塩化ナトリウムの入っていない塩とは、
を指す。当記事では順を追って説明する。
一般的な日本語の文脈では、塩(しお)、すなわち食塩の主成分は塩化ナトリウムであるので、この言葉は矛盾している。
この塩化ナトリウムと食塩の関係については、遅くとも中学校の理科で化学式を取り扱う際などに学習する。
健康や食の安全性を(場合によっては過度に)気にする人が、インターネット上で「この塩には塩化ナトリウムが入っていない」等の投稿をしてしまい、周囲から「そんなものはない」と指摘されることが多い。
※以下、この「1 - 塩(しお)」の項での「塩」は「しお」と読み、食塩を指す。
参考として掲載する。
塩辛い味をもった物質。海水または岩塩から製し、精製したものは白い結晶で、食生活上なくてはならない調味料。また、日本ではいろいろな場で「清め」の材料として用いられる。塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とし、工業用にも重要な物質であるが、一般には食塩をさしていう。
2010年には既に「塩化ナトリウムという化学調味料じゃなくて」という投稿がTwitter上で見られる。おそらく「精製塩の塩化ナトリウムは化学調味料であり、人体には良くない」と解釈する層(後述)が当時からいたと思われる。
「塩化ナトリウムが入っていない塩」に対する指摘の投稿は2012年1月24日ごろから見られるが、執筆者はその指摘されている元のツイートを発見できなかった。その後も散発的に話題となっている。
その後、2018年投稿のサンケイリビング新聞社『あんふぁんWeb』に個人が投稿した記事が、2020年にTwitter上で発掘され、話題となった(→ニュース記事)。市販の目薬の防腐剤を避けるため、手作りの目薬の製法を説明している途中で、下の文章が登場している。
入っていないものを選ぶ。
(スーパーなどで売っている
ものはほとんど塩化ナトリウム
が入っているので注意!)
この文は、「塩化カリウムが多く含まれる減塩塩について、『塩化ナトリウムが(それほど)入っていない』という意味のことを言おうとして、不正確な表記になってしまったのではないか」とも考えられるが、真意は不明。
これ以降、定期的に「塩化ナトリウムの入っていない塩」が話題に上がるようになった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/reach_ina/status/1496011323028930567
![]() |
この項目は独自研究を元に書かれています。 信じる信じないはあなた次第です。 |
「塩化ナトリウムがそれほど入っていない塩」として解釈すれば、以下のように比較的多く存在する。多くは「減塩」などの健康志向の目的で使用されることが多いようだ。
ただし、塩化ナトリウム自体は通常より少ないながらも入っていることがほとんどなので、これらを指して、単に「塩化ナトリウムが入っていない塩」と書いてしまうのは不正確な表現となってしまう。
「塩分をカットした食塩」「減塩しお」などは実際に販売されている。これは塩化ナトリウムのうち数十パーセントを塩化カリウムに置き換えたものを指すことが多い。
ただし、これらの塩にも塩化ナトリウムは一定程度含まれている。
塩化カリウム100%の塩を作るのは技術的には可能なようだが、後味が苦いようだ。さらに後述する法律上の事情のためか、日本ではほとんど販売されていない。
日本では塩化カリウムを置き換えたものが一般的だが、塩化カリウムは塩化ナトリウムと同様に腎臓に負担をかけ、腎臓病患者には悪化を招くケースがある。そういった問題からクエン酸やレモンパウダーの酸味により塩味を補った製品も販売されている。
海藻由来の粘り成分であり、塩分を吸着し便での排出を促すことが可能なアルギン酸を特殊な製法で混ぜた塩も研究され、少数ながら製品化されている。30~50%ほど吸収をカット出来るとされている。ただしアルギン酸は水を含むと強い粘り気を出すため、揚げ物などへ食べる直前にふりかける専用である。
中には「減塩しお」にアルギン酸を更に加え「塩分50%カットの塩に塩分吸収を50%カット出来るアルギン酸を入れたのでゼロになる」とゼロカロリー理論を掲げている製品も存在する。
過去には塩化リチウムが代替塩として使用されていたこともあった。
しかし、アメリカで販売されていた塩化リチウムの代替塩の「Westsal」が、1949年に人体に有害であることが判明した(当時の論文)ため、現在は塩化リチウムは代替塩に使用されていない。
ヒトでは、本物質を塩化ナトリウムの代替塩として使用したことにより、傾眠、振戦、神経筋過敏などリチウム中毒の徴候を呈した(IUCLID (2000))、低ナトリウム食患者での事例研究に腎不全の患者が含まれていた(KemI-Riskline NR 16 (2003))ことが報告されている。
ちなみに、塩化リチウムはある種の精神病に何故かよく効くため医薬品として処方されるので味わう機会はゼロではない。しかし近年のリチウムイオンバッテリーの需要増加により世界中で取り合いになっているため医薬品としての塩化リチウムさえも品薄になっている。健康、生産の両面から嗜好品として流通することはまず無い。
「天然塩」と呼ばれている塩がある。学術的な定義は無く、海水や岩塩などから作られた食塩や、にがりが多く含まれる食塩を指すことが多い。それ以外の、「海水を原料としたイオン膜・立釜法」などで化学的に作られた塩は一部で「精製塩」と呼ばれることがある。現在流通している塩は後者が大半である。
ただ、一部では、「精製塩に含まれる塩化ナトリウムは化学調味料である」とし、「天然塩には塩化ナトリウムが含まれない」と解釈する層もいる。これに関しては誤りである。
