サトノクラウン(Satono Crown)とは、2012年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
海外では当時世界最強クラスの馬に大金星を挙げ、国内でも一度世代の王座に上り詰めた名馬……のはずなのだが同世代や近い世代に華々しい活躍をした馬が多いせいかイマイチ扱いが悪い気がする馬である。
主な勝ち鞍
2014年:東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII)
2015年:弥生賞(GII)
2016年:香港ヴァーズ(G1)、京都記念(GII)
2017年:宝塚記念(GI)、京都記念(GII)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「サトノクラウン(ウマ娘)」を参照してください。 |
父:マルジュ(Marju)
母:ジョコンダII
母父:ロッシーニ(Rossini)
父マルジュは欧州で有力産駒を多く輩出した名種牡馬でサトノクラウンが誕生する一年前の2011年をもって種牡馬を引退したのでサトノクラウンが最後の世代の産駒である。日本ではジャパンカップに3回も出走した香港の名馬インディジェナスが産駒として知られるが日本調教馬ではゼロといってよいほど実績が無く、先に母父としてマルセリーナ・グランデッツァ姉弟が出てきたほど。
母ジョコンダIIはアイルランド生まれの競走馬。血統から察するかもしれないがいわゆる持込馬である。
全姉ライトニングパールは英G1チェヴァリーパークステークスを勝ったスプリンターであったが、サトノクラウン自身は中距離以降で実績を残していった。
2012年3月10日、ノーザンファームで誕生。オーナーは「サトノ」冠名でおなじみセガサミー会長・里見治(名義は法人名義の「サトミホースカンパニー」)。
なおサトノクラウンは生まれつき仙腸関節(骨盤の仙骨と腸骨をつなぐ関節)が大きくズレているというハンデを抱えており、この影響で疲労が残りやすい体質でもあった。
デビュー時から実力を発揮し東スポ杯2歳ステークスと弥生賞を含む無傷の3連勝でクラシックに臨む。当時、無敗で弥生賞を制してクラシックに臨んだ馬は全て三冠競走の内の一つは制していたため、サトノクラウンは当然フサイチホウオー並みに期待を集めていた。馬主を始めてから四半世紀、GIを勝てずにいた里見オーナーにとっても悲願であった。
しかし初戦の皐月賞では一番人気に支持されるもののマリオカートのようなドリフトをかまして直線で凄まじい加速を見せた同厩の問題児ライバル、ドゥラメンテに歯が立たず6着、ダービーも直線いい手ごたえで先頭に抜け出したドゥラメンテを猛追するも及ばずに3着に終わる。
秋は菊花賞ではなく天皇賞(秋)に出走するも直線で馬群に囲まれて失速し17着と大敗。期待されたクラシックやGIタイトルは一つも取れずに3歳を終える。
4歳初戦の京都記念は3馬身差で快勝するも、その後遠征した香港のクイーンエリザベス2世カップでは見せ場なく12着と散々な結果に。
帰国後も宝塚記念は6着、天皇賞(秋)は14着と掲示板にすら乗れない大敗を繰り返す。この頃にはクラシック前に見せていた輝きは完全に失われ、サトノ軍団の悲願もこの年の菊花賞で、1歳下のサトノダイヤモンドに先に持って行かれてしまった。
そんなサトノクラウンに転機が訪れたのは12月、春に惨敗を喫した香港で、香港国際競走のひとつ香港ヴァーズに出走する。しかしこの香港ヴァーズには前年の覇者にしてこの年のキングジョージとBCターフを制し、凱旋門賞でも2着に入った当時の世界最強馬の一頭であるハイランドリールが出走していた。下馬評では「こんな惨敗続きの馬が世界最強クラスの馬に勝てるはずがない」という評判が大勢で、ハイランドリールは単勝1.3倍という圧倒的一番人気に支持される一方、サトノクラウンは騎乗する「マジックマン」ことジョアン・モレイラの声望もあってか日本馬の中では一番支持を集めたが単勝11.4倍とハイランドリールとやや離された4番人気に落ち着く。
しかしレースが始まると正確なラップを刻んで逃げるハイランドリールを後方で見定めながら最終コーナー直前からじりじりと加速、最後の直線は先頭を独走するハイランドリールと馬群から抜け出したサトノクラウンとの一騎打ちの展開となるも、サトノクラウンが15年前の同レースを彷彿とさせる驚異的な末脚でハイランドリールを半馬身差で差し切り見事初のG1戴冠を海外で果たした。しかし同日同厩の先輩であるモーリスが引退レースとなる香港カップで完勝したことからスポーツ新聞やネットニュースでの扱いはやや地味になってしまった。思えばここら辺から扱いの悪さが始まっていたような……
5歳になると昨年制した京都記念を連覇しその勢いでこの年新たにGIとなった大阪杯に出走するが何故かラストスパートで失速し6着に敗れる。しかし、次走の宝塚記念では定義付け初年にして史上初となる春古馬三冠に挑むキタサンブラックや二冠牝馬ミッキークイーン、後にジャパンカップを制するシュヴァルグランら同世代の強敵をそろって撃破、2年越しに世代の王座へと上り詰めた。
秋初戦は2度も辛酸を舐めた天皇賞(秋)、大雨により超が付くほど不良馬場になった府中の直線でキタサンブラックと熾烈な追い比べを演じ、僅差で2着に敗れ、世代の王座をキタサンブラックへ再び譲り渡した。
それ以降は王座を譲り渡し精神面でも思うところがあったのか一度も掲示板に載ることもなく、アーモンドアイが伝説的なレコードを記録した2018年のジャパンカップの9着を最後に引退した。
通算20戦7勝。重賞6勝のうち4勝が道悪という重馬場巧者であった。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り、サンデーの血を持たないどころか、日本にそこそこ広まっている血統も祖父のラストタイクーンくらい(キングカメハメハの母父として有名)というマイナーな血統背景や欧州血統ながら日本の高速馬場でも十分戦える切れ味や昨今の柔らかめの馬場や重馬場を苦にしないパワーを持っていること、比較的お手頃な種付け料から100~200頭程の肌馬を確保している。
初年度産駒は2022年デビューし、産駒も前評判を考えればかなり順調に勝ち上がり、初年度産駒タスティエーラが弥生賞ディープインパクト記念勝利から、日本ダービーを制覇。父が届かなかったクラシックの冠をいきなり持ってくる大殊勲を挙げた。牝馬は全姉ライトニングパールに似たか短距離馬が多くデビュー戦からどんどんと勝ち上がり、牡馬は秋から中距離で勝ち上がっていくパターンが多い傾向が見られる。願わくば父の冠をさらに増やす仔の登場に期待したい。
Marju 1988 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン 1983 黒鹿毛 |
*トライマイベスト | Northern Dancer |
Sex Appeal | |||
Mill Princess | Mill Reef | ||
Irish Lass | |||
Flame of Tara 1980 鹿毛 |
*アーテイアス | Round Table | |
Stylish Pattern | |||
Welsh Flame | Welsh Pageant | ||
Electric Flash | |||
*ジョコンダII 2003 鹿毛 FNo.20-c |
Rossini 1997 鹿毛 |
Miswaki | Mr. Prospector |
Hopespringseternal | |||
Touch of Greatness | Hero's Honor | ||
Ivory Wand | |||
La Joconde 1999 鹿毛 |
Vettori | Machiavellian | |
Air Distingue | |||
Lust | Pursuit of Love | ||
Pato | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)、Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Buckpasser 5×5(6.25%)、Sir Ivor 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/11/25(月) 22:00
最終更新:2024/11/25(月) 22:00
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