(ラテン文字転写:Kriemhild Gretchen、カナ表記:クリームヒルト・グレートヒェン)は、『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する魔女。救済の魔女にして、最悪の魔女。
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概要
救済の魔女。その性質は慈悲。
この星の全ての生命を強制的に吸い上げ彼女の作った新しい天国(結界)へと導いていく。 この魔女を倒したくば世界中の不幸を取り除く以外に方法は無い。 もし世界中から悲しみがなくなれば魔女はここが天国であると錯覚するだろう。(魔法少女まどか☆マギカ公式サイトの魔女図鑑より)
主人公である鹿目まどかが絶望により変身した魔女。両手がある上半身の下から常軌を逸した量の枝とも根ともつかないモノが分枝し、巨大なスカート状となっている姿を持つ。その姿は影と平等の魔女Elsamariaに似る。
魔女と宿命に苦しみ救済を望んだ彼女は、呪いと絶望の根源たる生命を新たな天国へ導くことで慈悲としたのである。
魔女としての能力は、説明に従うならば魂を奪い自らの結界に送ること。しかしその効果範囲が段違いに広く、4週目の時間軸においてはQBは「10日ほどで地球を滅ぼす(地球上の生命を吸い尽くす)だろう」と評している(1秒8000人ペース)。
彼女の結界は本編中には登場しないが、『魔法少女まどか☆マギカポータブル』特典BDには結界の設定が収録されている(ゲーム中には登場しない)。
当初、魔女の口づけは持っていないものとされていたが、『魔法少女まどか☆マギカポータブル』発売に際して配信が開始されたPSPテーマで、彼女の魔女の口づけらしきシンボルが登場した。
誕生の経緯
謎の生物キュゥべえと契約した魔法少女・鹿目まどかは、強大な魔女である「ワルプルギスの夜」との激戦の末、命を落としてしまう。まどかの親友の暁美ほむらは、まどかを助けるため自ら魔法少女となり魔法によって時間を巻き戻した。
巻き戻された時間で再びまどかに会ったほむらは、修練のすえ一人前の魔法少女となり、まどかと共にワルプルギスの夜に挑む。しかしワルプルギスの夜との戦いの後、まどかのソウルジェムは完全に濁り、"最悪の魔女"Kriemhild Gretchenを生み出してしまう。
QBの狙いが魔法少女の魔女化にあると知ったほむらは、この残酷な運命を変えるために過去に戻った。しかしずれた時間軸の仲間たちと折り合うことができず、まどかを救うこともできず、逆に魔女になりかけていたまどかを介錯することになってしまう。ほむらは「過去の私を助けて」というまどかとの約束を果たすため、もう誰にも頼らないと決意し、ひたすら時間を巻き戻しつつワルプルギスの夜に挑み続けた。しかし、ほむら一人ではワルプルギスの夜には太刀打ちできず、ワルプルギスの夜に叩き落とされる。それを見たまどかは、ほむらを助けるためにキュゥべえと契約し、一撃でワルプルギスの夜を倒した。しかし魔力を消費し尽くしたためか、以前よりもより強大になった魔女Kriemhild Gretchenが現れてしまった。
地球を滅ぼすというKriemhild Gretchenを前にほむらは「私の戦場はここじゃない」と告げるとまたも時間を巻き戻す。そして友であるまどかを救うため、幾度とない時間の繰り返しをすることになる。しかし、本編第11話でほむらが時間を巻き戻すたび、時間軸の中心となるまどかに魔力が蓄積し、反動で魔女化した際の魔力が莫大になることを告げられ、ほむらは手詰まりになる。鹿目まどかの成れの果て、Kriemhild Gretchenはほむらが時間を巻き戻すたびに強力になっていく魔女だったのである。
時間軸の整理
以下に10話からのストーリーを箇条書きする。当然ネタバレなので要注意。
