SCP-2932とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。シリーズハブ『プロジェクト・パラゴン』に属する。
| SCP-2932 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Thaumiel |
| 収容場所 | ペルー中東部 「El Sira共同保護区」 |
| 著者 | djkaktus |
| 作成日 | 2014年10月1日 |
| タグ | 地下 夜闇の子ら 植物 構造 樹木 生命 破壊不可能 |
| リンク | SCP-2932
|
| SCPテンプレート | |
SCP-2932はペルー中東部で発見された大規模な有機的構造体で、ざっくり言えば樹木・蔓・その他の植物でドームのような外装を持っているエリア。この周辺および内部はSCP-2932から伸びている発光性生物が照らしている。ドームに入ると、アーチ型の廊下と大きな複数の部屋が存在し、大きな空洞が地下にまで伸びていて、そこに無数のキャットウォークが走っている。そしてそこに、耐久性の高い植物の莢が壁を覆うように一面を埋め尽くしている。
ここまでなら異世界の植物でできた洞窟で終わりなのだが、この莢には植物でできた機械のようなものがそれぞれ取り付けられており、半透明のシリカ製タッチパネルが莢に対するインターフェースとして機能している。適切な遺伝情報を持つ個人のみロックを解錠できるようになっている。中央には、自身の体で監獄を構築した女神ティターニアが、施設維持のためにその心臓を捧げているとされ、その臓器はSCP-2932-2としてナンバリングされている。これは中空に浮かんでおり、SCP-2932のエネルギー源となっている。
莢の中にはどうやら多種多様な生物系アノマリーが閉じ込められているらしく、これが開いてしまうとある種の「収容違反」を起こす。つまるところ、莢はアノマリーにとっての「独房」なのだ。このため、財団は現地実体・カスパンとコンタクトを取り、共同で施設を管理している。このエリアに割当てられた機動部隊グザイ-9 ("看守団") はSCP-2932の公衆知識の抑制、接触した個人への記憶処理のほか、SCP-2932内部に存在しているとみられるEuclidないしKeterクラス相当実体の脱走時の封じ込めを主要任務としている。また、SCP-2932-2の修復も進められているようだ。大衆には表向きは自然保護区として説明している。
このエリアを作ったと主張するCaspanなる実体 (SCP-2932-A) がここに居住し、SCP-2932を管理している。このCaspanはSCP-6666でも「夢紡ぎカスパン」として言及される。なので以後は夢紡ぎカスパンと表現しよう。カスパンは2足歩行を行う6本足の人型実体であり (つまりカイリキーのような形だと思えば良い) 、胴体は2つの体節になっていて、卵のような頭には昆虫の複眼と脊椎動物の眼が1対ずつ計2対存在している。灰色の髪と棘が頭を覆い、鼻はモノを掴める様になっていて、背中には傷ついた昆虫のような羽が生えている。
自身の母語のほか、ケチュア語を話すことが出来、彼いわくここはある種の収容施設なのだという。もともとここの所有者はSCP-1000――ビッグフット (夜闇の子ら) であったというが、彼らの身に破滅が起きたことで施設は放棄され、残された職員も死んだり逃亡・消失することで荒廃していった。更にティターニアの心臓も弱ってきており、一部の莢は収容を継続できておらず、内部にいた危険な実体が放出されだしはじめているのだとか。
こんな情報をペラペラ喋ってくれるだけあり、カスパンは人間に (少なくとも財団職員に) 現在敵意はないもよう。財団職員を「友」とさえ呼んでいる。ビッグフットたちのために施設を作った協力者という立場ではあるが、あくまで彼本人がビッグフットではないからであろう (彼の種族については本記事のラストで述べよう) 。ただし、「なぜビッグフットは滅びたのか」という質問に対しては回答をせず、「無知なふりをするな。忘れたわけではないだろう」と回答している。
カスパンは内部の実体群について解説を行っている。そのうちの一部を抜粋しよう。
Epheliaは森に潜み、夜が来るたびにビッグフットを狩っていたという。夜闇の王の末子を殺害し、その王妃を誘い出すためにその体を乗っ取ったという。吐き気がする存在で、美しかったと評されるEpheliaは、独房に囚われて現在は表には出ていない。
人間ともビッグフットともことなる別の種族であり、どこから来たのかはカスパンも知らないようだ。少なくとも、カスパンとも同族ではないのかもしれない。
Yon-Kamurは空から落ちてきた黒い生き物で、ビッグフットたちからは「貪欲なる者」と呼ばれていたという。当初ビッグフットは彼ら夜行性の種族が信奉する神様であると考えていたが、すぐに違うことがわかった。Yon-Kamurはビッグフットを食い散らかし、なんとかビッグフットがSCP-2932につれてくるとカスパンたちのことも食い散らかそうとしたのだという。
ここに来て初の設備停止=収容違反しているアノマリー。ティターニアの檻に持ち込まれる実体は揃いも揃ってバケモノであるため、当然ながら捕縛した者は同族たるビッグフットたちから称賛と崇敬を集める。だからふつうであれば堂々とアピールしながらバケモノはここに持ち込まれるのだが、Mal-Va-Gar-Ta-Morはそうではなく、秘密裏にもちこまれ、捕獲者達はカスパンにも知らないほうがいいと話したという。
