闘痔の旅とは、北海道テレビ制作の番組「水曜どうでしょう」の企画である。
1996年12月4日~12日初回放送。全2回。
放送当痔の企画名は「激走!24時間 大泉洋くん闘痔の旅」だった。
水曜どうでしょう第一回目の企画「サイコロの旅」において、大泉が痔持ちであることを告白したことがこの企画立案のきっかけ。新大阪駅から新潟へ向かう寝台特急「きたぐに」の寝台券が3枚しか取れず、4人いるどうでしょう班のうち1人は自由席の普通のイスで一夜を過ごす羽目になった。そこで一番の若手である大泉に白羽の矢が立ち、前述の痔持ちである旨をカミングアウトしながら猛抗議をするも、結局何らかの形で大泉の自由席行きが決定。「自由席」ならぬ「痔有席」となってしまった。
その後、鈴井貴之とディレクター陣は大泉の痔を治すため、(そして自分たちも温泉巡りをするため)24時間で温泉を回れるだけ回り、大泉の湯治(闘痔)に努めるという無謀な企画を立ち上げた。
何も知らない大泉(この時例の「バレンチノ」のジャケットを着ている)、HTBに到着。ここで企画が発表される。
鈴井「これから24時間、回れるだけ温泉を回ります」
「今回はあなたがメインです」
大泉「痔を治すぜ!」
AM4:00、浴衣に着替えた大泉と鈴井、ハイエースに乗り込み出発。
この時から車中の会話が「運転席の大泉、助手席のカメラマン、後部座席の鈴井」という体制が確立し、初期の旅のフォーマットとなる。
札幌から車を飛ばして約2時間、最初の温泉であるニセコ町の薬師温泉旅館に到着した。
早速服を脱ぎ露天風呂と向かう二人だったが、温泉の水温が高くなく、外気温の低さも相まってなかなか出られない状態になってしまう。環境はあまりよくなかったようで、二人はその後は内湯に入り温まり直しに努めた。鈴井はこの温泉に入った後から鼻声ちっくになってしまう事態になった。
大泉「オレたちゃなんだソルジャーが」
鈴井「出れそうにねぇ」
薬師温泉は青森県の谷地温泉、徳島県の祖谷温泉と並ぶ日本三大秘湯として名を馳せており、ニセコ温泉郷の一角としてひそかな人気を博していた。浴槽そのものが源泉となっており、足元からお湯が湧き出していたようだ。源泉温度は37℃~40℃と源泉としては低めなため、冬場の露天風呂はぬるま湯状態になり実質的に利用できない。
2014年に薬師温泉旅館の建物の一部が雪で倒壊し、同年閉館となった。現在その跡地は廃墟状態となっている。(脱衣所やシャワーらしきものが残っている)温泉自体は今も湧き出しているらしいが、人の整備が及んでいないので衛生的によろしくない部分があると思われるので、よほどの物好きでない限り湯治目的で利用するのは効果的ではないだろう。
二股ラジウム温泉に到着したどうでしょう班、早速露天風呂に向かうが、タイミングが悪く露天風呂は清掃中だった。どうにか湯船の底に残っていた温泉に浸かり、その後内湯に入った。大泉は「だいぶいい」とお気に入りだった様子。
二股ラジウム温泉は「二股らじうむ温泉」と名前を変えて現在も営業中。北海道の天然記念物に指定されている石灰華ドームを一望できる露天風呂は世界唯一の温泉と謳っている。
源泉温度は43℃、名前の通り微量の「ラドン」というラジウム成分を含んでいる温泉は神経痛・リウマチ・痛風・ノイローゼ・高血圧・動脈硬化・糖尿病・皮膚病・胆嚢炎・胆石・自律神経失調症に効くとされている。
さらにお湯には天然の炭酸カルシウムが豊富に含まれており、これにより腰痛・神経痛・リウマチ・火傷・皮膚病・不妊症・虚弱体質・捻挫などに効果が期待される。館内には飲用の温泉水も取り揃えており、消化器病・糖尿病・肝臓病・膀胱炎・尿酸結石などに効果がある。
ホームページにはお客様の声として湯治の体験談が多数紹介されており、湯治という観点から見るとかなりガチの効能が期待できる温泉である。
長万部町から八雲町まで太平洋沿いに走り、日本海方面に抜け、川沿いにあるという平田内温泉を探す。どうにか川沿いに温泉が湧き出している一か所を見つける。しかししっかり露天風呂として整備されている場所があると地元の方に教えてもらい、早速向かうどうでしょう班。そこであるトラブルに遭遇する。
どうやら変なババア先客が入っていたらしく、上がってくるまで待つことになった。温泉玉子を作って時間をつぶすも、一向に上がってこないため大泉が撮影交渉に向かう。交渉の内容は以下の通り。
大泉「こんなところに露天風呂があるんですねぇ」
先客「あるんですよ」
大「実は我々テレビなんですけども……
映さないのでテレビカメラ入ってきてもよろしいでしょうか?」
先「なにあなたテレビ持ってた人?
