MS-01(ZI-XA3、クラブマン)とは、1981年に月刊OUTが発刊した別冊『ガンダムセンチュリー』を初出とするモビルスーツ、モビルワーカーである。
その後に展開した公式企画『MSV』で設定が取り入れられた。
概要
MS-01「ZI-XA3(通称:クラブマン)」。
モビルスーツという特殊な兵器カテゴリーの基礎を作った機体である。外見は今より作業用機器に近く、地球連邦軍の目を欺くためにモビルワーカーと偽装していたとの事。
クラブマンとしての機体名は『劇場用アニメ映画第1作フィルムコミック』、デザインは雑誌『G20』が初出であり、ガンダムセンチュリーには載っていない。大型ムック『公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』の697頁でもクラブマンの名称が確認出来る。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にはデザインと設定の異なるMS-01が登場する(モビルワーカー01式)。
開発の背景
T・Y・ミノフスキー博士が発見した「ミノフスキー粒子」の存在によって、望む望まないに関わらず戦術は大幅な変化を求められた。ミノフスキー粒子高濃度散布下での電波攪乱、大規模集積回路等の機能障害に対する保護システムも開発されていたが、非常に高価で易々と使い捨てのミサイルなどに積めるものではなかった。これらを踏まえた上で、戦場では再び有視界戦闘による接近戦に回帰する事が予想された。
ジオン国防省は各軍事企業に新戦術に対応する兵器の開発を要請する。内容は重火器の扱いが可能であること、コロニー間ないしは宇宙における高い機動力、対弾性を持った強固な装甲、そして制圧地区での作業能力とミノフスキー粒子の性質を利用した「奇襲戦法」に適した性能が求められた。
ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉、マニピュレーター等の精密機器、航宙推進技術、なによりこれまでの戦争を過去のものとするという兵器的革新の要求からハードルをクリアするのは並大抵の事ではなく、数年に渡る検証と試行錯誤の結果残ったのは2社のみとなった。ZEONIC社とMIP社である。この2社にツィマッド社を加えた3企業間の競合(採用競争)が、ジオン軍の戦闘兵器を生み出す体制となる。
コンペティション
コンペにおいて、MIP社が提出した試作機は「MIP-X1」という外惑星資源開発ポッドと航宙戦闘機を融合させたような機体であった。従来の宇宙戦闘機の延長で、宇宙戦闘機以上の機動性ならびに格闘能力を保有していた(有重力下ではホバークラフトで移動するようだ)。
対するジオニック社が提出した機体は全高14m程の、マジックハンドと一対の歩行用の脚を備える、宇宙世紀以前の旧世紀における戦争では非合理的とされていた「人型兵器」の構想であった。
「ZI-XA3」。ジオニックの「S.U.I.Tプロジェクト」と呼ばれる計画で開発された人型作業用ビークルにして、後のモビルスーツの基礎を作った機体として知られている。
MIP社のMIP-X1と比較しても、あるいは従来の兵器構想としても“異常”な機体には、コンペを視察にきたギレン・ザビも一瞥するや冷笑を浮かべたという。恐らくこの時点ではMIP-X1の方が採用競争で1歩リードしており、有利だったことだろう。ただしこの評価は後々、覆される事になった。
AMBACシステム
ZI-XA3は、AMBACシステムと呼ばれるものを採用していた。
「Activ Mass Balance Auto Control」、つまり能動的質量移動による自動制御により、一定以上の速度下で手足を振るだけで方向転換を可能とする姿勢制御技術の事。通常方向転換には推進材を消費するのだが、AMBACでは少しバランスを変えるだけで180°の転換を僅か数秒の間に自在に行えた。…らしい。
AMBACは関節部の流体内パルスシステムに則って成り立つもので旧世紀時代より使われていたアクチュエーターでの制御技術を発展させた駆動方式である。ZI-XA3の核分裂炉(まだ融合炉ではない)が生み出すエネルギーをパルスコンバーターで変換し、髪の毛よりも細い数千本の流体パイプ内に導き、関節駆動用ロータリーシリンダーに超音速で伝達する。
油圧と比較しても作業スピードに優れ、モーターよりも重量が軽く、何より機構を簡略化できるという利点があった(流体内パルスシステムは広義ではモーターにもアクチュエーターにも捉えられるという)。
ZI-XA3が優れているのは何もこの限りでない。有重力環境下においてAMBACは機能せずとも、地上侵略を想定した場合、最も評価すべきは手足を付けたことで可能となった“歩行”と重火器の“保持”、何より“作業用機械”としての役割をスムーズにこなせる事だった。
当初この機体に否定的であったギレンの想像通り、宙域戦闘ではMIP-X1に遅れをとっていた。しかし月面やコロニー間では意外にもMIP-X1よりも優れており、こうした高い汎用性かつ総合能力では競り勝った。
コンペの結果、ジオン国防省はジオニック社のZI-XA3の採用を決定。 ZI-XA3にMS-01というジオン軍内で型式コードを与え、表向き作業用機械に偽装し、実際には連邦軍に対抗する新兵器として改良を進めた。
このMS-01は「クラブマン」と呼称されていたらしい。
ちなみに競合していたMIP社のMIP-X1もこれで打ち止めとはならず、戦争期にMA「ビグロ」に発展している。
モビルワーカー01式
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するMS-01 モビルワーカー01式。
開発経緯こそ一部同じだが、デザインと機体設定がまるっきり異なる。
詳しい事は該当記事を参照して貰いたい。
特にAMBACの件はクラブマンの設定と真っ向から対立している。
だがORIGIN公式ガイドブックvol2によると、サンライズ公式設定にはこれが取り入れられたらしい。
しかし後にオリジンが「アナザー宇宙世紀」に再分類され、本家宇宙世紀のMS-01とは完全に別の機体と解釈できるようになった(公式設定と正史はイコールではない)。
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