泣きゲーとは、ギャルゲー、アダルトゲームなどの美少女ゲームにおいて、プレイすることで感動を呼び起こされ、結果、泣かされるゲームを指す言葉。そのカテゴリーであり、ジャンルに冠される言葉である。「感動系」とも呼び習わす。
概要
泣きゲーとは一言で言えば「泣かされるゲーム」であるが、何によってどのように泣かされるかは、実際にゲームをプレイしたプレイヤー自身にしか感じ取れないことである。
泣きゲーという言葉は、美少女ゲームに感動を売りにした作品が急増した1990年代終わりから2000年代初めに使われるようになった。
基本的にこの時代から発売されたADVに泣きゲーという定義がなれされることが多い。
ジャンルのできるまでの経緯としては、1994年に物語の中心に少女の悲劇性を配してユーザーを泣かせた『DESIRE背徳の螺旋』、続く『EVE burst error』がヒットし、95年にélfから発売された『同級生2』の桜子シナリオは、ヒロインの難病による悲哀がプレイヤーの涙を誘い、これらがアダルトゲーム界に大きなインパクトを与え、のちの泣きゲーのストーリーテリングの基本的骨子となった。
96年にはélfから泣きゲー的な要素を過分に持つ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』が発売され大ヒット作となり、後進のゲームに大きな影響を及ぼすことになる。
泣き要素の他にも、恋愛ADVにおいて主人公は複数のヒロインと結ばれる、マルチシナリオが用いられるものだが、現実にはこれは不自然なことでありプレイヤーの違和感をどうしても誘い、ゲーム世界への没入を阻害するが、その解消のため平行世界を導入して物語を描く作品がこれ以降増えることにもなった。
また96年にはleafから『雫』、『痕』(「トゥールエンド」の概念を生み出した)といった個性的なシナリオのビジュアルノベルが発売され、続く97年、第3弾となる『To Heart』が発売されたが、そのヒロイン、マルチのシナリオはその健気さからユーザーの涙を誘った。
『To Heart』はアダルトゲームがPC版からコンシューマ版に移植される際にも、ご褒美的にあってしかるべきと思われていた、ポルノグラフックを削除したPS版も大ヒットしたことで、ポルノ的要素を特に必要とせずとも泣きの要素と萌があれば美少女ゲームとしてヒットし、プレイヤーも十分満足感が得られるということを明確に製作者側に気づかせた。
この『To Heart』の反響を受けて制作されたTacticsの『ONE ~輝く季節へ~』 は、発売時こそあまり注目はされていなかったものの、じわじわと評価をあげていき、難解な内容であるにも関わらず高い人気を得た。
その後、ONEの制作メンバーの殆どが移籍して立ち上げた新ブランドKeyが発表した『Kanon』、D.O.の山田一(田中ロミオ)によるシナリオの『加奈~いもうと~』の成功により、泣きゲーは美少女ゲームの主流と言って良いほどの隆盛を見せ、以降90年代後半から2000年代は、泣きゲーの全盛時代となり、keyから『AIR』、『CLANNAD』などの泣きゲーの象徴的作品の発表が続いた。
美少女ゲームは、かつてアニメや漫画に強く影響を受ける側であったが、泣きゲーの隆盛により、逆にアニメや小説、漫画に影響を与える側となっていった。特に京都アニメーションは90年代の美少女ゲームのメタフィクション的表現を上手く昇華していることで知られている。
90年代から2000年代起こったストーリー優先の美少女ゲームの勃興は、日本のサブカルチャーに不可逆的で決定的な影響を与え、アニメやライトノベル、漫画が模倣するストーリーテリングの古典とすらなったのである。
最後に泣きゲーという呼称は、そう呼べば分類しやすい場合もあるという俗称であり、必ずしもジャンルの実体を正確に表すものでは無いことも留意してもらいたい。
関連動画
関連作品(発売日順)
- 1998年
- ONE 〜輝く季節へ〜 (Tactics、5月29日)
- エクソダスギルティー(11月26日)
- 久遠の絆(フォグ、12月3日)
- 1999年
- Kanon (Key、6月4日)
- 加奈〜いもうと〜 (D.O.、6月25日)
- 2000年
- 銀色 (ねこねこソフト、8月31日)
- AIR (Key、9月8日)
- 2001年
- 君が望む永遠 (âge、8月3日)
- 家族計画 (D.O.、11月2日)
- 2002年
- 腐り姫(Liar-soft、2月11日)
- うたわれるもの (Leaf、4月26日)
- それは舞い散る桜のように(BasiL、6月28日)
- ロケットの夏(TerraLunar、10月11日)
- 初恋(RUNE、10月25日)
- 神無ノ鳥(すたじおみりす、11月29日)
- 2003年
- SNOW (スタジオメビウス、1月31日)
- 沙耶の唄(ニトロプラス、12月26日)
- マブラヴ (âge、2月28日)
- 朱 -Aka-(ねこねこソフト、6月13日)
- CROSS†CHANNEL(FlyingShine、9月26日)
- こなたよりかなたまで (F&C、12月12日)
- 2004年
- シンフォニック=レイン(工画堂スタジオ、3月26日)
- CLANNAD (Key、4月28日)
- Silhouette (CDPA、10月1日)
- planetarian ~ちいさなほしのゆめ~ (Key、11月29日)
- 最終試験くじら (CIRCUS、12月23日)
- 2005年
