ウォーターナビレラ

ウォーターナビレラ（Water Navillera）とは、2019年生まれの日本の競走馬。青鹿毛の牝馬。

馬名意味は「冠名＋蝶々のように羽ばたく（ハングル）^[1]」。

主な勝ち鞍
2021年：ファンタジーステークス（GⅢ）

概要

父シルバーステート、母シャイニングサヤカ、母父キングヘイローという血統。

父シルバーステートは2度の屈腱炎に泣かされ重賞に手が届かなかったものの、新馬戦の2着以外4戦全てでノーステッキで快勝。数々の名馬に跨ってきた福永祐一をして「排気量の大きさでいうと、今まで乗った馬のなかで間違いなく一番で、その評価はコントレイルと出会った今でも変わりません」と語る素質馬。

母はシャイニングサヤカは現役時代32戦3勝、主な勝鞍はビューチフルドリーマーカップ。血統背景としては母系に名を連ねる馬は5代母まですべて伏木田牧場生産馬となっている^[2]。
同馬は元々繁殖牝馬としての期待が高かったようであり、牧場の代表が極端なインブリードを好まず、その上で芝向きの馬を生産したいとの考えから、クロスを狙いつつも過度なインブリードを避けた相手としてシルバーステートを選択した。

母父キングヘイローは良血馬として知られるGⅠ高松宮記念勝ち馬。種牡馬としても成功しており、近年では母父としても重賞勝ち馬を多数輩出し再び注目を浴びている。

2019年、伏木田牧場にて誕生。5月27日生まれと競走馬としてはかなり不利となる遅生まれであったものの、同期の馬たちよりやや小柄ではあるものの遅生まれにしては恵まれた体格、柔らかさと品を持ち合わせ、放牧地では抜群の動きを見せていたと評価されていた。

1歳秋頃に、牧場のオーナーである伏木田修氏がかねてから交流のあった山岡良一氏に対し、牧場創業以来初めて『買っていただきたい馬がいる』と牧場側から購入を勧め、山岡氏も二つ返事で了承、山岡氏の所有馬となった。

競走年齢に達し、栗東・武幸四郎厩舎に入厩。

武幸四郎厩舎に預けられるきっかけは、元々山岡良一氏と幸四郎師の父武邦彦氏が元々飲み仲間であったことや、伏木田修と幸四郎師が同い年で親友であったこと、そして修氏が山岡氏に買ってもらって、幸四郎師に預かってもらおうと考えていたことなど、様々な縁があってのことであった。

経歴

デビュー～2歳戦

デビューは2021年8月21日札幌2歳新馬戦(芝・1500ｍ)、鞍上は吉田隼人。13頭立ての競走で6番人気と決して人気が集まったわけではなかった。レースはスタートから先頭でレースを進め、最後の直線では上がり最速タイムで後続の馬を突き放し楽勝で初勝利。

2戦目は10月3日の中山のサフラン賞（芝・1600m）に決定。だが、レース開催直前にオーナーの山岡良一氏がこの世を去るという悲しい出来事があった。このレースでも8頭立てで6番人気と人気薄であったが、レースではハナを主張する馬に先行させ2番手でレースを進めると、先行する馬をゴール板前で捉えて連勝。良一氏に捧げる勝利となった。

このレースの後、オーナーが息子の山岡正人氏に名義変更され、勝負服も変更された。

次走は11月のファンタジーステークス（GⅢ）に決定、鞍上は武豊決まり兄弟タッグでの重賞初挑戦となった。ナムラクレアに次ぐ2番人気に推されたこのレースでは、前走同様2番手でレースを進めると、最後の直線でナムラクレアと並走する形で上がっていき、残り200ｍを切ったあたりでナムラクレアを突き放し3/4馬身差で無傷の3連勝。ウォーターナビレラ自身の重賞初制覇に加え、シルバーステート産駒、山岡正人オーナー、武豊・武幸四郎兄弟タッグにとっても初の重賞制覇と初物尽くしの勝利となった。

2021年最後の出走は2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズ（GⅠ）。前走で他馬を圧倒する末脚を披露したナミュール、サウジアラビアRC2着馬のステルナティーア、アルテミスステークス勝ち馬のサークルオブライフに次ぐ4番人気と上位人気に推される。前走までと同様逃げ馬を先に行かせ3番手でレースを進めると、最後の直線手応え抜群で先頭に立ったものの、残り100ｍ付近で外から飛んできたサークルオブライフと内から伸びてきたラブリイユアアイズにかわされ惜しくも3着に敗れる。

