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エイ女房(鱏女房)とは、南西諸島を中心に伝わる日本の民話・伝承のひとつ。
おはなし
昔むかし、ある島に住む漁師の男が一人で沖合に船を出していた時のこと。
漁師の網に、見事な大きさのメスのエイがかかった。これは大物だとエイをじっくり眺めると、その口がぱくぱくと動き、何かを訴えているように見える。じっと見つめているうちに、男にはこのエイが囚われた乙女かのように思えてきて、たまらなくなってしまった。
男は、エイを仰向けに寝かせ、交合に及んだ。
事が済んだ後、男は一時のこととはいえ情を通じたこのエイを獲物として持ち帰るに忍びなく、生かしたままそっと海へ帰してやった。それから一年ほどが経ったある日。男がいつものように漁に出ていると、「お父さん、お父さん」という声が聞こえる。はて、こんな海の真ん中で人の声が聞こえる訳はないが、と訝しんでいると、なんと一匹の若いエイが海面に顔を出して、人の言葉を話しているのだった。
「お父さん、私はあなたの息子です。お母さんが呼んでいます、ぜひ私と一緒に来てください」とそのエイは言う。なんと、それではお前はあの時に情を結んだエイの産んだ子か。男は大変に驚き、エイに誘われるままに海へと潜り、海中の竜宮へと案内された。美しい竜宮には、あの時のメスのエイが待っていた。男は見たこともないような豪華で珍しい料理でもてなされ、大変に楽しい時を過ごしたが、島には人間の妻や家族が待っている。もう、帰らねばならない、男はエイの妻子に別れを告げ、人間の世界へと戻った。
ここまでは大体の伝承で同じような流れだが、話の後半は色々なパターンがあるようだ。
(例1)
男は竜宮からの土産に、「何でも望みの食べ物が出てくる壺」をもらった。
だが、「エイと密通して子作りをした」などと妻に明かすわけにはいかない。男は一人で漁に出た時だけ壺を使い、思うままのご馳走を食して満足していた。一方妻は、漁師の夫が弁当にほとんど手をつけずに帰ってくることを訝しんだ。
ある日、妻は夫の後をこっそりとつけてみると、夫は浜辺で謎の壺から大量のご馳走を取り出しているではないか。驚いた妻は大声を上げ、慌てた男はとっさに用水路に壺を隠した。だが、そのまま壺の行方はわからなくなってしまい、今でもどこにあるのかわからない。(例2)
竜宮から帰った後、男の身体に異変が起こった。なんと、陰茎が男の言葉をくり返してしゃべるようになってしまったのだ。困り果てた男が村一番の物知りの老婆に相談すると、「再び動物と交合すれば、呪いから逃れることができる」という。男は村人に協力してもらい、雌牛を押さえつけてもらっている間に背後から犯した。
こうして男は呪いから逃れられたが、今度は雌牛の尻が鳴き声に合わせてモーモーと鳴くようになってしまった。雌牛は驚き、あちこちの木や岩に尻をこすりつけて回った。今でも山に大声で呼びかけるとこだまを返してくるのは、この呪いが山に移ったからなのだとさ。
概要
上記の内容の通り、「漁師が大きなメスのエイを釣り上げたが、そのエイに欲情してセックスに至り、子ができた」という驚愕の展開から始まる民話。
人ならざる存在(が人間に化けた姿)と結婚する・子をなす、という話自体は「異類婚姻譚」と呼ばれる物語類型で、世界中に例がある。日本でも「鶴の恩返し」や「葛の葉狐」等でよく知られ、動物ならまだしも妻の正体は妖怪変化でした…というホラーな所だと「雪女」や「二口女」など。
「エイ女房」は、この異類婚姻譚に、海中深くには竜神・海神の住む都が存在するという竜宮伝説を組み合わせたような物語であり、民話の型としてはごく普通のものである。
だが、これらの話の大半は、人間に化けていた相手と結ばれたという内容である。一方「エイ女房」はそのまんまのエイとヤっている(冒頭のお絵カキコは可愛らしく擬人化されたもの)。
