打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?とは、岩井俊二原作の映像作品である。
オリジナル作品は『if もしも』という当時『世にも奇妙な物語』の後継番組としてフジテレビで放映されていたオムニバスドラマシリーズの1993年8月26日(木)に放映された中篇作品のことを指す。
本来、この日には誘拐をテーマにした作品が放映予定だったが、現実の事件に配慮してお蔵入りしたため、結果として作品に最もマッチした放映日となった。(なお、その作品は未だに放映されておらず謎の作品となっている)
よって、本作は『実写作品がオリジナル版』であるので、後からこの実写版を観て「実写は原作レイプ」なんてことを言おうものなら鼻で笑われるのでご注意を。
簡単なストーリーは共に同級生の女子なずなに惚れている親友同士の小学生男子二人の物語で
両親が離婚したことで地元を離れることとなったなずなが、プールで勝った方と駆け落ちしようと密かに賭けをしたことから、異なる二つの運命がそれぞれ動き出す、というもの。
一風変わった題名はこの作中で少年たちが「打ち上げ花火を横から見たら丸いのか、平べったいのか?」という言い争いに端を発するもの。
DVDのジャケットも、このタイトルを象徴するような、少々変わったデザインをしている。
前述の通りこの作品は『if もしも』という番組で作られた作品だが、この番組独自の決まったルールがあったため、ストーリー途中で『A』or『B』の選択肢が現れ、それを選択した者たちはどちらのパターンがどういう結末を迎えるのか?という実験的な要素の強い作品が数多く作られている。(結末自体はどちらのパターンも放映される)
サブタイトルも全てそのルールにより「~は○○するか? XXするか?」と統一されていた。例えば、最初の作品のタイトルは「結婚するなら金持ちの女かなじみの女か」であった。
なお、今でこそ、凋落したつまらない番組ばかりで鼻につく没落テレビ局のイメージで語られることも多いフジだが、この当時は作る番組はほぼ高視聴率で大当たりし、脚本家も良質な作品を提供し続けており、実験的番組にも数多くの予算をかけられる状況にあるなど、いわば全盛期にあった。
その数ある作品の一つがこの「打ち上げ花火~」で、最終回の2週前の16話目として放映された。
作品の構成は、厳密には番組の提示した企画からは外れてしまっているものの、その内容は叶うことの無かったひと夏の思い出を見事に描いた秀作として反響を呼んだ。
また、放映当初から、プロの映像作家の間でも別格でこの作品は高い評価を得ており、『青春の殺人者』『太陽を盗んだ男』の監督で“ゴジ”の愛称でお馴染みな長谷川和彦の強い要望でテレビドラマでありながら日本映画監督協会新人賞に推奨している。
このこともあって、岩井は本作以降テレビドラマの脚本よりも映画監督としての活動に比重を置くことになっている。
その後、テレビ用のストーリーテラー部分や一部映像を再構成してスクリーン向けに監督自身が再編集を施したブローアップ版が放映から2年後のお盆真っ只中にある1995年8月12日(土)に公開された。
本作放映から18年後には、この作品のロケ地の多くは東日本大震災にて壊滅的な被害を受けてしまい、その意味では90年代の貴重な記録映像のひとつともなっている。
配役には、物語上小学生が多く登場することになる部分については本当に当時小学生だった俳優(子役)を用いており、主演の典道役には当時『あっぱれさんま大先生』や『Coo 遠い海から来たクー』などでも活躍していた山崎祐太、ヒロイン役にはドラマ『パ★テ★オ』で宝田明演じる奥菜孝の娘・奥菜恵を演じた奥菜恵(この時の役名がそのまま芸名になった)が抜擢され、事実上、両者の初主演作となっている。
もう一人の主人公である祐介役は後にアニメ声優などとしても活躍する反田孝幸が配された。
因みに、この90年代当時はこういったティーンの俳優、女優が徐々に頭角を現す番組が多くなる過渡期にあたり、放映と同じ年にNHKで『天才てれびくん』がスタートしているほか、映画公開の95年には『木曜の怪談シリーズ』がスタート、翌年には『家なき子』が社会現象になり、さらにその翌年にはNHK連続テレビ小説『ふたりっ子』が大ヒットしているなど、子役業界にとっては結構重要な時期だったりする。
二人の男を魅了するヒロインを務め上げるとだけあって、この作品の奥菜恵はバツグンにカワイイ時期なので、その意味でも観ておこう。しかし、後に3回も結婚と離婚することになるとは、世の中わからんものだ・・・
なお、世にも奇妙~の後番組を目された『if もしも』だったが、さすがに実験的要素が強すぎたのか、作り手側も課題が困難だったのか、結局のところ後に根付いたのは『世にも奇妙な物語』の季節番組の方であった。(ちなみに、ストーリーテラーは両方ともタモリ)
初放映から24年後の2017年8月18日(金)に公開される予定のアニメーション映画版。
世界121の国と地域においての配給も決定している。
本作に岩井は関わっておらず、スタッフ、キャスト共に一新されている。
プロデューサーは前年に『君の名は。』で特大ヒットを飛ばした川村元気で、ポスターや予告編映像などにも全体的に『君の名は。』の影響や、『君の名は。』の観客層を獲り込もうという意図が見え隠れするものとなっている。
