ラスベガス銃乱射事件とは
2017年10月1日にアメリカ合衆国ネバダ州にあるカジノで有名な都市「ラスベガス」で起きた大量殺人事件である。
ラスベガス・ストリップ銃乱射事件ともよばれる。[1]
大まかな内容として
この日の夜、ラスベガスにある野外コンサート会場にてカントリー・ミュージックのイベントが行われており多くの観客が集まっていた。しかしそのイベントの最中に、観客らに向かってどこか遠方から射撃される銃弾が多数飛来した。当初は状況がよくわかっていなかったようだが、徐々に「何者かによって会場に向かって銃が乱射されている」ことが判明するとイベントの出演者・運営スタッフ・観客はパニックとなった。銃撃は長い間続き、銃の持ち替えなどのためか時折途切れるものの、約10分間にわたって非常に大量の銃弾が浴びせられ、非常に多数の死傷者が出続けた。
その後、付近にあり広場を見下ろす位置にあるカジノホテル「マンダレイ・ベイ」の高層階にある客室から射撃されていることを察知できた警察が、ドアを爆破してその客室に突入した。しかし犯人「スティーブン・パドック」を生きて逮捕することはできなかった。パドックは警官隊の突入よりも前に拳銃で自殺していたためである。警官が発見したのは多数の武器弾薬と、パドックの遺体であった。
さらにすっきりしないことに、パドックの明確な動機はその後の捜査でも判明しなかった。テロ組織や過激派などとの関わりは浮上しなかった。投資の失敗で財産の一部を失ってはいたらしいが、生活が立ち行かなくなるほど困窮していたわけでもなかった。鬱病を発症していたという情報もあるものの、鬱病であることと乱射事件は直接結び付くわけでもない。「ジャーマンウイングス9525便墜落事故」のように、「自殺に多数の人を巻き込もうとした」タイプの事件だったのかもしれないが、それも想像に過ぎない。
この夜に亡くなった犠牲者は(パドック自身を除いて)58名。また、この時に受けた傷がもとで数年後に死亡した人物が2名いるため、犠牲者は60名とされる。この犠牲者数は、銃乱射事件が多いアメリカ合衆国においても史上最多(2024年5月時点)のものであり、世界全体で見ても単独犯による銃乱射での犠牲者としては「ノルウェー連続テロ事件」の犠牲者のうちウトヤ島で射殺された67名に次いで2番目に多いもの(同じく2024年5月時点)である。
さらに、死に至らずとも銃弾によって怪我を負った人々が400名以上おり、いかに多くの銃弾が発射されたのかがわかる。避難時のパニックなどによって負傷した人も同じく400名以上いるという。
イベントの最中の事件であったため事件の発生前からカメラで動画撮影していた人がおり、またパニックになった会場や周辺の通りを撮影した写真や動画も数多く公開されている(本記事「関連動画」にもあるように、ニコニコ動画にも転載されている)。そういった動画には「タタタタタ」という連続した銃声が明瞭に聴こえているものもあり、犯人がフルオート射撃していたことがわかる。
民間人の銃所持が合法なアメリカ合衆国でもフルオートで撃てる銃は規制されており、民間人が入手・所持することはできないはずであった。ではなぜ犯人がフルオート乱射できたのかと言うと、「バンプストック」(または「バンプファイアストック」)などと呼ばれる後付けの特殊なストック(肩当て)を用いていたからであるとされる。
これは要するに「わざと少しだけ前後にぶれる様に加工してあるストック」であり、「引き金を引いて射撃すると反動で銃身が少し後ろに後退する」ようになっている。つまり「銃身を前に押し出しながら引き金を引く」と、「反動で銃身が下がるが前に押し出されてまた引き金が指に当たる」という事が瞬時に繰り返されるため、実質的にはフルオート射撃ができるという仕組み。
この方法ではもちろん銃身がぶれるので精密射撃など望むべくもないが、本事件のように「密集した群衆に向けて無差別に乱射する」目的においては集弾率などは関係が無かった。「1000発以上が発射されて、400名以上が銃撃で負傷し60名が亡くなった」という結果からすると、発射された銃弾のうち半数弱程度は誰かを死傷させたと推測できる(1発の銃弾が複数人を死傷させたケースを考えると、もう少し率は下がるかもしれない)。
かつては「内部にスプリングが仕込まれていて、銃身を前に押し出す必要すらない」タイプのバンプストックも販売されていたが、これはさすがに「フルオート射撃できるようにするための改造パーツと変わらない」と見なされて既に規制されていた。しかし「内部にスプリングが仕込まれていない」タイプのもの、つまり「引き金を引く手とは逆の手で銃身を前に押し出しながら使う」タイプのものは当時は未だアメリカのほとんどの州で規制の対象となっていなかったのである。