3歳、クラシック戦線へ

年明け初戦はチューリップ賞（GⅡ）。阪神JFでともに走ったナミュール、サークルオブライフに次ぐ3番人気に推されたこのレースは、これまでよりやや後ろに控える展開でレースを進め、ナミュールが強烈な末脚を発揮する中、5着に終わる。

ただこのレースは陣営にとってはある程度想定していた結果のようであり、馬体に少し余裕をもたせていた他、鞍上の武豊も「新しいレースをしてみました」と語るなど、あえて馬群で揉まれるような展開でレースを進め、経験を積ませつつ桜花賞に向けて新たな展開を試していたようであった。

そして迎えた牝馬クラシック一冠目の桜花賞（GⅠ）。前走よりマイナス14キロと体重を減らしたものの好気配、ナミュール、サークルオブライフに次ぐ3番人気とチューリップ賞と同様の人気を集めた。
レースは好スタートを決め、2～3番手で上手く折り合うと最後の直線でナムラクレアとともに抜け出し、残り200ｍを切ったあたりでナムラクレアに競り勝ち単独で抜け出すこの馬の必勝パターンに持ち込む。

しかし先頭はウォーターナビレラ！
武豊、桜も豊の背中を押す!!

―カンテレ 川島壮雄アナウンサー

実況だけでなく観客の大半がウォーターナビレラが勝ったと思った。だがゴール板直前、川田将雅騎乗の7番人気スターズオンアースの強襲に屈しハナ差の2着と惜敗。

レース後、武豊は「すべてうまくいった。状態は今までで一番良かったし、返し馬、ゲート、ペース、すべて思った通りだった。悔いのないレースはできた」と語った。また、武幸四郎調教師は「見ての通りです。悔いのない仕上げで、悔いのないレースができました」とコメントを残した。

次走は桜花賞と同じ武豊騎手とのコンビでオークス（GI）ヘ。1週前追い切りでは武豊に「キャラ変」と言われるほど落ち着いた様子を見せるなど、これまでとまた違った雰囲気を漂わせていた。しかし前走があらゆる点で出来すぎていたのに負けたこと、距離の不安もあって前評判は7番人気。

迎えた本番。サウンドビバーチェの放馬によって緊張状態のまま15分待たされたのがケチの付き始め。ゲートに入った後も、落ち着きのない様子を見せてゲート内で突進し、スタートに失敗。追い切り時のキャラ変はどこへやら。
後方からの競馬を余儀なくされ、最後の直線でも全く伸びず13着の大惨敗。スターズオンアースの2冠達成を遠くから見届ける結果となってしまった。

「ゲートで待たされて突進してしまった。それが全て。桜花賞の状態が良すぎた。反動があったのかも」と武豊は語っている。放馬というハプニングもあり、遅れに遅れた発走で集中力が切れた馬が続出したが、この馬も例に漏れず不完全燃焼で終わってしまった。

歯がゆい春を終え、最後の一冠を目指す3歳秋は7月のクイーンステークスから始動。二冠のスターズオンアースが骨折で休息を取る中、一足早く動き巻き返しを図る。

血統表

シルバーステート 2013 青鹿毛	ディープインパクト 2002 鹿毛	*サンデーサイレンス	Halo
			Wishing Well
		*ウインドインハーヘア	Alzao
			Burghclere
	*シルヴァースカヤ 2001 黒鹿毛	Silver Hawk	Roberto
			Gris Vitesse
		Boubskaia	Niniski
			Frenetique
シャイニングサヤカ 2007 黒鹿毛 FNo.4-n	キングヘイロー 1995 鹿毛	*ダンシングブレーヴ	Lyphard
			Navajo Princess
		*グッバイヘイロー	Halo
			Pound Foolish
	シンセイアカリ 2000 鹿毛	マヤノトップガン	*ブライアンズタイム
			*アルプミープリーズ
		ピンクノワンピース	トウショウボーイ
			チョウコーピート

クロス：Halo 4×4(12.50%)、Hail to Reason 5×5×5(9.38%)、Roberto 4×5(9.38%)、Lyphard 5×4(9.38%)

関連動画

関連リンク

• 【桜花賞】ウォーターナビレラの山岡正人オーナーが語った　先代の父への思い。武兄弟との縁。 - スポーツ報知

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 2022年クラシック世代
• シルバーステート
• 武豊 / 武幸四郎

脚注

1. *韓国ドラマのタイトルからとったものである。
2. *6代母の*セルリは繁殖牝馬としてフランスより伏木田牧場へ輸入された。