ハタノヴァンクール(Hatano Vainqueur)とは、2009年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
キングカメハメハ産駒の初ダートGⅠ級勝ち馬で、ディープスカイと同じ厩舎・主戦のコンビでJDDと川崎記念を制した。
主な勝ち鞍
2012年:ジャパンダートダービー(JpnⅠ)
2013年:川崎記念(JpnⅠ)、ブリーダーズゴールドカップ(JpnⅡ)
父キングカメハメハ、母ハタノプリエ、母父*ブライアンズタイムという血統。
父は説明不要、2004年の変則二冠馬にして非SS系筆頭の大種牡馬。ダートでも同期のホッコータルマエを筆頭に多くの活躍馬を送り出した。ハタノヴァンクールは4年目の産駒。
母は主に芝のマイル前後を走って12戦2勝。半弟に天皇賞(春)を勝ったジャガーメイルがいる。
母父はSSやトニービンと覇を競った大種牡馬。こちらもダート種牡馬としても活躍が著しい。
母母父は*サンデーサイレンス、母母母父は*ノーザンテーストという、日本の主流血統全部入りみたいな血統の持ち主である。
2009年5月16日、日高町のグッドラック・ファームで誕生。「ハタノ」の冠名を用いるオーナーブリーダーであり、そのまま牧場が所有することになった。
牧場は芝馬を出したくてハタノプリエにキングカメハメハをつけ、産まれたのがハタノヴァンクールだった。産まれたときは華奢で小柄だったがすくすくと成長し、動きも良かったことから牧場も「芝で活躍してくれるだろう」と送り出したそうである。
ローレルゲレイロやディープスカイを管理した栗東・昆貢厩舎に入厩したハタノヴァンクールは、ディープスカイの主戦だった四位洋文を鞍上に迎え、2011年11月20日、京都・芝1800mの新馬戦でデビュー。3番人気に支持されたが、終始後方のまま13着に撃沈。
中1週で阪神・ダート1800mの未勝利戦に向かうと、レース前半は後方からになってしまったが向こう正面で外に出すと一気に前に進出、そのまま4角先頭で4馬身差の圧勝(コーナー通過順は[14-13-2-1])というなかなか豪快なレースぶりで勝ち上がる。
前述の通り、オーナーの牧場はあくまで芝馬のつもりで送り出しただけに、年末のラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ)で芝に再挑戦したが、あえなくブービー15着。これでさすがにオーナーも芝を諦め、以降はダートに専念する。
というわけで明けて3歳、年明けの京都・ダート1800mの平場500万下に向かい、ここでも後方から向こう正面で捲っていって4角先頭で快勝(通過順は[14-14-4-1])。
一休みして4月1日の伏竜ステークス(OP)に向かうと、後方待機から大外一気の末脚で差し切り勝ち。
続いて中2週で端午ステークス(OP)に向かい、ここではまた後方のスタートから向こう正面で捲っていき、最後はまとめて差し切って一気にダート4連勝。このとき後のダート王ホッコータルマエ(タイム差なしで3着)と初顔合わせを迎えた。
勇躍乗りこんだジャパンダートダービー(JpnⅠ)では大外枠ながら単勝2.9倍の1番人気に支持される。レースはJRA勢6頭が前で固まり、地方勢が後方集団という展開をJRA集団の一番後ろで追走。そのまま大外を回して直線を向くが、初めてのナイターで照明にびっくりしたらしく、直線入口で思いっきり外によそ見しながらも、四位騎手の追い出しに応えて脚を伸ばす。ずっと照明を気にして内にモタれながらも断然の上がり最速36秒0の末脚を繰り出して、先行抜け出し押し切りを図ったトリップを並ぶ間もなくかわして快勝。力の差を見せつけるような勝利だった。
キングカメハメハ産駒のダートGⅠ級勝利はこれが初。昆厩舎&四位洋文のコンビは2008年のディープスカイで勝った日本ダービーに続き砂のダービーをゲット。四位は2010年高松宮記念(キンシャサノキセキ)以来のGⅠ級勝利となった。
夏休みを入れて、秋はジャパンカップダートを目標にみやこステークス(GⅢ)から始動。5連勝中のローマンレジェンドに次ぐ2番人気に支持されたが、前残りの展開が合わなかったか10着撃沈。
この敗戦で本番のジャパンカップダート(GⅠ)では8番人気に留まり、最後方から大外を追い込んだものの見せ場は作れず8着止まりに終わる。
捲土重来を期し、年末の東京大賞典(GⅠ)へ。フリオーソとボンネビルレコードの引退レースとなったこの一戦、ワンダーアキュートとローマンレジェンドが人気を分け合う中、内田博幸がテン乗りのハタノヴァンクールはその2頭に次ぐ7.9倍の3番人気。レースは中団のインに構えて1~2コーナーで前に進出、先行勢を見ながら4番手あたりに構えたが、直線で前のフリオーソをかわすのに内ラチギリギリを攻めざるを得ず、その間にローマンレジェンドとワンダーアキュートに先に抜け出されてしまう。内から2頭の追い比べを追いかけ、ワンダーアキュートはアタマ差かわしたが、ローマンレジェンドに半馬身振り切られて2着。
去りゆく古豪勢を蹴散らして4歳馬と3歳馬のワンツーとなり、ダート界の世代交代を感じさせる一戦となった。
