2014年12月20日土曜日に発生した、東京駅開業100周年という本当に記念すべき記念日なのに、JR東日本がこれを祝うために発売した「東京駅開業100周年記念Suica」の発売時にJR東日本側の不手際と、一部購入者の劣悪なマナーによって起きてしまった、せっかくの記念日が台無しになってしまった暴動事件である。
暴動勃発前
東京駅100周年の簡単な歴史を見たい方はコチラへ。(ニコニコ大百科-東京駅)
JR東日本は上記のページにもある通り、苦難を乗り越えて営業し続けた東京駅が100周年を迎えることを記念し、「東京駅開業100周年記念Suica」限定15,000枚を100周年記念当日の12月20日に丸の内南口で販売することを決定した。これは、購入希望者は5,000人と見積もり、購入制限である3枚ずつ買えば即日完売となる計算であった。
また、窓口に社員10人を配置、状況にあわせて30人を動かす予定だった。徹夜行為はパンフレットにて禁止を告知していた。このような準備をしたのは、JR側は2012年12月に丸の内駅舎復元の記念の入場券を同じ南口で計1万2000セットを販売、約7時間で完売し何も問題が起きなかったからだ。[1]
そもそも「東京駅開業100周年記念Suica」とは、芸術系高校で絵画を勉強した女性車掌が丸の内駅舎を書いたSuicaである。一枚2,000円で、販売告知以降インターネット上で話題となった。通常のSuicaとは絵柄が違うだけで、機能としては通常Suicaとはかわらないコレクションアイテムである。
しかし、東京駅はターミナル駅として建設されたので、当たり前だがアクセスにとても優れており、何か大きいイベントを行うと大勢の人々が集まってしまい大変なことになってしまう場合がある。
そして、今回の限定Suica販売も上の2例に漏れずやはり多くの鉄道ファンが集まり、前日から購入のために集まる「徹夜組」が多くおり、JR東日本側は徹夜行為を禁止していたにも関わらず、当日は朝から少なくとも9,000人以上[4]の人出で大混雑なってしまい、
当初は午前8時から発売予定だったものを、大幅に繰り上げて7時14分から発売を開始した。
下の動画は、当日の人出を撮影したものである。丸の内南口から線路を挟んだ反対側の八重洲側まで行列が出来ているのが見られる。
勿論JR側も駅員を通常より増やして対応していたが、しかしそれでも、1万人近い人が集まってしまった以上何をしてもこの混雑は解消されず、時間が経つに連れてどんどん混雑は増すばかり。勿論駅なので、記念Suica目当てではない一般のお客さんも大勢おり、混雑はますます混迷を極めていく。
最後には対応する社員を100人まで増やしたが、これ以上混雑すると通常の駅の業務を続けられなくなってしまう。そして、午前9時40分、JR東日本は記念Suicaの販売を中止することを決断した。この時、警視庁は丸の内駅署員らの派遣をした。
しかし、それが暴動の始まりとなってしまった……
暴動勃発!!
当日、買えるのは1人3枚までとなっており、販売中止時点までで8,090枚が売れたそうである。
1人1枚づつ買っていたとしたら、販売時点での人数から考えておそらく訪れた大多数の人は買える枚数である。
しかしながら限定品というものは、限定だからこそ価値が高いものであり、1枚2,000円という値段の安さが相まって、恐らく購入した人の大多数が複数枚購入したのだろう。実際、後々記述するが大手オークションサイトなどで記念Suicaを転売している例が多数見受けられた。ということは、大多数の人々が手に入れることができず販売が終了されてしまったことになる。当然列の後ろにいた人々(始発組)は突然の販売終了に怒る。しかし、当日は大混雑の中。情報も錯綜し、混乱も拡大。
怒りは一気に爆発し、暴動化。購入できなかった一部の購入者が駅員に詰め寄る事態となってしまった。
以下、その暴動を捉えた映像である。(関連動画も参照)
暴動は、打ち切りによって一部の購入できなかった購入者が駅員に詰め寄るところからはじまり、販売を終了したブースには人が多数押し寄せ、中には東京駅の模型・展示品を破壊しだす一部の過激な購入者も現れた。
さらには駅長室にも一部の購入者が抗議をしに集まり始める事態となった。
JR側も中止した理由を購入者側に説明するものの、暴動は収まらず、2時間以上続いたようである。
この騒動がすぐに収まらず長く続いたことによって、各テレビ局のお昼のニュースでは丸の内南口での暴動が、土曜日の昼間というまったりな時間を過ごしているお茶の間に向かって映し出される事態になってしまった。
暴動の原因・双方の問題点
今回の暴動事件は、JR側と購入者側、双方に不備・問題点があったため発生してしまったと言える。
以下にその双方の問題点を上げる。
JR側の不備
JR側の不備としては、
の3点が挙げられる。
