iCloud(アイクラウド)とは、Appleが提供するクラウドサービスである。
概要
Cloudは、あなたの写真、ビデオ、書類、音楽、アプリケーションなどを安全に保存し、あなたのすべてのデバイス上で最新の状態に保ちます。
だから好きなものに好きな場所で、いつでもアクセスできます。Apple公式サイトより抜粋
2011年10月12日よりサービス開始。これまではiTunesが担っていた「デバイス間のデータ同期」「デバイスのバックアップ」という役割を、iTunesを使わずにクラウド上で再現したものである。
音楽や写真、iWorkで作成したドキュメント、iOSデバイスのバックアップやブックマークといった数々のデータがクラウド上へ保管され、そこから各デバイスへと自動的に同期される。
なお、iCloudの利用にはApple IDの作成、および作成したApple IDをiCloud対象デバイスに登録しておく必要がある。
対象デバイス
2016年11月時点で、iCLoudに対応しているデバイスは下記の通り。
- iOSデバイス:iPhone / iPad / iPad mini / iPad Pro / iPod touch
- macOSデバイス(Macintosh):iMac / Mac mini / Mac Pro / Macbook / Macbook Air / Macbook Pro
- watchOSデバイス:Apple Watch
- tvOSデバイス:Apple TV
- Windows PC
- Androidデバイス
- Webブラウザ
サービス一覧
サービスの内容によってiCloudのストレージを消費するもの、消費しないものとに分類されている。ストレージは無料で5GBが用意されており、必要に応じて有料で容量を拡張することが可能。
サービス | 対応デバイス | ストレージの消費 | |||
---|---|---|---|---|---|
iOS | OS X | Win | ブラウザ | ||
写真 | ○ | ○ | ○ | ○ | 消費する |
メール | ○ | ○ | ○ | ○ | |
カレンダー | ○ | ○ | ○ | ○ | |
連絡先 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
リマインダー | ○ | ○ | ○ | ○ | |
メモ | ○ | ○ | × | ○ | |
ドキュメント(iWork) | ○ | ○ | × | ○ | |
その他のファイル(iCloud Drive) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ブラウザのブックマーク(Safari / IE) | ○ | ○ | ○ | × | |
Webサイトのパスワード(Safari) | ○ | ○ | × | × | |
デバイスのバックアップ | ○ | ○ | × | × | |
電子書籍(iBooks) | ○ | ○ | × | × | 消費しない |
アプリ(App Store / Mac App Store) | ○ | ○ | × | × | |
音楽(iTunes) | ○ | ○ | ○ | × |
容量 | 料金 |
---|---|
5GB | 無料 |
20GB | 月額100円 |
200GB | 月額400円 |
500GB | 月額1200円 |
1TB | 月額2400円 |
内容 | 料金 |
---|---|
iTunes Match | 年額3980円 |
写真
サービス名称は「iCloudフォトライブラリ」(旧:フォトストリーム)。撮影した写真や保存した画像がiCloudへアップロードされ、同じApple IDで紐付けられたデバイスへと自動的にダウンロードされる。
- iOSデバイスで写真を撮影する(または、safariなどのアプリで画像を保存する)。
- 当該のiOSデバイスがWi-Fiに接続した際、撮影した写真がiCloudへ自動的にアップロードされる。
- 同じApple IDで紐付けられたデバイスがWi-Fiに接続した際、アップロードされた写真が自動的にダウンロードされる。
フォトストリーム上に保存される写真の上限は1000枚。保存期間は30日。上限を超えた場合は古いものから写真が自動的に削除される。そのため、残しておきたいものは手動で各デバイスへ保存させる必要がある。2014年のiOSアップデートにより、フォトストリームは「iCloudフォトライブラリ」へと改められた。写真はすべてiCloudのストレージへ保存される仕組み(従来は写真はiCloudのストレージとは別枠で保管されていた)となり、保存期間は無制限、保存量の上限はストレージに依存するようになっている。
なお、iOS 6から導入された新機能として「共有」(旧:共有フォトストリーム)が存在する。他ユーザーと共有する専用のフォトライブラリを作成することができ、お互いがそこへ写真をアップロード・閲覧を行える。
ドキュメント
