『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』は、フジテレビ制作の医療ドラマシリーズである。
コード・ブルーとは、患者の容態が急変し、緊急での蘇生が必要になった際に医療関係者の間で用いられる業界用語の一つである。
概要
近年急速に普及している救命医療ヘリコプター“ドクターヘリ”に搭乗して各地の災害現場で働く4人の若き医師と、彼らを取り巻く最前線の医療現場の人達を描く群像劇。地上波では連続ドラマで3期、特番で2回放映された。
第一期は2008年の夏ドラマとして木曜劇場で放映。フライトドクターの候補生として翔北救命センターへ赴任した4人のフェローシップ研修生と1人のフライトナースが、様々な過酷極まる現場において苦悩・葛藤しながら救命のために奮闘する。
連ドラ終了後、2009年1月10日にその後のドクターが活躍する姿を描いた新春SP版が放映。
第二期は2010年の冬ドラマで、放送枠が月9へ移動。月9初の救命系の医療ドラマである[1]。
フライトドクター研修フェローシップが終盤に入り、その後の4人が目指すこれからの道が少しずつ示されたり、彼らの人となりを知る近縁者との交流が多くなった。
一方、救命チームのやりかたに憤り、裁判を決める患者関係者が現れるなど、フェロー課程の修了を間近に4人のドクターには大きな試練が課されることになっていく。
第三期は2017年の夏ドラマ。翔北救命センターに新たなフライトドクター候補生が赴任し、新たなフィールドで腕を振るっていた4人が、彼らの先輩として指導をしつつ再び救命の世界で活躍する姿を描く。
最終回のエンディング後に映画化が告知された。
映画版の封切りは2018年7月27日。前後して23日~27日にかけフジテレビローカルでスピンオフドラマ[2]と、翌28日に第三期の総集編かつ映画版の前日談を描いたSP版が放映されている。
ドクターヘリは大規模な災害や事故にて出動するケースが多く、その再現か作中の現場は総じて激甚かつ凄惨たる状況にある。実際の医療現場でも用いられるトリアージの厳しい現実が演出されるシーンも多く、職業や年齢に関係なく多くの人が命を落とすなど、数ある医療ドラマの中でもハードな展開・救われない結末がよくあり、やや鬱ドラマの傾向がある。
音楽は『交響詩篇エウレカセブン』などの佐藤直紀が手掛ける。
主題歌はMr.Childrenの『HANABI』が全期を通して用いられた。
登場人物
一部の登場人物は、術衣など医療従事者が着用するユニフォームの色を意識した名字を持つ。
特にメインとなる3人の姓には、理髪店などで見掛けるサインポールの色にちなんだ漢字が使われている。
藍沢耕作
演:山下智久
主人公。名字は作品全体のイメージカラーでもある藍色にちなむ。
地方で2年間の救命センター業務を経て翔北にやってきた。患者に必要以上に感情移入しない冷静沈着な性格で、総合スキルはフライトドクター候補生随一。本人も高度な技術を誇る名医になることを目標とする。
自らの腕に強い自信を持つ一方、赴任したての頃は野心が過ぎるところがあり、当直以外でも救命に泊まり込み必要以上の仕事をこなそうとした。
また、初フライトで工機に巻き込まれた男性の腕を切断したことを「面白かった」と言うなど、経験値を欲すあまりに成果以外を顧みず、周囲との軋轢をいとわない悪癖があった。
しかし、黒田の腕を同じように切断するミッションを経験し、必要な処置と割り切れずに恩師である黒田の外科医人生を閉ざしたと悩み、絶対的な自信が揺らぎ始める。これに前後して入院した祖母が認知症を患い、過酷な状況に陥るが、祖母の治療をしながら自らの心と向き合い、精神面でも名医として成長を始めていく。
