ユーグラム・ハッシュヴァルトとは、漫画『BLEACH』の登場人物である。
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の皇帝ユーハバッハの側近にして、事実上のナンバー2。精鋭部隊である星十字騎士団(シュテルンリッター)団長及び最高位(グランドマスター)の地位に君臨しており、騎士団メンバーから「次期皇帝」と称される実力者でもある。「B」の聖文字(シュリフト)の持ち主。身長は189cmで誕生日は11月5日。読者からの愛称は「ポテト」。
金髪ロングヘアと長い睫毛が特徴的な美男子で、髪型やシルエットはユーハバッハに酷似している。軍服である白いロングコートの襟元には青緑色のファーが付いており、左腰には鍔の辺りに天秤の意匠のあるロングソードを携えている。
非常に冷静沈着な性格で、ユーハバッハの命令は不可解で理不尽なものであろうが絶対視する程に忠実。一方で、他の騎士団メンバーに対しては常に無感情且つドライな態度で振る舞い、必要とあらば仲間であろうが元親友であろうが容赦なく斬り捨てる。同じ騎士団メンバーであるバズビーとは幼馴染にして嘗ての親友同士であり、お互いを「バズ」「ユーゴー」と呼び合っていた。
約1000年前、現世にてユーハバッハが君臨する「光の帝国(リヒトライヒ)」の管轄下であった村に生まれる。両親はおらず、同居する叔父に怯えながら2人で暮らしていた。ある日、弓でウサギを仕留めようとするも失敗し、そこに現れたバズビーがそのウサギを仕留めるという形で彼と出会い、ネガティブな性格で腕に傷痕がある(叔父から虐待を受けていたと思われる)ハッシュヴァルトを案じたバズビーに子分にさせられる形で親友となり、彼から必要とされた事で喜びを見出す。その後、光の帝国全域の制圧を目論むユーハバッハに村を焼かれて叔父を失い、自分と同じ経緯で住処を失ったバズビーから、ユーハバッハへ復讐する為に共に星十字騎士団を目指す事を誘われる。叔父から解放された為に消極的な態度を示すが、それでも親友でいてくれるバズビーの為に復讐を手伝う形で腕を磨いた。ユーハバッハの「右腕」として近付き彼を殺す事を目標に鍛練を続けるも、いつまで経っても滅却師としての能力は開花せず、霊子を集めるどころか弓の一つも作れなかった。
それから5年後、部隊を率いてやって来たユーハバッハに右腕として抜擢され、そこで初めて自分が「分け与える能力を持つ滅却師」である事を知る。ユーハバッハに近付けた事で当初のユーハバッハ殺害という目的に近付けたと思う中、右腕に選ばれなかったバズビーからは鋭く睨まれ、祝福されない事に困惑する。その直後にユーハバッハから「お前が必要だ」と自身の存在を受け入れてもらった事を嬉しく思い、彼に仕える事を決める。その選択は親友であるバズビーを裏切る事になるが、ハッシュヴァルトにとってはユーハバッハに選ばれた自分をバズビーが受け入れなかった事こそが裏切りであり、激昂するバズビーが放った矢からユーハバッハを護る形で彼と訣別し、星十字騎士団に入団する。星十字騎士団結成から3年後には既に騎士団の団長にまで出世しており、バズビーが入団した頃には現在のようなドライな性格になっていたが、実はその道を選んでも尚バズビーへの友情を内心捨て切れなかったらしく、素性を偽って騎士団に入ったバズビーに対しても一定の距離以上踏み込ませないように牽制していたが、そんなバズビーを目障りに思って粛清しようと進言した副団長のヒューベルトに対し、規則を口実にしながらも威圧的に制止するなどしていた。過去の描写を見る限り、ハッシュヴァルトはとにかく主体性に乏しい人物だったようで、叔父にせよバズビーにせよユーハバッハにせよ、流されるまま誰かに付き従いがちな人格の持ち主であり、迷いに追われると流されるまま進んでしまう傾向があり、ユーハバッハに従う道を選んだのもその為だった模様。
尸魂界(ソウル・ソサエティ)への第一次侵攻では十三番隊を襲撃し、六席である可城丸秀朝を真っ二つに斬り伏せて殺害。その後はユーハバッハと共に侵攻の戦局を見つめ、退却時には一護の天鎖斬月を破壊した。
第二次侵攻では新たに総隊長に就任した京楽春水と対峙するも伊勢七緒の白断結壁に阻まれ、戦況を覆す為に為に能力を発動して突破しようとするが、ユーハバッハから帰還命令を受けた為に退却。ユーハバッハの勅令により、敗北したBG9と蒼都を処刑した後、ユーハバッハの傍で戦況を見守るが、グレミィ・トゥミューが自身の能力で隕石を落とそうとした際には流石に焦りを見せ、聖兵(ゾルダート)達に「陛下をお護りしろ!」と指示を出す。その後は親衛隊(シュッツシュタッフェル)や新たに騎士団入りを果たした石田雨竜と共にユーハバッハの霊王宮侵攻に同行する。アニメ版では、霊王宮にて麒麟寺天示郎と交戦するも、麒麟寺の圧倒的な実力の前に敗れてしまう。その後はユーハバッハが発動した「聖別(アウスヴェーレン)」によって復活するが、零番隊の自刃によって真の力を解放した修多羅千手丸の卍解「娑闥迦羅骸刺絡辻」の能力で火炙りにされ、反物の中に封印されてしまった。
ユーハバッハが霊王の力を吸収し、霊王宮が真世界城(ヴァールヴェルト)へと姿を変えた後は、親衛隊のまとめ役として滅却師達を指揮。その過程で、嘗ての親友であるバズビー交戦。自分達が戦っても陛下には何も得がないとして戦いを止めるように何度も呼びかけるが、満身創痍ながらもユーハバッハの敵として襲い掛かり続ける彼を聖文字の能力すら使わず剣術のみで圧倒する。
