インサイドインフォメーション(Inside Information)は、1991年生まれのアメリカの競走馬・繁殖牝馬。
ブリーダーズカップ・ディスタフを筆頭にアメリカの牝馬戦線で大いに暴れ回った、1990年代のアメリカ競馬を代表する名牝。
父Private Account、母Pure Profit、母父Key to the Mintという血統。
父プライヴェートアカウントはGI2勝を挙げ、種牡馬としては3世代目のPersonal Ensignがブリーダーズカップ・ディスタフ優勝を含めて生涯13戦無敗という成績を残して引退したことで大きな注目を浴びていた馬である。同父の同期にはマイル戦で活躍したMiesqueの娘でジャック・ル・マロワ賞など仏GI3勝を挙げたEast of the Moonがいる。
母ピュアプロフィットは5戦4勝3着1回だが重賞どころかステークス競走にも出走していない馬である。ただし、Mr. Prospectorを父に持つ本馬の1歳上の半姉Educated RiskがGI2勝を挙げており、繁殖牝馬としては優秀な成績を残している。
母父キートゥザミントは1972年にトラヴァーズSやウッドワードSなどを勝ってエクリプス賞最優秀3歳牡馬となった活躍馬で、母父としての活躍馬には本馬のほかキングジョージ連覇のSwainがいる。
本馬は母も生産所有した大オーナーブリーダーのオグデン・ミルズ・フィップスの生産所有馬として、クロード・R.マゴーヒー3世調教師に預けられた。17戦のうち、ホセ・サントス騎手が騎乗した4歳時のシュヴィーHを除く16戦でマイク・スミス騎手が騎乗した。
2歳時(1993年)の9月15日、ベルモントパーク競馬場のダート6ハロンのメイドン(未勝利戦)に出走し、3角入り口で先頭に立つとそのまま7馬身半差をつけて圧勝しデビュー勝ちを挙げた。
なお、これから約1時間後の別のメイドンにおいては、同馬主で厩舎も同じだったHeavenly Prizeが9馬身差で圧勝し、こちらもデビュー勝ちしているが、陣営の意向で両馬は使い分けられたため、「ただ一度」を除いて2頭の対戦は避けられた。
続いて出走した1マイルの一般競走では単勝1.8倍の1番人気に推されたが、ゲートにぶつかって出遅れたことから巻き返しに脚を使い、3着に敗れた。2歳時はこれを最後に休養入りした。
3歳時は一般競走を2連勝し、ボニーミスS(GII・8.5ハロン)では直線入り口で先頭に立って2着Cinnamon Sugarに2馬身3/4差をつけ勝利した。更にアッシュランドS(GI・8.5ハロン)では早め先頭から直線では差を広げ、2着に追い込んだ最低人気のBuntingに5馬身半差をつけて圧勝した。
ニューヨークトリプルティアラの第1戦であるエイコーンSとケンタッキーオークスは中1日だったので、現実的には二者択一を迫られることとなり、本馬はエイコーンS(GI・1マイル)に出走した。ケンタッキーオークスに有力馬が流れたこともあって単勝1.5倍に支持されると、2番手追走からレース中盤で先頭に立ってぐんぐんぐんぐん差を広げていき、最終的には重馬場の中をCinnamon Sugarに11馬身という大差をつけて圧勝した。
ところが、続くマザーグースS(GI・9ハロン)では3角手前で手応えが怪しくなると2番手で追走していたLakewayに交わされ、10馬身1/4差の3着に敗退した。どうも不可解だと思っていたところレース後に腰の異常が見つかり、更なる検査で神経に炎症が起きている可能性が浮上した。外用薬の塗布治療を兼ねてしばらく休養し、11月に6.5ハロンの一般競走をレコード勝ちしてシーズンを終えた。
4歳時は始動戦の一般競走を快勝し、シュヴィーH(GI・1マイル)に出走した。前々年のニューヨークトリプルティアラ達成馬で前年もGI4勝を挙げエクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞したSky Beautyに1番人気こそ譲ったが、レースでは3角で早めに先頭に立つと4角で一旦は差を詰めてきたSky Beautyを逆に直線で突き放し、5馬身半差で勝利した。
続けてバドワイザーブリーダーズカップH(GIII・1マイル70ヤード≒1673m)、モリーピッチャーH(GII・8.5ハロン)と危なげなく連勝し、8月のバレリーナS(GI・7ハロン)に出走した。単勝1.4倍の圧倒的人気に推されたが、スタート直後に躓くという短距離では致命的なロスを蒙り、逃げたClassy Mirageに6馬身も差をつけられて2着に終わった。
気を取り直して出走したラフィアンH(GI・8.5ハロン)では、次点のCinnamon Sugar(113ポンド≒51.3kg)より12ポンドも重い125ポンド(約56.7kg)のトップハンデでありながら単勝1.1倍に推された。ここではスタートから逃げ、絡んできた最低人気のUnlawful Behaviorを向こう正面で早々に振り切るとそのまま独走し、2着に粘ったUnlawful Behaviorに11馬身差をつけて圧勝した。
続くスピンスターS(GI・9ハロン)は4頭立てとなり、同期で予後不良レベルの怪我を負いながら奇跡的な復帰を見せ、この年に入って重賞2勝を含む4連勝を挙げて臨んできたMariah's Stormとの一騎打ちムードが漂った。しかし直線ではMariah's Stormの脚が先に上がって逃げたJade Flushと本馬が叩き合う展開となり、最後はアタマ差交わして勝利した。
