概要
「無人在来線爆弾」とは、2016年公開の映画『シン・ゴジラ』に登場した現実的ロマン兵器であり、本映画のパワーワードである。この記事では同様の兵器である「無人新幹線爆弾」についても記載する。
これが無人在来線爆弾だ!
(クリックまたはタップで展開)この項目は、下記に本作のネタバレを含んでいます。未鑑賞の方はご注意ください。
血液凝固剤の経口投与によるゴジラの生命活動凍結を狙う日本政府の最終作戦「ヤシオリ作戦」に投入された特殊兵器。
作戦の第一段階として、東京駅中心部にて活動停止中のゴジラを目覚めさせるための陽動としてJR東海の所有するN700系新幹線電車2編成が投入された。
のテロップと共に新幹線2編成が高速で東京駅16番線と18番線に進入し、ゴジラに突っ込んで自爆。このシーンには多くの観客が度肝を抜かれる事となった。そして無人新幹線爆弾による陽動成功から、ヤシオリ作戦は犠牲を出しながらも最終段階まで成功を収め、ゴジラに一定量の血液凝固剤を投与する。
投与後再び暴れるゴジラだったが、度重なる熱線の使用と血液凝固剤の投与により動きが鈍っており、そこへ更に血液凝固剤を投与させるため、陸上自衛隊第32普通科連隊長丹波一佐の号令のもと投入させたのが上記赤字の台詞にある「無人在来線爆弾」である。
使用された車輌はJR東日本が所有するE231系電車とE233系電車でいずれも中央快速線、山手線、京浜東北線、東海道本線の塗装が施された首都圏通勤用の一般形電車十数編成が新橋・神田両方面から猛スピードで並走しながらゴジラに突入!爆風で浮きあがった電車がさながらチェーンマインの如くゴジラに絡みつき自爆していく姿はまさに圧巻であった。
これら無人在来線爆弾の爆発の後につづくヤシオリ作戦の成否は是非とも劇場でご覧になってほしい。
限定的な条件の下でしか使えないとはいえ、別に軍用でも何でもないただの列車を対怪獣用の兵器に転用するという斬新すぎる利用方法に加え、その登場時の「無人在来線爆弾」という身も蓋もないが実に分かりやすく語呂の良い明朝体の説明テロップの表記、そして都民には馴染み深い鉄道車両が次々にゴジラの足元に突っ込んでは盛大に爆発していく様は本作を見ていた観客に大きなインパクトを与えた。
確かに奇抜ではあるが、別にオーバーテクノロジーを使った理屈不要の超兵器とかそういうわけではなく、現実にある東京都民の生活を支える乗り物達をクライマックスの最終作戦で効果的に利用したこの無人在来線爆弾の存在は“現実の日本vs架空の怪物”を体現する正に“発想の勝利”として本作を見た人の話題となったのであった。
余談
- ゴジラ映画において鉄道車両は被害の象徴として描かれており、初代の1954年の『ゴジラ』では品川付近にてEF58が牽引する旅客列車を踏みつぶし、樋口監督も参加していた1984年の『ゴジラ』においても0系新幹線電車が品川付近でゴジラによって甚大な被害を被っている。こうしたゴジラ映画の歴史がある上で、本作の「今まで怪獣特撮映画で虐げられてきた鉄道車両のリベンジ」とも思えるシーンに多くのゴジラファンが感嘆した(なおシン・ゴジラでも京浜急行の車輌がゴジラの被害に遭っている)。
- 一見突拍子のない秘密兵器に思えるが、高度一万メートル上空の飛行物体も照準可能なゴジラの熱線を避けて、かつ数十tも満載した爆薬を高速で突入可能であるため、理に適っているというファンの考察もある。
- ヤシオリ作戦の発動前の作戦会議にて陸上自衛隊の幕僚が「無人在来線爆弾」のことを指してると思われる鉄道架線の修理と車輌の改造、隊員による遠隔操作の訓練、爆弾の設置の完了に関する発言があるため、完全なサプライズ登場というわけではない。
また、この作戦会議の後に雨が降るなか上野方面の在来線線路から東京駅で休眠しているゴジラを望むという意味深な構図のカットが挿入されている。 - 樋口監督は公開前の雑誌インタビューにて、本作の最終決戦の突拍子もない展開の中で「無人在来線爆弾」の単語を明かしていた。
- 「無人新幹線爆弾」は庵野監督のお気に入り映画のひとつである「新幹線大爆破」もインスパイア元の一つであるとファンからは囁かれている。
- 「無人在来線爆弾」のパワーワードに比べて『宇宙大戦争』のマーチと共に作戦の最初に投入された「無人新幹線爆弾」の影が薄くなっているが、これは劇中で登場するテロップに「無人新幹線爆弾」の記載がなく、陸自隊員が作戦報告時に「無人新幹線爆弾、効果アリ!」とチラっと読み上げるだけであったのも一因なのかもしれない。
関連動画
関連静画
関連項目
「礼はいりません、仕事ですから」
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 28
- 0pt