クィーンスプマンテ 単語


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クィーンスプマンテ

3.2千文字の記事

ヨーロッパ競馬が行われて三百有余年、日本に伝わって年以上は経ちますが、
大穴』というのは得てして先行・人気薄が残る場合でありますが、
こんなケースはしかし滅多にありません。
これが競馬怖いところ、面いところ、恐ろしいところです。

――関西テレビ馬場鉄志アナウンサー

クィーンスプマンテ(英:Queen Spumante、香:皇后)とは、2004年生まれの競走馬2009年エリザベス女王杯に勝った名である。名は同名のカクテルから。

な勝ち
2009年:エリザベス女王杯(GⅠ)

概要

ジャングルポケットセンボンザクラ、サクラユタカオーという、競馬ファンが思わず和んでしまうような血統。うんうん。ユタカオーのスピードジャンポケスタミナを配合ね。でも気性難を強調しそうな血統だな。

馬主グリーンファームという一口馬主クラブ勝負服は、地に三本輪。これはトキノミノル馬主だった永田一氏の勝負服を譲り受けた、由緒ある色である。

小島茂之厩舎に入り、同期の皆に大きく遅れて3歳3月デビュー。11番人気ながら後の重賞ロックドゥカンブの3着に突っ込んだ後、2戦で初勝利に2勝を挙げたが、その前後に出走したオープンクラスの競走ではスイートピーSブービー17着、紫苑S10着、秋華賞12着と全く勝負にならず、自己条件に戻っても8着と敗れてシーズン終了。4歳になると安定し、6戦中5戦で掲示板内と好走を繰り返すようになるものの、挙げた勝ちは降級初戦の500万下の一つだけであった。

5歳になると1000万下を勝ち4勝を挙げたが、その後の1600万下では9・8着と連敗。もう5歳だし、クラブの規定でこの年限りで引退になるので、流石にこの辺でお終いという感じである。

しかしに格上挑戦のみなみ北海道ステークス大逃げを打ち3馬身半差で圧勝。これがいわゆる前振りとなる。続く京都大賞典でも大逃げを打つがここは直線で捕まって9着に敗北。そのままクィーンスプマンテは最後の大一番となるエリザベス女王杯に向かった。

このレース二冠馬ブエナビスタオークス秋華賞を勝って敗で挑んだ2年前に降着の憂きを見たカワカミプリンセス、前年のこのレースを勝ったリトルアマポーラフランスからの遠征シャラナヤ、名前だけで大人気、前走京都大賞典でクィーンスプマンテと一緒に大逃げして逆噴射した2005年の2歳女王テイエムプリキュアなどの錚々たる面子っていた。その中で「な勝ち:みなみ北海道S(OP)」のクィーンスプマンテはどう贔屓に見ても見劣りする存在で、実際18頭中11番人気であった。

小島師は「逃げればだから、競り掛けられても譲らずに行け」と田中博康騎手示を出していた。戦前の予想でも確かに「クィーンスプマンテとテイエムプリキュア逃げる形になるだろう」ともが予想はしていた。しかし、まさかあんなことになるとはどの人は想像もしていなかった……。

スタートから普通に、ごく普通ハナを切ったクィーンスプマンテ。それにテイエムプリキュアが競り掛ける。まったく予想通り、というか京都大賞典とほぼ同じ展開。ブエナビスタは後方待機。うんうん。よしよし。もが納得な序盤であった。

が漂ってきたのは1~2コーナーを過ぎた辺りであった。並んで離しているクィーンスプマンテとテイエムプリキュアだったのだが、ガンガン行っているのかと思った手ごたえが楽々だったのである。離れた三番手のリトルアマポーラの手ごたえも楽々。ピクニックじみた競馬である。どのものんびりと、あまりにものんびりと走っている。

そして1000m通過タイムが1分005、思いっきペースである。この時点で前2頭と後続の差は10馬身以上。「え、えええ? 何でも行かないの? てか、もう間に合わないんじゃないの?」などと騒然とする観衆をよそに、まだも動かない。差は縮まるどころか更に開いて20馬身は優にえる大差となっていた。

直線を向いたところではもうもが「うははははは! 何あれ! すげ~!」などとやけっぱちで大爆笑である。後続群を置き去りに、テイエムプリキュアを従えてクィーンスプマンテは直線でも脚を伸ばす。流石ゴール前では脚が止まったが、共に逃げテイエムプリキュアも恐るべき末脚を見せて追い込んできたブエナビスタも抑えて、クィーンスプマンテはそのまま1着でゴールを駆け抜けたのだった。

これが競馬の恐ろしさ!」と馬場鉄志アナウンサーは叫び、解説武邦彦調教師は「まあ後ろのの遠慮したこと」とばっさり。ファンは「てめぇらみんなを切れ!」と(に3番手でじっとしていたリトルアマポーラクリストフ・スミヨン騎手などの)後方にいた騎手たちに憤るやら、もう笑うしかないやら騒然。いくら重賞勝利と終わっただからとは言え、ペース逃げている逃げ2頭を20馬身も行かせてしまうとは……。
配当は単勝7710円(!)、馬連10万2030円(!!)、三連単154万5760円(!!!)という、史上に残る大波乱であった。

その後香港国際競走に遠征し、香港カップに出走したが10着と敗れて引退。社台ファームで繁殖入りし、2023年まで10頭のを残した。2024年以降も引き続き社台ファームで功労として繋養される見通しである。ちなみに、香港での登録名は「美皇后」。名由来(カクテル名)から付けられた名前だが、なんで「美女王」じゃなかったのだろうか?

エリザベス女王杯まで、このは格上挑戦で出走したOP特別を1つ逃げ切っただけのであった。そんなGI逃げていても確かに「その内潰れる」と思うだろう。それが潰れなかったのだからクィーンスプマンテにも相当な実力があったのだろう。クラブの規定で引退してしまったが、もうちょっと走ってもらって実力を見極めたかった。そんなであった。

2009年エリ女を「史上最低レース」という人も多いが、クィーンスプマンテと田中騎手が勝ち取った栄自体は何ら貶められるようなものではない。子孫が大きいところで逃げ切り勝ちを収めることを期待したいものである。

それにしても2009年エリ女と言うと、なぜかテイエムプリキュアばかりが語られるのはどうしたことだろうか。

血統表

ジャングルポケット
1998 鹿毛
*トニービン
Tony Bin
1983 鹿毛
*カンパラ
Kampala
Kalamoun
State Pension
Severn Bridge Hornbeam
Priddy Fair
*ダンスチャーマー
Dance Charmer
1990 黒鹿毛
Nureyev Northern Dancer
Special
Skillful Joy Nodouble
Skillful Miss
センボンザク
1992 栗毛
FNo.4-r
サクラユタカオー
1982 栗毛
*テスコボーイ
Tesco Boy
Princely Gift
Suncourt
アンジェリカ *ネヴァービート
Never Beat
スターハイネス
ダイナフランダース
1979 鹿毛
*ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
*レディフランダーズ
Lady Flanders
Chieftain
Moll Flanders
競走馬の4代血統表

クロスNorthern Dancer 4×4(12.5%)、Hyperion 5×5(6.25%)

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