ジェンティルドンナ 単語


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ジェンティルドンナ

1.2万文字の記事

三冠馬遺伝子

貴婦人と名づけられた才女が晴れ舞台颯爽と駆け抜けた。
英雄と讃えられたを彷彿とさせる発力で牝馬三冠の栄誉を勝ち取った。
受け継がれた最強遺伝子は想像をえるを描いていく。

JRA「ヒーロー列伝」No.73 ジェンティルドンナexit

ジェンティルドンナとは、2009年生まれの日本の元競走馬である。

日本競馬史上4頭三冠であり、GI七冠アメリカ競馬めいたラフレース運びやとも十二分に渡り合う爆発的な末脚などから、名の和訳をもじった婦人異名で恐れられた。これから年が経ってもディープインパクトの代表産駒の一に数えられるであろう一頭である。

な勝ち
2012年: 中央競馬牝馬三冠[桜花賞(GI)、優駿牝馬(GI)、秋華賞(GI)]、ジャパンカップ(GI)、ローズステークス(GII)、シンザン記念(GIII)
2013年: ジャパンカップ(GI)
2014年: ドバイシーマクラシック(UAEG1)、有馬記念(GI)

曖昧さ回避 この記事では実在競走馬について記述しています。
このを元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するウマ娘については
ジェンティルドンナ(ウマ娘)」を参照して下さい。

概要

ジェンティルドンナ
Gentildonna
貴婦人
生年月日 2009年2月20日
サラブレッド
性・毛色 鹿毛
生産 日本JPN
生産者 ノーザンファーム
(北海道町)
馬主 (有)サンデーレーシング
調教師 石坂正(東)
騎手 岩田康誠
名意味 貴婦人(イタリア語)
抹消 2014年12月28日
戦績 19戦10勝[10-4-1-4]
獲得賞金 17億2603万400円
受賞歴
JRA賞
年度代表馬(20122014)
最優秀3歳(2012)
最優秀4歳以上
  (2013-2014)
顕彰馬(2016年選出)
競走馬テンプレート

ディープインパクト*ドナブリーニ、Bertoliniという血統。

ディープインパクトは説明不要、敗のクラシック三冠を含めGIを7勝した名種牡馬としても「ディープインパクト系」と呼ばれる一大勢力を作る大活躍を見せたが、本はその2年産駒にしてディープインパクトが大種牡馬へと駆け上がっていく上で大きな一歩を担うこととなった。

*ドナブリーニはサンデーサイレンス系に合わせるべく輸入された2歳G1チェヴァリーパークSの勝ちで、この他にWinning Post7でもっとも勝ちにくい2歳重賞として一部で有名なG2チェリーヒントステークスを勝っている。

Bertoliniはスプリン重賞のジュライステークス(G3)を勝利し、その後欧州G1戦線で善戦を重ねた英国のちUAEDanzigに持っている。種牡馬としては*ドナブリーニが代表産駒になる程度で大きな実績は残していない。

には2012年関屋記念(GIII)と京都牝馬ステークス(GIII)を勝ったドナウブルーがいる。
また、*ドナブリーニの半*リトルブックディープインパクトとの間に産んだ2019年日本ダービーロジャーバローズは本と8分の7同血の近である。

来歴

~2012年

2歳~桜花賞まで

2歳になった2011年デビュー戦は1番人気に推され不良馬場で大外を回していい脚で追い込んだが、逃げを捉え損ね惜しくも2着に敗れた。その後の未勝利戦では先行して若干包まれる場面もあったが、直線では群を縫って楽な手応えのまま突き抜け快勝。

3歳初戦のシンザン記念(GIII)では混合ながら2人気に推される。レースでは中団前から直線力強い末脚で抜け出すとそのまま後ろを寄せ付けず、勢に勝。このレース重賞初制覇を決めクラシック路線名乗りを上げた。