明けて4歳、四位が鞍上に戻ったハタノヴァンクールは川崎記念(JpnⅠ)から始動。昨年同条件のJBCクラシックを圧勝したワンダーアキュートが1.3倍の断然人気で、ハタノヴァンクールはそれに次ぐ2.9倍の2番人気となり2強対決というムードとなった。
ペースが流れると追走に苦労するところがあるハタノヴァンクールだが、この日の川崎記念はスローペースとなり、楽に前で追走。同じく先行していたワンダーアキュートに対し、4コーナーで先に仕掛けて先頭の3番人気グラッツィアを捕まえると、そのまま抜け出す。ワンダーアキュートが追いすがってきたが、川崎の短い直線をそのまま半馬身押し切ってゴール板へと飛び込んだ。
4歳馬の川崎記念勝利は2001年のレギュラーメンバー以来12年ぶりで、2024年現在もこれ以降出ていない。スマートファルコンもトランセンドもフリオーソもボンネビルレコードも去ったダート界に、ハタノヴァンクールが新世代の王者として名乗りを上げることになった。
が、ダイオライト記念(JpnⅡ)で単勝1.2倍の断然人気に支持されながら、伏兵オースミイチバンの逃げ切りを許して2着に敗れる。これでケチがついたか、帝王賞を目標に向かった平安ステークス(GⅢ)は同じ斤量59kgの6歳馬ニホンピロアワーズに手も足も出ず見せ場なく5着に終わる。
それでも本番の帝王賞(JpnⅠ)に向かうが、ここでは端午SやJDDの頃には蹴散らしていたはずの同期ホッコータルマエがかしわ記念を含む4連勝で乗りこんできた勢いに及ばず、タルマエから5馬身差をつけられた4着に敗れた。
しかしだからといって腐ってはいられない。ハタノヴァンクールは涼しい函館で一休みした後、門別のブリーダーズゴールドカップ(JpnⅡ)へ向かった。3連覇のかかる8歳の古豪シビルウォーと人気を分け合っての2番人気となったハタノヴァンクールは、道中シビルウォーをマークして進めると、4コーナーで一気に捲って先頭へ。シビルウォーも食い下がってきたがそのまま振り切って突き放し、2馬身半差で完勝。秋のリベンジへ向けて幸先の良いスタートを切る。
続いて金沢開催のJBCクラシックへ向けて、同条件となる白山大賞典(GⅢ)へ。斤量60kgを背負いながらシビルウォーと人気を分け合ったが、ここでは逃げ馬エーシンモアオバーの絶妙なペース配分に翻弄されてしまい、半馬身捕まえきれずの2着。
そして迎えたJBCクラシック(JpnⅠ)。断然人気はホッコータルマエ、ワンダーアキュートと3歳馬クリソライトがそれに次ぎ、ハタノヴァンクールは7.0倍の4番人気。帝王賞のリベンジを果たすべく、逃げるホッコータルマエを中団外目で虎視眈々と追いかけたが……。
3コーナーで失速、後退していくハタノヴァンクール。ホッコータルマエの逃げ切りのはるか後ろ、7秒以上後にブービー11着で入線した彼は、左前脚の浅屈腱炎を発症していた。
症状は重く、レースから5日後の11月9日に登録抹消、現役引退となった。通算17戦7勝 [7-3-0-7]。
引退後は種牡馬入りの予定だったのだが、故障した脚の具合が悪く、静養と治療を優先。結局丸2年を治療に費やすことになり、種牡馬入りは2016年からになってしまった。
アロースタッドにて受胎条件20万円で供用されたが、キンカメ・BT・SS・NT全部入りという血統ではなかなか思うように牝馬も集まらず、初年度から種付け数は29頭に留まり、2020年には4頭まで落ち込んで同年限りでアロースタッドを退厩。
新冠町のクラックステーブルに移動して種牡馬を続けたものの2021年は3頭、2022年はとうとう種付けゼロに終わる。しかし2020年産の牝馬スティールグレイスが2022年に門別の2歳重賞を2勝するなど活躍したこともあってか、2023年は10頭に種付けしている。スティールグレイスは1番人気に支持されたエーデルワイス賞で競走中止、予後不良になってしまったが、それに続く活躍馬は現れるだろうか。
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble | |||
*マンファス 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Pilot Bird | Blakeney | ||
The Dancer | |||
ハタノプリエ 1997 栗毛 FNo.1-w |
*ブライアンズタイム 1985 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
Bramalea | |||
Kelley's Day | Graustark | ||
Golden Trail | |||
ハヤベニコマチ 1992 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
ターンツーダイナ | *ノーザンテースト | ||
*ナイスランディング |
クロス:Northern Dancer 5×5×5(9.38%)、Hail to Reason 4×5(9.38%)、Nashua 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/12/02(月) 10:00
最終更新:2024/12/02(月) 10:00
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