デアリングタクト単語

デアリングタクト

6.2千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

はきっと

がこれほどまでの活躍を予想しただろうか。
桜花賞オークス秋華賞
大きなをひたむきな走りで実現させる。
はきっとう。彼女がそれを教えてくれた。

JRA「ヒーロー列伝」No.86 デアリングタクトexit

デアリングタクト(Daring Tact)とは、2017年生まれの日本競走馬である。青鹿毛

東・杉山紀厩舎所属、日高町・長谷川牧場生産
馬主ノルマンディーサラブレッドレーシング(以下ノルマンディー)

な勝ち
2020年:中央競馬牝馬三冠[桜花賞(GI)、優駿牝馬(GI)、秋華賞(GI)]

名前は「大胆な+Tactics(戦法)より。大胆な戦法。名より連想」(ノルマンディーHPより)

曖昧さ回避 この記事では実在競走馬について記述しています。
このを元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するウマ娘については
デアリングタクト(ウマ娘)」を参照して下さい。

概要

エピファネイアデアリングバードキングカメハメハという血統。

は2年連続年度代表馬シンボリクリスエスと、優駿牝馬アメリカオークスを勝った名シーザリオとの間に生まれた良血で、現役時代にGI2勝を挙げた。デアリングタクトは初年度産駒である。
は未勝利だがその、つまり本祖母重賞3勝を挙げたデアリングハートであり、牝系にも重賞3勝ピットファイターGIEcton Park(この2頭はデアリングハートの半)、GI3勝Banker's LadyやInformed Decisionが見当たる、中々の良血であったりする。因みにデアリングバードは元々社台のだったが、繁殖牝馬セールに出されて長谷川牧場に購買された。
なお方の祖母シーザリオ方の祖母デアリングハートは同い年で、2005年桜花賞で対戦し、それぞれ2着・3着に入線したという縁のある関係でもある。

2018年1歳セレクトセールで税別1,200万円でノルマンディーファームに購買され、その後系列の一口クラブにて1口44,000円×400口、総額1,760万円で募集された。
ノルマンディーは2011年に創設された新しめのクラブで、スマートファルコンマツリダゴッホを生産した岡田スタッドを体とし、近年ではアナザートゥルースやビスカリアなどダートグレードで活躍するを出している。岡田スタッド代表である岡田牧雄と勝負服がそっくりだが、ノルマンディーは袖が水色の地に縦縞となっている。

競走年齢となったデアリングタクトは東の杉山紀厩舎へ入厩した。

大胆な戦法

2歳~3歳春

11月京都開催でデビュー松山弘平上に迎えると、中団好位から追走すると直線で一気の切れ脚で先頭に立ち快勝する。
明け3歳になり初戦に選んだエルフィンSでは、良血であるファーストフォリオ(エピファネイアの半)やライティアに次ぐ3番人気となったが、このレースは圧巻で、後方3番手に控え直線に入り外に回したところ、松山が軽く促せば後ろを突き放し続け4身差の圧勝劇を演出。タイムは1分336のコースレコードウオッカレコードを0.1更新した。
その後テンションが高くなる気性を鑑みて、一度外厩に出して調整し、桜花賞へ直行するプランとなった。

2歳女王レシステンシアが前戦のチューリップ賞を3着に敗れ、サリオスコントレイル皐月賞直行。また桜花賞に至るまでに混合含めた3歳重賞において全て1番人気が敗れているという混迷模様の2020クラシック戦線。さらに新型コロナウイルス2月29日から当分の間競馬開催は無観客で行われることとなった。一時期賞が足りず桜花賞出られないんじゃないか、と思われたが結果的には抽選対にもならず出られる事が出来た。

そして桜花賞 本番。単勝1番人気武豊に乗り替わったレシステンシアであり、差のい2番人気には何とデアリングタクト。松山弘平が前日の阪神牝馬Sを勝つなど2020年に入り絶好調といった事もあったか。
からが降り続け、メインレース頃には重馬場となった阪神競馬場レースが始まると内逃げスマイルカナが押してハナに立ち、大外発走となったレシステンシアがじわじわポジションを上げ2頭が競り合って群を引き連れる。デアリングタクトは中団後方、大体12~13番手を追走して直線を外に構える。
しかし逃げあったレシステンシアスマイルカナは止まらない。それ以上に後ろが止まってしまっていたのである。だがデアリングタクトは重馬場をものともせず伸び続け、逃げ切り濃厚なレシステンシアを交わして尚1身半突き放し快勝。女王に戴冠した。

この勝利により松山弘平桜花賞初制覇、ノルマンディー、杉山紀厩舎、長谷川牧場エピファネイア産駒が中央GI初制覇。重馬場桜花賞1997年キョウエイマーチ以来、キャリア3戦での桜花賞制覇は1980年ハギノトップレディ以来と正に記録ずくめの勝利となった。
またシーザリオデアリングハートと2頭の祖母2005年桜花賞を2着, 3着に敗れており、この勝利を「時を経て、2頭の願いが叶った桜花賞exit」、「15年越しの白星exit」と称する者もいる。