チューリップ賞・桜花賞

シンザン記念勝利クラシックに向けての賞金はバッチリ確保していたのだが、彼女はここで熱発を起こし倒れてしまう。競走馬にとっての熱発は非常に厄介なものであり、石坂調教師をはじめとした営は「桜花賞本番で納得いくまで仕上げよう」と考え桜花賞トライアルチューリップ賞(GII)に出走することに決める。前3レース上はM.デムーロ、I.メンディザバルC.ルメールと短期免許外国人騎手が務めたが、ここからは騎手として岩田康誠が騎乗することとなった。結果はスタートから最内の中団に控えると直線は進路を探すのに手間取り最後なんとか追い込んでの4着。優先出走権外のためシンザン記念で賞金を積んでいなければ桜花賞へ出走できなかった可性が高いが、「本番前に一度使えたということが大きなプラスになった」と石坂調教師は語っている。

そして桜花賞(GI)当日。前走同様1番人気は2歳女王ジョワドヴィーヴルに譲ったものの、彼女シンザン記念でのパフォーマンスが評価され2番人気に支持される。レースは好スタートから中団に控えると直線では後方から進めたジョワドヴィーヴルが伸びあぐねる中、馬場ん中から黄色帽子のジェンティルドンナがシンザン記念でも見せた末脚を爆発。内から抜け出しを図ったヴィルシーナアイムユアーズに外から並びかけ、そのまま先頭に立つとアイムユアーズを差し返してったヴィルシーナゴール前で競り落として優勝GI初制覇を成し遂げた。

優駿牝馬(オークス)

次走はもちろんオークス……ではあったが、ここでも問題が発生。2週間前のNHKマイルカップでの走行妨によって騎手岩田騎乗停止となってしまい、オークスでの騎乗ができなくなってしまったのだ。このため、急遽ピンチヒッターとして川田将雅が騎乗することに。

であるドナウブルーマイル路線で活躍していたことや、これまで(データ不足だったとはいえ)ディープインパクト産駒の長距離実績の少なさ[1]から桜花賞からさらに人気を落とし3番人気に。1番人気フローラステークスを快勝したミッドサマーフェアで、2番人気ヴィルシーナであった。「あれ?桜花賞がなんで桜花賞2着より低評価?」と思われそうだが、上記の不安要素だけでなくヴィルシーナクイーンカップ東京競馬場を経験していた一方、ジェンティルドンナは東京コース未経験であったことも相まって評価を下げていたものと考えられている。

レースでは先頭の1000m通過が59.1と流れた展開の中、川田とジェンティルドンナのコンビは中団より後ろにつけて脚をためると直線大外から追い込みを開始。残り400過ぎでくも前に並びかけると坂を上り終えた辺りで外から一気に突き抜けてリベンジを狙うヴィルシーナを始めとした他を置き去りにしそのまま5馬身差をつけて圧勝。上がり3Fで2位に1もの差を付け従来から1.7更新レースレコード2:23.6で二冠にいた。
上の川田は8年で中央GI3勝。ここまでそのすべてがクラシックと、ここぞの勝負強さを見せた。

夏~秋華賞: 牝馬三冠達成

は休養にあて、初戦はローズステークス(GII)流石にもうその強さを疑う者はなく1.5倍の1人気となる。
レースでは二番手集団で先行し直線で追い出すと逃げをあっさりかわし、またも2着に入ったヴィルシーナ以下の追撃も問題なく抑えて完封三冠に向けて上々の滑り出しを見せた。

そして牝馬三冠がかかった最終戦秋華賞に挑むこととなる。

貴婦人の進撃

まずの丘で乱を鎮め
樫の渓谷定すると
いまの郷も制圧。
乙女を統べる者が
ここに誕生した。

だが女領満足を知らぬ。
まだ見ぬ強敵をめて
新たな荒野へ飛び出していく。
波の向こうへ漕ぎ出していく。
貴婦人の進撃は続く。

JRA「名馬の肖像」ジェンティルドンナexit

桜花賞以降の勝ちっぷりの強さと過去の二冠達成の実績から1.3倍の1番人気となり、ジェンティルドンナとの対戦で三回連続で2番手になるという苦杯を彼女への辱をらさんと挑むヴィルシーナが2番人気であった。

