クリヴァク級フリゲートとは、ソビエト海軍で開発されたフリゲートである。
ソ連海軍での区分は警備艦。
クリヴァク級はNATOコードネームで、正式名称は1135号計画「ブレヴェースニク(ミズナギドリ)」。
ソ連では水上艦は有力な米空母機動艦隊に対抗するため対水上艦打撃力を重視していた。しかし1960年代に入り潜水艦発射巡航ミサイルやら潜水艦発射弾道弾搭載潜水艦の実用化に伴い『対潜水艦も重視しようぜー』という話になった。そこで開発されたのがクリヴァク級である。
元々は大型対潜艦と分類されており、規模や任務的には米海軍のノックス級フリゲートや海上自衛隊のやまぐも型護衛艦に相当する。
その船体設計は優秀であり、多数の派生艦が存在する。また、1960年代の設計でありながら現在もその派生型が現役どころか建造中という息の長い船である。
冷戦期にはソ連海軍のワークホースとして大量建造され、対潜哨戒やパトロール・警備任務に東奔西走した。
特にクリミア半島沖で起こった米ソ艦艇衝突事件の「ベズザヴェートヌイ」の活躍が名高い。これについては後述する『献身者』のエピソードを参照。
特筆すべき点としては推進方式としてCOGOG方式を採用している。低速用と高速用、どちらもガスタービンエンジンを採用しているのであるが、推進スクリューが固定ピッチプロペラなのである。何が言いたいのかというと、低速用ガスタービンに逆転器を組み込み、バックする際はプロペラをわざわざ逆回転させてるのである。ガスタービンはその構造上高回転になるので減速機という歯車の塊を使って減速しまくらないといけないのであるが、その中に逆転器まで押し込むというめんどくさいことをしてるのである。エンジンの回転数が低ければ逆転もそんなに難しい話ではないので、普通固定ピッチプロペラを使う場合は低速用機関は回転数が少ないディーゼルを使う[1]。どういう技術を使ってあの高回転ガスタービンを逆回転させてるのであろうか……、まさに、おそロシア。
ロシア側呼称、1135号計画『ブレヴェースニク』(Ⅰ)、1135-M号計画『ブレヴェースニクM』(Ⅱ)。
その主兵装は、艦橋直前にでんと控えるRPK-4(NATOコードネームはSS-N-14サイレックス)対潜ミサイルの4連装ランチャー。RPK-4は日米艦が装備するアスロックの5倍の射程を持ち、小型の対潜フリゲートとしては破格の武装と言える。
11番艦『ジャールキィ』[2]は懸垂型と固定型のソナー二種類を統合した『MGK-365 謀略のズヴェズダーM1』に換装。そして13番艦『レニングラーツキイ・コムソモーレツ』[3]と15番艦『プィールキイ』はRBU-6000を取っ払って対艦ミサイル『3M24ウラン』の4連装発射機を置く計画だったが没になりこの部分は空きスペースとなってしまった。但しソナーは前述のズヴェズダーに交換され、対潜水艦ミサイルRPK-4も対水上艦攻撃も可能な上航続距離も増えたURPK-5ラストルーブに交換された。
この三隻は特にNATOコードネーム『改クリヴァクⅠ級』もしくは『クリヴァクⅣ級』として区別される。ロシア側も11353号計画(ジャールキイ)、11352号計画(レニングラーツキイ・コムソモーレツ、プィールキイ)と区別している。
クリヴァクⅡ級はⅠ級の武装を強化したモデルで、主砲の76㎜砲を100㎜砲に換装、ソナーなど電子装備も高性能なものに換装されている。
| 全長 | 123.5m |
| 全幅 | 14m |
| 排水量 | 基準: 3,300t 満載: 3,575t |
| 乗員 | 192名 |
| 武装 | |
| レーダー | |
| ソナー | |
| 速力 | 最大32kt |
| 主機 |
|
| 搭載機 | なし(Ⅱは飛行甲板のみあり) |
| 同型艦 | 21隻(Ⅰ)、11隻(Ⅱ) |
KGB配下の国境警備隊向け仕様、ロシア側呼称、11351号計画『ネレーイ』。国境警備隊とは日本で言えば海上保安庁みたいなもののはずであるが、100㎜砲積んでたり対潜ロケット砲と対空ミサイルは残してたりフルスペックの3次元対空レーダーと可変深度ソナーを搭載したりと一体みんな誰と戦っているんだ状態である。極東に怪物がいると真に受けたんだろうか。
| 全長 | 123m |
| 全幅 | 14m |
| 排水量 | 3,700t |
| 乗員 | 192名 |
| 武装 | |
| レーダー | |
| ソナー | |
| 速力 | 最大32kt |
| 主機 |
|
| 搭載機 | |
| 同型艦 | 8隻 |
クリヴァクⅢ級は国境警備向けに開発されたはずなのだが、前述の通りやたらと重武装かつヘリの運用能力も有していたことから「これをベースに本格的な戦闘艦作れないかな」と開発されたが、ロシア海軍が関心を示さなかった(この時点では)ため、インド海軍への輸出用として開発が進められた。
ロシア側呼称は11356号計画。インド側呼称はタルワー級。こちらもまとめてクリヴァクⅢ級と呼んだり、クリヴァクⅣ級とする場合もあるらしい。
艦上構造物をステルスデザインで一新しており、今までのクリヴァク級とは一線を画す近代的な外見となった。
兵装も全面的に変更され、共通しているのはもはやRBU-6000と533mm長魚雷管くらいになっている。
| 全長 | 124,8m |
| 全幅 | 15,2m |
| 排水量 |
3,620t(基準) |
| 乗員 | 180名 |
| 武装 | |
