開幕投手とは、プロ野球において開幕戦に先発する投手のこと。本項ではNPB(日本プロ野球)のそれについて述べる。
概要
1年間のレギュラーシーズンの始まりにあたる開幕戦においては、伝統的に各チームともチーム内のエース格の投手を先発させることが通例となっており、先発投手にとっては開幕投手を任されるということは名誉あることと見なされる。そのため、新人選手や新外国人が起用されることは稀で、特にルーキー開幕投手は1960年以降は僅か4人しかいない。
実績のある、誰もが認めるエースを立てるのが基本だが、エースが怪我で不在だったり、あるいは絶対的エースがいないというチーム事情があったりする場合には、首脳陣が特に期待をかけている若手投手を抜擢したり、ジンクスを重視してみたり、チーム内の競争を活性化させるために意外な選手を開幕投手に起用してみせたりといった場合もある。
その年のチームが誰を投手陣の中核と見なしているかを内外に示す意味合いもあるため、監督が春のキャンプ前から開幕投手を明言する場合もあれば、オープン戦の後半になっても公表しない場合もあり、キャンプからオープン戦にかけては「誰が開幕投手を務めるのか」はスポーツ紙やファンの大きな関心を集める話題のひとつとなる。
もちろん開幕戦もあくまで他の試合と変わらないシーズンの1試合に過ぎないという意見もあるが、先発ローテーションを同じ間隔で回している場合、開幕投手はその後も各球団の開幕投手と投げ合うことになることになる。相手がエース格を投げさせてくるならこっちもエース格で対抗するという考え方や、あるいは向こうがエースを出してくる試合は捨てて味方のエースを別のカードにぶつけて確実に勝ちを拾いにいくという考え方もあり、開幕投手の起用は単なる1試合の先発ではなく、シーズンを通した戦い方にも小さくない影響を与えるものと見なすこともできる。実際、エースがムエンゴになることが結構多いのは、開幕投手を務めたためにその後も相手のエースと投げ合うことが多い、という理由も見逃せない。
なお、日本シリーズなどポストシーズンの短期決戦でも第1戦に登板する先発投手を開幕投手と呼ぶことがある。
各球団の開幕投手(2005年以降)
セ・リーグ
パ・リーグ
開幕投手あれこれ
- 最多回数は金田正一(国鉄→巨人)と鈴木啓示(近鉄)の14回(金田は国鉄で10回、巨人で4回)。最多連続回数は山田久志(阪急)の12年連続(1975年~1986年)。外国人選手ではランディ・メッセンジャー(阪神)の6回と5年連続がともに最多。
- ルーキーで開幕投手に抜擢されたのは、前述の通り1960年以降では1962年の城之内邦雄(巨人)、1984年の高野光(ヤクルト)、2013年の則本昂大(楽天)、2022年の北山亘基(日本ハム)の4人のみ。50年代まではそれなりにあったが、全部合わせても16人しかいない。
- 2年目以降の選手がプロ初登板で開幕投手を務めたのは、2023年の山下舜平大(オリックス)が2リーグ制以降では初。
- 新外国人選手が開幕投手を務めたのは、1987年のマット・キーオ(阪神)、2000年のボブ・ウォルコット(近鉄)、2018年のブライアン・ロドリゲス(日本ハム)の3例のみ。
- 2005年に導入された育成選手出身の開幕投手は、2018年の千賀滉大(ソフトバンク)が初。
- 3球団で開幕投手を務めたのは、2リーグ制以降では渡辺秀武(1971年巨人、1974年日本ハム、1977年大洋)と、涌井秀章(2008-2012年西武、2015年-2018年ロッテ、2021年楽天)の2人のみ。
- 1996年、千葉ロッテマリーンズは園川一美を開幕投手に起用。本来登板予定だった伊良部秀輝が故障で回避したためだが、他にエリック・ヒルマン、小宮山悟がいる中で園川が起用されたことについて、対戦相手の福岡ダイエーホークスの王貞治監督は「開幕投手には格というものがあるだろう」とコメントした。なお、この開幕戦はロッテが勝っている(園川には勝ちがつかなかったが)。
- 西村龍次はヤクルト時代の1992年・1993年、ダイエー時代の1999年と開幕投手を務めた年にチームが優勝するというジンクスを持ち、2000年は一軍登板が開幕戦先発の1試合だけでチームが優勝した。2001年も開幕投手を務めたがこの年は優勝を逃し、西村もこの年限りで引退した。
- 2004年の中日ドラゴンズは、2001年にFA移籍してきてから故障で3年間一軍登板がなかった川崎憲次郎を開幕投手に起用。この年から監督に就任した落合博満と投手コーチの森繁和によると、全選手を横一線で競争させる方針と、情報漏洩が起こらないかどうかの確認のためだったとのこと。この年、中日は優勝している。
- 横浜ベイスターズで長年エースを務めた三浦大輔は開幕戦で勝てないことで知られ、7度開幕投手を務めて0勝7敗、全て敗戦投手になっている(NPB記録)。2007年には高橋由伸に開幕戦先頭打者初球ホームランを食らっている。
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