ミョルニル(Mjolnir)とは、北欧神話の雷神トールがもつ最強のハンマーである。
ミョッルニルとも呼ばれる。英語読みではムジョルニア。日本ではトールハンマー名義でもよく知られている。
概要
古ノルド語で『破壊するもの』『打ち砕くもの』という意味を持ち、ドヴェルグ(小人族)によって作られた神器のひとつ。
投擲しても持ち主の元に戻る、投げたら的を外さない、雷撃を放つなどの特性を持ち、その威力は山を砕き、巨人を一撃で打ち倒す。その一方で聖別や死者の復活などの効果も持ち、儀式などにも使われている。使わないときは小さくなって懐の中にしまわれている。
普段はミョルニルが真っ赤に燃えて灼熱を放っているため、使用の際にはヤールングレイプルという鋼鉄のグローブを着用し、装着者に怪力を授けるメギンギョルドという帯が必要である。
以上のような万能武器であり、トールによって振るわれ多くの巨人などを打ち倒すのに使われた。
制作秘話
ミョルニルはドヴェルグによって作られたが、そのきっかけとなったのが北欧神話のトリックスター、ロキである。
ロキはトールの命令でドヴェルグ達に3つの宝物を作らせたが、また別のドヴェルグにその宝物を披露し、「これ以上のものを作れるか?」という賭けをした。そして作られた宝物の一つがミョルニルである。
ミョルニルの制作過程でロキは賭けに勝つためにドヴェルグ達の邪魔をしたため、ミョルニルの柄は本来の予定よりも短くなってしまった。が、それでも巨人を打ち倒すだけのパワーは健在であり、その点が評価されて賭けはドヴェルグ達の勝利となった。その後、ミョルニルはトールに献上される。
ちなみに賭けたのは互いの「頭」だったのだが、賭けに勝ったドヴェルグがロキの頭を取ろうとするとロキは「頭は賭けたが首を賭けてはいない。頭はとってもいいが俺の首を傷つけることは許さん」という屁理屈を展開して言い逃れた。ドヴェルグはロキの頭を取ることは諦めたが、言葉を弄して賭けをごまかした代償としてロキの口を縫い合わせてしまったという。
文化史におけるミョルニル
「投げても帰ってくる」というグングニルと同様の性質は北欧神話を語り継ぐバイキング達が使う武器としての"理想形"であったからと考えられている。戦闘民族である彼らにとってハンマーや槍の投擲は非常に強力である反面、手元に帰ってくることはない上、敵に使用される可能性まであったのが歯がゆかったのだろう。
今日では「ハンマー」という認識が世界的なものとなっているが、元々は斧や棍棒といった別の武器の形で語り伝えられていたが、徐々に半ば誤認とも言えるハンマーとしての姿が浸透していった。
ハンマーなどといった武器としてはやや地味な物である所以は、バイキングが好んだ武器だから。斧や棍棒や槌の発祥は、言うまでもなく剣のような武器としてではない。「叩く」「切る」などの用途の狩猟生活において重要かつ身近な<家財道具から戦闘用に昇華した身近な武器と言えよう。
また、トールは雷神であると同時に豊穣神である。文化的に豊穣は子孫繁栄に通じ、雄々しさの象徴たる荒々しい雷から転じて男性器とシルエットが似たハンマーとなったとする説もある。北ヨーロッパにおいては北欧神話で人気なトールの武器であるミョルニルが長年愛されており、アクセサリーやお守りとしてミョルニルをかたどったものが人気で、ミョルニルのレプリカを飾ると子宝に恵まれるというご利益が信じられている。
創作の中のミョルニル
創作においては強力な一撃を持つ技や魔法や武器などに、「ミョルニル」と同義の名称を借用することがある。
元ネタである雷神トールにあやかって雷や電気の属性が付けられることも多い。
『ミョルニル』表記
- アカツキ電光戦記 Ausf.Achse
- PC「ミュカレ」の必殺技。「特攻ミョルニル」と言う特別攻撃もある。
- アルシャードトライデント
- 作中世界に登場する山の名称。
- エア・ギア
- スレイプニールチームに所属する「トール」のグローブ及び別名「天空の槌(アースガルズ・ミョルニル)」。
- からくりサーカス
- 懸糸傀儡「スレイプニイル」の武器。
- 機動戦士ガンダムSEED
- レイダーガンダムの武装として破砕球「ミョルニル」が登場。
- キメラ(漫画)
- 作中に登場する兵器。
- 聖闘士星矢
- 「ガンマ星フェクダのトール」が持つ戦斧「ミョルニル・ハンマー」。
- 聖闘士星矢 神々の熱き戦い
- 神闘士「ルング」の技「ミョルニル・ハンマー」。
- ソウルイーター
- マリー・ミョルニルというキャラクターが登場。雷と槌が関連している。
- ソードアート・オンライン
- 8巻"キャリバー"にALOのカーディナルエンジンが作成したクエストにトールが登場。クエストクリア時にレアアイテム「雷槌ミョルニル」をクラインに授けた。
- 中二病でも恋がしたい
