ひたちとは、常磐線の特急列車である。
この項では派生として現在運行されているときわ号(以前運行していた急行列車とは別)についても述べる。
東京の品川・上野から常磐線沿線の各都市を結び、中・長距離需要を担う列車。常磐線は仙台から東北本線にも接続しており、かつては一部に仙台発着もあったが東日本大震災などにより、不通となっていたため長らく存在しなかった。2020年3月のダイヤ改正で常磐線が全線で運転再開し、仙台発着の列車が復活している。
北方の発着駅は列車によってまちまちであるが、おおむね茨城県内から上野への便を図った設定となっている。
列車名の由来は、「ひたち」は常磐線の走行区間である茨城県の旧国名「常陸」から、「ときわ」は「常陸」および福島県の旧国名「磐城」を指す「常磐(ときわ)」から。日立製作所のお膝元・日立市ではないらしいが、日立駅構内の某壁にはひらがな三つの「ひたち」がトレインマークのように描かれている。狙っているのか否か・・・
現在、停車駅を絞り遠くいわきや仙台まで足を伸ばす速達・長距離の「ひたち」と、中規模駅をこまめに拾い勝田や高萩までで折り返す地域密着・中距離の「ときわ」の2種が名を区別され運行している。2015年3月13日までは「スーパーひたち」「フレッシュひたち」として運行されていた。
全車が指定席となっており、指定席料金も他の特急とは異なる。「歴史」節も参照。
ひたち号とときわ号は、上野着発時刻が30分ごとの交互に設定されている(つまりそれぞれは1時間間隔)。
かつて651系やE653系で運行されていた頃は、時間帯や走行区間ごとの乗客の多寡に応じて増解結が行われていたが、現在のE657系は10両編成固定となっている。
ひたち(2015年3月14日~)E657系:10両 |
ときわ(2015年3月14日~)E657系:10両 |
2013年3月16日のダイヤ改正以降はE657系のみで運転されているが、それ以前にはスーパーひたち号には651系とE657系が、フレッシュひたち号にはE653系とE657系が使用されていた。なお、一部のフレッシュひたち号は651系でも運転されていた。
両列車の性格の違いから、651系はグリーン車を持ちE653系は加速性能が高いといった使い分けがされている。しかし停車駅が多く乗降が激しいフレッシュひたち号のE653系は扉が少なく、この点は仕様のミスと言わざるを得ない。
なお2012年以降651系の運用離脱・他線区への転用及びE653系をいわき以北での限定運用とし、スーパーひたちのいわき~仙台間を分割して新たに特急列車を設定される予定であったが、震災と原発事故の影響により常磐線全線復旧のめどが立たなくなったことから計画を変更。E653系については新潟地区へ転属し特急「いなほ」や「しらゆき」に転用されている。また651系については「あかぎ」、「スワローあかぎ」などに転用された。なお、常磐線全線復旧の際、特急列車も運行されることになったが、いわき~仙台間はE657系を増備し、いわき以南から直通運転を行う形となった。
651系は、E657系が改造工事(何の改造工事なのかは後述)に入っていた2013年3月~2015年3月までの、期間限定で「フレッシュひたち」1往復の運用に就いていた。
ひたちの名を冠する列車が常磐線に登場したのは1963年、上野~平の準急電車から。当時は常磐線経由青森行の特急はつかり号が運行されていたため花形はそちらだったのかも知れない。その後準急列車は急行列車に昇格したものの、急行「ときわ」に吸収されいったん消滅した。
1969年にひたち号は季節列車ながら復活した。しかもキハ80系を使用した特急として。臨時ながら運転日数はほぼ毎日確保されており、すぐに自由席車の設定や定期列車への昇格など地位を確立していく。
1972年、485系特急型電車がひたち号の任に就いた。以後長らくに渡って同列車を支えていく運命共同体となる。同時に増発や運転区間の延長など飛躍のダイヤ改正であった。
基本的にグリーン車と食堂車を1両ずつ連結した8M4Tの12両編成で運転されていたが、一部の列車はクロ481を連結し、MM'ユニット1組とサロ481を1両減車した6M3Tの9両編成で運転していた。これは共通運用していた特急「あいづ」が、磐越西線のホーム有効長の関係で最大9両編成に制限されていたためである。当時の特急列車の常識から、グリーン車や食堂車を減車することは考えられなかったための苦肉の策であった。
東北新幹線の開業は東北本線のバイパスであった常磐線にも影響を与え、多くの東北方面列車が廃止された。しかし常磐線内の需要に応えるひたち号には追い風、減った優等列車を補うかたちでさらに勢いを付け当時国鉄最多の運行本数となった。同時にアコモデーション改善として、普通車の座席を回転クロスシートからフリーストップ式のリクライニングシートに交換し、サービス水準の底上げを行った。
国鉄解体後、常磐自動車道を走る高速バスへの対抗策として、JR東日本は同社のフラッグシップとして651系電車を開発、130km/h運転の速達・スーパーひたち号を新たに設定しこれに投入する。同車の増備完了を以てスーパーひたち号とひたち号は本数がほぼ拮抗する。ひたち号の大半は長距離運用とグリーン車を失い、編成も短くなり、だんだんと停車駅も増えていく。このとき短編成化による先頭車不足を補うため、運用を失ったサロ481をクハ481-1100番代に改造する工事が行われた。
その後、1993年に共通運用していたあいづが磐越西線のみを走るビバあいづ号となった。車両も専用編成が用意されたため、共通運用を解除することになった。その結果ひたち用編成からグリーン車の連結が完全廃止され、完全にモノクラス編成となった。