これは「エイのアソコは人間のおま○こを上回る名器であり、昔の漁師がオ○ホに使っていたという」との、昔の性事情にまつわる伝承に基づいた民話なのだ。
エイの(一部18禁な)利用文化
日本近海で最もよく見られるエイの一種であるアカエイ[1]は、古来より日本人とのつながりが深い。
底引き網などにもよくかかり邪魔な外道扱いされがちだが、中には幅1mを超える大物もいるため趣味の釣りで狙われることもある。
尾に危険な毒針を持っているので注意が必要だが、釣り上げたら針を除去さえしてしまえば食用になる。サメと同類なので肉の傷みが早く、鮮度が落ちるとすぐアンモニア臭くなってしまうが、新鮮なアカエイの肉ならば刺身や湯引き、唐揚げ・ムニエル・煮付け・煮こごりなどいろいろな料理で食べられ、おつまみのエイヒレの素材にもなる。
日本では縄文時代から食べられており、エイの毒針を矢尻に用い毒矢とした痕跡も出土している。
また、エイの腹側の「顔」はかわいいと人気があり(腹側の、目のように見えるものは実際には鼻の孔だが)、アカエイは補給も簡単なので日本全国の水族館でお客を楽しませている。
エイ女房に登場する漁師も、エイの「顔」を見ているうちに情が湧いたのかもしれない。
エイの総排出腔
ここでアカエイの腹側、尾の付け根にある総排出腔(人の肛門と膣口のように穴が分かれておらず、排泄も出産[2]も1つの穴から行う)を見てみよう。オスのアカエイには、総排出腔の左右に1本ずつクラスパー(要はチ○コ[3])が生えているが、メスにはそれがないので素人にも性別の見分けは簡単である。
そして、クラスパーのついていない、アカエイのメスのつるつるの総排出腔は外見も縦スジだが、中はあるいは人間の女性をも上回るようないい具合の名器、なのだとか。
このためアカエイには「傾城魚」(傾城とは、その色香で人を惑わせ一国一城をも傾けるほどの美女のたとえ)の別名すらある。
なぜエイが名器か。
人間の場合、小腸と大腸を合わせた長さは7~8mと身長の数倍にも及ぶが、一方サメやエイの腸は太く短く、そして腸の内部に螺旋形などのヒダを密生させている。これは、長い腸を持てない代わりに内部にヒダを形成することで食物を腸に留めやすくするとともに、腸の表面積を増大させて効率的に栄養吸収を行うための構造だと考えられている。
このヒダヒダが、まるで超構造のオナホのように男根に絡みつき、人間の膣では味わえない快感をもたらすのだとか……。
また一部のサメやエイは、ときどき総排出腔から腸を裏返して体外に露出させ、ヒダの間に溜まった残留物を水中で洗い落とす「腸洗い」という行動を取ることが観察されている。つまりオナホを裏返して洗浄…
エイの春画
この驚愕すべき「エイ姦」を春画に描いて現代に伝えた艶本(えんぽん・えほん、要は江戸時代版エロ本)がある。画:勝川春英、寛政元年(1789年)板行の『御覧男女姿』。その第二冊にエイと行為に及ぶ漁師の絵が描かれている。
江戸時代の異種姦モノというと、葛飾北…鉄棒ぬらぬら作の「蛸と海女」がとみに有名だが、こちらも負けず劣らずのインパクトを発揮している。
国立の研究機関である国際日本文化研究センター(日文研)が、所蔵する艶本をデータベースで公開しており、そちらで我々も江戸時代の貴重な史料に触れることができる。
関連項目
脚注
- *伝承によっては、アカエイではなく南洋性のイトマキエイが登場する場合もある。
- *アカエイのメスは体内で卵を孵化させ、ある程度の大きさに生育してから出産を行う。
- *ただし、人間のペニスとは異なり排尿には使わず、生殖専用の器官。左右に1本ずつあるのは、エイはオス・メスが左右に並んで泳ぎながら交接するため、メスがオスの左右どちらに来てもスムーズに繋がれるようにだと考えられている。
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