そしてミスオンワード以来(1957年!)の敗の牝馬二冠がかかった優駿牝馬(オークス) は単勝1.6倍の1番人気で出走。天皇賞の前週に松山弘平が落事故に巻き込まれたものの幸い大事には至らず、継続騎乗する事が出来た。馬場入り前後で一気にするなど怪しい所もあったが…
レースでは桜花賞と同じくスマイルカナがハナを切り、4番発走のデアリングタクトは非常にマークが厳しく中団後方、12番手を追走。前半1000mこそ598とミドルペースも後半から一気に緩む前残り展開になり、直線に入って外に持ち出そうとするもブロックされ進路を失う逆尽くし。しかし松山弘平は上手く切り返し、馬場ん中から包囲網を割って進路を見つければ、ゴール手前で先頭に立っていたウインマリリンを一気の脚で差し切り勝利。見事63年ぶりの敗の牝馬二冠を達成した。

3歳秋

その後場を休養に充て、当初ローズSより始動予定も後に秋華賞直行へと切り替えた。
先週から限定的だが競馬場に観客が戻ってきた秋華賞 当日は晴れていたものの、前日に見舞われた事により馬場回復しきらず稍重馬場に。ここでは単勝1.4倍の圧倒的な1番人気に推され、離れてローズSを快勝したリアアメリア、更に離れてオークス2, 3着組のウインマリリンウインマイティーが続く人気。一応の不安要素として「京都内回り2000mを上手く立ち回れるか」というがいくつか散見された。
レース本番、713番から五分のスタートを決め、後方5, 6番手から進める。マルターズディオサがペースを握り前半1000m594とみなく進む中向こう正面からじわじわポジションを上げ、直線入口には馬場の三分どころで好位に取り付く。直線に入って順調に脚を伸ばし、残り150mで抜け出すと追いすがるマジックキャッスル以下を従えたまま入線。ここに日本競馬史上初となる敗の牝馬三冠が誕生した。また三冠達成までのキャリア5戦2018年アーモンドアイ立した6戦をも上回る最少記録である。これ以上となると4戦での達成になるが、この場合「新馬戦を勝って桜花賞直行(出走抽選を通る必要がある)」もしくは「デビュー戦で1勝クラスレースに出走して勝利桜花賞に向かう」という現実味のない条件を満たす必要があるため、5戦が事実上の最少キャリアとなる。

次走はい時期にジャパンカップ挑戦を表明すると、敗での牡馬三冠を達成したコントレイル天皇賞(秋)勝利してGI最多勝記録更新したアーモンドアイも続けて参戦を表明。三冠馬3頭がドリームレースが実現した。更にアーモンドアイはこのジャパンカップラストランであり、ここに最初で最後の決戦の幕が上がることになった。

ジャパンカップは35番という内の位置に決まった。最終オッズはアーモンドアイコントレイルに続く3番人気で3強を形成した。レース難にスタートを切ると中はいつもより前のほぼん中の位置で進む。直線を向くとすぐ後ろを追走していたコントレイルに外から被されて前のカレンブーケドールとなり、何とか内側にルートを修正してそこから加速するもののめに抜け出していたアーモンドアイをとらえることはできず、コントレイルにもクビ差の先着を許し3着に敗れた(ハナ差4着にカレンブーケドール)。これによりデビューから続いていた記録は5勝でストップした。しかしレースぶりは決して悪いものではなく、特に最後に見せた勝負根性と3着に食い込んだ伸びは混合戦でも十分に戦えることを示した。年末のJRA賞では、最優秀3歳を満票で受賞した。

4歳

4歳時は、香港GIクイーンエリザベス2世カップに登録し、この前戦として金鯱賞から始動した。しかし、出走10頭中最低人気だったギベオン逃げを直線で猛追したもののこれにクビ差届かず、2着と惜敗した。

その後香港へ遠征しクイーンエリザベス2世カップへ出走。日本から本の他ラヴズオンリーユーグローリーヴェイズキセキが出走し、地元勢からは古Exultantら3頭が出走し、7頭立てとなった。
レースでは最内から二の足がついてインの3番手から進める(因みに香港では最後方から進める予想があったって合田さんが言ってた)。4コーナーでも他べ手応えが良く、直線に入って追い始めて伸びてはいたがラヴズオンリーユーの脚色が勝り、また外からグローリーヴェイズにも差され3着となった。悔しさによるものか、松山ゴール前に追いながら頭を大きく垂れていた。

後は宝塚記念に向けて調整が進められていたが、5月14日ノルマンディーのHPにて、右前肢繋靱帯炎を発症していた事が発表され、今後の予定は未定となった。血統の因果か、エピファネイアも、シーザリオ海外遠征からの帰後に繋靱帯炎を発症していた。

