アニマルキングダム(Animal Kingdom)とは2008年アメリカ生まれ・アメリカ調教の競走馬。
明らかな芝血統なのに芝・ダート・オールウェザー無関係で走ったワンダーホース。
名前は英語で「動物界」を意味し、同名の映画や動物園、アミューズメント施設がある。
父Leroidesanimaux、母*ダリシア、母父Acatenangoという血統。これが面白いんだ。
父「ルロワデザニモー」はブラジル生まれの競走馬で、米国へ転厩すると芝でGI3勝を含む8連勝。BCマイルで2着に入り、2005年の米国芝牡馬チャンピオンに選ばれている。因みにダートを走ったことはデビュー戦の1回しか無い上に8頭立て6着に敗れている。ちなみに南米競馬は日本競馬に近く高速馬場で芝優位。
名前はフランス語で"Le roi des animaux"、「百獣の王」である。
母「ダリシア」はドイツ産馬で、競走馬としてはGⅢ1勝を含む24戦3勝。キャリア後半を米国で暮らした。母の母の……と牝系を辿っていくとDから始まる馬がズラッと並んでいる事からも分かるようにドイツ血統である。アニマルキングダムを産んだ後日本の社台ファームに輸入されており、重賞3着の経験があるサトノダムゼルやディープキングなどを産んでいる。
母父「アカテナンゴ」はドイチェスダービーなど独国の大レースを席巻、仏のサンクルー大賞典も制したドイツの優駿であり、種牡馬としても5度の独リーディングなどを達成した。
父はブラッシンググルーム系であるが、その母父にはトウルビヨン直系のアホヌーラを持つ、祖父はバブルガムフェローの半兄だったり、母母父に凱旋門でアカテナンゴをぶっちぎったダンシングブレーヴがいるなど、血統表を見れば知らない名前とよく知る名前が入り混じる国際色豊かな血統。
こういうの見るとワクワクしない? え、俺だけ?
あ、因みに両親の戦績と血統を見れば大体想像つくと思うけど、典型的な「芝血統」です。
米国最優秀芝牡馬×ドイツ最強馬×凱旋門賞馬×ドイツ土着牝系とか、普通ダート向きとは思わん。
2000年代から現在にかけて、北米とドバイを中心に「AW」という表記を見たことは無いだろうか。
これは「オールウェザー」という人工素材から出来た馬場コースを示している。
このオールウェザーは故障がダートより少ない、雨や霜に強い、手入れは簡単という謳い文句で2000年代初頭から北米で導入が進んだ。
しかし蓋を開けてみると、「スタートからバリバリ飛ばして、先行馬が止まらず、直線で叩き合い」というのが普通であるアメリカ競馬において先行馬が止まるようになり、直線での差しや追い込みが決まるようになった。これに苦言を呈した保守的な競馬ファンや、思ったより管理が面倒くさくて雨や霜に強くないオールウェザーを嫌った競馬場運営関係者によって、現在では大体の競馬場がダートに戻している。なおこれの影響を一番受けたのがかのゼニヤッタである。ダートコースでも普通に勝ってるけど、彼女が走るレースは大体AWである。
ちなみに2011年にヴィクトワールピサがドバイワールドカップを制したが、その時のコースは正確にはダートではなくオールウェザーコースである。オールウェザーコースは日本の芝に割と近い。
そのアニマルキングダムは米国に生まれ、2歳9月にアーリントンパーク競馬場でデビュー。デビュー戦はオールウェザーで走り2着に敗れるも次戦には勝利。2歳戦は2戦1勝で終わる。
3歳となった彼は初戦の芝レースを僅差2着の後、オールウェザーのGIIIを勝利。
次戦はどうするかって? ダートコースのケンタッキーダービーに行きます。
勿論ダート初挑戦。日本競馬で例えるなら、地方版皐月賞の優勝馬が日本ダービー直行。
ケンタッキーダービーは20頭立てで11番人気。当初乗る予定だった騎手が負傷したため、鞍上は4000勝以上を挙げながらダービーは12戦未勝利だった名手ジョン・ヴェラスケスに替わった(騎乗予定だった馬が回避していた)。
レースは比較的スローペースで進み、本馬は中団~やや後ろに付けてゆったりと進む。4コーナーで先頭集団のすぐ後ろに待機すると、残り250m付近で一気に加速。他の馬が根比べという様相を呈していたのにも関わらず残り150mを過ぎたところで並ぶ間もなく先頭をかわし、3馬身近くつけて圧勝。
騎手・調教師・馬主全員が"Run for the Roses"、ケンタッキーダービー初制覇を飾った。ちなみに調教師は競馬場自体に不慣れだったこともあり表彰式場に向かう道が分からなくなったとか。
続くプリークネスステークスではペースが速くなり、脚を溜める機会が無かった事もあってか、直線で末脚を炸裂させるに至ったが半馬身及ばず、シャックルフォードに敗退。
次は3冠目のベルモントステークスだが、脚を溜める以前に、スタート直後に隣の枠にいた筋肉モリモリムーチョマッチョマンが、更に隣のイズントヒーパーフェクトの斜行を原因とし、こっちによれてきて激突。結果見せ場も何も無く6着に敗れた。なおこの事件の原因となったイズントヒーパーフェクトの鞍上マラージ騎手は、過去にアニマルキングダムとムーチョマッチョマンの両方に乗っていた事がある。