レース本番、ジェンティルドンナは外から五分のスタートで中団につけヴィルシーナは再内から好スタートハナに立った。このまま進んでいくかと思われたレースだが、なんと出遅れて最後方にいたチェリーメドゥーサ向正面からまくり上げて大逃げを打ちこれを他のが追うという荒れる展開となる。ジェンティルドンナは4コーナーくもが入って追い出しを開始、直線入口ではまだ前と大きな差があったがこれを猛然と追い上げゴールの数十メートル手前で逃げチェリーメドゥーサと内側から抜け出してきたヴィルシーナをまとめて捉えた、と思いきやヴィルシーナだけは尚も食い下がって盛り返し写真判定にもつれ込む程の僅差で並んでゴールに飛び込んだ。写真判定の結果、同タイムハナ差での勝利となり彼女史上四頭となる牝馬三冠を達成なお、三冠戦全てジェンティルドンナ→ヴィルシーナで決着する記録おまけ付きであった。

ジャパンカップ: 三冠馬vs三冠馬

牝馬三冠を達成し、自信をつけた営はジャパンカップ(GI)への参戦を決定する。

2012年ジャパンカップ凱旋門賞からSolemia、天皇賞(秋)からエイシンフラッシュフェノーメノルーラーシップ、そして何より前走凱旋門賞Solemiaの2着から帰した前年の三冠オルフェーヴルも参戦し、好メンバーった。このメンバーの中でも牝馬三冠での勝ちっぷりが評価され、彼女は3番人気に推される。

と大幅な体重減(-14)で心配されたが、レース斤量差を生かし果敢な先行策に打って出ると折り合い良く中を進め、最後の直線で追い出しにかかって狭いラチ沿いから群を抜け出した。まだ前にはまくり上げて外から追い込み内にササッてきたオルフェーヴル大逃げを打って一杯になったビートブラックがいたため二頭に挟まれ進路を失いかけてしまうが、ここでジェンティルドンナはとは思えない快なタックルオルフェーヴルを外へふっ飛ばし進路をこじ開けるラストスパートをかけ先頭に立つ。オルフェーヴルも態勢を立て直し猛然とジェンティルドンナを追いかけ、最後は三冠馬同士のプライドがぶつかった熾な追いべになったがこれを制したのはジェンティルドンナ。ラフプレーは審議になったものの、オルフェーヴルゴールまで内にササり続けてジェンティルドンナを内ラチに押し付けかけていたこともあってか騎手騎乗停止処分のみで降着はしとなり、わずかハナ差でジェンティルドンナが三冠馬対決勝利牝馬三冠として初となる混合GI制覇、3歳による初めてのジャパンカップ勝利を果たした。

当然最優秀3歳を受賞。そしてGI4勝、特にジャパンカップでの勝利が評価され、彼女3歳としては史上初となる年度代表馬に選出された。

2013年

ドバイシーマクラシック

明けて2013年営は凱旋門賞挑戦を見据え、海外初挑戦となるドバイシーマクラシック(G1)への遠征を決断。放牧に出された後、内で入念に調教を積み一週前に現地へ乗り込んだ。休み明け、ぶっつけ本番、長距離輸送を不安視するもあったが、それを吹き飛ばすように現地の最終追い切りでは慣れない馬場に対応し抜群の動きを見せる。海外の関係者からもジャパンカップオルフェーヴルに勝った事を非常に高く評価されており、ブックメーカーのオッズでは1番人気に支持された。

そしてレース本番、ゲートは外の8番からスタート。積極的な逃げがいない中でShareta(シャレータ)がを切り、それに2番人気St Nicholas Abbey(セントニコラスアビー)、ジェンティルドンナが続き有力で先頭集団が形成される。ただ本中は内に入れず外を回された上、掛かり気味なのか上の岩田騎手が手綱をずっと抑えた状態でリズムを欠いていた。そしてそのままの隊列で4コーナーから直線へ入る辺りで前にいたセントニコラスアビーが先に仕掛け、シャレータを交わし先頭に躍り出るとジェンティルドンナもそれを追う。直線セントニコラスアビーを捉えようとラストスパートを仕掛けるがリズムを悪くしたためか最後の伸びに欠き、日本で見せていた爆発的な末脚も出ず先頭のセントニコラスアビーとの差が詰められない。それでも持ち前の勝負根性で何とか食い下がり後続は封じたが前からは少し離されて2着、世界の厚さを感じた惜敗だった。

