サウジカップ(كأس السعودية Saudi Cup)とは、サウジアラビア王国のサウジアラビアジョッキークラブ(JCSA)がキングアブドゥルアジーズ競馬場で施行する国際招待競走である。施行条件はダート1800m(左回り)。国際格付けはG1(Group1)。サウジCという略称も用いられる。
賞金総額2000万USドル、1着賞金は1000万USドル[1]を誇る世界最高賞金レースである。また同日にはアンダーカードとして多数の重賞が開催されるため、この日をサウジカップデー、またはサウジカップナイトと呼称される。
開催地 | サウジアラビア王国リヤド市 |
主催者 | サウジアラビアジョッキークラブ(JCSA) |
距離・馬場 | 1800mダート |
格付け | 国際G1(Group1) |
賞金 | 賞金総額2000万USドル |
出走条件 | |
負担重量 |
歴史
- 2020年、サウジアラビアジョッキーズクラブによって創設される。
- 2021年よりサウジアラビアはIFHAによりパートⅡ国に認定され、2022年以降はサウジカップに国際G1、5つの国際競走に国際G3の格付けが認められた[2]。
- 2024年、ネオムターフカップ・1351ターフスプリントの国際G2への昇格・賞金増額や当日アンダーカード(インターナショナルH)追加などが実施。また、同年よりJRAによる日本国内での馬券発売が可能となった。
- 翌2025年、リヤドダートスプリント・レッドシーターフハンデキャップの国際G2への昇格・賞金増額(前者のみ)を実施。サウジカップの勝ち馬にはブリーダーズカップ・クラシックへの優先出走権が付与されるようになる[3]。
- 2026年は例年の施行時期がラマダンと被るため、開催を1週間前倒して行われる予定。
概要
サウジアラビア初の国際G1競走である。中東・アジアはもちろん、世界規模で見ても屈指の大レースの一つに数えられる。
メインレースの総賞金(1~10着)は2000万$(約31億円)、7つのアンダーカードも含めた総賞金は3350万$(約53億円)。これに加えて前日には国際騎手招待競走やAl Mneefah Cup(芝の純血アラブ競走)も開催されるが、これらの資金は全てサウジ王族(とスポンサー)持ちであり、オイルマネーの恐ろしさが実感できる。石油うめぇ。
この莫大な賞金によって世界各地から有力馬が集い、新設レースとしては一際高いレーティングを獲得。国際格付・番組企画諮問委員会(IRPAC)によって2022年以降の国際競走の格付けが行われた[4]。
サウジアラビアは厳格なイスラム国家なので、サウジ国内の馬券発売は無い。更に、サウジ国内では外国人であろうと騎手・調教師・その他競馬関係者の飲酒は禁止である。女性騎手の参加は可能だが、肌の過度な露出は控えるようお達しが出ている。
日本馬にとっては香港・ドバイに次ぐ遠征先として定着しつつあり、2022年には出走可能なアンダーカードがすべて制覇された。最後に残ったサウジカップは翌2023年にパンサラッサが制し、賞金1,000万ドルのサウジドリームを手にしている。なお、この年は他の日本馬も3・4・5着入賞、7位入線の大健闘で、結果的に日本勢がサウジカップデーの総賞金の57%を獲得した。
2025年はアンダーカードのネオムターフカップでシンエンペラー、1351ターフスプリントではアスコリピチェーノ、レッドシーターフハンデキャップでビザンチンドリームが勝利。メインレースのサウジカップでは坂井瑠星騎手が騎乗したフォーエバーヤングがロマンチックウォリアーとの一騎打ちを制した。レース前の謎アニメは一体・・・。
レース傾向
フルゲートは14頭。向こう正面、2コーナー終端部から引き込まれたシュートコースから発走し、およそ800mの長い直線を走ってから第3・第4コーナーを回り、約500mの最終直線に入る。日本で言えば盛岡競馬場開催のマイルチャンピオンシップ南部杯のようなコース体系である。
最初の直線が非常に長いため、枠順による有利不利はあまりない。更にワンターンの1800mコースということで、コーナリングが苦手な馬でも直線部分の好走が期待できる。一方で開幕からひた走る都合、コーナーまでの位置取り争いは熾烈になる。この展開に対応した上でスパートの持続力などが求められる。
キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートは松のウッドチップが含まれており、日本の砂ダートはもとより、アメリカの赤土ダート、それをそのまま移植したドバイのダートコースとも異なる特徴を持つ。ゆえに芝馬でも好走できる確率は高く、日本やアメリカのダート馬のみならず、欧州の芝馬までもが参戦するケースも存在する。
2024年以降は土が深くなり、ウッドチップがほとんど無くなったいう競馬関係者の証言から、アメリカ寄りのダートに変化したと思われる。
主な前哨戦
以下のレースの勝ち馬に優先出走権が与えられる(2025年)。
サウジカップデーに行われる競走
順 | 競走名 | 格 | 距離 | 条件 | 賞金総額 |
---|---|---|---|---|---|
1R | ジョッキークラブローカルハンデキャップ The Jockey Club Local Handicap |
- | ダート 1800m |
サウジアラビア調教馬のみ 4歳上 |
1,000,000米ドル |
2R | オハイヤアラビアンクラシック Obaiya Arabian Classic |
G1PA[5] | ダート 2000m |
純血アラブのみ 4歳上 |
2,000,000米ドル |
3R | サウジダービー The Saudi Derby |
G3 | ダート 1600m |
3歳 | 1,500,000米ドル |
4R | リヤドダートスプリント Riyadh Dirt Sprint |