丁度この2016年~2017年当時は、アニメ映画の当たり年・豊作期であり、一部特典商法に走りがちだった漫画原作の劇場版について少々苦戦傾向なものもあったが、前年には『君の名は。』のほか、『この世界の片隅に』がクラウドファンディングからの製作でジワ売れし、さらに公開年には『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』などが賞レースで高い評価を受けていたり、口コミで大きな興行収入を上げたりといった時期でもあった。
総監督には、『ひだまりスケッチ』『魔法少女まどか☆マギカ』の総監督を務めた新房昭之が抜擢され、彼にとっては初の実写作品のアニメ化作品となる。
監督には『少女革命ウテナ』などの作画監督や『千と千尋の神隠し』~『崖の上のポニョ』までのジブリ映画原画、『物語シリーズ』でプロダクションデザインなどを担当していた武内宣之で、本作は監督デビュー作にあたる。
脚本には『サイコメトラーEIJI』の演出、『モテキ』『バクマン。』などの監督・脚本を担当した大根仁を抜擢。
音楽は『THE IDOLM@STER』シリーズなどのゲーム、『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『ビビッドレッド・オペレーション』などのアニメの楽曲に携わった神前暁が担当。
主題歌は踊りはあるのに花火大会などない徳島市出身の米津玄師の『打上花火』が起用され、彼の作品としては初のコラボレーションとしてDAOKOとのデュエットとなっている。DAOKOは挿入歌『Forever Friends』も担当した。
また、『打上花火』は米津にとって初のアニメ映画主題歌でもある。
プロデューサーの川村によると、企画そのものは『君の名は。』以前から動いていたことを語り、「映画業界で『打ち上げ花火』といえば、あまりにパーフェクトな作品なので、アンタッチャブルだった。特に実写で少年少女の瑞々しさを再現するのが難しい。でも、アニメーションでやるなら新しい表現があると思った。新房総監督の才能とビジュアルセンスに惚れ込み、原作者の岩井の許可をいただき、新房総監督に企画を提案した。脚本の大根も『打ち上げ花火~』の大ファンですし、3人の映画監督が集まって、アニメ表現の可能性を見つけていけたら、面白いなと思った。」と製作に至った経緯を明かしている。
声の配役には『君の名は。』や『時をかける少女』(細田守版)を髣髴とさせ、プロの声優ではなく、女優、俳優などの舞台などをメインとして活躍するアクターをそろえている傾向があるが、花澤香菜のように『君の名は。』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の両方に出演している者もいる。
主演は女優として活動している広瀬すずで、相手役の典道を仮面ライダーWのフィリップを演じた菅田将暉が担当。クレジットでは、オリジナルが典道を最上段に置いたのに対し、本作ではなずながトップクレジットとなっている。
設定は若干変更されており、全体的に観客層に合わせてか、本作における主人公たちの年齢設定は小学生から中学生へと引き上げているほか、登場人物それぞれに苗字と名前が再設定されている。
また、二通りそれぞれの結末を観る事のできた原作映像とは異なり、同じ日を繰り返すタイムループを主題とした、誰もがひとつは抱えている『あの時こうしておけば、あの子にこう言っておけば、もし、やり直せることができるのであれば、もう一度だけあの日にかえりたい』といったことがメインとなる、『恋はデジャヴ』のようなSF的要素の強い話であると宣伝されていた。
アニメオリジナル要素として、「もしも玉」という球体が登場する。これを投げつけると自分の思ったやり直したい時に戻る、というアイテムで、これは原作者である岩井のアイデア。デザインは劇中何度も登場する灯台をモチーフにしている。
製作は遅れていたことが報じられており、本来マスコミ向けの試写上映会だった同年7月11日(火)の完成報告会見は、急遽『製作報告会見』に変更され、公開2週間前の8月3日時点でも予告編以上の大きな宣伝はほとんど行われず、この時点での、公開日延期対応などは特に無かった。
このことについて川村は7月の会見で製作の遅延について「シャフトというすばらしいスタジオが作っていて、遅れるで有名」と冗談めかしつつ、「粘りに粘っております。そのかわり、最終的にすばらしい作品をあげるので新しい表現が提案できると思う」「きっと『君の名は。』以降の、新しいビジュアルの発明をご提案できる」と自信をみせている。
制作は遅れたものの、8月9日には関係者や一般を招いた試写会を開催し、無事完成。
封切の18日には初日興行収入1.7億のロケットスタートをきっている。
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?に関するニコニコミュニティを紹介してください。
掲示板
140ななしのよっしん
2022/04/07(木) 17:09:07 ID: tOhVtJTzVJ
価値観の違いから青春系邦画をアニメ版スタッフが特異な解釈した感じが少し残念。
ましてや鬼才の岩井監督の作品だし、同じレベルでかつ秀才でかつアニメ畑の人を連れてこないとキツイっすよ。
141ななしのよっしん
2022/04/18(月) 20:14:28 ID: G68BRHR/Iu
この手の青春恋愛超常現象アニメやっぱ合わんわ マジンガーZやゲッターロボが敵と戦ってみたいなシンプルな話じゃないと なんかモヤモヤする
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最終更新:2023/03/28(火) 02:00
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