1997年に485系の老朽化に伴いE653系の投入が発表、列車名も従来のひたち号を置き換えフレッシュひたち号として運行を開始した。その後485系の常磐線絶滅を以てひたち号の運行も終了。スーパーひたち・フレッシュひたちの二本体制が確立された。
2012年3月のダイヤ改正により新型車両E657系が投入され、それから1年間は651系、E653系、E657系3形式体制となったが2013年3月16日のダイヤ改正以降はE657系1形式に統一された。が、先述の通り、2013年10月から651系が再び定期運用に就いていた(2015年3月まで)。
2015年3月14日のダイヤ改正により、「スーパーひたち」「フレッシュひたち」は、速達タイプとなる「ひたち」と停車タイプとなる「ときわ」に再編された。また、上野東京ラインが開業することから、データイムの全列車と夕夜間時間帯の一部列車が品川駅まで乗り入れる(東京駅も停車)。
同時に普通車において着席サービスを開始し、普通車は全車指定席扱いとなる。中身は「スワローあかぎ」で実施している「スワローサービス」と似たようなサービスとなる(ただし、「スワローサービス」も「ひたち・ときわ」と同じシステムに変更される)。これに加え、普通列車のグリーン車で実施している事前料金・車内料金も導入する(差額は260円)。
普通車に乗車できるのは従来の指定席特急券と座席を指定しない「座席未指定券」(料金は同額)、インターネットで座席指定ができる「えきねっとチケットレスサービス」となる(100円割引。6月末まではキャンペーンとして300円割引される)。座席未指定券は後で座席指定を受けることができるほか、車内に空席があれば着席することができる。実はE657系の改造工事は、この着席サービスに関するものであり、空席状況をひと目で確認することができるランプが座席上部に取り付けられる。赤色は空席、黄色は次の停車駅から指定席発売済みの席(次の停車駅までは空席)、緑色は指定席発売済みの席となる。
なお、この着席サービス導入により、料金回数券、定期券用月間料金券は廃止となる(代替として「定期券用ウィークリー料金券」を発売する)。また、水戸駅・勝田駅での乗り継ぎ特例も廃止となる。
詳細についてはプレスリリース(①、②
)を参照のこと。
2020年3月14日のダイヤ改正により、「ひたち」の3往復が仙台駅まで直通運転を開始(品川駅発着。朝の下り1本のみ上野駅発だったが、2022年3月に品川駅発に変更された)。ダイヤはかつての仙台駅発着のスーパーひたちをほぼ踏襲する形となったが、いわき駅~仙台駅間の区間列車や原ノ町駅発着の列車は運行されず、また停車駅が変更になり所要時間が延びているなど、多少の変更がある。一方でいわき駅発着の「ときわ」は廃止され、北限は高萩駅となった。
東日本大震災から10年となる2021年2月13日深夜に福島県沖で地震が発生。東北新幹線は不通となった一方で常磐線は翌14日に再開。15日から東北新幹線の迂回ルートとして「ひたち」を5往復(初日は4.5往復)運行することになった(増発分はいわき〜仙台間を原ノ町・相馬・岩沼に停車する普通車全車自由席の臨時快速として運行)。仙台まで10両固定編成で運行していることもあり、迂回輸送に大きく貢献した。
なお、初日の15日は強風の影響で運休が多発する中で、延長したひたち22号は代替便も無いことから約4時間遅れで発車。徐行と停止を繰り返しそのまま「ムーンライトひたち」と化して上野駅には翌日未明の2時台に到着。JRは途中で何回か食料・水・マスクを配布し、到着したひたち22号を4時台まで開放。感謝や評価の声が上がった。
翌2022年にも3月16日深夜に福島県沖で地震が発生し、またもや東北新幹線は不通に。常磐線は一部区間でホームや橋脚の一部の崩落があったため運転見合わせとなったが、24日以降に運転再開予定。「ひたち」も増発することになっている。
掲示板
19ななしのよっしん
2017/02/22(水) 00:58:21 ID: XmSuaqnRrj
20削除しました
削除しました ID: +BRSxpaL6l
削除しました
21ななしのよっしん
2021/07/30(金) 15:33:19 ID: WzT3KcSwOP
>>7
関西在住で乗ったことはないが、旧スーパーひたち・フレッシュひたち時代はバカみたいなネタが多い迷列車として好きだった。
特に停車駅パターンはフレッシュは全便通過のくせにスーパーが1便だけ停まる松戸を筆頭に1、2便しか停まらない駅が多すぎ、佐貫から石岡の東横線急行なみの停車駅、それと相まって夕方以降の複雑すぎる停車駅パターン等々…。
停車駅が多い勝田行きの短距離列車がたくさん運転されているのも面白かった。グリーン車付き15両が走る区間で露骨な特急誘導。
編成も基本編成を2つ繋いだ14両、カラフルで良かった。あとスーパーとフレッシュでわざわざ新造で車両を分けるパターンも他にあまりなくて良かった。
上野東京ライン開業時に「じゃあ今までのは何の意味があったんや」というくらい整理されてしまった。今のほうが使いやすいとは思うが、愛すべき迷列車であり名列車だったと思う。
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最終更新:2023/03/31(金) 03:00
最終更新:2023/03/31(金) 03:00
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