デビューの地であるベルモントパーク競馬場での開催となったブリーダーズカップ・ディスタフでは、2年前に同じ日・同じ場所でデビューした僚馬Heavenly Prizeと最初で最後の対戦を迎えた。Heavenly Prizeの方も2歳から頭角を現しこの時点で既にGI8勝、前年のこのレースでも2着になった負けず劣らずの実績馬である。他にも、前走ベルデイムSでHeavenly Prizeを2着に破って勝ち、牡馬相手のハスケル招待Hも勝つなどこの時点でGI8勝を挙げていた3歳最強牝馬Serena's Song、スピンスターSでは4馬身差の3着だったMariah's Storm、かつてマザーグースSで本馬に10馬身差をつけ勝利したLakewayなど、好メンバーが揃ったレースとなった。
重馬場で迎えたレースは最内枠から好スタートを切り、逃げるLakewayの4番手で道中を進んだ。しかし3コーナー手前で先頭に立った本馬は、4角から直線にかけて全く止まる気配のないまま後続を突き放す。そのまま最後まで止まらず差を広げ続け、僚馬Heavenly PrizeがLakewayを内から交わして2着に上がるのを尻目に、一目瞭然の大差でゴール板を駆け抜けた。
Heavenly Prizeとの着差は実に13馬身半という、ディスタフはおろかブリーダーズカップ全体を通しても未だに歴代最大のもの。勝ち時計1:46.15もダート9ハロンで行われたブリーダーズカップ・ディスタフでは未だに最速である。
ブリーダーズカップ・ディスタフを1分46秒台で勝ったのは本馬の他には1:46.85で勝ったZenyattaしかいない上、そのZenyattaが勝った年はオールウェザーの良馬場での開催である。3番目に速いのが1997年(ダート・良馬場)に勝ったAjinaの1:47.30であることを考えると、ダートの重馬場でこんな飛び抜けた時計で勝っているのは凄まじいを通り越してもはや恐ろしいと言うほかない。
この圧勝劇をラストランとした本馬は、エクリプス賞最優秀古馬牝馬のタイトルを手土産に引退・繁殖入り。通算成績は17戦14勝2着1回3着2回・GI6勝であった。
引退したインサイドインフォメーションはフィップス所有のままアメリカで繁殖入りした。生後直死やウォブラー症候群(いわゆる腰フラ)に見舞われた産駒も多く、順風満帆とは程遠い繁殖成績であったが、それでも2002年に産んだSmuggler(父Unbridled)がマザーグースSとCCAオークスを勝ってエクリプス賞最優秀3歳牝馬となる活躍を見せた。
2008年に殿堂入りを果たした本馬は、2017年10月に老衰のため死亡。
その功績を讃え、2010年からガルフストリームパーク競馬場でインサイドインフォメーションS(GII・ダート7ハロン)が開催されている。
| Private Account 1976 鹿毛 |
Damascus 1964 鹿毛 |
Sword Dancer | Sunglow |
| Highland Fling | |||
| Kerala | My Babu | ||
| Blade of Time | |||
| Numbered Account 1969 鹿毛 |
Buckpasser | Tom Fool | |
| Busanda | |||
| Intriguing | Swaps | ||
| Glamour | |||
| Pure Profit 1982 栗毛 FNo.5-f |
Key to the Mint 1969 鹿毛 |
Graustark | Ribot |
| Flower Bowl | |||
| Key Bridge | Princequillo | ||
| Blue Banner | |||
| Clear Ceiling 1968 鹿毛 |
Bold Ruler | Nasrullah | |
| Miss Disco | |||
| Grey Flight | Mahmoud | ||
| Planetoid | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Nasrullah 5×4(9.38%)、War Admiral 5×5(6.25%)
掲示板
1 ななしのよっしん
2023/02/25(土) 22:45:56 ID: MIUWncn0J6
作成乙
北米が国際レーティングに加盟したのは1995年、その年のインサイドインフォメーションに与えられた国際レート129ポンドは、地味ながら依然として今もアメリカ牝馬の歴代最高評価であり続けている
勿論「ダートのスピード競馬を着差本位のレーティングで測れるのか」という点は実に怪しいところだけど、その権威ある順序付け自体にはある程度の歴史的意義を見込むことが出来ると思う
少なくとも、北米の公式ハンデキャッパー達はインサイドインフォメーションこそを「1995年以降の最強牝馬」であると認めている、ということは言えるのではないだろうか……
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最終更新:2025/12/05(金) 23:00
最終更新:2025/12/05(金) 23:00
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