営は幹細胞移植手術により復活すこととし、この年は治療・休養に専念した。

5歳

手術は成功し着々と復帰へのを進む中、迎えた2022年5歳シーズン3月末に管理する岡田スタッドグループ岡田代表から遂に復帰のアナウンスが入る。

その復帰初戦は5月15日ヴィクトリアマイル。その後はグランプリの宝塚記念標に動く、というもの。実に385日ぶりレースであり、勝てばあのトウカイテイオー有馬記念で打ち立てた中364日でのGI制覇記録を塗り替えることになる。

迎えたレース当日。昨年大阪杯勝ちの快速レイパパレ白毛の昨年桜花賞ソダシに加えレシステンシアアカイイトと、全部で5頭のGI勝ちが顔をえた。デアリングタクトは三冠の実は評価されつつも治療休み明け初戦ということもあってか、ソダシに次ぐ5番人気に収まってレース開始を迎える。好スタートからソダシの後方、中団のポジションにつけ、3・4コーナーでも手応えよく、上・松山弘平騎手も「これならと一は思った」が、最後の末脚が伸びず、ソダシの6着と初の掲示板を外す敗戦となってしまった。しかし、長期休み明けの初戦ということを考えれば、見せ場も作りよく戦ったと評価もできるだろう。脚の状態も特に悪化などは見られないとのことから、次はGIの締めくくり、宝塚記念へ向かう。

宝塚記念では、47番の位置に収まってスタート。序盤はエフフォーリアのすぐ横にぴったりと貼り付き、有を内に閉じ込めつつ様子を見ることに成功。最後の直線で外に持ち出し、ムチが入るとジワジワと前へ上がっていく。
手応え抜群のタイトルホルダーヒシイグアスにはさすがに追いつけなかったが、ゴール寸前でディープボンドと横並びに。結果は……ハナ差でかわして3着! 上がり3Fは36.0を記録し、復活ではないにしても、実が集うレース三冠の底を見せつけた。松山騎手は悔しさを滲ませつつも、「ここでやれると分かったので、今後が楽しみですね」と復活に期待を膨らませた。

その初戦はオールカマーから始動。その後のエリザベス女王杯などのGIレースを戦う為の重要な一戦となるが、上がり35.7ではこのレースでは分が悪かったか、ジェラルディーナの6着。その後、エリザベス女王杯は重馬場レースに。このレースは上がりがかかるレースとなったがその中でも上がりが速いが圧倒し、36.5では届かず、ジェラルディーナ勝利する中、6着。その後中1週でジャパンカップへ。上がり最速33.7叩き出すが、同じ上がりのヴェラアズールシャフリヤールよりも後ろからのスパートだったこともあり、前で上がり34.0叩き出したヴェルトライゼンデにも届かない4着。その後、再び長期休養に入ることになった。

6歳

その後、復帰に向けて調整が続けられたが、10月繋靭帯炎を再発、クラブから引退と発表された。

に泣かされたとはいえ、宝塚記念3着、ジャパンカップ4着と復活を「」ではなく現実のものとした彼女
今後は「」を子孫へ託していくことになる。

血統表

エピファネイア
2010 鹿毛
*シンボリクリスエス
1999 黒鹿毛
Kris S. Roberto
Sharp Queen
Tee Kay Gold Meridian
Tri Argo
シーザリオ
2002 青毛
スペシャルウィーク *サンデーサイレンス
キャンペンガール
*キロフプリミエール Sadler's Wells
Querida
デアリングバード
2011 黒鹿毛
FNo.1-l
キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo Mr. Prospector
Miesque
*マンファ *ラストタイクー
Pilot Bird
デアリングハート
2002 栃栗毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
*デアリングダンジグ Danzig
Impetuous Gal
競走馬の4代血統表

クロス:*サンデーサイレンス 4×3(18.75)、Hail to Reason 5×5(6.25)、Northern Dancer 5×5(6.25)

関連動画



関連リンク

関連項目

中央競馬の三冠馬
クラシック三冠 牡馬三冠 セントライト(1941年) | シンザン(1964年) | ミスターシービー(1983年) |
シンボリルドルフ(1984年) | ナリタブライアン(1994年) | ディープインパクト(2005年) | オルフェーヴル(2011年) | コントレイル(2020年)
牝馬三冠 達成
変則三冠 クリフジ(1943年)
中央競馬牝馬三冠 メジロラモーヌ(1986年) | スティルインラブ(2003年) | アパパネ(2010年) |
ジェンティルドンナ(2012年) | アーモンドアイ(2018年) | デアリングタクト(2020年) | 
リバティアイランド(2023年)
古馬三冠 春古馬 達成
秋古馬 テイエムオペラオー(2000年) | ゼンノロブロイ(2004年)
競馬テンプレート
この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

急上昇ワード改

最終更新:2024/03/29(金) 21:00

ほめられた記事

最終更新:2024/03/29(金) 21:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP