史書である「三国志」にも伝がある。
概要
生まれは益州。巴郡臨江の人。長らく侠客という名の江賊生活を続けていたが、劉璋の派遣した将軍に討伐されてしまう。そこで任侠の道から足を洗い、書物を読んで勉学に励み、豪胆さと兵法に通じた将に成長する。黄祖に仕えて凌操を討ち取る等の戦功をあげる。しかし黄祖からは冷遇され、蘇飛の勧めで孫権に降る。
孫権に、「天下二分の計」を進言した戦略眼を認められて呉の将となってからは水を得た魚の様に活躍し、孫権が黄祖を打ち破るのに尽力。その際捕らえられた恩人の蘇飛の助命を涙ながらに訴えでる侠気あふれる人物であり、その後も曹操との戦いで大いに功績を挙げた。
曹操が濡須へ侵攻した際には、百人ほどの選抜隊を組み、尻込みする兵士に向かって「孫呉の将軍である俺ですら死を覚悟しているのに、お前らがそうでないとは何事か」と一喝し、隊の士気は大いに向上した。この号令により、1人の死者も出さずに夜襲を成功させ、曹操陣営を引き下がらせた。この時孫権は、「孟徳(曹操)には張遼がいて、私には甘寧がいる。丁度釣合が取れているな」と甘寧の武勇と豪胆さを賞賛した。
正史では没年が記されていないが、孫皎伝や潘璋伝、丁奉伝の記述から、217年までは生存しているが219年の関羽討伐戦の時点では部曲を手放しているとみられる。この時点で死去しているか、あるいは重病の床にあって戦に出られる状態ではなかったのだろう。
演義では、父を殺した事から怨まれていた凌統の危地を救い『生死の交わり』を結んだり、夷陵の戦いにおいて病床の身を押して出陣し、沙摩柯の矢を受けて戦死したことが加えられている。
年齢を重ね、呉の重臣となっても粗暴な振る舞いと激昂しやすい性格は変わらなかった。些細な事で部下や平民を処刑したり、主君孫権の従弟・孫皎と酒宴で大喧嘩をする等、周囲とトラブルを繰り返し上官の呂蒙に何度も諭されている。そんな彼が呂蒙を激怒させた事件がある。
料理人殺害事件
ある時、甘寧の料理人が小さな失敗をして彼の怒りを買ってしまう。このままでは殺されると思った料理人は上官である呂蒙の元へ逃げ込んだ。呂蒙は、「このまま料理人を返せば殺してしまうだろう」と考え、甘寧に「決して殺さず赦すように。」ときつく言い聞かせた。甘寧もこれに従い、「決して殺さない。」と誓ったため料理人を引き渡した。
ところが、甘寧はあろうことか料理人を木に縛り付けたうえで射殺してしまう。呂蒙はこれに激怒し、兵を挙げて甘寧を討伐しようとした。しかし、呂蒙の母が、「今、天下が大きく動こうとしています。内輪もめをしている場合ではないでしょう。」と諭したため呂蒙は怒りを鎮め、甘寧に和解を持ちかけた。甘寧も涙を流してこれに応じたという。
荒々しく、度々殺人を行うなど問題は多かったが、非常に快活かつ爽やかな性格で、上記「天下二分の計」を立案するなど優れた戦略眼を持っていた。また、金銭欲は無く、私財を投じて士人を迎え、兵士を鼓舞するなどしたため彼の元には優秀な部下や勇敢な兵士が大いに集まったという。
※甘寧の詳細は、Wikipediaの該当記事参照の事。
「甘寧一番乗り !」
甘寧をあらわすキーワードとしては、「鈴の音」等いくつかある中で最も有名なものが、横山光輝三国志での両手にもった鉄球を振り回しながら梯子を昇って城壁に駆け上がった際のシーン。
「甘寧一番乗り!」 |
ゲームにおける甘寧
ニコニコ歴史戦略ゲー
ニコニコ動画においても、甘寧が登場する際等には例え一番でなくても「甘寧一番乗り!」とコメントを投稿したり、「甘寧○○一番乗り!」と何かに対して一番乗りした旨のコメントの投稿が確認できる。
コーエー三國志
コーエー作の歴史SLG「三國志」シリーズには全作に登場している知名度の高い武将の一人であり、プレイ動画や架空戦記でよく見かける武将の一人である。能力は下記の補足を参照。