カスパンはMal-Va-Gar-Ta-Morが逃げ出したときのことを覚えており、「夜闇の子らは正しかった。世の中には知らないほうがいいこともある」と述べている。普段我々がSCP Foundationを読む上で「知らないほうがいいこと」とイメージするとすれば、認識災害、あるいはミーマチックエフェクトのたぐい (例を挙げるなら緋色の鳥やねこですなど) と思われるが……。
2021年に元記事への追記が行われた項目。その情報はここでは罫線以降に記してある。
カスパンいわく、このAdam El Asemは財団職員たち太陽の子、つまり人間であるのだとか。一目見るだけで物を作り出し、触れれば山は動き、川は枯れるというおそろしい能力者であったようだ。一方で、太陽の子でありながら、同じ太陽の子らからは嫌われていたという。まあ人間、同族間で相争うかなしい存在なので……。といっても、ビッグフットが栄えていた時代の人間なので、普通に考えれば寿命を迎えていて死んでいる――と考えるところである。
しかしこのAdam El Asemの独房に隣接して、カスパンは2つ別に独房をつくっていると話す。それらはいま現時点で使われておらず、またビッグフットも栄えていない現在、想定されているアノマリーが埋まるとは思っていない、とカスパンは述べている。ではそれはなんなのか?片方に関して「その歩みが荒廃をもたらすもの」とカスパンは述べている。
さて、SCP Foundationについて知る読者諸兄らならば、「歩みが荒廃をもたらすもの」でピンと来た方も多かろう。なんなら、キリスト教に詳しい者も。そう、SCP-073――カインである。そして、アダム、カインと来れば当然、もう一つの独房が何のために用意されているかは到底予想がつく。SCP-076-2――アベル以外考えようはないだろう。
なおこの収容房、財団がSCP-2932に最初に訪れた時はまだ閉まっていた。しかし、2015年に独房の入り口が崩壊した際に内部がはじめから空になっていたことが明らかになった。収容されていなかったのだ。これを知ったカスパンは空だったことを認めない上に確認のために独房を訪れることさえ拒否した。カスパンは明らかにこのAdam El Asemに恐怖している。
本報告書に掲載されたラストはこのFaeである――が、投獄日がいきなりかなり過去に遡っていることに気がついただろうか。つまるところこの設備ができてすぐにもう投獄されてしまった実体ということになるのだが、これについての説明はなんと一言しかないのだ。
それがこのコメントである。
お主らは、己が以前より暮らしとった者共を滅ぼしたのは、太陽の子らが初めてだと考えとるかの?
SCP-2932 - SCP財団
より,2022/11/07閲覧
太陽の子ら、つまり人間は「花の日 (Day of Flowers) 」にビッグフットを滅ぼし、地球のあらたな支配種となった。つまりビッグフット視点で見ればSK-クラス:支配シフトシナリオであり、ビッグフットはそれをやりなおそうとしている。
しかしカスパンはビッグフットとは同族ではない。その彼が淡々とこう語る裏には、「ビッグフットもまた、先の支配種を滅ぼして新たに支配種として君臨した」ことが分かろう。このFaeなのだが、実はリンク先がかの「[プロトコル4000-ESHUに基づき編集済]」に通じている。つまり、Faeが指すのは「妖精」である。
そう考えると、「ティターニアの檻」のコアとなっている心臓というのも不思議なものに感じられてくる。ティターニアはシェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢 (英:A Midsummer Night's Dream)』に登場する妖精の女神である。その妖精の女神がビッグフットに心臓を捧げ、その収容房に信奉者たる妖精たちを収容しているということになる。女神ティターニアの裏切りにより庇護下になくなった妖精がビッグフットに滅ぼされたということであろうか。後に人間がビッグフット、そして妖精たちにもそうしたように。
実は、SCP-6666 (魔性のヘクトールと恐怖のティターニア) において、妖精たちのインタビュー内でカスパンが妖精たちと同族であることが判明している。財団に名前を奪われなかった妖精だったのだ。しかし、いっぽうでカスパンはビッグフットに名前を奪われかけていたことが判明している。人間からもビッグフットからも妖精は名前を奪われ続けていたわけだ。
カスパンは名前を剥奪されない代わりに、彼らの敵対実体の収容施設を建設することを請け合った。そしてその施設には、ビッグフットに抵抗したカスパンの同族が収容されたわけである。
しかしここで気になることがある。SCP-6666のインタビューを見る限りカスパンは同族に恨まれているようでもなく、ただ同情的であること。つまりカスパンからしても同胞意識は強いであろうことは考えられ、そしてカスパンは人間がビッグフットを打ち倒したことも知っている。つまりカスパンは同胞を解放しても問題ないはずなのだ。しかし現に同胞たちは収容され続けている。何故だろうか?
この回答はSCP-6666で間接的にあかされている。SCP-6666では、なぜ妖精の神であるティターニアがビッグフット側についたのかも含め語られている。
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最終更新:2025/12/15(月) 17:00
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