当日実際当時現場にいた人の証言によると[5]、徹夜行為は本来は禁止しているのにも関わらず徹夜組は取り締まりどころか地下に案内しているのに対し、普通に並んだ始発組は放置している。しかしこれには理由があり、ルール違反しているはずの徹夜組に何かトラブルがあっても、運営側の責任が問われかねないからである。詳しくは「徹夜組」の記事を参照のこと。
その後、取り締まられるべきだったはずの徹夜組がある程度購入し終わった所で、販売打ち切り。これでは、ルールを守ったはずの始発組が購入できず、ルールを破った徹夜組が購入できた、
というもはや"理不尽な逆転"が起きてしまった。ルールを守った始発組がこの理不尽に激怒。これが暴動事件に発展してしまった。
その他、社会心理学者の木下富雄・京大名誉教授によれば、群衆警備の成否は想定と計画で大方決まる。証言者によれば複数の列、見えない最後尾だったという。列を整理するJR職員を見ることもなかったという。その状況下で列が進んでいると実感できず、「本当に手に入るのか」と不安になっても仕方がない。徹夜組も想定に入れておくべきだったであろう。
そのため整理券を配布や販売状況のアナウンスをして、不安を取り除くようにしておけば今回のような混乱を防げたとも考えることができ、JR側にも責任があると言える。
購入者側の問題点
購入者側の問題点としては、
の3点が大きい。
1番については前述の証言からも当日は数百人程度いたとされ、JR側の不備でも挙げた通り、そもそも徹夜行為をしなければこの問題は起こらなかった。
2番についてもここは駅員の指示に従って撤収すればよかったものを、怒りに身を任せて暴動を起こし、混乱を拡大してしまったことについては前述の理不尽性があったとしてもやはり購入者側にもある程度の非があったといえる。
3番については、2番の行為をエスカレートさせて一部の購入者側が展示物を破壊したことに関してだが、理不尽性に抗議するのと、物品を破壊するのは話が別である。
上の動画にも、購入者側が東京駅の模型等を破壊しているのが見受けられる。
その後
やはり、というべきなのだろうか。暴動終了後、オークションサイトではその記念Suicaを手に入れた転売ヤーが大量出品。中には本来の価格の50倍に当たる10万円以上の値段がついたものもあったそうだ。[6]
さらにその中には99億9999万9999円というトンデモ金額のものまであったそうだが[7]……
このような状況の中、JR東日本は暴動発生から2日後の22日に、2015年1月下旬から2週間程度申込期間を設けて、インターネットまたは郵送にて1人3枚まで希望者全員にSuicaを2,000円で販売することを発表した。[8]
「転売厨m9(^Д^)プギャー」
そもそもはじめからこうしておけばこの暴動事件は起きなかったのに………
さらに翌23日は、東京ヤクルトスワローズの通称つば九郎こと畜生ペンギンに、
「げんてい すいかは うってません!!」
とネタにされてしまった。スワローズの前のオーナー会社すら弄ってしまうとは、やはり畜生である。[9]
今年はキセキの世代2014が大きく世間に注目された年になってしまったが、この事件の暴動を起こした側もこのキセキの世代2014入りしてしまったのは本当に悲しいばかりである。
当日は、当時の政府が威信をかけて作り上げた東京駅の100周年記念日であり、その記念日を台無しにする今回のような事件が起きてしまったことは、忘れてはならない。
暴動関連動画
風刺動画
関連項目
- 東京駅
- Suica
- 想定外
- 徹夜組
- 転売厨
- トンキン
- 物売るっていうレベルじゃねぇぞ!
- キセキの世代2014
- 鉄道罵声大会シリーズ
- 0円ダイヤ - 2009年に銀座の宝飾店・モーブッサンで発生した類似事案
脚注
- *記念スイカ なぜ混乱(朝日新聞)
- *東京駅で男性線路に転落 はやぶさ、初日から遅れ(日本経済新聞)
- *東京駅赤れんが駅舎彩る光のショー 急きょ中止、観客あふれ危険(スポニチアネックス)
- *東京駅100周年記念スイカ販売で大混乱、東京駅100周年スイカ、9000人行列で大混乱!2時間半で販売中止(共にスポーツ報知)
- *東京駅「記念Suica」暴動レポート(Hagex-day.info)
- *「東京駅Suica」限定販売じゃなくなった!ネット高値落札はキャンセルできるか?(BLOGOS)
- *東京駅開業100周年記念Suica、ネットオークションで99億円の大暴騰!?(Aol news)
- *「東京駅開業100周年記念Suica」の今後の発売について(JR東日本ホームページ)
- *ヤクルトの前は、産経新聞(サンケイアトムズ)、更にその前が国鉄スワローズだった(ただし、当時の国鉄が直接運営していたわけではない。詳しくは該当記事参照)。
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