- 第一時間軸→巴マミ・鹿目まどか、ワルプルギスの夜に敗北、死亡。ほむらはキュゥべえと「まどかとの出会いをやり直したい」という契約を結び、魔法少女になり、時間軸を切り替える。Kriemhild Gretchenは生まれていない。
- 第二時間軸→ワルプルギスの夜との戦闘に参加したメンバーは不明。小説版によるとマミも参戦していたが死亡。勝敗はアニメ版では不明。漫画版と小説版では勝利。鹿目まどか・暁美ほむら生存。しかし、まどかのソウルジェムが黒変、"魔女"Kriemhild Gretchenを生成。魔法少女が魔女を産むと知り、それを防ぐため再び時間軸を切り替える。この時点でのKriemhild Gretchenの力の程度は不明だが、見る限りにおいて一般的な大型の魔女と大差ないサイズ。
- 第三時間軸→美樹さやかの魔女化、および巴マミの錯乱により、ワルプルギスの夜に挑んだのは鹿目まどかと暁美ほむらのみ。勝敗は不明。漫画版ではワルプルギスの夜と思われる歯車が町の瓦礫の上に横たわっており、小説版だと撃退。戦いの後、まどかとほむらのソウルジェムは黒変しかける。まどかはほむらのソウルジェムを、さやかの形見として持っていたグリーフシードで浄化し「私を救って」という願いを託す。ほむらは承諾し魔女化を防ぐためまどかのソウルジェムを壊したのち、三度時間軸を切り替える。Kriemhild Gretchenは生まれていない。
- 第四時間軸→途中経過は不明だが、ワルプルギスの夜に挑んだのは暁美ほむら一人。公式ガイドブックによると、マミと杏子も参戦していたが、まどかが辿り着いた時点で既に死亡。まどかはワルプルギスの夜に苦戦するほむらを助けるべくキュゥべえと契約を結び魔法少女になる。まどかはワルプルギスの夜を一撃で倒すものの魔力を使い果たしてソウルジェムが黒変し”最悪の魔女”Kriemhild Gretchenを生成。ほむらは4度時間軸を切り替える。通常の魔女はおろか超弩級の魔女であるワルプルギスの夜をも遙かに超える山のようなサイズと、それを目の当たりにしたキュゥべえの台詞から、全人類を10日程で滅ぼしうる力を持つことが確認できる。
- 第五?時間軸(アニメ本編)→第1話からの時間軸。第11話にてワルプルギスの夜に挑んだのは暁美ほむら一人。ほむらは単独で全火力を駆使してワルプルギスの夜を攻撃するも通用せず。時間軸を切り替えるたびに因果律が増加しまどかの魔法少女、ひいては魔女としての力が増していくのに絶望したほむらはソウルジェムが濁りかけるもまどかが現れる。まどかは増幅した因果律を利用して、途方もない契約「全時間軸の全空間上の魔女の排除」を願う。
結果、まどかはワルプルギスの夜をも浄化した。また、壮大な願いにより生まれた壮大な呪いにより、彗星並みに巨大なまどかのソウルジェムから地球を両腕で抱え込むほどのサイズの巨大魔女も生み出されるが、これもまどか自身の願いによる強大な力と姿を得たまどか自身”アルティメットまどか”の手で撃ち滅ぼされた。ちなみにこの魔女は、劇団イヌカレーの設定ではKriemhild Gretchenではなく、「誰でもない魔女。全ての魔法少女の絶望から生まれた空気人形」とされている。
尚、Kriemhild Gretchenと同一視されることの多いそれを、Kriemhild Gretchenと厳密に呼び分ける場合、ファンの間では単純に「宇宙魔女」と呼び習わされるのが一般的な模様。
後にMADOGATARI展で正式名称が「絶望の魔女」であることが判明した。 - 世界改変後→鹿目まどかの願いが概念化。鹿目まどかは低位の存在を抹消されるが、彼女の願いにより、魔法少女はソウルジェムが濁りきると鹿目まどか(女神まどか)の"概念"によりソウルジェムごと消滅するようになった。これにより、魔法少女は魔女化するまえに消え去ることになり、Kriemhild Gretchenを含む全ての魔女はその存在が消えることになる。
