双眼鏡とは、遠方の景色を拡大して表示させる望遠鏡の一種である。
英語ではビノキュラー(Binocular)、単眼鏡はモノキュラー(Monocular)。
概要
遠くのものや詳細を見るために使用する光学機器。
その利点は大きく、肉眼では確認できない楽しみを見つけるのはもちろん
敵や障害物をいち早く見つける、気付かれる前に見つけ、その結果先手を打つ。
作戦を立てる、報告する、評価する、進路を変更するといった戦略的な情報収集まで幅広い。
視力が悪くても明瞭に大きく補佐してくれるメリットもある。
定義
「ものを大きく見えるようにする」という意味では天体望遠鏡や顕微鏡と似ているが、大きく違うのは両目に1つずつレンズがあり、かつ見たままの像を拡大したように見え、なおかつ両目で遠くの景色を眺めることができる。
サイズ・運用
大きさはさまざまで、ポケットにも入るような小さなのものがあれば観光地に多く見られる固定式のものまで存在する。が、双眼鏡はお手軽さも重視されていることから基本的にポケットに入らずともストラップで首などにぶら下げるなどして携帯して使用するものが大半である。
入れるスペースが無かったり、嵩張るのを嫌う場合には
携帯性を特に重視した「単眼鏡」も販売されている。ご一考あれ。
デザインとして、検索・捜索のアイコン・シンボルとして用いられる場合もある。
用途
趣味や旅行では遠景の細部や選手の動き・表情を詳細に見るためであったり
仕事としては情報収集や捜索・確認に用いられる場合も多い。
ハイキング、登山、キャンプ、バードウォッチング、天体観測など
アウトドアではとりあえず持っていけば遠くが見えて役に立つシチュエーションは多い。
高所からの展望など特に役に立つ。
展望台などには有料の大型双眼鏡が据え付けてある場合が多く、非常に高倍率。(後述)
コンサート鑑賞やスポーツ観戦などのイベントや、航海や捜索、軍事用途の偵察・監視・着弾観測などがあるが、「とりあえず思いついたときにパッと取り出して見ることができる」という強みがあるため、用途は広い。
保安上や安全上の理由から対象物への接近が難しかったり、距離のある
猛獣、航空機、船舶、コンサートの芸能人や試合中の選手などの観測にも有効。
付加機能
防水、防錆、耐衝撃、防振装置、方位磁針、測距用の目盛り(ミルスケール)が入っているものや
長時間の観測を目的として三脚を取り付ける穴がついているものもある。
カメラやビデオカメラが付属していて
遠くの見えている風景をそのまま撮影できるものもある。
※ただしカメラの価格も代金に入っているため高価
操作・購入
操作は簡単なものが多いが
また双眼鏡には両目の視力差による違和感(視差)を無くすため
どちらかの接眼レンズには視度調整機構(ダイヤル)がついている。
購入後・旅の出発前などには必ず調整しておきたい。
(片目ずつ行い、それぞれピントが合うようにすれば完成である)
大人数で使いまわす場合は、個人によって目盛りの位置を覚えたり、印をつけておくと便利。
ホームセンターで売られているほか、カメラ屋さん、写真店、家電量販店でも扱う店もある。
注意点
遠くのものがよく見えるのは便利な反面
夢中で覗き込んでいる間は死角が大きく、見ている場所以外の周囲の視界情報が全遮断される。
(置き引きや転落・事故など)治安の悪い地域や戦場などでも要注意。
相手が見えるという事は、相手側からも見える=狙えるという事である。
海外など政府や軍の重要施設を双眼鏡で凝視していれば、取り調べを受ける可能性もある。
また光を集める性質から、覗いている合間は普段より目に入る光量が多い。
明るい場所での長時間使用は、15~20分程度で一度目を休める必要がある。
光学機器は精密機器でもあるため、便利だからと高温になる車内に常備しない。
あえて書く必要はないかもしれないが、太陽を見てはいけない。
高所や移動中は落失しないようストラップ必ず腕や首にかける。
その他、説明書の注意書きを読んでおこう。
また、倍率の高さと性能・品質は関係ない。(次述)
倍率
やたらと高倍率をアピールしている商品があるが
倍率が高い=高性能・高品質ではない。
100倍ズーム!の横に6倍、8倍の双眼鏡が並んでいるとショボく感じるかもしれないが
- 小口径のレンズでは高倍率ほど真昼間の野外でも像が暗くなる
- 手振れまで倍増されてしまう。
- 倍率がそのまま手振れの倍増率になるため、高倍率ほど揺れまくる。
- 手持ちの実用性では10倍が限度。(10倍で微妙に暗くなる)
- 最近はホームセンターなどで多くの種類が手に取れるため、試してみると分かりやすい。
野鳥やスポーツなど動きのある対象物、広範囲の監視・捜索を目的とした場合は高倍率よりも広い視野が好まれるし、限られた予算で明るく高画質・解像度を求めるならレンズ口径を重視したほうが良い。最後は個人の好みや予算で選べば良いが、高い倍率の表記だけに踊らされる事がないようにしたい。
Amazonなどでレビューを見ることも可能なため、活用してみよう。
(双眼鏡以外の購入でも応用できるテクニックである)
高倍率=無理ではない
高倍率=高性能・高品質ではないと書いたが、無理なわけではない。
一応、実用性のある手振れ補正装置(防振装置)のついた高倍率双眼鏡(防振双眼鏡)も存在するが、バッテリーが必要で5~10万円以上と非常に高価なため、個人が趣味で購入するには手が出しにくい価格帯である。