第二期の最終回にて、フェロー課程を修了した後に翔北の脳外科へ異動。第三期開始時点で同科のエースとしてその腕をふるい、世界有数の脳外科医療の水準を誇るトロント大学の臨床医師に推薦候補としてその座を狙っている。その最中で救命が人員不足に陥ったことを受け、ミッション数を稼いで推薦を獲得する意図も兼ねて救命センターへ戻り、後進の指導をしながら自らも現場に立つこととなった。
幼少時に両親が離婚し、母親は自殺。以来の育ての親は祖母であり、彼の名前も“晴耕雨読”[3]という四字熟語を由来に祖母がつけたもの。
第二期で親の真相が判ってからは祖母一緒に実母・夏美の墓参りをするようになる。一方で実父・藍沢誠次(演:リリー・フランキー)に対しては「嘘ばっかり」と不信感を抱く。
白石恵
演:新垣結衣
ドクターヘリでノウハウを磨いて故郷に持ち帰ることを目標に翔北にやって来た。実直な性格で他人の名前を呼び捨てにせず、患者とも真っ向に接するなど、医師としてのセンスと心構えは候補生の中でも抜きん出ている。
大学病院の教授を父に持ち、自らも豊富な医学知識を持つエリートだが、経験が浅く肝心なところで腰が引けてしまう弱さがある。そのため、ドクターヘリ出動の一番乗りを上げるという白星を上げながら、現場では失敗を恐れ、何も出来ないまま帰還することとなってしまった。
さらにその後、ボイラー爆発事故の現場で、自分をかばった黒田が大けがを負い、彼の腕を切断する原因を作ったことで自責の念に駆られてしまう。辞職を願い出るまでに自分を追い詰めるが、結果的には周囲の支えでこれを撤回。また「誰よりも多くヘリに乗れ」と黒田から背中を押されてフェロー課程の継続を決断する。
その後の列車事故現場においてトリアージを実行。事態を割り切り、時に非情とも取れる決断を下せる救命医として急成長を始めるが、元の優しさ・暖かさが犠牲となって批判を受けるようにもなり、良くも悪くも同期の藍沢に強く感化されることとなった。 第二期当初では父との関係に溝が生じており、フェロー課程修了後の進路を勝手に推薦されたり、また講演会などに出ずっぱりの姿を患者から離れているとして激しく批判する。後に父から真実を打ち明けられた事で和解し、その上で翔北に残り働き続けることを報告した。
フェロー修了後も引き続きヘリに乗り、またフライトドクターチームのリーダーとして、新たなフェロードクター達の面倒を見ている。
リーダーシップがないと自己評価をしているが、多くの同期や後輩にとって支えのような存在と認識されており、さながら皆にとっての母親というよりもオトンのような存在。特に緋山との息の合った夫婦漫才は、暗い展開が続く本作きっての清涼剤として視聴者の心を癒やしてくれる。
緋山美帆子
演:戸田恵梨香
他の3人ほど複雑な生い立ちはなく、一般的な家庭の出身。私立医大を卒業後、2年間の研修期間を経て翔北へ赴任した。
医師としての上昇志向は強く、他の候補生に対しては一層の対抗心を燃やしている。負けん気が強いあまりにプライドも高く、他のドクターが出動して自分のフライトが減ることを煩わしく考える傲慢さがあるものの、そのくらいに救命医としての使命に燃えている熱血ドクターである。
性根は世話好きで優しく、情にもろい。何かと世話を焼いてくれるとして、関わった人や患者から心より嫌われる事はないが、この救命医として隙のある性格が仇となり、2nd中盤において斬鬼さん担当した患者の遺族から医療過誤として訴訟されかける事態を起こしてしまう。
この事件を含め、新春SPでは列車脱線事故の現場で二次災害で瀕死の重傷を負ったり、3rd開始早々自宅が火事になったりなど、シリーズを通して散々な目に遭いまくる。結局、謹慎や治療のために研修課程が不足してしまい、2nd終了時点で唯一フェローを卒業することができなかった。
3rdでは、翔北とは別の病院で産婦人科医を勤めていたが、三井の頼みを受けて翔北の救命センターへ戻ってきた。