- おりこ☆マギカの時間軸→Kriemhild Gretchenは登場しないが、美国織莉子は契約直後にその能力によって第四時間軸におけるものと同内容のヴィジョンとしてそれを垣間見て、もはや魔法少女では倒し得ないモノとして認識した。以降の織莉子の行動はKriemhild Gretchenの出現を阻止するためのものになっている。
また。実際がどうかは不明だが、織莉子が固有魔法で見たビジョンは、その周回のほむらから見て一つ前の周回である可能性が有る模様。
いずれにしても、「少女がワルプルギスの夜を倒そうと契約すると必ず悲劇的になる」という点に注目されたい。
作中で最も心優しい少女が、最も凶悪な魔女を倒すために、最も心優しい魔女に変化するというのは、残酷な皮肉といえる。
余談だが、この魔女の名前は地上波初放映時には表示されず、ニコニコ動画配信時の修正のときに判明した。
ファンからの扱い
主人公鹿目まどかが変じた最悪の魔女ということで、その姿から「まどか山」なる愛称が与えられた。
またまどかの願いと概念化は神の定義に適うため、「女神まどか」という通称が与えられた。
そして最終話において鹿目まどかの契約によって生まれた宇宙規模の魔女を指して「まどか星」という別称が与えられた。
他、「クリーム」「クリームさん」「クリームちゃん」といった俗称がある。
そっくりさんとしては、漫画「ベルセルク」のガニシュカ大帝が再転生した姿に似てるとかなどと指摘されることがある。
また、天を支えるポーズになる前の孵化途上の顔が、AAの鳩山由紀夫に似ていることから、二週目の孵化のシーンにおいて「鳩山由紀夫」というコメが乱舞するのも、今となってはお約束である。
しかし、あまりにも重すぎる設定と一途すぎる姿から人気はあるものの動画件数は少ない傾向にある。
名前の元ネタ(推定)
クリームヒルト(Kriemhild 、古高ドイツ語で「兜の闘士」の意)は、ゲルマン民族の伝説に登場するブルグント王国の王女で、英雄ジークフリートの妻。北欧神話における、「竜殺し」シグルズの妻グズルーン(古ノルド語:Guðrún 、「神の秘密」の意)に対応する。ゲルマン神話では有名人であるだけに様々な伝承がある。ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』では、兄王の側近に殺された夫ジークフリートの仇を取るためだけにフン族のエッツェル王(史実のアッティラ大王)と再婚し、ブルグント族とフン族に死闘をさせる悪女として描かれ、最終的に誅殺される。
グレートヒェン(Gretchen)は、ドイツで一般的な女性名マルグレーテ(Margrete)に愛称接尾詞「-chen」をつけたものである。
文学作品において最も有名な(そして本アニメに関係ありそうな)グレートヒェンは、ゲーテの『ファウスト』の登場人物だろう。彼女はファウスト博士との恋愛のすえ子どもを産むが、この恋愛が契機となって母と兄が死亡したこと、そして婚前交渉で私生児を産んだことへの呵責から精神を病み、赤子を殺してしまう。この事件によって投獄され、ファウストからの助けも拒絶して、獄中で発狂死。しかし、神への純粋な祈りがあったために魂は天国に召され、ファウスト昇天のシーンでは聖母マリアと共にファウストの魂の救済を行う。
慈悲のドッペル
(通常版)
慈悲のドッペル。その姿は、救済。
この感情の主は、万物を救おうと試みる。
浮遊する巨大なソウルジェムに見えるこのドッペルが現れた時、周囲のものは全てこのドッペルが生み出したものの体内に取り込まれ、体の自由を奪われる。
その後、このドッペルが大きく浮上して光り輝くと、周囲一帯は光の矢に包まれることになる。
その最中、感情の主は巨大なソウルジェムの中で眠り続ける。(晴着Ver.)