勝ったSt Nicholas Abbeyは前年の凱旋門賞こそフランス馬場が合わず11着と惨敗していたが、その後世界中のクラシックディスタンスを転戦しコロネーションC連覇とBCターフ勝利G1・3勝、負けたレースでも堅実に着を拾って実績を積み重ねてきた有力であった。

宝塚記念

ドバイからの帰後は、予定通り宝塚記念(GI)に出走。二度三冠馬対決となるオルフェーヴルと初対決となる同期の二冠ゴールドシップに、天皇賞(春)を制したフェノーメノを加えた四強決戦が期待された。しかしオルフェーヴル出血により直前で回避。残った3最強4歳決定戦の様相を呈す中、彼女は単勝2.4倍の1番人気に支持される。

レース本番では大外の11番からジャパンカップと同様に先行策を打つ。大逃げを打つシルポート実質上のペースを作るダノンバラードに続く3番手につけ、同じく先行策をとると想定されていたフェノーメノの機先を制することに成功する。思惑通りの展開であっただろうが、ここで予想外の事態が発生する。いつも通り最後方からレースを進めると思われていたゴールドシップが、内田騎手の出と押しに応えて先行し、4番手につけてきたのだ。最後にスタートを出負けしたフェノーメノが5番手についたことにより、レース中は三強が順に並ぶ形で進んでいった。

レースが動いたのは第3コーナーフェノーメノが前2頭を捉えるべく仕掛けたのを機に、各スパートを開始。内からジェンティルドンナ、ゴールドシップフェノーメノの順で三強は一団となりコーナーを曲がってゆく。そして最後の直線、数日前の台風レース直前までのにより荒れていた内を嫌った岩田は、外に持ち出すべくゴールドシップを弾こうとしたが、これを読んでいた内田には通じず逆に弾き返される結果に。この時点で勝負は決し、彼女は荒れた馬場を苦にせず伸びてゆくゴールドシップに突き放されていく。最後はフェノーメノの追撃こそいだものの、ダノンバラードを半馬身交わせずに3着。勝ったゴールドシップからは3馬身半離された敗であった。

ドバイメイダン競馬場実質重の阪神競馬場といったパワーの要る馬場で連敗を喫したことにより、営は両競馬場より馬場が重くなることが想定されるパリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞への挑戦を断念せざるを得なくなった。

天皇賞(秋)~ジャパンカップ

初戦は古距離路線の天皇賞(秋)へ直行することに。ゴールドシップ不在ということもあり、彼女は1番人気に支持された。しかしレースでは前半1000m584のハイペースで掛かり気味の2番手から直線でも失速せず一旦は先頭に立ったものの、後方待機が幸いしたジャスタウェイ爆発力に差し切られ他の後続寄せ付けなかったが4馬身差の2着に敗れた。

レース後の石坂調教師オーナーの協議の末、上をこれまで戦だった岩田康誠からライアン・ムーアに変更して次は連覇の懸かるジャパンカップへ出走することに。

前走で折り合いに苦しみ2着、天敵ゴールドシップも出走するとあり人気を落とすかと思われたが、当日は前年覇者ということもあってか1番人気
レースは好スタートから群の中5番手付近で追走。エイシンフラッシュの押し出された逃げで作り出された1000m624というスローペースで各折り合いに苦しむ中、彼女はうまくリズムを整えながら進んでいく。4コーナーから仕掛け始め直線で内から抜け出してめ先頭に立つとゴールドシップ捲り不発で追ってこず、デニムアンドルビーなど追い込み勢の追撃もしのぎ切って史上初のジャパンカップ連覇を達成した。

その後疲労面などを考慮して有馬記念には出走せず結局この年はジャパンカップの1勝のみに終わったが、ドバイシーマクラシック天皇賞(秋)でも善戦したことが評価されジェンティルドンナはこの年のJRA最優秀4歳以上に選出された。