最後は彼の渾身の「バーニング・フル・フィンガーズ」すら一蹴し、右腕を斬り飛ばすと同時に斬り伏せる。自身の負けを認め、自分より遥かに強くなった親友に負けた事を受け入れ、穏やかに死んだバズビーに対して複雑そうな表情を見せたが、最後に彼に掛ける言葉は何もなかった。
その後は、あらかじめ裏切る事を予想していた雨竜との一騎打ちを始める。Bの能力で雨竜を圧倒するが、最早自分以外何も必要ないと判断したユーハバッハの「聖別(アウスヴェーレン)」により戦闘不能になった。死の間際、雨竜に彼の肉体へのダメージを自身に転移していくよう促し、自分とは異なり友と一緒に進む事を選択した雨竜の決断を後押しした後、力尽き死亡した。
「お前は……………友を助けに行くべきだ……………」
最期までユーハバッハへの忠誠心は捨てなかったが、バズビーを裏切ってしまった事に対しては彼なりの後悔や葛藤があったらしく、自分と同じ「命か友か」の選択をしなければならなくなった雨竜に対し、「秤にかける事もできず……迷いに追われて決めた事は……全て後悔になるからだ……」と告げた。そんな彼が握っていた剣の柄には、バズビーと出会った時に彼から友情の証として手渡された「B」のイニシャルが入ったバッジが埋め込まれていた……。
小説『BLEACH Can't Fear Your Own World』では、ユーハバッハから「全知全能」の能力を預けられた後、側近の女性に反逆者を含めた生き残りの滅却師の回収と治療を命じていた事が判明。それによりユーハバッハに謀反を起こしたリルトット・ランパード、ジゼル・ジュエル、(ゾンビ化してはいるが)バンビエッタ・バスターバインの3人が生還した。仲間を次々と静粛してきた彼だが、何だかんだで仲間思いの一面もあったようである。
The Balance(ザ・バランス)。世界調和。ハッシュヴァルトを中心に一定の範囲世界で起こる「不運」な事象を「幸運」な者に分け与える能力。RPGで例えるなら、対象Aが対象Bに100のダメージを与えた所でこの能力を使うとそれを「不運」とし、その「不運」を与えた「幸運」なAにはBに与えたのと同量の100ダメージがそのまま降り掛かって来る。他にも、ハッシュヴァルトの攻撃を防げばそれを幸運とし、次の攻撃は不運に見舞われ対処不可能になる等、事象の反転とも言える現象を起こす。
要は受けた不幸を他者に押し付けたり同等の不幸を齎す事で幸運の均衡を保つ類の能力なのだが、厄介なのはハッシュヴァルトの持つ逆五芒星の意匠がある盾「身代わりの盾(フロイントシルト)」とのコンボで、この盾は「不運」の身代わりとなって、ハッシュヴァルト自身に降り掛かった不運を移し取る事が出来、どんなダメージを負ったとしてもその傷は自動的に「身代わりの盾」に移し取られハッシュヴァルトは即座に回復するばかりか、「世界調和」の能力で身代わりの盾に刻まれた分の「不運」を追加で相手に齎す。つまり与えたダメージが無効化される上に威力2倍の防御不能・回避不可の攻撃になって返って来るという非常にチート的な戦術を使って来る。この為、能力の範囲世界外から攻撃を仕掛けるか何らかの方法でハッシュヴァルトの能力を封じない限り、此方から攻撃してもハッシュヴァルトには効かないばかりか攻撃した側が不利になり、逆にハッシュヴァルトの方は攻撃し放題という理不尽極まりない戦いを強いられる事になる。
The Almighty(ジ・オールマイティ)。全知全能。ユーハバッハから「支配者の仮面」を与えられており、ユーハバッハが眠っている間だけ、彼と同じ未来を見通す力を扱う事が出来る。ただし、ハッシュヴァルトが使えるのは「未来が視える」までに止まっており、その後の「未来を改変する」能力までは使えない。
アプリゲーム『BLEACH Brave Souls』では、アニメ千年血戦篇の放送に先駆けて2020年7月31日にプレイアブルキャラクターとして実装されている。バトル特化の性能となっており、新アビリティ「バトル開始時一定時間無敵」と「バトル時反撃」により、当時は圧倒的な強さでバトル環境を支配していたが、現在は「無敵貫通」のアビリティを持ったキャラクターが多数登場している為、環境トップの座からは退いている。
彼が第一次侵攻で尸魂界から撤退する際に放った台詞は一種のネットミームとなっている。詳しくは「お時間です 陛下」の記事を参照。
掲示板
2 ななしのよっしん
2024/01/07(日) 23:57:38 ID: RBTC/w9ALS
バズビー戦と石田戦の流れや決着は綺麗だし誰よりも友情努力勝利してるから好きではあるんだけどさ
結局ガチのバトルは見れなかったのが心残り
京楽や一護、ポジション的に似てる白哉なんかとの戦闘見たかったな
3 ななしのよっしん
2024/11/05(火) 15:34:28 ID: hm7vqbYHD8
こいつのBとかナックルヴァールのDあたりの屁理屈バトル系能力の場合、勝てる屁理屈を持ってこないと勝てないし…
4 ななしのよっしん
2024/11/06(水) 22:40:12 ID: c6uPpEnrH+
アニメで石田を注視するシーンが度々あるけど、 どういう感情で見てるんだ…感が強い
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最終更新:2024/11/30(土) 02:00
最終更新:2024/11/30(土) 01:00
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