トリントン基地とは、『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する宇宙世紀の軍事施設である。
概要
オーストラリア大陸の南東部、シドニー湾の北方に位置する地球連邦軍の軍事施設。港湾施設、飛行場、モビルスーツ用格納庫、管制塔などを保有する。
初登場したのは一年戦争後を描いたOVA『機動戦士ガンダム0083』だが、後に発売されたゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』にて、一年戦争当時から基地として機能している事が判明した。辺境の基地ながら何かとジオン(残党)軍に襲撃される事が多い不遇な存在。
ちなみにUCの描写などから、トリントン基地は港湾施設を持つ海沿いの土地であることが見て取れるが、オーストラリアに実在する Torrington(トーリントン) は海から100km以上ある内陸の村である(コロニー落としでそこまで地面が吹っ飛んだということ)
劇中では
一年戦争時代
一年戦争開戦劈頭の0079年1月10日午前8時41分、ジオン軍のブリティッシュ作戦によって地球へのコロニー落としが行われ、コロニー「アイランド・イフッシュ」の残骸がオーストラリア東岸に落着。トリントン基地の付近まで地面が抉られ、シドニー湾に面する形となる。また基地の近隣には惨劇の象徴とも言うべきコロニーの残骸が生々しく突き刺さった。
3月18日、第三次地球降下作戦を開始したジオン軍がオーストラリア大陸に降下。都市部や重要拠点を全て奪われるも広大な砂漠が天然の防壁となってトリントン基地は攻撃を免れた。しかし、戦略的価値が低い後方の拠点だった事、反撃の余裕が無い連邦軍と不必要な攻撃を控えるジオン軍の事情から、両軍に存在を忘れ去られ、長らく放置されていた。
その一方で「忘れ去られた基地」という点を逆手に取り、連邦軍は南極条約で使用が禁じられている核弾頭とその貯蔵施設をこっそり建造。ジオン軍に怪しまれないように核を保有する基地でありながら防衛戦力は微々たるものだった。小説版『コロニーの落ちた地で…』によると、手薄なトリントン基地の防衛は近隣のチャールビル基地が担当しており、当基地には常時大戦力が駐留。万が一の場合はチャールビルから部隊を派遣する手はずとなっている。この事はジオン軍も察知していたようで「チャールビルには不自然なほど戦力が集中している」と怪しんでいた。
ちなみにホワイトディンゴ隊へ配属されていたレオン・リーフェイ少尉は、トリントンの核貯蔵を隠匿するためにジャブローから来た諜報員である。
戦争も終盤に差し掛かった12月26日、トリントン基地に核が秘匿されている事を知ったジオン軍特殊部隊(小説版ではマッチモニードと呼称)が襲撃。新鋭機ドムを要する特殊部隊を前に61式戦車ではまるで歯が立たなかった。更に特殊部隊の一人が核貯蔵庫のネットワークにクラッキングを仕掛け、危うく核弾頭を奪取されそうになったが、急派されてきた連邦軍のホワイトディンゴ隊によって撃破され、事なきを得る。防衛を担うはずのチャールビル基地は、「月の階段」発動に伴う陽動でジオン軍の攻撃を受けており、全く身動きが取れなかった。ちなみに特殊部隊のトリントン襲撃と陽動は偶然重なったもので意図した軍事行動ではない様子。
0083時代
一年戦争終結後もトリントン基地は稼働し続けた。
宇宙世紀0083年10月13日、ペガサス級強襲揚陸艦7番艦アルビオンと、積み荷のガンダム試作1号機と試作2号機がトリントン基地に搬入された。しかしこの情報はジオン残党デラーズフリートに察知され、星の屑作戦実行のため連邦兵に扮したアナベル・ガトーが基地に侵入、核弾頭を保有するガンダム試作2号機をあっさり強奪されてしまう。
同日夜、ガトーの脱出を支援するドム・トローペン、ザメル、ユーコン級潜水艦U-801から猛攻を受け、トリントン基地は再び戦火に沈む。迎撃に出たジムや鹵獲ザクはドム・トローペンによって次々に撃破され、ザメルの長距離砲撃が司令部を貫いてホーキンズ・マーネリー准将が戦死。基地施設にも大きな被害が出た。またしても核絡みでジオンに襲撃されるトリントン基地なのであった。
後に復旧し、基地として稼動を再開したようだ。
ユニコーン時代
宇宙世紀0096年、袖付きの命令を受けたジオン残党軍に再び襲撃される。さすがに今回は核絡みではなかったが。周囲には、一年戦争時代やデラーズ紛争時代には見られなかった市街地が広がっており、ちょっとした都市になっている。
当時のトリントン基地は完全に忘れ去られた僻地のような扱いだった。将兵は元ティターンズのような左遷組で編成され、『逆襲のシャア』以降の年代にも関わらず駐留戦力はジムⅡやガンタンクⅡといった型落ち機のみ、中には一年戦争序盤に使われた対MS誘導弾リジーナ(骨董品レベル)まで確認出来るなど最早博物館。一方、基地を襲撃したジオン残党もザクキャノン、ジュアッグ、ザクⅠを始めとして一年戦争時代のMSが混ざる旧式軍団であったが、気迫に押されて劣勢を強いられる。
だが、トリントン基地で開発されていたバイアラン・カスタムが獅子奮迅の働きを見せ、増援が到着するまでの時間を稼いだ事で辛くもトリントン基地は失陥を免れた。
その他の作品では
ギレンの野望
原作では「忘れ去られた基地」という扱いだったが、『ギレンの野望』シリーズでは兵器の生産ができる重要拠点として登場。まさかの大出世である。
オーストラリア大陸の基地はトリントンしかないため、大陸の覇権を握るにはトリントンの存在が重要になってくる上、海に面している設定からかオーストラリアで唯一海洋拠点がある。CPU操作のジオン軍は真っ先にトリントン基地を狙ってくるため、ゲーム開始直後にいきなり侵攻を受ける場面も少なくない。連邦軍でプレイする時は如何にトリントンを守り切れるかが序盤の肝となる。死守出来れば東南アジア攻略の足掛かりになるし、逆に失えばオーストラリアそのものを失うと言える。
ジオン軍でプレイする場合はいきなりトリントン攻略する、という事は出来ない。ハワイかマドラスの占領で提示される攻略作戦を実行する必要がある。
ガンダムEXA VS
漫画『ガンダムEXA VS』では、オーストラリア戦線でホワイトディンゴ隊に撃破されたものを修復した巨大MAライノサラス、ザク・デザートタイプ、グフ重装型とともにトリントン基地を襲撃。ホワイトディンゴ隊と交戦している。
関連項目
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