三國無双
三國無双シリーズでも鈴を鳴らしながら戦う人気武将である。
呂蒙のことを「おっさん」と呼ぶ。
無双2では無双乱舞が全武将の中でも屈指の威力があり、無双ゲージが10秒間MAXになる玉璽を取ろうものなら「血がたぎってきたぜ!→オゥッ!→オゥッ!→オゥッ!…」と叫びながら、戦場を端から端まで駆け抜けることもできる。この「血がたぎってきたぜ!」は、張遼の「山田」と同じように「茅ヶ崎行って来たぜ!」とネタにされていた。
プレイヤー操作時には強力な無双乱舞だが、敵に回ると画面に甘寧の姿が見えたかと思ったら一撃で轢き殺されるのもザラで、ひどい時には画面外から駆け抜けてきて瞬殺されるという恐怖の対象だった。
無双6では「鎖鎌」、無双7では「鎖分銅」が得意武器となっている。
無双乱舞(6以降)
- 爆炎双輪:「逃がさねえぜ!」
目の前の敵を打ち上げ、小ジャンプからの一撃。
無双7では縛鎖炎断に差し替えられたため、無双6のみでの無双乱舞である。 - 爆炎大車輪:「我慢できねぇ!オラオラオラオラッ!」
過去シリーズでの無双乱舞を思い起こさせるかのような突進タイプの無双乱舞。
無双6では無双乱舞2(R1+○)だったが、無双7では無双乱舞1に変更されている。 - 縛鎖炎断:「ぶちのめしてやるぜ!」
7での無双乱舞2。敵を捕らえ、滅多打ちにする投げ技タイプ。 - 地顛翼
7で追加された空中無双乱舞。鎖分銅を振り回し周囲の敵を吹き飛ばす、
三国志大戦
大戦2では横山LE甘寧が原作に忠実なセリフを叫ぶ。大戦3ではSR甘寧(河賊の粘り)、UC甘寧(孫呉の武)、R甘寧(弓技の極み)がある。R甘寧の計略時におけるセリフが「オケーイ」と聞こえるため、そのままオケーイと書いてもこのゲーム内では通じる。
補足
能力一覧 | 統率 | 武力 | 知力 | 政治 | 魅力 | 陸指 | 水指 | 身体 | 運勢 |
三國志 | - | 94 | 52 | - | 69 | - | - | 87 | 85 |
三國志II | - | 92 | 51 | - | 52 | - | - | - | - |
三國志III | - | 91 | 54 | 42 | 58 | 84 | 72 | - | - |
三國志IV | 86 | 92 | 60 | 44 | 65 | - | - | - | - |
三國志V | - | 96 | 60 | 34 | 71 | - | - | - | - |
三國志VI | 78 | 95 | 71 | 36 | 70 | - | - | - | - |
三國志VII | - | 92 | 68 | 54 | 56 | - | - | - | - |
三國志VIII | - | 92 | 74 | 44 | 58 | - | - | - | - |
三國志IX | 87 | 94 | 78 | 13 | - | - | - | - | - |
三國志X | 88 | 93 | 75 | 20 | 55 | - | - | - | - |
三國志11 | 86 | 94 | 76 | 18 | 58 | - | - | - | - |
シリーズ通して武力(VIIは正確には「戦闘」)は孫呉陣営武将の中でもトップクラス。
また統率も高水準。濡須の夜襲で兵をよくまとめたためであろう。
知力は天下二分進言の戦略眼を評価されてか初期作品以外はそこそこ高い。が、無双シリーズのイメージを刷り込まれたユーザーからはあまり賢く思われていないようである。
政治はあまり高くない。というかIX以降はやたらと低い。
魅力は並。低すぎるということはない。蘇飛の助命嘆願など義に厚い面と、粗暴が過ぎる面とを差し引きした結果か。
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