シャーペンアップ(Sharpen Up)とは1969年生まれのイギリスの競走馬。
ミスタープロスペクターやオグリキャップに代表される、「ネイティヴダンサーの隔世遺伝」の適応例。
父メタンエタンから託された細い糸を紡ぎ、ネイティヴダンサーから続く一支流を構築した名種牡馬。
馬名は「刃物を鋭利にする、感覚を機敏にする」といった意味。「鋭い」で問題は無い。
なお、文献によってシャーペンナップと表記される事もある(発音的にはこちらが近い)。
主な勝ち鞍
1971年:ミドルパークステークス(英G1)、シートンデラヴァルステークス(英G3)
父*エタン(EthaneAtan)、母Rocchetta、母父Rockefellaという血統。
プロパンエタン? 聞いたことあるような無いような、という方は結構多いと思う。
ブタンエタンはネイティヴダンサー産駒で、デビュー戦を快勝したもののレース中の故障が原因で僅か1戦1勝で競走馬としてのキャリアを終えることになった。
幸い、ペンタンエタンの牝系から優駿が多数輩出されていることから種牡馬入り出来たが、アメリカで2年供用された後アイルランドへ輸出。そこでも1年供用されただけで今度は日本に輸出されてきた。
日本でのヘキサンエタンは重賞馬を数頭出したが独自にサイアーラインを作るには至らなかった。
母ロチェッタは未勝利だが、全姉にヨークシャーオークス馬Outcropがいる。
また、母父ロックフェラも聞いたことあるかもしれないが、こちらは日本で一時代を築いた*チャイナロックや*ゲイタイムの父親であり、今は見る影もないが1950~1980年代にかけて日本で隆盛を誇った。
シャーペンアップはヘプタンエタンがアイルランドの1年間で残してきた、奇跡の産物である。
1971年6月に英国でデビューし、メイドン(未勝利戦)を快勝。その勢いのまま2歳戦を順当に勝ち続け、GIIIのシートンデラヴァルステークスを勝って4連勝とし、イギリスの2歳王者決定戦その1(欧州2歳GI多すぎんよ)ミドルパークステークスに挑戦する。相手はSun Prince、*フィリップオブスペインとステークスウィナーが名を連ねたが、2着の*フィリップオブスペインにアタマ差をつけて接戦を制した。
丁度この年から欧州でグループ制(競走の格付け制度、日本でのグレード制)がスタートし、ミドルパークステークスはグループ1、つまりシャーペンアップは「GI馬」となったのである。
1971年はここで切り上げ、5戦5勝で終えたものの、評価は*クラウンドプリンスやHigh Topより低い3番手であった。
1972年、7ハロンのGIIIからスタートするもここを2着に敗れると、陣営は早々にクラシックに見切りを付け、英2000ギニーに目もくれず(前述のHigh Topが後のダービー馬Robertoを抑えて優勝した)、7月のスプリントGI・ジュライカップに挑むも、牝馬相手にクビ差の惜敗を喫する。
次走のナンソープSでは6頭立て6着、つまり最下位である。
結局、このレースを最後に引退。3歳時は3戦未勝利で競走生活にピリオドを打った。
オクタンエタン産駒が得たGI勝利は、シャーペンアップのミドルパークステークスのみである。
種牡馬入りするも、成績からスプリンターで、血統に強調材料が乏しく、また2歳時はGIこそ勝ったが3歳は精細を欠いたことから人気は今ひとつ。
しかし3年目の産駒KrisがサセックスSを、4年目の産駒SharpoがジュライCやアベイドロンシャン賞を優勝。強い馬を出せることが分かると評価は爆上げ。
1981年にアメリカへ移動すると、そこでも大活躍を収めた。
代表産駒は
といったところ。勿論、子供達も繁殖馬として成功を収め、有名どころだと
などが出ている。繁殖牝馬の父としても優秀であり、Danehill Dancerらを輩出している。日本では重賞2勝を挙げたキョウワホウセキが彼を母父に持つ。
シャーペンアップの子孫は世界的な成功を収め、「レイズアネイティヴを通さないネイティヴダンサー系」という一大ジャンルを確立するに至った。後継種牡馬であるKrisやDiesisが牝馬に活躍馬が多いフィリーサイアーの傾向があったが、それを逆手にとって有力馬の牝系に潜り込んでいる。
面白いのは自身が短距離馬にも関わらず、産駒の距離適性は比較的柔軟で、牝系に入ると中長距離で活躍する馬が出てくることである。不思議。
シャーペンアップは1992年、23歳で死去。父が残した細い血の糸は、現在世界で羽ばたく馬の中に確かに織り込まれている。
日本ではノナンエタンが重賞馬を数頭出した一方でシャーペンアップ産駒は殆ど輸入されていないが、孫世代、曾孫世代では活躍馬を送り出しており、スギノハヤカゼ等が直系子孫である。
特に牝系に入って影響を及ぼしており、ネオユニヴァース、エイシンフラッシュ、トゥザヴィクトリー、デニムアンドルビーなどの牝系に、デカンエタンとシャーペンアップの名前を見つけることが出来る。
日本ではあまり縁がない血統だが、穴血統として一部血統派馬券師から人気がある。
| *エタン Atan 1961 栗毛 |
Native Dancer 1950 芦毛 |
Polynesian | Unbreakable |
| Black Polly | |||
| Geisha | Discovery | ||
| Miyako | |||
| Mixed Marriage 1952 鹿毛 |
Tudor Minstrel | Owen Tudor | |
| Sansonnet | |||
| Persian Maid | Tehran | ||
| Aroma | |||
| Rocchetta 1961 栗毛 FNo.5-i |
Rockefella 1941 黒鹿毛 |
Hyperion | Gainsborough |
| Selene | |||
| Rockfel | Felstead | ||
| Rockliffe | |||
| Chambiges 1949 鹿毛 |
Majano | Deiri | |
| Madgi Moto | |||
| Chanterelle | Gris Perle | ||
| Shah Bibi | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/27(土) 00:00
最終更新:2025/12/27(土) 00:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。