するとあれですか、我々に出てけってことですか?」
大「いや、そんなことはもう…」
先「だけどねえ、出てけってことだよねえ、それはねえ
せっかくの休日なのに」
大「そうですよね、まあねえ」
先「あと30分待ってください」
大「30分ですか?」
先「当たり前ですよね、そんなのねえ。私達だってねえ、
これからまだ洗うとこだってあるのにねえ」
すっかりご立腹の先客を待って30分後、ようやく温泉に浸かることができた。
どうでしょう班が入った温泉は平田内温泉の中でも「熊の湯」と呼ばれる温泉。
放送当時は不明だが、2020年現在は10月~3月は冬季のため閉鎖され入れない。
近辺には熊の湯と同じ源泉を引いている熊石ひらたない荘の「あわびの湯」がある。こちらは同じ源泉を屋内で入れるので一年中入れる。リウマチ性疾患、神経痛、腰痛、運動機能障害、慢性皮膚病、痔疾、五十肩などに効く効能があるという。
函館市内から30km東に向かい、半島の端までやってきたどうでしょう班。ここには目の前に海を一望できる温泉があるという。そして辿り着いた温泉は海を一望どころか波が打ち付けて海の水が温泉にざっぱ~んと入り込む光景を目の当たりにした。大泉は心臓マッサージを施しながら温泉に挑むのだった。
函館市内に戻ってきたどうでしょう班はその後、函館港より青函フェリーで青森に向かう事になる。例によってフェリー乗りは大泉に知らされなかった。
水無海浜温泉は無料で入れる温泉で、地域で運営している公共の温泉である。海の水が入り次第で湯加減が良くなったり、ぬるくなったりする。2004年に改修され、放送当時とは格段に整備された温泉となっている。
どうでしょう班が入った際は潮が満潮であったためにあんなことになってしまったが、干潮の場合であれば海の水が入ることなく穏やかに入浴できる。
フェリーに乗って青森県に上陸したどうでしょう班、八甲田山のふもとにあるという酸ヶ湯温泉へとやってきた。道中は街灯すらない道で、ライトオフにすると完全に真っ暗になってしまうほどであった。
この温泉の名物「まんじゅう蒸し」は「地中から噴き出している熱い蒸気の上に木箱が置いてあり、その上に腰掛ける」もので、冷え性や痔に効果があるものだという。「まんじゅうが蒸せるほどの蒸気を大泉さんの肛門にぶつける」ということである。
悪天候の中まんじゅう蒸しに到着し、早速闘痔に努めるものの、「あったかいベンチ」程度の熱気であり思っていたほどではなかったらしい。
酢ヶ湯温泉の本館及びまんじゅう蒸しは現在も営業中。
元々以下のような由来があったという。
およそ三百年前の貞享元年(1684年)、
横内(現青森市内)に住む狩人「小山内 佐ヱ門四郎」が鹿をしとめそこない、
その手負いの鹿を追って山へ入った。それから3日後に発見したが、
傷を負っていたはずの鹿があっという間に岩山を駆け上がり逃げ去ってしまった。
その俊敏さをみて不思議に思い、付近を探索したところ
温泉が湧いているのを見つけた。
その後、その温泉に薬効があることを知り「鹿の湯」と名づけ利用した。
酢ヶ湯温泉はその後、国内保養温泉地の第一号に認定され、長らく親しまれてきた。版画家の棟方志功もこの温泉を愛したと言われている。
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復 きりきず、やけど、慢性皮膚病、動脈硬化症、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症などに効果があると言われている。
まんじゅう蒸しの場所は無料で利用することができる。津軽で「まんじゅ」とは女性の大事な部分を意味しており、そちらを温めるという意味で親しまれていたようだ。
ついに恐山へとやってきたどうでしょう班。しかし入り口は固く閉ざされており、看板にこのような文言が記されていた。
当山は十月末日をもって閉山となりました。
閉山中境内での事故等の責任は一切負い兼ねますので
保安のため立入りを固く
禁じます。
尚、明年の開山は五月一日です。
恐山社務所
入ろうとしていた恐山温泉の道は閉山。ここで24時間の旅が事実上終了となった。
痔エンド
再編集版のどうでしょうclassicではこの後「サイコロの旅II」の前振りとなる大泉を「西城秀樹インタビュー」と偽って東京へ連れ出す流れとなる。
どうでしょう班が向かおうとした恐山温泉は「古滝の湯」「冷抜の湯」「薬師の湯」「花染の湯」の四種類があり、入山料を支払えば無料で入浴できる。温泉の穴場スポットではあるが、参道から普通に見えるのでふるまいに注意したい。
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最終更新:2024/04/24(水) 04:00
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