2014年

京都記念からドバイシーマクラシック制覇へ

営は前年同様ドバイシーマクラシックへの挑戦を表明し遠征前の前戦に京都記念(GII)を選択。上は福永祐一が務めることに。GⅡということでもが楽勝だと思っており単勝1.6倍の圧倒的な1番人気に支持された。しかしレースでは好位置につけながらも直線で全くといっていいほど伸びがなく、デビュー以来初めて掲示板を外す6着。ドバイ遠征を不安視するも聞かれた。上との相性が悪かったとも。

不安要素が募る中迎えた本番、ドバイシーマクラシック(G1)では再びライアン・ムーア騎乗での出走になった。
彼女は同じく日本から遠征していたデニムアンドルビーと共に好スタート。先行したデニムアンドルビーに対してジェンティルドンナは外からだったこともあり内のを行かせて群の中で控え、その際に故障発生で逸走した内のと接触するも特にはなく中団のラチ沿いに付ける。4コーナーを迎えると外に出そうとし始めたが他のも外から仕掛けてきたことで群の中に置かれており、直線に向いてもCirrus Des Aiglesシリュスデゼーグル)に内に押し込まれたことで囲まれる状況になってしまう。しかし横を塞いでいたシリュスデゼーグル前に出てスペースができるとすかさず横っ飛びするように一で外に切り返して抜け出し、が入って追い込むと一気に伸びて残り120mでシリュスデゼーグルを捉えてそのまま差を広げていき1着でゴール2012年のこのレースの勝ちでもあるフランスの強シリュスデゼーグル勝して昨年敗れたドバイシーマクラシックを制し、としては初のドバイG1制覇となった。

宝塚記念

後は再び宝塚記念への出走を表明し上はオークス以来となる川田将雅とのコンビ復活。昨年はゴールドシップ敗したものの、今年こそはと営もかなり気合を入れて望んだ。
やはり昨年優勝ということで1番人気ゴールドシップGⅡ日経賞勝利から天皇賞(春)2着と上り調子を見込まれて2番人気ウィンバリアシオンに次ぐ3番人気となったが、それでもジェンティルドンナは単勝4.1倍とかなりの支持を集めていた。

スタートはまずまずで前につけたものの最初の直線で今年もゴールドシップがジェンティルドンナの外に付け、スタート1000m624のスローペースにうまく折り合えない。外に居たゴールドシップに3コーナー過ぎから先行されてレース終盤に入ると、前の位置からロングスパートで先頭に立ったゴールドシップに対してジェンティルドンナは直線でも伸びがなく、過去最悪の9着と惨敗を喫してしまった。

天皇賞(秋)~ジャパンカップ

宝塚記念の後は休養に入り天皇賞(秋)からの始動し上は初騎乗となる戸崎圭太に乗り替わりとなった。また、ジェンティルドンナはこの年一杯で引退となることが営から発表された。天皇賞の1番人気ダービーでも2着と善戦しセントライト記念を制して臨むその年の皐月賞イスラボニータで、ジェンティルドンナはそれに次ぐ2番人気に支持された。

レースは再内から好スタートを決めて3番手を先行し中でその外にイスラボニータが付けて来る形となり、最後の長い直線では先に抜け出したイスラボニータに対してジェンティルドンナは内に閉じ込められかけて追い出せない状態になってしまう。なんとか狭いラチ沿いを抜けて加速すると残り100m付近でイスラボニータを捉えたが、その後ろ大外から飛んできたスピルバーグに差し切られ2年連続の2着に惜敗。その後営は三連覇がかかるジャパンカップを次のレースとするも、ここでの結果次第では年末を待たず即引退の可性も示唆した。

当日は得意の府中2400m、騎手も好成績が続くライアン・ムーアとあって1番人気での出走。レースではここも好スタートから中団前につけたが、前日にが降ったせいで良馬場発表ながら若干重めの馬場になっており中最内を通ったこともありスタミナ勝負で苦戦。不良馬場菊花賞で圧勝したエピファネイアによる先行抜け出しについていけず後ろの2頭にも差されての4着となった。