ちなみに観光地の展望台などに据付けてある大型の双眼鏡は20倍以上と高倍率だが、レンズ径が桁違いな上にガッチリした土台に支えられているため、ひどい手振れや像が暗くなるといったデメリットは問題ではなくなる。
…それでも携帯可能で高倍率を重視したい場合はフィールドスコープ(スポッティングスコープ)というものがあり、大口径のレンズと高い倍率を兼ね備えている。ただし小型の三脚が必要で単眼式、重量やサイズ、価格的に双眼鏡に劣る。価格やサイズ的に小さい店にはあまり置いていないが。
良く見える条件
必ずしも高いお金を出さなければ良い双眼鏡が買えないわけではなく
大まかな指標としては…
- 倍率が高くないもののほうが像は明るい。
- また、レンズが大口径なものは解像度・集光率が高い。
- キヤノン:双眼鏡の基礎知識 (canon.jp)
レンズ自体が大きいと、双眼鏡自体が大きくなるデメリットはあるが
レンズが大きい=高額とは限らない。
その他、性能を最大限に発揮できるよう手振れが起こらないよう正しく構えたり
可能であれば窓枠や地面、物品に肘や腕を依託するといった方法を取るのも必要である。
軍用双眼鏡
軍用の双眼鏡でも、軍用だからと超高倍率で何でも見えまくる訳ではなく
広範囲を捜索できるよう6~7倍の若干倍率が控えめな物も珍しくない。
(勿論メーカーにもよるし、私物を使用する方もいるので絶対ではない)
意外と人の目は動きに敏感なため、相手が迷彩服でもじーっと見ていると動くのが確認できる。
高倍率すぎて「双眼鏡の死角に敵がいて気づきませんでした」では困るのである。
その他、目立たない色や迷彩色で、ゴツゴツして頑丈だったり
完全防水や測距用の目盛り(ミルスケール)がついている場合が多い。
※一定の計算式で目標までの距離または大きさが割り出せる便利なもの。
良いものでは5~10万円以上と非常に高価なものもある。
武器ではないためAmazonなどでも購入できたり、陸上自衛隊の駐屯地(売店)でも売ってたりする。
(どこのメーカーの何が売ってるかは、若干バラつきがある)
高性能すぎるもの
すごいものは暗視装置や熱源映像装置(サーマルサイト)、レーザーを使用した距離計や
ミサイル・誘導爆弾用のレーザー誘導装置も付属した非常に大型の双眼鏡もある。
民間で発売されることはまずないが…
海において
海軍、海上自衛隊などにおいては水上の障害物や他船と激突しないため、航行中は双眼鏡を使用して水上の監視を行う。大型船舶においては急ブレーキや急旋回の利きが非常に悪いため、「近づいたら避ければ良い」訳ではないので注意。(→船舶)
スナイパーのお供に
スナイパーや相方の観測手(スポッター)が双眼鏡を構えている場合も多い。
スコープを覗いて射撃に集中するため、視野狭窄になってしまいがちな狙撃手と並んで
敵・目標・周囲を観察しながら、距離・風向き・着弾状況、その他の情報など報告・指示する。
ちなみに、狙撃役と観測手はたまに交代する。
創作・フィクションにおける双眼鏡
よく、アニメや漫画でキャラが双眼鏡を覗いているとき、そのキャラの視界は∞の形に描かれるが・・・
実は正しい状態で見ると視界は○になる。
∞の状態は接眼レンズが目の幅に合っていない状態なので、○になるように調整する必要がある。
ただし、表現手法という見方をすると「そのキャラが双眼鏡で覗いている」ということが読者や視聴者わかりやすいのも確かではあるので、作者をプギャーするのではなく漫画的表現のひとつと割り切るのがよいのかもしれない。
展開
スケベな男子や変態が着替えやお風呂を覗いたり、覗いていたら見えてしまうシーンも定番。結果的にサービスシーンを演出するための道具にもなっている。
また、登場人物の誰かが覗いており、
物語の進行に関する重要な事象を発見するのも定番。
尾行、探偵、刑事、船乗り、軍人、探検隊、ストーカーとも親和性が高い。
偵察や情報収集、着弾観測をしたり、異変を察知して覗いたり
ここぞというシーンで異変を発見するといったシーンも定番。
双眼鏡をじっくり覗いている間に忍び寄られ
気づいた時には時すでに遅しといったシーンもあるある。
ゲームなど
偵察兵やスナイパーといった兵科役割
捜索指示のアイコン・シンボルとして用いられる場合もある。
砲撃や航空支援が可能な場合もあったり、対戦車ミサイル等のレーザー誘導装置が付属していることも。
通常モードの他、暗視装置・熱源映像装置(サーマルサイト)に切り替えられる場合もある。
(→暗視装置)
情報収集に便利な反面、対戦などにおいては逆に相手側に発見されてしまい窮地に陥ることも。
双眼鏡を使わずとも、狙撃銃のスコープなどでそのまま偵察されてしまう場合もある。
裏技
目を近づけて覗く側の接眼レンズと
対象・風景に向ける側の対物レンズがあるのだが
双眼鏡を前後逆に(対物レンズから)覗くと
風景がすごく小さく見え、遠くどころか近くすら見えない。 …これは自体は裏技ではない。
実は前後逆に覗いた状態で極度に物品を手前に物を持ってくると
虫メガネのようにズームして見ることが可能。(ただし像自体は若干小さい)
不思議なものである。
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関連項目
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