タイムパラドックス(time paradox、時間の逆説)とは、時間軸を遡って過去の出来事を改変した結果、因果律に矛盾をきたすことである。
曖昧さ回避
概説
仮に時間(軸)を遡って過去の事象に介入することが可能であるとすると、改変された過去の事象が既に確定している(観測されている)未来の事象と矛盾をきたすことがある。
以下にいくつかの例をあげる。
- 自分が生まれる前の時代にタイムトラベルし、自分の親を殺す。結果として自分自身が生まれなくなるはずなので、存在しないはずの未来の自分が過去にやってきた結果、未来の自分が存在しなくなるという矛盾を来たす(親殺しのパラドックス)。少しひねった例としては、青春時代の母親がタイムトラベルした自分に恋してしまい、危うく自分が生まれなくなりかけるなど。
- ある日、あなたは見知らぬ老人からタイムマシンの設計図を渡される。あなたはそれをもとにタイムマシンを発明し、大金持ちになる。やがて年老いたあなたはタイムマシンで過去へ向かい、かつての自分に設計図を渡す…。
…ちょっと待った、最初の設計図ってどこから出て来たんだ?このようなどこから出て来たのか分からないものが時空をめぐる「存在の環」が発生する可能性がある(ニワトリが先か、卵が先か)。 - 過去に自分が戻るということは、「過去のある時点に自分が2人存在してしまう」可能性がある。この状態で他人と遭遇すれば彼らの記憶に混乱が生じる。ましてや自分自身と遭遇してしまうと文字通りの「ドッペルゲンガー」であり、大変な混乱が生じる可能性がある。
- メタルギアソリッド3・スネークイーターにおいては前作(MGS、MGS2)よりも遡った過去で物語が展開する。MGS3の時点で、前作(未来)で生存しているはずの人物が死亡してしまうと、既存の物語世界(前作、前々作)と矛盾を生じ、破綻を来たす。
タイムパラドックスについての解釈
タイムパラドックスの前提となるタイムトラベル(時間軸上の移動)そのものが理論的なものに過ぎないので、タイムパラドックスをどう解釈するかは通常フィクションの創作者次第となる。解釈の例をいくつか次に上げる。
- 何も起こらない。
- 宇宙と因果律は案外頑固で、多少の因果律の不一致は無視して強引に辻褄を合わせる。或いは、「既に確定した」過去への介入はどうやっても成功しない(それは既に過去の歴史に織り込み済みである)。ドラえもんにおける目的地解釈(未来から過去の人物であるのび太に干渉しても、経路はともかく「目的地」であるセワシの存在にはなんら影響がない)もこの類型に含むことがある。
- 以下に例を示す
-
- 過去に戻って親を殺そうとしたが、肝心なところで相手が不在だったり銃が不発だったりで殺せなかった。殺したはずだったが、調べてみると自分が殺したのは親の兄弟などの別人だった、など。実際に歴史の改変についてはこれを修正するかのように波動関数が収束するという仮説を提唱している科学者がいる。しかもこの仮説は検証可能であるという。
- 過去に戻って事故死した自分の彼女を救おうとしたが、どう頑張っても事故を阻止できない。例え、事故は阻止できても別の原因で必ず死ぬ。彼女の死は変えられない。 (2002年版の映画「タイムマシン」etc)
- 過去に戻って歴史を変えようとしたが、歴史の流れが史実通りになったのは実は自分のせいだったことが分かった。つまり、歴史上、自分の行動は織り込み済みだった。 (小説「戦国自衛隊」etc)
- タイムトラベルを行っても自分の今いる時空の過去には直接行くことができず、それによく似た「パラレルワールド」にしか行けないというもの。そこで過去の自分の親を殺しても、自分のいる時空には影響を及ぼさない。(漫画・アニメ「ドラゴンボールZ」etc)
- 現在(未来)が改変される。
- 過去に対する決定的な干渉が行われた時点で、異なる時間軸への分岐が生じる。この分岐した時間軸は、タイムトラベラーがもともと来た「未来」とは異なる様相を呈する。多世界解釈を援用すると、改変された「未来」はもともとの未来と並行して存在する、「パラレルワールド」(ありえたかもしれないが、観測されなかった世界)ということになる。また、かつての「未来」は改変と同時に完全に消失してしまう、という場合もある。
未来を有利にするための過去への干渉、意図しない些細な過去への干渉が未来に予測不可能な改変をもたらす(バタフライ効果)などがしばしば物語の題材として扱われる。そうした事態を防ぐために、「未来人は過去の人物に未来の情報を漏らすことが厳しく規制されている」などと設定されることもある。たとえば禁則事項など。 - フィクションにおいては主人公(もしくはプレーヤー)の主観のみが扱われることが多いので、「改変されなかった世界」がその後どうなったかは一部の例外(「ひぐらしのなく頃に」etc)を除き、無視されることが多い。
- 爆発オチ
- 宇宙が因果律の矛盾に耐えられなくなり消滅する。現実は非情である。
- 上述のMGS3においてはゲームオーバーとして処理される。
関連動画
関連項目
- 時間移動
- 過去改変
- パラドックス
- パラレルワールド
- ループ
- ループもの
- 世界線
- ジョン・タイター
- ドラえもん
- ターミネーター
- バック・トゥ・ザ・フューチャー
- Steins;Gate
- メタルギアソリッド
- ゼルダの伝説 時のオカリナ→嵐の歌
- 新ソニック・ザ・ヘッジホッグ
- アッシュ・クリムゾン
- FINAL FANTASY XIII-2
- 去年はいい年になるだろう
- 時砂の王
- 26
- 0pt