宮崎駿の雑想ノートとは、宮崎駿の趣味丸出しの漫画作品である。
太平洋戦争の空襲を経験しているにも拘らず、筋金入りの軍事マニアである宮崎駿が漫画版『風の谷のナウシカ』と劇場作品制作の息抜きをするため模型雑誌『モデルグラフィックス』に1984年から1999年にかけて発表された。
息抜きということで基本的に軽いノリで書かれており、欧米の兵器を題材にしている場合は後述する様に擬人化した動物が登場する傾向が強い。
作品によっては人間のままだったり女性のみ人間だったりする
| 豚 | ドイツ・ロシア・宮崎駿 |
| 犬 | イギリス |
| ゴリラ | アメリカ |
『風立ちぬ』も原作版ではキャラクターは豚になっている(堀越二郎、菜穂子など鼻のみ豚)。
当初はイラストエッセイの形式をとっていたが1987年から次第に漫画作品となっている。宮崎曰く『この作品に資料的価値はない』と明言しているため虚実が入り混じった内容が多く中にはモブで宮崎が関わった作品のキャラクターが混じっていることがある。
なお、後述する『飛行艇時代』の他に『多砲塔の出番』をOVA化する構想があったが諸事情で没になっている。その代り1995年から1996年にかけてニッポン放送でラジオドラマ化されている。
| 作品名 | 主題兵器 | 舞台 | 発表年 |
| 知られざる巨人の末弟 | 1984年 | ||
| 甲鉄の意気地 | |||
| 多砲塔の出番 | |||
| 農夫の眼 |
ポテーズ540 |
1985年 | |
| 竜の甲鉄 |
定遠 |
||
| 九州上空の重轟炸機 | 1986年 | ||
| 高射砲塔 | |||
| Qシップ |
| 作品名 |
発表年 |
||
| 特設空母安松丸物語 | |||
| ロンドン上空1918年 | |||
| 最貧前線 |
特設監視艇・吉祥丸 |
1990年 |
1920年代のイタリア・アドリア海を舞台にポルコ・ロッソことマルコ・パゴットと愛機の飛行艇フォルゴーレ号の活躍を描いている。=即ち映画『紅の豚』の原作である。
映画との大きな違いはヒロインはフィオのみでジーナは登場しない。ほかにも違いは諸々あるが詳細を知りたい方は単行本を図書館で探すか購入をお勧めする。
1992年の『雑想ノート』単行本化にあたっての書き下ろしと1994年に発表された続編で構成される作品。
前者はティーガーの陰に隠れていたポルシェティーガーにスポットを当てた内容となっておりドイツ重戦車の扱いの難しさを取り上げている。舞台時期はクルスク敗戦直後であるが発表当時、ポルシェティーガーが実戦投入されていたことは知られていなかった。
そして後者ではナチス崩壊直後のドイツを舞台に主人公のマザコン戦車整備兵・ハンスと上官・ドランシが美少女・ローザ(ちゃんとした人間)と彼女の祖母、飼い犬のグスタフと共にⅣ号戦車を駆ってソ連軍からの逃避行を描いた。
そして発表から20年近く経ってこの2種の戦車がアニメで活躍するとはさすがの宮崎も悪夢ぐらいでしか思わなかったのではないか?
1998年から1999年にかけて発表。オットー・カリウスの著書『ティーガー戦車隊』の内1944年2月から3月末にかけて戦闘を行ったエストニア・ナルヴァのエピソードを漫画化したもの。
制作にあたって宮崎は1998年の夏、ナルヴァを訪問し、さらにドイツでカリウス本人にインタビューするという気合の入れようであった。尤も内容は豚達の戦争である。
ただし単行本の前書きにおいて宮崎は先の『ハンスの帰還』と合わせ『(自分の)生涯における戦車のシーズンは終わった』と語っている。曰く自分の中にある戦車のイメージと実態が合っていないとのことである。
なお、宮崎は後書きにおいてこの作品をカリウスが観たら怒るだろうと冗談気味に語っているが2013年に刊行されたミリタリークラシックス6月号に掲載されたインタビュー記事によると『単行本を所有しており、光栄です。』とのこと。
流石に萌えが溢れ過ぎている日本のミリオタ業界を見たら怒ると思うが。
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最終更新:2025/12/06(土) 01:00
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