転生したからナポレオンを討ち倒したいとは、八咫ハルトによる小説である。小説家になろうにおいて連載している。書籍版の副題として「皇帝と~英国紳士とフランス革命戦争~」が付記されている。
概要
2019年3月5日にKADOKAWAの「L-エンタメ小説」シリーズレーベルよりB6版の新書サイズで書籍化されて発売された。書籍版のイラストは流刑地アンドロメダが担当している。
現代の日本人の16歳の少年で不治の病に侵され未練を残し亡くなった高橋黎一が1780年の英国の紳士階級のアルフォード家の次男のレイ・アルフォードに生まれ変わり、陸軍に入隊し名誉や出世を目指して活躍していくストーリーとなっている。ライバルとしタイトルの通りフランスの皇帝ナポレオンにも副主人公としての位置が設定されており、少年期から内面を含め綿密に描かれレイと最終的に交錯する。
あらすじ
世はアメリカ独立戦争渦巻く1780年、英国の紳士階級(従騎士)家であるアルファード家の次男レイは病気で生死の境を迷っていた。レイが目覚めると自分に黎一の記憶や知識があることに気づく。
父親に部下に企業を設立することを命じ、アイデアと事業資金出資することによってアルファード家は準男爵にまで上り詰めた。
レイはストラスブール士官学校に歩兵科として留学&入校したが1年数ヶ月後、英国陸軍に入隊する。
登場人物
アルフォード家
- レイ・アルフォード/高橋黎一(たかはし れいいち)
- 大英帝国のイングランド・ウィルトシャー州の地方領主(従騎士・紳士階級)アルファード家の次男(第3子)。1776年生まれ。4歳時に腸閉塞で生死の境をさまようも、気づいたときには高橋黎一の人格と記憶が上書きされていた。前世では、病院でほぼ人生を過ごし学校にも行ったことがなく不治の病で死亡したため、名誉や歴史で名前を刻むことを志し、そのためにはナポレオンを打ち倒すような目標を立てる。
- 父であるヘンリーに自身の出来事を打ち明けて缶詰や瓶詰め未来の知識や大規模火山による自然災害、戦争の結果などの出来事を父に提供する。フランス・オーストリア国境のストラスブールの士官学校の歩兵科に入校する。単位を取得したため繰り上げ卒業した後は英国に戻り王立陸軍に入隊し、少尉に任官される。売官制を利用して中隊長兼大尉に昇進した際には連隊長と交渉して軽歩兵中隊の設立を認められた。
前哨戦の初陣で勝利し、その後の本戦での勝利をつかの間砲兵陣地の窮地の救援に向かい損耗するも救援に成功した。しかしその後補給線が伸び切ったダンケルク包囲戦での連合軍の手痛い敗北の際に撤退路を作るためレイが策を打ったところ、ナポレオンと対峙することになる。 - イヴ・エイムズ
- アルフォード家の領地の教区の司教エイムズの養女(司教にとっては妹の娘で姪にあたる)。レイとは同年代。レイが教会に赴いた際に知り合い、イヴの信仰に共感を覚え友人の仲になりティナと仲良くなる。レイがフランスに遠征する際にレイから懐中時計を贈られた。
- イザベラ・アルフォード
- アルフォード家の長女(第2子)で1771年生まれでレイより5歳年上。聡い女性でレイやヘンリーの会話にもついていけるほど。ピアノが得意で演奏している場面が多い。レイに対して皮肉なセリフをつぶやいて母に呆れられる面をもつ。レイが4歳の頃から性格が変わったことに疑問を持つ一人。恵まれた容姿をもつ美人だが、10代後半になって以降にアルフォード家と釣り合う男性を結婚相手として探すことになった際、なかなか結婚に結びつかなくなってしまう。
- エミリア・アルフォード
- レイの母親。レイとは違い金髪のウェーブ髪で優しい顔立ちをしている。レイが瀕死に陥った際は近くで看病していた。
- ヘンリー・アルフォード
- アルフォード家の当主でレイの父親。レイの言葉に耳を傾け秘書に瓶詰め・缶詰工場を建てさせ出資することにより巨万の富を得る。後に准男爵と世襲貴族になってからは土地購入に精を出して勢力を拡大させていく。レイが生き急いでいることを親として心配する顔も見せる。
- フレッド
- ヘンリーと同年代の男性秘書だったがヘンリーの施策で瓶詰めのアイデアと資金を提供され独立して瓶詰め会社の経営者となる。その後紡績工場などヘンリーの助言をもとに事業を拡大していく。
- ロイ・アルフォード