この事件をきっかけとして、銃規制には反対の立場を取る人物・団体が少なくないアメリカでもさすがにバンプストックの規制を求める声が挙がった。銃規制反対の団体として有名な全米ライフル協会(NRA)ですらも規制の検討を求めたほどである。これを受けて、一時的にバンプストックは品薄になったともいう。「規制されて買えなくなる」ことを危惧した消費者が駆け込みで購入したためだとみられる。
2019年3月26日に規制が発効し、全米でバンプストックは違法となった。ただし、NRAよりも積極的な銃規制反対派として知られる米国銃所有者協会(GOA)など様々な団体がこの規制に反対して差し止めを求める訴訟を起こしている。
アメリカにおいてこういった銃乱射事件が起きた後にはよく見られることだが、「この事件は銃規制を進めたい者たちによってでっちあげられたものだ」「記録映像に映っている人々はクライシス・アクター、つまりでっち上げのための役者だ」「パドック以外に真犯人たちが居る」といった様々な陰謀論がネットで流布された。
マイク・クロンク(Mike Cronk)氏は友人のロブとともにイベント会場に居合わせ、そしてロブが撃たれてしまった。また近くに居合わせた若者も撃たれており、介抱しようとしたがその若者が息を引き取ってしまうという体験もしていた。ロブを救急車に乗せてもらうことに成功した彼は道端に座り込んで呆然としていたが、テレビ局「ABC」のニュースクルーが彼を見つけ、彼にインタビューした。このインタビューで彼が泣いたり意気消沈していなかったことで、陰謀論者は彼について「こいつはクライシス・アクターだ」と決めつけた。YouTubeには彼をクライシス・アクターだと見なす動画が投稿され、「いくらもらったんだ?」「デマに加担するのはどんな気分だ?」といったメッセージが彼のfacebookに寄せられたという。
コリ・ラングドン(Cori Langdon)氏はタクシー運転手で、射撃音が響く街並みを動画に撮影して公開し、現場から避難するカップルをタクシーに乗せもした人物である。だが彼女の動画は陰謀論者により「陰謀」を示す証拠が残った動画だとして喧伝・利用され、彼女自身については「queen of cunts」「one of the dumbest fucking idiots」「braindead」「FAKE AS FUCK」「fucking stupid」など、口汚く中傷された。彼女が動画を削除すると「FBIが彼女を黙らせて真実を隠蔽しようとしている」と言った陰謀論に変化し、彼女は「既に殺されている」ことになったという。
カナダから旅行に来ていてイベント会場に居合わせていたブレーデン・マテイカ(Braden Matejka)氏は頭部に銃撃を受けながらも幸い命に別状なく退院できた生存者だが、「頭を撃たれても命に別状が無かった」ことが陰謀論者の猜疑心を刺激したらしく、やはり「こいつはクライシス・アクターで、本当は撃たれてなどおらず演技をしているのだ」として陰謀論者から糾弾された。彼のfacebookには「誰かが本当にお前を撃ってくれることを願っている」といったメッセージが届いたという。彼は耐えかねてfacebookやInstagramのアカウントを削除したが、陰謀論者からはその削除自体も「この事件が政府によるでっちあげだという証拠だ」と扱われたという。
掲示板
80 ななしのよっしん
2023/10/31(火) 19:40:50 ID: Mh4/PSPNSs
81 ななしのよっしん
2023/10/31(火) 21:43:19 ID: 9pNzpP0LDE
毎秒30000000000発の…!このサブマシンガンをおおおおおお!食らえええええええええええええい!
82 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 12:35:27 ID: 0SpQjkx2yh
バンプストックは銃自体が動く仕組み上精度がガタ落ちしてしまうけど
群衆を上から撃ち込むことでいわば的が大きくなり欠点を克服してしまった
動機は不明だがその点だけでも凶悪性著しい
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最終更新:2024/06/05(水) 22:00
最終更新:2024/06/05(水) 22:00
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