中島啓之

中島啓之(なかじま ひろゆき)とは、広島県高田郡吉田町（現・安芸高田市）出身の元JRA所属の騎手である。

概要

中島啓之 なかじま ひろゆき
基本情報
国籍	日本
性別	男性
出身地	広島県高田郡
生年月日	1943年6月7日
没年月日	1985年6月11日
騎手情報
所属	日本中央競馬会(JRA)
	東京競馬場→美浦T.C.(奥平真治厩舎所属)
初免許年	1962年
免許区分	平地
引退日	1985年
重賞勝利	29勝
通算成績	6635戦729勝
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1943年6月7日生まれ。父・中島時一は戦前の騎手兼調教師であり、牝馬のヒサトモで1937年の東京優駿をレコードタイムで制覇しているが、戦後は廃業し、疎開先の広島県で農業を営む生活を選択している。

農家の息子として幼少期を過ごしていたが、地元行われた草競馬で、父が引き取った馬を華麗に乗りこなす少女の姿に憧れを抱く。

中学時代、父に連れられて行った京都競馬場で本物の競馬を見て、騎手になりたいという思いが強くなり、1959年、卒業とともに馬事公苑の騎手養成所に入る。父から賛成とも反対とも言われず、「馬事公苑に行けばいい」とアドバイスを一言だけもらった。

卒業後、東京競馬場の奥平作太郎厩舎に所属。翌1962年に騎手としてデビュー。同期には郷原洋行・中神輝一郎らがいる。同年3月3日、ピンクドーターに騎乗しデビューし、結果は7着。9月23日、スグレホープに騎乗し初勝利を挙げている。デビューからしばらくは仕掛けのタイミングを焦り騎乗ミスすることも多かったという。同年は3勝を挙げた。

1963年、勝数を26と大きく伸ばし飛躍を遂げる。

1965年、ジンライに騎乗して東京アラブ障害特別に優勝し、重賞初勝利を挙げた。

以降は毎年20～30勝前後の勝利を挙げる中堅騎手として活躍したが、所属している奥平厩舎に強力な馬がいるわけではなく、ビッグレースの際には中島ではなくベテランに騎乗依頼を出すことが多かったことから、八大競走にはなかなか縁がなかった。それでも度々万馬券を演出したことから、次第に「万馬券男」と呼ばれるようになっていく。この伸び悩んでいる時期に奥平師からは「とにかくいろいろやってみろ」と言われ、追いの練習やスタートのタイミングを勉強し、技術を磨いていった。

1969年5月10日、師匠である奥平作太郎の死去により、稲葉幸夫厩舎に移籍。1971年3月1日、奥平作太郎の次男である奥平真治の厩舎へ移籍。以後死去するまで奥平厩舎所属となる。

1972年、「雨のラフィール」と呼ばれた13番人気のラフィールで安田記念を勝利し、周囲を驚かせた。

1973年有馬記念でストロングエイトに騎乗し、10番人気ながら圧倒的人気に推されたハイセイコーを破って八大競走を初制覇。

1974年、コーネルランサーで東京優駿を勝利し、史上初となる親子二代でのダービージョッキーとなった。奇しくも父と同じ31歳でのダービー制覇であった。

1975年、コクサイプリンスに騎乗して菊花賞を勝利。

1980年、63勝を挙げ、関東リーディング2位・全国リーディング3位とキャリアハイの成績を残す。

1982年、アズマハンターに騎乗して皐月賞を勝利し、史上10人目の三冠ジョッキーとなる。

1985年、NHK杯をトウショウサミットで逃げ切り、関東リーディングでも4位と絶好調であった。この頃から体調を崩していたが、医師の反対を押し切り病院から抜け出し、周囲には病状を伏せたまま騎乗を続けた。そんな状態ながら、優駿牝馬ではナカミアンゼリカに騎乗し、2着に入る渾身の騎乗を見せている。

しかし、ダービー開催当週に体調が悪化したため医師にかかると、末期の肝臓がんであることが判明。医師からは「もって後3ヶ月」と宣告されたが、中島は「ダービーだけは乗せてください」と医師に懇願、騎乗許可を得た。

迎えた東京優駿では積極的にハナを奪いそのまま逃げの手をうつ。懸命に逃げて見せ場は作ったが4コーナー出口で馬群に沈み、最後は18着に終わった。これが人生最後の騎乗となった。

ダービーの数日後、親交の深かった作家の西野広祥が家を尋ねると、中島はソファーから動けないほどに衰弱していたという。ダービーから9日後に再度入院、しかし、中島の体は既に手の施しようがないほどの状態であった。6月10日、危篤状態であることが奥平師に知らされ、ここで初めて奥平師は中島の病状を知った。翌日6月11日、肝臓がんのため死去。享年42歳。ダービーからわずか16日後の出来事であった。

通算勝利：6635戦729勝　重賞勝利：29勝　G1級勝利：4勝（八大競走）

人物・エピソード

仕掛けを誤らない冷静な判断力と、大胆さを兼ね備え、度々万馬券を演出した「万馬券男」。

大の酒好きであり、唯一の趣味と語っていた。量はビール2～3本程度しか飲めないが、必ず酔いつぶれるまで飲んでいたという。結果的に趣味であった飲酒によって肝臓は蝕まれることになった。

人柄の良さ・人間性の高さは関係者たちからも評価され、マスコミ対応もよく、騎手クラブの役員として騎手の待遇改善にも尽力していた

インタビューなどでは常に相手のことを気遣うように発言することから競馬サークル内での人望も厚く、「アンちゃん」の愛称で親しまれた

小島太とは若手時代の境遇が似ていた事から、よく酒を飲みに行く仲であった。

主な騎乗馬

※ニコニコ大百科に記事のある競走馬を記載。（　）内は中島騎乗での重賞勝ち鞍。

• アンドレアモン（フェブラリーハンデキャップ）

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関連項目

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• アンドレアモン
• 小島太
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★は同一馬による達成者。変則三冠、古馬三冠は同一年達成者のみ。
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