実際には、天然塩の原料の海水や岩塩などの時点で塩化ナトリウムが多く含まれているので、化学的な加工や添加物が精製塩と比べて少ない天然塩には、そのほぼ全てに塩化ナトリウム(栄養成分表示では「ナトリウム」という形で表現される)が含まれているといえる。特に岩塩は溶けにくいので口当たりが良く、ステーキや天ぷらに直接付けて食べるのに好まれるが、含有量はかなり多い部類である。
ちなみに、2022年現在は公正取引委員会により「天然塩」を称する商品は販売が禁止されている(参考)。「天然」の明確な根拠が無く、品質が良いと思わせるとされているためである(参考
)。
天然塩にも精製塩にも相当量の塩化ナトリウムが含まれているので、どちらにしても摂りすぎは禁物である。
溶解成分のうち陰イオンでは塩素イオンが約55%,陽イオンではナトリウムイオンが約31%,塩類の形で示すと塩化ナトリウムが約78%を占める。
鉱物として産する塩化ナトリウム。不純物として硫酸カルシウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸マグネシウムなどが少量混在。
世界の一部地域では「灰塩」と呼ばれる植物灰から作られた塩もあり、塩化ナトリウム含有量が少なく、塩化カリウムの量が多いとされる(参考)。
塩化ナトリウムを100%使用していないと称する「塩」も全く存在しないわけではない。
海外の商品「MySALT」(旧名:Alsosalt)がナトリウム100%不使用として宣伝されている(参考)。この「塩」の成分は、塩化カリウムとリシンとされている(参考
)。
また、北杜夫の2015年のエッセイ『世を捨てれば楽になる』(→Google Booksリンク)には、病院食に「無塩塩(むえんじお)」というものがあったと書かれている。成分は不明だが、「無塩」という表現であるので、ひょっとしたら塩化ナトリウムが入っていなかったのかもしれない。
腎臓病のために、無塩醬油というものがあったが、本来の醬油の味とは全く異なっていた。更に無塩塩というものもあったが、ただ奇妙な薬品の味だけがした。
この法律において「塩」とは、塩化ナトリウムの含有量が百分の四十以上の固形物をいう。ただし、チリ硝石、カイニット、シルビニットその他財務省令で定める鉱物を除く。
これに従うと、この商品は塩化ナトリウムが40%未満であるため、塩ではないということになってしまう。
つまり、
ということになるのかもしれない。
塩化ナトリウムの入っていない塩(えん)であれば存在する。上記の塩(しお)が話題になったときに、他の人から挙げられることが多い。
塩(えん)とは、酸と塩基の中和反応などで発生する、酸の陰イオンと塩基の陽イオンからできた物質を指し、塩化ナトリウムや食塩とは指す範囲が異なる。
塩酸と水酸化ナトリウムの反応では、塩化ナトリウムと水が生成される。このとき、酸である塩酸の陰イオンはCl-、塩基である水酸化ナトリウムの陽イオンはNa+であるので、塩(えん)は塩化ナトリウム(NaCl)となる。
ただし、下記の反応のように、塩(えん)は塩化ナトリウム以外のものにも当てはまるので、塩化ナトリウムの入っていない塩(えん)も存在すると言える(ただし、「塩化ナトリウムではない塩」という表記の方が適切かもしれない)。
日常的にわかりやすい塩(えん)に該当しうる物質の例では、融雪剤として使われる塩化カルシウム(CaCl2)や、料理や掃除で大活躍する重曹こと炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、胃の検査で飲む硫酸バリウム(BaSO4)などが当てはまる。無機塩だと味気ないという人はシュウ酸カルシウムやクエン酸カルシウムなどの有機塩を選ぼう。
地名としては、埼玉県熊谷市塩、福島県いわき市平塩(平地区の塩)、富山県富山市塩などが該当する。ただし、その地域の一般家庭には恐らく食塩があるので、「塩化ナトリウムの入っていない塩」に該当する可能性は低いだろう。
ちなみに人間を含めた殆どの生物の体にはナトリウムイオンと塩化物イオンとして塩化ナトリウムが含まれているので、「塩」を人名やペットの名前などに使用したとしても「塩化ナトリウムの入っていない塩」として解釈することはできない。
伯方の塩の擬人化キャラクターである「伯方シオ」は実体を持たないイラストやデジタルデータと考えれば「塩化ナトリウムの入っていないシオ」には該当するかもしれない。
フィクションのアンドロイドのキャラクターの「シオちゃん(通称:塩)」とかがいたら話は別かもしれないが…。
掲示板
176 ななしのよっしん
2025/07/14(月) 21:04:13 ID: 75Hv8TixvQ
>>173
普通の日本人は塩化ナトリウムに興味など無いから疑問すら浮かばんぞ。ん?と思うのは日頃から化学調味料を敵視してる馬鹿なナチュラリストだけ。
177 ななしのよっしん
2025/07/15(火) 19:44:42 ID: kBBclJuhCB
子供にドクターストーンを見せた方がいい理由の一つ
あの漫画を読んだら勉強するとかそういう効果は無いが
このワードを親が発した時に、疑問を持つことが出来る
178 ななしのよっしん
2025/07/15(火) 20:51:14 ID: JYM9w7nNqF
塩化ナトリウムの化学式やどこで使われているのかを知らないのは別にいいんだよ
問題なのは、「塩化ナトリウム」という耳慣れない物質のことを知った時、「それは本当に健康に悪いものなのか?」と一般的な知識を調べられる能力があるか否か
今の時代、調べれば5秒で「塩化ナトリウム=食塩の主成分というか食塩そのもの」なんてことは判明するわけで、その程度の手間すらかけないのは「知識がない」のではなく「リテラシーがない」
急上昇ワード改
最終更新:2025/07/16(水) 23:00
最終更新:2025/07/16(水) 22:00
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