北山猛邦

北山猛邦（きたやま たけくに）とは、日本の推理小説家である。2002年に｢『クロック城』殺人事件｣でデビュー。ライトノベルとも本格推理ともつかない独自の世界観を特徴とする。

概要

『城シリーズ』を代表作とするが、シリーズに共通するのは特徴的な城のみで、他に登場人物から時空まで共通点はなく実質はノンシリーズである（中には現在の地球ではない世界が舞台のものがある）。ただし、小道具としてとある短剣がしばしば登場する。

• 他の作家が警察の不介入のために嵐の山荘や絶海の孤島を使うなかで、物語に『きみとぼく』世界や『セカイ系』を利用することで登場人物や舞台を限定させている。またデウス・エクス・マキナ的探偵が登場する点でも第三の波、若い世代の作家との共通点がある。なお、同年デビューに西尾維新、前年デビューに舞城王太郎や佐藤友哉がいる。

• しかし一方で彼の作品を独自たらしめているものとして偏屈的なまでの物理トリックへのこだわりがある。古来ジョン・ディクスン・カーから名探偵コナンまで使い古され、もはや時代遅れと言われる物理トリックだが、彼の作品では「針と糸を使って部屋の外からカギをかけました」レベルではなく島田荘司の全盛期にもひけをとらない大がかりな物理トリックを使用する。中には映画『デッドコースター』もびっくり！のピタゴラ装置で殺人を犯すものもあるので、興味があれば読んでみるといいだろう。また、そうした特徴から中に挿入されている図を見ればトリックが一発でわかる、というものが多い。なので彼の本では気軽にページをめくってはいけない。そのため、特にデビュー作の「『クロック城』殺人事件」のノベルス版は袋とじがされている。
• 上記のために、彼は『物理の北山』と二つ名で呼ばれている。

既刊作品（刊行順、斜体は新品で入手できないもの）

1. 『クロック城』殺人事件 （2002年、講談社ノベルス→2007年、講談社文庫）
2. 『瑠璃城』殺人事件 （2002年、講談社ノベルス→2008年、講談社文庫）
3. アルファベット荘事件 （2002年、白泉社My文庫→2021年、創元推理文庫）
4. 『アリス・ミラー城』殺人事件 （2003年、講談社ノベルス→2008年、講談社文庫）
5. 『ギロチン城』殺人事件 （2005年、講談社ノベルス→2009年、講談社文庫）
6. 少年検閲官 （2007年、東京創元社→2013年、創元推理文庫）
7. 踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿 （2008年、東京創元社→2011年、創元推理文庫）
8. 密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿 （2009年、東京創元社→2021年、創元推理文庫）
9. 私たちが星座を盗んだ理由 （2011年、講談社ノベルス→2014年、講談社文庫）
10. 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 （2011年、講談社ノベルス→2015年、講談社文庫）
11. 猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 （2013年、講談社ノベルス→2016年、講談社文庫）
12. 人魚姫 探偵グリムの手稿 （2013年、徳間書店→2016年、徳間文庫）
13. 人外境ロマンス （2013年、角川書店）
    →　つめたい転校生 （2016年、角川文庫[改題]）
14. ダンガンロンパ霧切 1 （2013年、星海社FICTIONS）
15. ダンガンロンパ霧切 2 （2013年、星海社FICTIONS）
16. ダンガンロンパ霧切 3 （2014年、星海社FICTIONS）
17. オルゴーリェンヌ （2014年、東京創元社→2022年、創元推理文庫）
18. ダンガンロンパ霧切 4 （2015年、星海社FICTIONS）
19. 先生、大事なものが盗まれました （2016年、講談社タイガ）
20. ダンガンロンパ霧切 5 （2017年、星海社FICTIONS）
21. ダンガンロンパ霧切 6 （2018年、星海社FICTIONS）
22. 千年図書館 （2019年、講談社ノベルス）
    →　さかさま少女のためのピアノソナタ （2021年、講談社文庫[改題]）
23. ダンガンロンパ霧切 7 （2020年、星海社FICTIONS）
24. 天の川の舟乗り 名探偵音野順の事件簿 （2021年、東京創元社→2024年、創元推理文庫）
25. 月灯館殺人事件 （2022年、星海社FICTIONS）

関連チャンネル

『ニコニコチャンネルGTV』の生放送にたまに出演

関連項目

• 小説家の一覧
• ミステリー / 本格ミステリ
• ピタゴラスイッチ
• メフィスト賞
• ダンガンロンパ