慈悲のドッペル。その姿は、賀正。
この感情の主はドッペルの内部でこれより始まる新たな年へと想いを馳せる。このドッペルは本年度における願いの全てをこの瞬間に集約し、慈悲の恵みとして相手へ与えてみせる。
その一瞬に満たない命が夢見た願いの巨大さによって数億年もの時を経て繁栄した地上のあらゆる生命体は等しく押しつぶされるだろう。(まどか先輩Ver.)
慈悲のドッペル。その姿は、退去
この感情の主はドッペルに異物と判断され、無慈悲に外部へ排出される。
感情の写しから切り離された元主の脳裏には、ただの記憶が残るのみである。
しかし、それを噛み締めることで滲み出す新たな感情の波は、眼下の敵を癖の強い声で薙ぎ払うだろう。(水着Ver.)
慈悲のドッペル 。その姿は、救済。
この感情の主は、いましかできないことをリゾート地で楽しもうと心を弾ませている。
それはドッペルの姿にも影響を及ぼしているが、具体的にリゾート地をイメージできない主の影響で、スペシャルなフルーツアイスの体を成すことになった。
このドッペルによって取り込まれた周囲のものは、分け隔てなく冷たいシロップやフルーツなどを浴びることになり凍る寒さを体幹することになるが、耐えればどんな夏でも謳歌できるようになって救われるらしい。
そうした中で感情の主は、美味しいフルーツアイスを食べるのを夢見て眠っている。
外伝ゲーム作品『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』では、神浜市の中でのみ魔法少女達が内に秘めた魔女の力を解放することで「ドッペル」と呼ばれる、いわゆる超必殺技が使用可能となる。まどかもその例外では無く、Kriemhild Gretchenの力を行使することができる。ちなみに本来が「救済の魔女、その性質は慈悲」なのに対し、ドッペルでは「慈悲のドッペル、その姿は救済」と逆転しているのが分かる(これは他のドッペル、例えばマミのCandeloroや杏子のOpheliaも同様である)。
解説文にあるように巨大なソウルジェムとして姿を現し、まどかは眠った状態でその体内に取り込まれる。そしてドッペルのその身体が光り輝くと一帯が光芒に包まれ、敵を一網打尽にする。この光の矢による攻撃は原作でのまどかあるいはアルティメットまどかのそれ、またはゲームでのマギア(必殺技)である「プルウィア☆マギカ」を踏襲しているものだと言える。
また、派生バージョンとして、2018年新春に登場した「鹿目まどか 晴着Ver.」が行使するドッペルも名前こそ「慈悲のドッペル」だが、「その姿は賀正」とあるように、正月仕様の装飾が施され、魔女文字も筆書きに、攻撃演出も元日気分満載と化している。というか攻撃がお年玉(物理)は反則です。
一方マギレコ宣伝漫画『マギア☆レポート』に登場するまどか。ゲーム実装後には「まどか先輩」と呼ばれるようになっているのだが、2019年4月に入りドッペルも実装。しかし「その姿は退去」とあるだけでなく、上部にまどキャンサーを装備、「FOR RENT」と書かれており、ソウルジェムの中で暴れるまどか先輩を異物と見なして排出して攻撃するというご無体なものであった。慈悲のドッペルなのに攻撃方法が無慈悲なのはこれ如何に。
水着ver.ではトロピカルなフルーツアイスに変化、台座ではペンギンが踊り、内部のまどかはスプーンを抱えて眠っている。攻撃はシロップとフルーツを降らせるものに変わり、ひんやりとした感じに。また魔女文字が白・ピンク・薄紫とやけにカラフルになっている。
関連動画
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関連項目
- 鹿目まどか /女神まどか
- 暁美ほむら / キュゥべえ
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