| レーダー | |
| ソナー | |
| 速力 | 最大32kt |
| 主機 |
|
| 搭載機 | |
| 同型艦 |
6隻 |
アドミラル・ゴルシコフ級フリゲートの開発遅延や黒海艦隊所属艦の老朽化に悲鳴を上げたロシア海軍がタルワー級をベースに暫定的な新型艦として開発した。ロシア側呼称は11356R/M号計画。
基本的にタルワー級を踏襲しているが、こちらは本国仕様だけあってC4Iや武装はフルスペックかつ最新のものとなっている。
特にP-800対艦ミサイルの搭載で、キーロフ級以来長らく不在だった長距離水上打撃能力を獲得した。
当初は9隻を建造予定だったが、ゴルシコフ級完成の目処が立ったのか2015年には6隻に減らされ、さらにガスタービンの製造元であるウクライナがロシアへの輸出を拒否したことによって3隻はインドへの売却が決定した。
| 全長 | 124,8m |
| 全幅 | 15,2m |
| 排水量 |
3,850t(基準) |
| 乗員 | 180名 |
| 武装 | |
| レーダー | |
| ソナー | |
| 速力 | 最大32kt |
| 主機 |
|
| 搭載機 | |
| 同型艦 |
1988年、ソ連軍の重要施設が立ち並ぶ黒海沿岸に米海軍第6艦隊所属のタイコンデロガ級巡洋艦「ヨークタウン」とスプルーアンス級駆逐艦「カロン」が侵入。シギント活動(電波偵察)を実施した。
これに対しソ連海軍黒海艦隊は国境警備艦「イズマイール」と捜索救難艦「ヤマール」に監視を、そしてクリヴァクⅠ級フリゲート「ベズザヴェートヌイ」とミルカ級コルベット「SKR-6」にスクランブル出撃を命じた。
「ベズザヴェートヌイ」は警告と進路変更要請を打診するも「ヨークタウン」は無視。
無線で再度警告するも「ヨークタウン」は無害通航権を傘に着て再び無視。
この進路では米艦艇が領海侵犯までするつもりなのは明らかであった。
「こっちは小型の対潜艦2隻。向こうは大型駆逐艦にご自慢のイージス巡洋艦。畜生、嘗めてやがる」
黒海艦隊司令フロノプーロ大将は歯軋りをした。遥かに格上の相手に武力行使する訳にもいかない。だがこのまま黙って見ているのは論外だ。
熟考の末、フロノプーロ司令は「ベズザヴェートヌイ」を通じて米艦艇へ通告した。
「貴君がこのまま進入し、我が国の領海を侵犯した場合、体当たりを持って領海外へと排除する」
本来体当たりの任を受けるはずだったのは「ヤマール」であった。
しかし元々が木材運搬船で頑丈でこそあるものの速力が15ノットと遅く、快速の米艦艇には到底追いつけない。さりとて「イズマイール」では体当たりを行うには小型すぎる。
そうして消去法で選ばれたのは「ベズザヴェートヌイ」と「SKR-6」。しかしそれでもクリヴァク級の排水量は3000トンクラスで、米艦艇はその3倍近い。「SKR-6」に至っては10倍近い相手になる。
前例の無い、無謀に等しい任務であった。
「我々の先達はクラウツの侵攻にも決して屈しなかった。カフカス魂を見せてやれ」
「ヨークタウン」は平和的航行であると主張してついにソ連領海に侵入。「カロン」もそれに続いた。警告は再三無視された。
悠々と航行する米艦艇だったが、ふと振り返ると青ざめた。既にギリギリの間隔で併走していたソ連艦艇が増速を掛けてきたのだ。
「まずい! 連中、本気だ!」
先ほどまでの余裕は何処へやら、慌てて警告を発するも今度は自分たちが無視される形となった。
「ベズザヴェートヌイ」は「ヨークタウン」へ、「SKR-6」は「カロン」のそれぞれ左舷50mという超至近距離にまで接近した。
そして最終警告がなされるも米艦艇は拒否。その瞬間、両警備艦は最大戦速で突っ込んだ。
「ヨークタウン」は艦尾左舷に衝突され、装填状態のハープーン対艦ミサイルランチャーを破壊された。
「カロン」も艦尾左舷に衝突され、こちらは搭載艇を失った。
体当たりを敢行した両警備艦にはさしたる損害も無く、再び退去勧告を発し始めた。
「即刻領海外へと退去せよ。さもなくばもう一度“クレイジー・イワン”をご披露する」
返答こそ無かったものの、米艦艇両隻は進路を転進。ソ連領海から完全に退却した。
「ベズザヴェートヌイ」。その名は「献身的な」を意味する―
記事内でも触れた衝突事件。
クリヴァク級フリゲートに関するニコニコミュニティを紹介してください。
掲示板
5 ななしのよっしん
2022/05/07(土) 09:11:41 ID: +xGkdVLTY5
お願い、死なないでクリヴァク級!あんたが今ここで倒れたら、プーちんの軍事パレードはどうなっちゃうの? 乗員はまだ残ってる。ここを耐えれば、ゼレンスキーに勝てるんだから!
次回、「アドミラル死す」。デュエルスタンバイ!
6 ななしのよっしん
2022/07/05(火) 22:58:54 ID: bGjsw3L7K8
ウクライナの誤報だってさ
現在アドミラルマカロフは沈んだスラヴァ級の代わりに
黒海艦隊の旗艦になってるってさ
7 ななしのよっしん
2022/10/29(土) 23:50:45 ID: 5KySaDnAfy
自爆ドローンボートが突っ込んだっぽい
https://
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/22(月) 10:00
最終更新:2025/12/22(月) 10:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。