更に落鉄も起こし、レース後にボルトを埋め込む必要がある骨折が判明。
結局3歳シーズンは5戦2勝に終わり、一応最優秀3歳牡馬には選ばれた。
翌年2月に芝のオプショナルクレーミング競走(競走馬売買目的の競走だが、対象外の馬も出走可)に出走して、普通に勝利。しかし今度は疲労骨折を起こし、シーズン末期まで休養。ドバイミーティング挑戦プランもあったが当然白紙となった。
11月のブリーダーズカップで復帰。選んだのは初芝となるBCマイル。ヴェラスケス騎手はGI連勝中のワイズダンに先約があった為乗り替わりとなった。臨戦過程の不安もあり9頭立て5番人気に甘んじたが、ダートで見せた強烈な末脚を芝でも披露。しかしワイズダンに1馬身半届かず2着に敗れた。ただここまでの過程や相手関係(海外から名マイラーが複数参戦していた)を考えると、かなりの善戦であると言える。
この年は2戦1勝に終わったが、5歳の秋から豪州で種牡馬入りする事が決定し、それに先立ってドバイミーティングとロイヤルアスコット参戦が決定した。
前哨戦の芝ハンデGIこそ2着に敗れたものの、当初の予定通りドバイワールドカップへ参戦。
なおこの年を最後にメイダン競馬場のオールウェザーは無くなり、旧来のダートに戻っている。
好スタートを決め、牝馬ロイヤルデルタが逃げ体勢に入ると、今まで後方気味に競馬をしていたアニマルキングダムは先行し、向こう正面で2番手に付ける。4コーナーで先頭に躍り出ると、堂々とそのまま一気に突き放す。レッドカドーが必死に急追するが、突き放して粘る事こそアメリカンの真骨頂。
結果レッドカドーに2馬身、3番手のブラントゥールに更に5馬身近く付けて快勝。1998年のシルバーチャーム以来2頭目となる「ケンタッキーダービー馬によるドバイワールドカップ制覇」となり、ケンタッキーダービーのフロック視を一蹴。強いアメリカを象徴する結果を受けてアニマルキングダムは一躍人気馬に躍り出た。
これを見たモハメド殿下のダーレーは所有権の一部を購入。この時点で所有権は3団体が保持した。
次にロイヤルアスコットのマイル戦クイーンアンSに挑んだものの体調が優れず、レースでもパドックで牝馬に興奮するなどスタート前から完全に折り合いを欠き、11着に惨敗。
少々残念な結果に終わったものの、まあ初欧州だったし、チャレンジ精神は咎められるものではない。
このレースを最後に、予定通り豪州で種牡馬入りするため引退。通算成績は12戦5勝2着5回。スタート不利を受けたベルモントステークスと最終戦を除けば全て連対しており、芝、ダート、オールウェザー問わず好成績を挙げているし、マイルにも適性がある。
2016年以降は春シーズンを米国で、秋シーズンを豪州で暮らしていたが、2019年になって日本軽種馬協会が本馬を購入したと発表。2020年から日本軽種馬協会(JBBA)で供用されることが決定した[1]。
初年度は種付け数117頭を集めたが4年目には36頭、デビューした産駒も高知三冠馬プリフロオールインが目立つ程度ということもあってか、5年目の2024年には種付け数が僅か9頭にまで落ち込んだ。
2025年には青森にあるJBBAの七戸種馬場に移動。「東北の生産者からの強い要望があった」とのことであるが、ブラッシンググルームの系統を繋げる存在として、当地で動物王国を築く事を期待するや切である。
| Leriodesanimaux 2000 栗毛 |
Candy Stripes 1982 栗毛 |
Blushing Groom | Red God |
| Runaway Bride | |||
| *バブルカンパニー | Lyphard | ||
| Prodice | |||
| Dissemble 1989 栗毛 |
Ahonoora | Lorenzaccio | |
| Helen Nichols | |||
| Kerali | High Line | ||
| Sookera | |||
| *ダリシア 2001 鹿毛 FNo.1-h |
Acatenango 1982 栗毛 |
Surumu | Literat |
| Surama | |||
| Aggravate | Aggressor | ||
| Raven Locks | |||
| Dynamis 1991 鹿毛 |
*ダンシングブレーヴ | Lyphard | |
| Navajo Princess | |||
| Diasprina | Aspros | ||
| Dorle |
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最終更新:2025/12/06(土) 03:00
最終更新:2025/12/06(土) 02:00
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