- 凸守早苗の武器?としてミョルニルハンマーが登場。
- デジモンシリーズ
- 「ヴァイクモン」のモーニングスターの名前。
- デジモンフロンティア
- 「ブリッツモン」の技「ミョルニルサンダー」。
- とある魔術の禁書目録
- 魔術師「投擲の槌」とその使用魔術として「雷神の槌」が登場。どちらも読みはミョルニル。また別のキャラクターもミョルニルに関連した魔術を使用する場合がある。
- Too Human
- 核戦争後の世界の神(アシール)「トール」の武器。
- BASTARD!! -暗黒の破壊神-
- 四大天使「ガブリエル」の装備品。
- ファイナルファンタジーⅪ
- 片手棍のひとつとしてミョルニルが登場。レリック武器のひとつ。制作には手間とお金がかかるが威力は高い。
- Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
- 第3部に「悉く打ち砕く雷神の槌(ミョルニル)」が宝具として登場。
- fortissimo//Akkord:Bsusvier
- 「皇樹龍一」が持つグローブ型補助兵装。
- 藤堂家はカミガカリ
- 「デルトール」の武器。
- Haloシリーズ
- メインキャラクターのマスターチーフはミョルニル・アーマーを身に着けている。
- 魔探偵ロキ
- 「鳴神」の持っている木刀。
- Marathon 2: Durandal
- 作中に登場するサイボーグ「ミョルニル4型(Mjolnir Mark IV)」。
- 遊戯王カード
- 罠カード「ミョルニルの魔槌」。
- よろずやベガス
- 作中に登場する小型ハンマー。
- わたしのゆうしゃさま?
- 「岸岡ユカリ」の武器。
『ムジョルニア』表記
- マイティ・ソー
- マーベルコミックスの同名ヒーローが使用する武器。詳細は自動リンク先の記事参照。
- 燃える!お兄さん
- ファンタジック!お兄さん編(単行本16~17巻)で登場する武器。雷神ソーのもつといわれる伝説のハンマーで、選ばれた者以外は持つことができない。
『トールハンマー』表記
- アーマード・コア ヴァーディクトデイ
- 傭兵「エイリーク」の搭乗AC名。
- 終わりのクロニクル
- 10th-G神族「ヨルス」が使う10th-G製機殻鉄槌。
- 空手小公子 小日向海流
- 作中に登場する「アンドレ・マキンバ」の得意技「雷神の槌(トールハンマー)」。
- 餓狼伝説 WILD AMBITION
- 「ライデン (餓狼伝説)」の乱舞系超飛殺技。
- 銀河英雄伝説
- イゼルローン要塞の主砲として「雷神の槌(トゥール・ハンマー)」が登場。
- KOF MAXIMUM IMPACT
- 「デューク (KOF)」が使用するアッパーカット系必殺技。
- 黒子のバスケ
- 紫原敦のダンクシュートには「破壊の鉄槌(トールハンマー)」という名前が付けられている。
- 史上最強の弟子ケンイチ
- 作中に登場する相撲使い「千秋祐馬」の必殺技「雷槌(トールハンマー)」。
- ZOIDSバトルカード戦士コマンダーTERU
- 作中に登場するフォーメーションカード「火炎大槌陣(トールハンマーファランクス)」。
- 蒼魔灯
- 作中に登場する天井設置型の罠。
- ソニックウィングス
- 1P側自機「AJ-37」の特殊武器。
- ソニックシャッフル
- 作中に登場するミニゲーム。
- デジモンフロンティア
- 「ブリッツモン」の必殺技。
- トライガン
- 作中に登場する重宇宙戦闘艦の主砲用弾頭。
- ドラゴンコレクション
- 作中に登場するレア度S+武器。
- パラドクス・ブルー
- 作中の登場人物「九条愛」のローリングソバット系必殺技「鬼神の雷(トールハンマー)」。
- beatmaniaIIDX
- Thor's Hammerという曲が登場。北欧神話だけでなく、銀河英雄伝説も元ネタとなっている。
- ファイアーエムブレム 聖戦の系譜
- ゲーム中の十二の神器の一つとしてトールハンマーが登場。作中最強武器のひとつ。
- ファイナルファンタジーシリーズ
- Ⅺではミョルニル名義だが、シリーズ全体で見ればトールハンマー名義の方が多い。
- fortissimo//Akkord:Bsusvier
- 「皇樹龍一」が使う神話魔術「総てを射抜く雷光(トールハンマー)」及び必殺技「総てを超越せし九つの雷光(トールハンマー・フルアクセス)」。
- ブライスキャニオン国立公園
- ユタ州に実在する公園内にある大土柱群の通称。
- マジンカイザーSKL
- マジンカイザーSKLの必殺技のひとつに雷を使ったトールハンマーブレイカーが存在。
- メテオスオンライン
- 作中に登場するメテオ破壊用アイテム。
関連項目
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