G2 | ダート 1200m |
3歳上 | 2,00,000米ドル |
5R | サウジインターナショナルハンデキャップ The Saudi International Handicap |
- | 芝2100m | パートⅡ・パートⅢ開催国の調教馬のみ 4歳上 |
500,000米ドル |
6R | ネオムターフカップ The Neom Turf Cup |
G2 | 芝2100m | 4歳上 | 2,000,000米ドル |
7R | 1351ターフスプリント 1351 Turf Sprint |
G2 | 芝1351m | 4歳上 | 2,000,000米ドル |
8R | レッドシーターフハンデキャップ The RedSea Turf Handicap |
G2 | 芝3000m | 4歳上 ハンデキャップ |
2,500,000米ドル |
9R | サウジカップ The Saudi Cup |
G1 | ダート 1800m |
4歳上 | 20,000,000米ドル |
サウジカップの賞金
- 着順別賞金
歴代優勝馬
※注:第1回はマキシマムセキュリティが1着入線であったが、アメリカのレースでのドーピング騒動により、2024年8月に失格及び賞金権利の剥奪が確定した。
回数 (施行年) |
優勝馬(国旗は調教国) 日本語読み |
性齡 | 騎手 | 優勝馬の備考・受賞歴 |
---|---|---|---|---|
第1回![]() (2020年) |
![]() ミッドナイトビズー |
牝5 | S.アスムッセン | G1 2勝 '19年エクリプス賞(4歳以上牝馬) |
第2回![]() (2021年) |
![]() ミシュリフ |
牡5 | D.イーガン | ジョッケクルブ賞含めGI3勝 |
第3回 (2022年) |
![]() エンブレムロード |
牡5 | W.ラモス | キングファイサルC(沙GI)優勝 |
第4回 (2023年) |
![]() パンサラッサ |
牡6 | 吉田豊 | '22年ドバイターフ優勝 |
第5回 (2024年) |
![]() セニョールバスカドール |
牡6 | J.アルバラード | '24年ペガサスWC2着 |
第6回 (2025年) |
![]() フォーエバーヤング |
牡4 | 坂井瑠星 | '24サウジダービー、UAEダービー 東京大賞典など |
主な記録
レースレコードー1.49.099(第6回 フォーエバーヤング)
日本調教馬の成績(1着以外)
※注:第1回は1着入線のマキシマムセキュリティが失格となったため、6着・7着入線の日本馬2頭は5着・6着に繰り上がり。
回数 (施行年) |
![]() |
結果 |
---|---|---|
第1回 (2020年) |
ゴールドドリーム | 5着 |
クリソベリル | 6着 | |
第2回 (2021年) |
チュウワウィザード | 9着 |
第3回 (2022年) |
マルシュロレーヌ | 6着 |
テーオーケインズ | 8着 | |
第4回 (2023年) |
カフェファラオ | 3着 |
ジオグリフ | 4着 | |
クラウンプライド | 5着 | |
ジュンライトボルト | 7着 | |
ヴァンドギャルド | 11着 | |
第5回 (2024年) |
ウシュバテソーロ | 2着 |
デルマソトガケ | 5着 | |
クラウンプライド | 9着 | |
レモンポップ | 12着 | |
第6回 (2025年) |
ウシュバテソーロ | 3着 |
ウィルソンテソーロ | 4着 | |
ラムジェット | 6着 |
アンダーカードにおける日本の優勝馬
レース | 年 | 馬名 | 騎手 |
---|---|---|---|
ネオムターフカップ | 2022年 | オーソリティ | C.ルメール |
2025年 | シンエンペラー | 坂井瑠星 | |
1351ターフスプリント | 2022年 | ソングライン | C.ルメール |
2023年 | バスラットレオン | 坂井瑠星 | |
2025年 | アスコリピチェーノ | C.ルメール | |
レッドシーターフハンデキャップ | 2022年 | ステイフーリッシュ | C.ルメール |
2023年 | シルヴァーソニック | D.レーン | |
2025年 | ビザンチンドリーム | O.マーフィー | |
サウジダービー | 2020年[6] | フルフラット | 武豊 |
2021年 | ピンクカメハメハ | 戸崎圭太 | |
2024年 | フォーエバーヤング | 坂井瑠星 | |
リヤドダートスプリント | 2021年 | コパノキッキング | W.ビュイック |
2022年 | ダンシングプリンス | C.ルメール | |
2024年 | リメイク | 川田将雅 |
優先出走権が得られる日本のレース
- サウジカップ
- ネオムターフカップ
- 1351ターフスプリント
- リヤドダートスプリント
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *JRAは年始にフランスギャロが更新するレートで換算(25年は1ドル=約157.02円。参考、24年は1ドル=約141.40円)
- *2022 International Cataloguing Standards Book
- *https://x.com/TheSaudiCup/status/1893231523303743813 2025年2月27日閲覧
- *JRA Van ver.world
- *国際アラブ競馬連盟による格付
- *当時の名称は「サンバサウジダービーカップ」
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