2nd以降に制服の下に着ているタートルネックのシャツは、先述の事故で出来た手術跡を隠すためのもの。白石との絡みが多く、事故の後遺症を完治させるために背中を押される、火事で住処を失った時に同棲を始める、等々はた目に見れば完全にカップルである。
ちなみに片付けができないタイプで白石宅をも同じように混沌の世界に変えた。完全にカップルである。
藤川一男
演:浅利陽介
名字は、紫色の類似色である藤色に由来。術衣によく使われる色の一つである。
浪人に苦学と過酷な医大生生活にも負けずに母校を卒業し、翔北の救命救急センターへ赴任した。
当初は、除細動器で電流を流している患者の手に触れて感電する失態を犯すなど医師としての技量が甘く、そのためドクターヘリ出動が他のフェローより遅れることになった。
お調子者の性格や、二流半と見做されがちなスキルが祟ってか、同僚であるはずの他のフェロー3人よりなんとなく扱いが軽く、脚本上でもメインのサブのような扱いになっている。
冴島はるか
演:比嘉愛未
主な患者
藍沢絹江
耕作の祖母であり、育ての親である。
買い物中の転倒が原因で大腿部を骨折し、翔北に搬送されてきた。この時のショックが原因で認知症を発症し、見舞いに訪れた耕作のことを思い出せなくなってしまうなど重症化の危険に見舞われた。
認知症は改善されたが、続く第二期で肺炎により翔北に搬送される。この時から「お前が夏美を殺した」とうわごとを言うようになり、これがきっかけで耕作は塾講師を務める実父と会い、両親の離婚や母の死の真相を知っていくことになる。
第三期には未出演だが、この時点で故人であることが映画版にて明かされる。
田沢悟史
演:平山浩行
冴島の元カレで元心臓外科医。ALSという難病[4]にかかり余命幾ばくもなく、それがため自棄になり自殺未遂を引き起こして翔北救命センターの患者となった。
この経緯もあって当初は冴島との関係が良くなかったが後に和解。しかし病状は次第に悪化していき、第二期の中盤にてこの世を去る。担当医である藍沢が臨終に立ち会ったが、冴島は出動中で彼の死を看取ることが出来なかった。
延命拒否を決断してからは死の前日まで酸素濃度確認をし、遺体を病理解剖し数値を示すなど、死後に至っても元医者らしく病気のデータを積極的に提供し続けた誇り高き漢である。
白石博文
演:中原丈雄
白石恵の実父で、明邦医科大学において教授の職に就く。
心臓外科医の権威で、翔北の田所とは大学の同期だった。学会に講演会にと各地を飛び回っているが、現場を離れ患者を軽視していると娘からは糾弾されていた。
実は末期の肺がんに冒されており、後進育成のために余生を捧げることを決意し、日本全国を足にかけていた。
キャラクターとしては第二期に登場。最終回で墜落した旅客機に搭乗しており、事故により右足を骨折してしまったが、手負いながらも現場の救助隊をバックアップした。彼もまた本作屈指の漢である。
第二期での病状から察するに第三期時点でこの世を去っていると思われるが、作中で彼のその後は特に語られていない。
余談
ジャニーズ事務所の肖像権の都合、第二期までは藍沢耕作役の山下智久の顔写真の使用には徹底した規制がかかっており、現存する番組公式サイトにおいても、相関図のページにおいて山下のみシルエットのみであることが確認できる。
関連動画
関連項目
脚注
- *医療ドラマというカテゴリーで言えば、法医学をテーマにした『ヴォイス~命なき者の声~』が過去放映されている。
- *15分のショート枠。
- *せいこううどく。世間の喧噪を離れ、田園で心穏やかに暮らすこと。悠々自適な人生を送るなどの意味で使われる。
- *筋萎縮性側索硬化症。近年、声優の津久野教生が罹患者であることを公表して話題になった。
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