ただ掲示板は確保する善戦となったため、営は即引退はせず年末の有馬記念ラストランに定め秋古馬三冠レース完走することを決定。

有馬記念、有終の美

有馬記念(GI)ではジャパンカップで騎乗したライアン・ムーアの短期騎手免許が切れ帰してしまっていたため、再び戸崎が騎乗することに。ジェンティルドンナは事前ファン投票では1位ゴールドシップに続く55699票を集めた。

この年の有馬記念は史上初めて順を開抽選で決めることになったが、ジェンティルドンナはなんと1番最初に選択権を獲得し24番、8年前にディープインパクト引退レース勝利で飾ったのと同じでもある好位置からの発走となった。しかし彼女は実は有馬記念どころか中山未経験。前走でも敗戦したことが祟り、4番人気にまで人気を落とした。そしてその出走メンバーは下表の通りである。

な勝ち(当時)
1 1 トーセンラー 2013年マイルチャンピオンシップ
2 ヴィルシーナ 2013年2014年ヴィクトリアマイル
2 3 ワンアンドオンリー 2014年日本ダービー
4 ジェンティルドンナ 2012年牝馬三冠2012年2013年ジャパンカップ2014年ドバイシーマクラシック
3 5 ラキシス 2014年エリザベス女王杯
6 トゥザワールド 2014年弥生賞
4 7 ラストインパクト 2014年京都大賞典2014年金鯱賞
8 メイショウマンボ 2013年オークス2013年秋華賞2013年エリザベス女王杯
5 9 ウインバリアシオン 2011年青葉賞2014年日経賞
10 フェノーメノ 2013年2014年天皇賞(春)
6 11 サトノノブレス 2014年日経新春杯
12 デニムアンドルビー 2013年フローラS2013年ローズS
7 13 エピファネイア 2013年菊花賞2014年ジャパンカップ
14 ゴールドシップ 2012年皐月賞2012年菊花賞2012年有馬記念2013年2014年宝塚記念
8 15 ジャスタウェイ 2013年天皇賞(秋)2014年ドバイデューティーフリー2014年安田記念
16 オーシャンブルー 2012年金鯱賞

実に出走16頭中GI10頭かつ残り6頭も全員GIIという面子グランプリが実現した。スポーツ予想や評論家予想も割れ割れ、4番人気のジェンティルドンナも単勝オッズ8.7倍とまさに混戦の様相。

レースは古になってからヴィクトリアマイルを連覇し同じくこの有馬記念での引退が発表されていた牝馬三冠時のライバルヴィルシーナレースを引っる展開の中、ジェンティルドンナは好スタートから中3番手を追走。4コーナーに入ると各が一斉に仕掛け始め、前のエピファネイアが先頭に立って抜け出しを図り後ろからはゴールドシップが外をまくって上がりジャスタウェイも直線一気を狙って追い込みをかけた。ジェンティルドンナはそのん中から前を追うとが入って直線半ばで先頭に立ち、殺到するエピファネイアゴールドシップジャスタウェイら時代をったライバルたちを従えるようにただ1頭抜け出したまま3/4馬身差でゴールGⅠ7勝を手にした。前年のオルフェーヴルに続き、2年連続で有馬記念引退レースとした優勝によって有終の美を飾ることとなった。

またこの有馬記念制覇は

という記録ずくめの引退レースとなり、全レース終了後には引退式が執り行われた。

海外G1ドバイシーマクラシック及び引退レースとなったメンバー有馬記念勝利したことが評価され、JRA賞で2年連続の最優秀4歳以上と2年ぶり2度年度代表馬に選出された。

19戦10勝。マイルからクラシックディスタンス要4場から海外、先行から差し追い込み、そして現役生活を通して8人の騎手を背に乗せてそのうち4人でGⅠ勝利とあらゆる方面に幅の広い活躍を見せた競走馬時代であった。

引退後

競走引退後は自身の生まれ育った北海道町のノーザンファームにて、繁殖牝馬として子育てに勤しんだ。

2016年にはJRA顕彰馬に選定。

モアナアネラは準OP止まり、2番は故障でデビュー断念、4・5番は未勝利に終わったが、3番ジェラルディーナ2022年オールカマー(GII)を勝利して産駒初の重賞勝利を挙げると、勢いそのままに同年のエリザベス女王杯(GI)も勝利産駒GI勝利の快挙を達成、*ドナブリーニから続いて3代でのGⅠ勝利にもなった。