サービス名称は「Documents in the Cloud」。iWorkで作成・編集されたドキュメントがiCloudへアップロードされ、同じApple IDで紐付けられたデバイスへと自動的にダウンロード・同期される。
- 「Documents in the Cloud」対応アプリケーション(iWorkなど)でドキュメントを作成・編集する。
- 作成・編集したドキュメントはデフォルトでiCloud上へとアップロードされる。
- 同じApple IDで紐付けられたiOSデバイスがWi-Fiに接続した際、iCloud上に保存されたドキュメントが自動的にダウンロードされ同期する。
2012年11月時点で、Windowsには未対応。iCloudのウェブサイト経由でドキュメントにアクセスする必要がある。
音楽
サービス名称は「iTunes in the Cloud」。iTunes Storeで購入した楽曲が、同じApple IDで紐付けられたほかのデバイスのライブラリにも自動的に登録される。
- iCloud対象デバイスのiTunes Storeで楽曲を購入する。
- 購入した楽曲は、iCloud(iTunes in the Cloud)上に「購入済み」リストとして情報が記録される。
- 同じApple IDで紐付けられたほかのiCloud対象デバイスがネットワークへ接続した際、「購入済み」リストに記録された楽曲が自動的にライブラリへと登録される。
ライブラリに自動登録された楽曲は、デバイスへダウンロードせずストリーミング再生することが可能。
楽曲の再生方法については、ダウンロードしての再生、ストリーミング再生の違いをユーザーに意識させない作りとなっている。たとえば、デバイス上にダウンロードされていればそのまま再生が行われ、ダウンロードされていない場合であれば、再生開始時に1~2秒程度の読み込み時間があったのち、ダウンロード時とまったく同じ形で再生が行われる。
また、ダウンロード済みの楽曲をデバイス上から削除した場合、以降、当該楽曲を再生する場合はストリーミング再生となる(再ダウンロードすることも可能)。
iTunes Match
「iTunes in the Cloud」の有料オプションサービスであり、ほかで言うところの音楽ロッカーサービスに相当する。
前項の「iTunes in the Cloud」はiTunes Storeで購入した楽曲のみが対象であり、CDなどのメディアからiTunesへリッピングしたものや、他ストアなどからダウンロードしたもの、そして同人盤のようなそもそも一般商用でないものについては適用されない。
しかし、iTunes Matchを利用すれば、そうした楽曲もiTunes in the Cloudの対象とすることができる。
- iTunesライブラリ内の「iTunes Storeで購入されたものではない楽曲」を走査し、その楽曲がiTunes Storeで取り扱いのあるものかをチェックする。
- iTunes Storeで取り扱いのあるものだった場合、当該の楽曲を自動的に置き換える。
- iTunes Storeで取り扱いのないものだった場合、iCloud(iTunes in the Cloud)上へ当該の楽曲を自動的にアップロードする。
- 以降は「iTunes in the Cloud」項と同様の流れで、当該の楽曲がほかのiCloud対象デバイスへのライブラリに登録される。
iTunes Matchで置き換えられた楽曲・アップロードされた楽曲については、デバイスへのダウンロードおよびストリーミング再生が行われるごとにAppleから権利者へ向けてロイヤリティが支払われる。これにより、中古CDや違法ダウンロードなどの「権利者にお金が支払われない楽曲」についても権利者へお金が還元される仕組みが出来上がっている。[1][2]
アプリケーション、本、バックアップ
アプリケーション、本
iOSのApp Store / iBooks Store、OS X / WindowsのiTunes Storeで購入したアプリ・本が、同じApple IDで紐付けられたiOS / OS X / Windowsへと自動的に転送される。
- iOSのApp Store / iBooks Store、OS X / WindowsのiTunes Storeでアプリ・本を購入する。
- 購入したアプリ・本は、iCloud上に「購入済み」リストとして情報が記録される。
- 同じApple IDで紐付けられたiOS / OS X / WindowsデバイスがWi-Fiに接続した際、「購入済み」リストに記録されたアプリ・本が自動的にダウンロードされる。
バックアップ
iOSデバイス上のアプリデータ、本のしおり、メッセージやデバイス設定などは自動的にiCloudへとバックアップされる。
関連動画
全般
iTunes Match
外部リンク
関連項目
脚注
- *「Apple’s iTunes Match (aka iMatch): The First Royalties Are In」
- *「iTunes Matchが生み出す「Magic Money」とは?」
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