サクラチトセオーとは、1990年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
トニービン産駒の特徴である「確実に伸び続ける末脚」を武器に天皇賞を勝利した追い込み馬。
往年の迷騎手にして名騎手、小島太の騎手人生の幕引きに相応しい伊達男であった。
主な勝ち鞍
1994年:中山記念(GII)、京成杯オータムハンデキャップ(GIII)
1995年:天皇賞(秋)(GI)、アメリカジョッキークラブカップ(GII)
※年齢表記は現表記に統一
父*トニービン、母サクラクレアー、母父*ノーザンテーストという血統。
父は凱旋門賞制覇やミラノ大賞典連覇などの実績を誇り、引退後日本で種牡馬入りしエアグルーヴやベガ、ジャングルポケットなど数多くの名馬を送り出した名種牡馬。サクラチトセオーはその初年度産駒に当たる。母は現役時代で5戦2勝で4歳牝馬特別(現フローラS)2着馬。母父も当時の日本における最上級種牡馬であり、まず良血と言って差し支えない。年を下ってサクラクレアーの一族にはサクラメガワンダー(重賞4勝)やサクラアンプルール(札幌記念)がいる。
サクラ軍団と繋がりが深い谷岡牧場に生まれ、幼少の頃より素質馬として期待された。
当然、サクラ軍団の所有馬となり、サクラ御用達の美浦・境勝太郎厩舎へ所属することとなり、
勿論、サクラ軍団の専属騎手、小島太が跨ることになった。
デビューは2歳10月の東京競馬場で、ここを1番人気で快勝し、続くひいらぎ賞で後続を4馬身ちぎる快勝を収め、これはクラシック候補だ! とサクラ軍団をはじめ皆が期待した。
ところがである、チトセオーは腰の状態が悪化してしまい、満足にレースを使える状態には戻らなかった。青葉賞(OP)に登録するも復調せず出走取消。それでもNHK杯に出走し3着を確保してダービーの挑戦権を得るが、BNWの激闘に加わる事も出来ず、柴田政人が念願のダービーを制するとこを傍から見るだけの11着に敗走する。秋は全休。クラシック候補は失意のうちに3歳を終える。
翌年には休養の効果もあり腰も快癒。冬の東京から復帰し、3着を挟んだ後条件戦を勝利。
ここで陣営は格上挑戦、中山記念への出走を決定。ここを残り150mで先頭集団に並びかけるとあっさりと差し切り、初重賞制覇を挙げた。オープン2着を挟んで、別のオープン競争を勝利し、中距離戦線の雄として名を挙げて行ったのだが...
肝心のGI競争ではイマイチ。1994年に宝塚記念、天皇賞(秋)、有馬記念と3つのGIに挑んだのだが、いずれも6着。丁度掲示板の枠際で佇むような格好。
だが、この年は大変実り多き年でもあった。秋の中山開催を告げる京成杯オータムハンデに挑戦し、この時一旦的場均騎手にチェンジ。するとここまで中団あたりにつけていた所を、一旦後方待機にモデルチェンジ。するとこれがハマり、1分32秒1のレコードタイムで快勝。天皇賞(秋)6着を挟んで府中のマイル戦富士S(OP)も快勝しており、確かに実力が有ることを示した。
5歳シーズンをアメリカジョッキークラブカップから始動。ここでは残り150mで促されるとポンッとエンジンに点火し、大外から馬群を差し切る快勝を収める。続く中山記念こそフジヤマケンザンにクビ差敗れたものの、陣営は確かな手応えを感じて安田記念へと挑む。
安田記念を一番人気で迎える。道中はずっと最後方に位置し、府中の直線に入るときに馬群は大きく横に広がる。大外に持ち出し、だだっ広い府中の直線を後は一気呵成に駆け上がるのみ。
チトセオーは大外から勢いよく伸びる、目標、先頭を走るハートレイクへと勢いは止まらない。
差し切ったかと思わせた最後、ハートレイクがハナ差残った。
チトセオーと小島太、極めて近く、しかし1着とは遼遠の彼方にある存在の2着に敗れる。
続く宝塚記念は指定席から更に外れた7着に敗北する。
この年、鞍上の小島太は調教師への転向を表明。来年2月末に引退することがほぼ決定となり、サクラ軍団としてはなんとしてもフトシにGIを取らせてやりたい。それを叶えられる最も近い存在が誰であろう、チトセオーなのだ(一方の期待馬サクラローレルは故障し療養中であった)。
秋を毎日王冠からスタートするが、ここを4着に敗れる。しかし馬の状態は良化し、絶好調にあった。
天皇賞(秋)、彼は人気の一角を占めていたが、一番人気ではなかった。
一番人気は現役最強馬、しかし故障休養明けからぶっつけでやってきたナリタブライアン。
競馬ファンの興味は、復帰明けのナリタブライアンがどこまでやれるかに集まっていた。
チトセオーは5.3倍の2番人気、しかし直前に出走取消のマイシンザンが2番人気だったため、実質的には3番人気である。他のメンツは皐月賞馬で唯一の3歳馬ジェニュイン、他にも重賞馬実績馬多数の豪華メンバーと言っても、おそらく差し支えないだろう。
レースでは最内枠の1枠1番に入る。東京芝2000mは「先行馬」なら明らかな内枠有利だが、「追込馬」だと内枠が不利になるというコースである。
ゲートが開くと、後方から2番手に位置取る。トーヨーリファールやジェニュインが先行しほぼ平均ペースでレースは進む。4コーナー手前から中団の馬達が仕掛ける中、チトセオーは全員が直線に入る頃に最後方に位置を取り、大外に持ち出す。馬群はさほど縦長ではない。大外から差し切るにはもってこいの展開。
シャドーロールの怪物は馬群でもがく、そんな中チトセオーは大外からじりじりと迫ってくる。
逃げるトーヨーリファールにシャドーロールの3歳馬ジェニュインが襲いかかってくる。
残り150mになると一気にエンジン点火! 先頭に出たジェニュインが押し切ろうと粘る!