2025年に入って体調を崩すことが増えたため繁殖を引退し功労として余生を送ることとなったが、程なく現役時の馬主であるサンデーレーシングから2025年11月25日に死去したと発表された。命日は13年前にジェンティルドンナが初めて3歳としてジャパンカップ勝利した日でもあった。
この前日の24日には長女モアナアネラの初、つまりジェンティルドンナにとっての初孫であるカフェバー新馬戦デビュー勝ちを収めている。他にも未出走だった二番以外はダイワスカーレットに倣ったのか全員であったため、今後一大牝系の始祖としても彼女名前が伝わっていく未来があるかもしれない。

産駒一覧

出生年 な勝
2016 モアナアネ キングカメハメハ 3歳以上2勝クラス(19/11/24 京都8R)
2017 (ジェンティルドンナの2017) キングカメハメハ (未出走)
2018 ジェラルディーナ モーリス '22オールカマー[GII]
'22エリザベス女王杯[GI]
2019 マリーナドン ロードカナロア (未勝利引退)
2021 エヴァンジェリー モーリス (未勝利引退[3])
2023 アルジェンテーラ ドレフォン (デビュー前)
2024 (ジェンティルドンナの2024) エピファネイア (デビュー前)

血統表

ディープインパクト
2002 鹿毛
*サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
*ウインドインハーヘア
1991 鹿毛
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere
*ドナブリーニ
2003 栗毛
FNo.16-f
Bertolini
1996 鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Aquilegia Alydar
Courtly Dee
Cal Norma's Lady
1988 栗毛
*リファーズスペシャル Lyphard
My Bupers
June Darling ジュニア
Beau Darling
競走馬の4代血統表

クロスLyphard 4×4(12.50%)、Northern Dancer 4×5×5(12.50%)

関連動画




関連項目

JRA顕彰馬
クモハタ - セントライト - クリフジ - トキツカゼ - トサミドリ - トキノミノル - メイヂヒカリ - ハクチカラ -
セイユウ - コダマ - シンザン - スピードシンボリ - タケシバオー - グランドマーチス - ハイセイコー -
トウショウボーイ - テンポイント - マルゼンスキー - ミスターシービー - シンボリルドルフ - メジロラモーヌ -
オグリキャップ - メジロマックイーン - トウカイテイオー - ナリタブライアン - タイキシャトル - エルコンドルパサー -
テイエムオペラオー - キングカメハメハ - ディープインパクト - ウオッカ - オルフェーヴル - ロードカナロア -
ジェンティルドンナ - キタサンブラック - アーモンドアイ - コントレイル - イクイノックス
競馬テンプレート
中央競馬の三冠馬
クラシック三冠 牡馬三冠 セントライト(1941年) | シンザン(1964年) | ミスターシービー(1983年) |
シンボリルドルフ(1984年) | ナリタブライアン(1994年) | ディープインパクト(2005年) | オルフェーヴル(2011年) | コントレイル(2020年)
牝馬三冠 達成
変則三冠 クリフジ(1943年)
中央競馬牝馬三冠 メジロラモーヌ(1986年) | スティルインラブ(2003年) | アパパネ(2010年) |
ジェンティルドンナ(2012年) |
アーモンドアイ(2018年) | デアリングタクト(2020年) | リバティアイランド(2023年)
古馬三冠 春古馬 達成
秋古馬 テイエムオペラオー(2000年) | ゼンノロブロイ(2004年)
競馬テンプレート

脚注

  1. *この時点でのディープインパクト産駒GⅠ勝ちは桜花賞安田記念阪神JFと全てマイルで、長距離実績トーセンラー菊花賞3着ぐらいのものであった。なおこのオークスの翌週もディープブリランテダービーを制してる。
  2. *2006年宝塚記念京都開催
  3. *デビュー直後にトレッドミル中の事故で競争力喪失。繁殖入り
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