- ゆのはな (PULLTOP、3月25日)
- パルフェ~ショコラ second blew~(戯画、3月25日)
- サナララ ~SA・NA・RA・RA~(ねこねこソフト、4月29日)
- 最果てのイマ(XUSE、8月12日)
- narcissu~ナルキッソス(ステージ☆なな、8月1日)
- 車輪の国、向日葵の少女 (あかべぇそふとつぅ、11月25日)
- 智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜 (Key、11月25日)
- 2006年
- マブラヴ オルタネイティヴ (âge、2月24日)
- もしも明日が晴れならば (ぱれっと、2月24日)
- この青空に約束を― (戯画、3月31日)
- D.C.II 〜ダ・カーポII〜 (CIRCUS、5月26日)
- Scarlett ~スカーレット~ (ねこねこソフト、5月26日)
- 遥かに仰ぎ、麗しの (PULLTOP、11月24日)
- 2007年
- いつか、届く、あの空に。 (Lump of Sugar、1月26日)
- カタハネ (Tarte、1月26日)
- レコンキスタ (コットンソフト、6月22日)
- リトルバスターズ! (Key、7月27日)
- ピアノの森の満開の下 (ぱじゃまソフト、8月24日)
- そして明日の世界より―― (etude、11月22日)
- 2008年
- G線上の魔王 (あかべぇそふとつぅ、5月29日)
- ef - the latter tale. (minori、5月30日)
- 2009年
- 俺たちに翼はない (Navel、1月30日)
- タペストリー -you will meet yourself-(light、2月27日)
- きっと、澄みわたる朝色よりも、 (propeller、7月24日)
- eden*(minori、9月18日)
- Steins;Gate.(5pb.、10月15日)
- 2010年
- 素晴らしき日々〜不連続存在〜(ケロQ、3月26日)
- 君の名残は静かに揺れて (UNiSONSHIFT:Blossom、5月28日)
- クドわふたー (Key、6月25日)
- L@ve once (Maid meets Cat、9月30日)
- 失われた未来を求めて (TRUMPLE、11月26日)
- 2011年
- グリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-(フロントウイング、2月25日)
- 穢翼のユースティア (AUGUST、4月28日)
- Rewrite(key 6月24日)
- いろとりどりのセカイ (FAVORITE、7月29日)
- WHITE ALBUM2 -closing chapter- (Leaf、12月22日)
- 2012年
- はつゆきさくら (SAGAPLANETS、2月24日)
- この大空に、翼をひろげて(PULLTOP、5月25日)
- atled -everlasting song-(FLAT、7月27日)
- いろとりどりのヒカリ (FAVORITE、8月31日)
- キミへ贈る、ソラの花 (Cabbit、12月21日)
- 2012年
- 向日葵の教会と長い夏休み (枕、3月29日)
- 2014年
- 星織ユメミライ (tone work's、7月25日)
- 2015年
- すみれ(ねこねこソフト、5月29日)
- Angel Beats! -1st beat-(key、6月26日)
- 紅い瞳に映るセカイ (FAVORITE、7月24日)
- サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-(枕、10月23日)
- 見上げてごらん、夜空の星を(PULLTOP、12月18日)
- 2016年
- 罪ノ光ランデヴー (minori、2月26日)
- ISLAND(フロントウイング、4月26日)
- EVE burst error R(El Dia、4月28日)
- アマツツミ(パープルソフトウェア、7月29日)
- 生命のスペア(あかべぇそふとすりぃ、8月26日)
- うたわれるもの 二人の白皇(AQUAPLUS、9月21日)
- Harmonia-ハルモニア-(key、9月23日)
- 2017年
- この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(5pb.、3月16日)
- 水葬銀貨のイストリア (ウグイスカグラ、3月24日)
- DESIRE remaster ver.(El Dia、4月27日)
- 親愛なる孤独と苦悩へ(楽想目、5月6日)
- 金色ラブリッチェ(SAGAPLANETS、12月22日)
- 2018年
- Summer Pockets(Key、8月29日)
- 2019年
- さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation- (FAVORITE、1月31日)
- EVE rebirth terror (El Dia、4月25日)
- 2020年
- ATRI ―My Dear Moments―(ANIPLEX.EXE、6月19日)
- まいてつ Last Run!!(Lose、10月30日)
関連コミュニティ
関連項目
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