先頭集団を見つけたチトセオーはジェニュイン目掛けて伸び続ける!
ハナ差の惜敗はハナ差で返す。ゴール直前にジェニュインを差し切り、GI制覇、秋の盾、奪取。
文字通り、大外末脚直線一気。上がり3ハロン34秒3は最速。
レース後、小島太は「こんなに必死になって追ったのは何年ぶりかなあ」とふと呟く。
その小島太の叱咤激励に応えるかのように、チトセオーは誉れ高い天皇賞馬となった。
チトセオーは有馬記念に出走。ここではマヤノトップガンのパフォーマンスが良く語られるが、チトセオーだって捨てたものではない。上がり最速の脚で追い込み、3着に入り込んでいる。
チトセオーは1995年で引退。サクラが誇る良血馬だし、種牡馬としても活躍を期待された。
初年度から重賞馬を出し、障害含め3頭の中央重賞馬を送り出したが、GIに届く産駒は出なかった。
2002年以降不振に陥り、人気も無くなった2010年には種付け数ゼロになり種牡馬を引退。
2011年以降、谷岡牧場系列の新和牧場で功労馬として悠々自適の余生を過ごしていたが、
2014年に老衰のため死亡。享年24歳だった。
小島太は、本馬の天皇賞制覇の2週間後、エリザベス女王杯を制し自身最後のGI勝利を飾る。
そのエリザベス女王杯優勝馬はサクラキャンドル。何を隠そうチトセオーの半妹である。
小島太は予定通りに1996年の2月いっぱいで騎手を引退。
調教師としてスタートを切り、境師から引き継いだサクラローレルをはじめ、イーグルカフェ、マンハッタンカフェ、ディサイファなどを管理。美浦の調教師として一定の成果を見せ、2018年2月末をもって調教師を定年退職。最終戦はチトセオーが初重賞制覇を果たした中山記念(ディサイファ:6着)だった。
黒鹿毛の馬体に、編み込みが施されたたてがみ、太筆で「1」を書いたような大きな流星。
中団からでも競馬は出来るが、最後方からの大外直線一気の豪快な競馬が一番得意。
ピンクのバンデージにピンクの勝負服。
まさに、絵になる男だった。
*トニービン Tony Bin 1983 鹿毛 |
*カンパラ 1976 黒鹿毛 |
Kalamoun | *ゼダーン |
Khairunissa | |||
State Pension | *オンリーフォアライフ | ||
Lorelei | |||
Severn Bridge 1965 栗毛 |
Hornbeam | Hyperion | |
Thicket | |||
Priddy Fair | Preciptic | ||
Campanette | |||
サクラクレアー 1982 鹿毛 FNo.13-c |
*ノーザンテースト 1971 栗毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Lady Victoria | Victoria Park | ||
Lady Angela | |||
*クレアーブリッジ 1967 鹿毛 |
Quadrangle | Cohoes | |
Tap Day | |||
Abeyance Lass | Ambiorix | ||
Vulcania | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Hyperion 4×5(9.38%)、Lady Angela 5×4(9.38%)
掲示板
7 ななしのよっしん
2022/02/06(日) 10:11:42 ID: p1Z0hdaoIR
最後の文、ピンクのバンテージはローレルで、チトセオーはそもそもレース中にバンテージ巻いてない。他の人の指摘もそうだし間違い多いね。
8 ななしのよっしん
2024/02/19(月) 11:16:25 ID: e+oYZIc4OG
ウマ娘にてチトセオーらしき新キャラがでたとか…
フーテンの寅さんみたいな風体…
9 ななしのよっしん
2024/03/10(日) 10:44:11 ID: Zj7K7XzMkS
あれは皐月賞でブライアンの2着に入って穴をあけたサクラスーパーオーですよ。
チトセオーは多分天皇賞秋の勝ち方をローレル教える役で漫画に出てくると思いたい。
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最終更新:2024/05/23(木) 23:00
最終更新:2024/05/23(木) 23:00
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