パストーレとは、以下のものを指す名詞である。
当記事では、2.の『銀河英雄伝説』に登場するパストーレについて扱う。
CV.佐藤正治(OVA)、石井康嗣(新たなる戦いの序曲)、目黒光祐(Die Neue These)。
概要
パエッタ中将より「百戦錬磨」と賞される将官であったが、アスターテ会戦において戦死した。
アスターテ会戦
アスターテ会戦においてパストーレが不幸だったのは、何よりもまずラインハルト・フォン・ローエングラムを敵手としたことだというのは言を俟たない。しかし戦場においては、三方向から分進合撃する同盟軍艦隊の中央を担ったこと、そして第4艦隊を構成する艦艇の数が同盟軍三個艦隊のうちでもっとも少ない12000隻だったことの二つが、パストーレと第4艦隊の不運だったといえるだろう。
そもそも、事前の同盟軍幕僚チームの予測は、倍の数である40000隻の同盟軍による合撃を受けた20000隻の帝国軍は防御態勢を取るであろう、というものであった。にもかかわらず、ラインハルト・フォン・ローエングラム上級大将の率いる帝国軍はその予測に反して積極攻勢に出たのである。そしてその矛先が最初に向いたのが、同盟軍中央にあって撃破後も進撃先を選択でき、かつ数がもっとも少ないパストーレの第4艦隊だった。
かくして、予想外にもラインハルトの正面攻撃を受けたパストーレは混乱を極めることとなった。”用兵を知らぬ”敵司令官を非難し、作戦立案の主体でありながら恐慌状態に陥る幕僚団を内心で罵倒しつつも、彼は慌てて第2、第4艦隊へ接敵を通報するよう命じる。しかしこの命令は、結果としてさらなる不運を招いた。通信が帝国軍の妨害にあって叶わず、彼がやむをえず連絡艇の発進を命じたところで帝国軍の攻撃が開始されたのである。パストーレも遅ればせながら迎撃と総力戦用意を命じたが、敵将ラインハルトにも嘲笑されたこの遅れにより、第4艦隊は直接の戦闘でさえも後手をとるかたちとなってしまう。
かくして帝国軍の攻撃によりみるみるうちに損耗していくことになる第4艦隊の中では、絶望と焦燥に駆られる司令官パストーレももはや例外とはならなかった。旗艦レオニダスの艦橋部に集中した砲火がその外殻に亀裂を走らせ、内外に発生した気圧差は司令官の身体を真空中へと吸い出したのだった。
その死体がどのようなかたちになってどこを漂っているか、誰も知らない。 - 「黎明篇」第二章より
関係者
- ナン - 技術少佐。旗艦<レオニダス>の通信長を務める。
- エドウィン・フィッシャー - 准将。第4艦隊に属しており、アスターテ会戦では善戦したとされる(描写は無し)。
- パエッタ - 第2艦隊司令官。OVAではパエッタがパストーレを「友人」とする台詞がある。
- ムーア - 第6艦隊司令官。パストーレとの関係や評価には特に言及してはくれない。
- タナンチャイ - 少将。アニメ「新たなる戦いの序曲」における第4艦隊参謀長。
- マガディ - 少佐。アニメ「新たなる戦いの序曲」における副官。
アニメでの登場
石黒監督版アニメ
石黒監督版アニメでは、波打った黒髪に頬骨の張った細面の壮年男性として描かれる。
本来アスターテ会戦限定で登場する人物ではあるが、石黒監督版アニメではそのアスターテ会戦がOVA本伝と長篇「新たなる戦いの序曲」の二度に渡って映像化されており、当然パストーレも双方に登場する。
OVA本伝では第1話のみ、しかも想定外の接敵に困惑するのみの僅かな登場で、あとは破壊された艦艇の姿が映る程度であった。のちの「新たなる~」では、原作にない同盟軍の出撃シーン・作戦会議シーンなどが追加されたことで登場シーンが増えたほか、会戦でのパストーレも基本的に原作同様に描写され、宇宙に吸い出されるシーンもきちんとあるなど、地味に良い扱いを受けている。その代わり明らかにファーレンハイトとメルカッツと帝国軍雷撃艇の引き立て役になっているが、まぁそこはそれであろう。
その他、実は忘れた頃にもう一度だけ登場している。OVA外伝「第三次ティアマト会戦」前篇がそれで、同会戦を控えた同盟軍全体の作戦会議で他の艦隊司令官とともに顔を見せた。作画の関係か以前の登場よりどこか老けて見えるのはご愛嬌。
Die Neue These
「Die Neue These」では、謹厳で角ばった顔の中年男性としてデザイン。原作では指揮下にあった(とされている)フィッシャー准将は第2艦隊麾下に移されている。
原作より出番が多少増量され、想定外の敵接近と強力な通信妨害による指揮機能の混乱によって後手を取りながらも、隷下の部隊に命令を出し防戦に努める姿が描かれた。明確な戦死シーンこそ描かれなかったものの、宇宙に吸い出されることなく、破壊された旗艦<レオニダス>の環境内で浮かんでいる彼の遺体が映し出され、第4艦隊の敗滅を示す象徴的なシーンとなっている。
ちなみに、パエッタ、シュターデンらと並んで多田俊介監督イチオシおっさんズの一人であり、「Die Neue These」製作にあたっては想像の翼をはためかせ、「パストーレとパエッタは同期なのでは」「だからパエッタも第4艦隊を見捨てられない」などと脳内設定を構築していたとか。艦隊に命令を出すシーンも、パストーレのような旧態依然とした指揮官として扱われがちな提督たちが、古いなりに有能な人物として現在の地位にいることを示したいという制作陣の意向によって設けられたシーンのひとつであると語られている。
関連動画
関連項目
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