- アルフォード家の嫡男で1770年生まれでレイより6歳年上。ボーディングスクールに通ったあとウェストミンスターのパブリックスクールに通ったあと1789年にはケンブリッジ大学を卒業した。グランドツアーでは欧州各地を周り帰国したがフランス革命の影響からは辛くも逃れた。
- ティナ・アルフォード
- レイの1歳年下の妹(第4子)で1777年生まれ。イヴと仲が良く、ゴシック小説を一緒に読み合うほど。
英国
- コリー・エイムズ
- アルフォード家の領地の教区の司教。火山災害による影響を最小限に抑え、教会を大きく改築し物資を格安で提供したフレッドとその後ろ盾のヘンリーを称賛した。
- イヴ・エイムズ
- アルフォード家の領地の教区の司教エイムズの養女(司教にとっては妹の娘で姪にあたる)。レイとは同年代。レイが教会に赴いた際に知り合い、イヴの信仰に共感を覚え友人の仲になりティナと仲良くなる。レイがフランスに遠征する際にレイから懐中時計を贈られた。
- イアン・アスカム
- 元英国王立陸軍元曹長でレイの小銃教練を担当する家庭教師。熟練兵で七年戦争とアメリカ独立戦争に参戦経験があったが、深い怪我がもとで傷痍軍人となり退役せざるを得なくなったがアルフォード家に雇われた。通常マスケット銃を分速3発のところ、分速5発を発射することができる。レイに銃や戦法など様々な実践的な事柄を教えた。
- エゼキエル・ベイカー
- 新式ライフル銃「ベイカー銃」を作成した銃職人。ロンドンのホワイトチャペルからアルフォード家の領地に、開発資金や権利・設備投資などを条件として招聘することによって史実の1800年より8年早い1792年にベイカー銃が完成することになる。
- ボネット夫人
- ヘンリー・アルフォードの妹で、レイからみれば叔母にあたる。イザベラがバースに婚活に赴く際にコーディネートを取り仕切った。
- パトリック・ボネット
- ボネット夫人の息子でレイからすれば従兄弟にあたる。アルフォード家と同じく紳士階級の家柄。レイと同じく陸軍に進み第53歩兵連隊付に配属された際に少尉として任官された。フランス革命戦争時の英国参戦時には中尉に任官している。
- フィル・レヴィンズ
- ハンプシャー州西部に領地をもつ地方領主の四男でストラスブール士官学校にレイと同期に入校した生徒。人柄が良く似た境遇を持つためレイと仲が良く街で食べに歩くなど一緒に過ごすことが多かった。
- ローランド・ヒル
- 英国陸軍少尉だが、レイやフィルの1年後にストラスブール士官学校に入学してきた学生。史実での英国陸軍史の中で英雄であるレイは彼がローランドとわかってきたときには舞い上がってしまうほど。レイとフィルと打ち解けた後は、よく食事するようになり政治談義をするようになる。
- ラルフ・アバークロンビー
- 英国陸軍の少将でフランダース遠征軍旅団長。レイが苦境に陥っている友軍の英国陸軍砲兵陣地を救援するため、戦闘に参加することによりフランス軍の砲兵隊を撃退し救援を完遂したことをレイと所属部隊を称賛する。後の英国陸軍史の中の英傑の一人。
- クーパー
- 英国陸軍大尉で榴弾兵中隊の中隊長でレイより先任の大尉。ダンケルク攻囲戦での決断力と判断力があるレイに撤退の判断を任せた。
フランス
- ナポレオン・ボナパルト
- コルシカ島貴族ボナパルト家の長男。貴族といってもコルシカ島の陪席判事の職しか権利はなく、自身も含め10人の兄弟姉妹がいるため養うためにフランス本国で軍隊に入隊しつつ様々な工作を行っていた。フランス革命の混乱もありコルシカ島から追放された後はフランス本国で暮らすことになる。
- 歴史の本来の線ではナポレオンは南方で戦闘していたが、今作では英国の経済力や技術の振興の効果により英国連合軍が優勢であったため、戦力を補うために北方戦域に呼び寄せられた。そしてそこでレイが裏工作をしているのを看破し、レイと対峙することになる。
- シリル・ド・セリニー
- フランス共和国第十六連隊第二大隊所属の中尉。貴族階級出身で家族は革命の際に皆殺しにされ、軍にいた自分だけが生き残っている。そのためフランス共和国に愛想が付きており、レイたちの攻撃が的確でもあってシリルが降伏した際、レイたちにフランス革命の醜悪さを説いた。
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関連項目
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