃんと画面に気を配っていれば立直したことはすぐわかる。自分でモモを使った場合はこれらの能力はCPUに対してはほぼ無意味。
- 捨て牌が見えなくなったりロンされないといった性能になっていないのは、本当にそのような能力を実装するとあまりにえげつないためバランス調整されたためと考えられる。
隠しキャラクター
藤田靖子(ふじた やすこ)チャレンジ19クリアで解禁。
能力は持たないが、配牌・ツモ共に強力で、平和をベースに手を進めれば簡単に手が整い、多面張にもなりやすい。上位の能力持ちキャラとも十分渡り合える性能。杉乃歩(すぎの あゆむ)チャレンジ20クリアで解禁。
能力はなし。夢乃マホ(ゆめの まほ)チャレンジ21クリアで解禁。能力は「局ごとに他キャラクターの能力がランダムで発動」。能力をコピーする対象は対局中の相手に限らず全キャラクターが対象となる。局が始まる前にキャラクター(能力)に対応した台詞を言うのでそれで発動した能力を判別できる。
前述の通り、チャレンジ21は鬼門。フリー対局で使えるようになるまでが非常に大変。
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