イズジョーノキセキ(Izu Jo no Kiseki)とは、2017年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
概要
父エピファネイア、母キングダンサー、母父キングカメハメハという血統。
父はGI馬同士を掛け合わせた超良血GI馬であり、イズジョーノキセキは初年度産駒である。同じ2017年には三冠牝馬デアリングタクトを輩出している。
母は芝とダートで中距離を走り15戦1勝。イズジョーノキセキは3番目の産駒。
母父は皆さんご存じ変則二冠馬の大種牡馬である。
栗東・石坂公一厩舎所属。北海道新ひだか町・沖田哲夫氏の生産馬。馬主は泉一郎氏。
馬名は「馬主名より+人名より+奇跡」。その奇抜な名前からファンに親しまれていた。
主戦騎手はオーナーと深い関わりがある(後述)岩田康誠であるが、実際は鞍上がC.ルメール騎手などに乗り替わっていることも多い。
戦績
2歳~4歳
2019年6月30日、中京競馬場の2歳新馬戦(芝1600m)でデビューし6着。2戦目の阪神競馬場・2歳未勝利戦(芝1600m)で初勝利を収めた。
3歳シーズンはチューリップ賞(GII)より始動。10番人気と決して期待されていなかったが、後方2番手から上り最速の末脚を繰り出し、1着から0.3秒差の4着に入った。
ここからは条件戦と重賞を行ったり来たりすることになる。条件戦では切れ味の良い末脚を活かし勝利することもあったが、重賞では勝ちきれない日々が続く。
2021年の秋には和田竜二を乗せエリザベス女王杯(GI)に挑戦。ここで12番人気ながら5着に入りGI掲示板入りを果たす。この時の1着馬は10番人気の同期アカイイトであり、また掲示板圏内が全て重賞未勝利馬という超大荒れのレースとなった。
5歳
5歳シーズンは6月18日の垂水ステークス(3勝クラス、芝1800m)でシーズン初勝利を挙げると、その勢いのままに府中牝馬S(GII)へ挑戦。
この日は白毛のアイドルホース、ソダシが注目を集めており、ヴィクトリアマイルでのパフォーマンスから圧倒的1番人気に推されていた。一方イズジョーノキセキは見向きもされず12番人気に。しかしハイペースになった馬群の中で脚を貯めると、最終直線で鞍上の岩田康誠のゲキに応え、先行していたソダシを強襲! アタマ差で差し切った。まさかの結果に東京競馬場では悲鳴が上がったという。
ゴール後、岩田騎手は「後ろをついていったら必ず道が開けると思っていた。オーナーの期待に応えられて嬉しい」と語っている。また開業4年目でJRA重賞初勝利となった石坂公一調教師は恐縮したそぶりで、「アイドルホースを……。すいません」とインタビューに答えていた。
この勝利で優先出走権を得、次戦は堂々とエリザベス女王杯(GI)に挑戦。ここで岩田が斜行により2日間の騎乗停止処分となったため、C.ルメール騎手に乗り替わることになる。当日は道悪が凶と出たか、直線で伸びを欠き10着。
人気投票では上位に入れなかったが、賞金が足りたため有馬記念(GI)への出走が決まる。枠番発表では、栗東トレセンの生中継に、岩田がトナカイのかぶり物姿で登場。「(レース当日は)クリスマスなんで。昨日買ってきました」と場を和ませた。
枠番が発表されると岩田はガッツポーズ。1枠2番の好枠で勝利を狙うことに。
当日は13番人気とやはりいまいち期待されていなかったが、岩田は勝負に出た。府中牝馬Sよりも馬群で前目につけ、最終コーナーで他を突き放しにかかる。しかし前が詰まり、やや外を回ることになったため惜しくも4着となった。ただ人気薄から、同じエピファネイア産駒のエフフォーリアなど、そうそうたる面々を抑えての掲示板入りは、この馬の底力を物語るものであろう。
6歳
しかしヴィクトリアマイル(GI)での15着、エリザベス女王杯(GI)での8着などと大敗が続き、勝ち星は得られなかった。全てのレースで鞍上の岩田騎手はインタビューに悔しさをにじませる。
誰もが終わりか、と半ば諦める中、陣営は年内の引退をほのめかし、チャレンジカップ(GIII)を6歳最後のレースに選択する。
引退近い牝馬とあって、当日は9番人気。だが彼女は岩田騎手の激励に答え、最後の直線、内から根性の末脚を見せる。結果は久しぶりの馬券内である3着。名コンビの最後の輝きに、ファンは惜しみない賛辞を贈った。
12月6日に引退を発表。ファンに愛された競争生活に終止符を打った。
通算成績は30戦5勝。総獲得賞金は2億3710万7000円である。
泉オーナーと岩田騎手
オーナーの泉一郎氏は、岩田康誠騎手が園田所属の若手騎手だった頃から、彼の高い素質と真っすぐな人間性に惚れ込んできた。中央の馬主になって採用した勝負服は、岩田康が地方時代に着ていたデザインと同じ白地に青タスキ。これは岩田が園田所属の時の勝負服を失いたくなかったため、泉オーナーに勝負服を変えるよう頼んだからと言われている。レース後のインタビューでも真っ先にオーナーのことを口に出すことから、二人の絆は強いと伺える。
余談
たてがみを編み込んでいることがある。かわいい。
血統表
エピファネイア 2010 鹿毛 |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Key | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
シーザリオ 2002 青毛 |
スペシャルウィーク | *サンデーサイレンス | |
キャンペンガール | |||
*キロフプリミエール | Sadler's Wells | ||
Querida | |||
キングダンサー 2008 鹿毛 FNo.8-c |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
メインタイトル 1998 鹿毛 |
Rahy | Blushing Groom | |
Glorious Song | |||
*メインスルー | Slew o' Gold | ||
Main Prospect | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Seattle Slew 5×5(6.25%)、Halo 5×5(6.25%)
関連項目
関連リンク
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