養殖(ようしょく)とは、動物などを食用・加工を目的として繁殖・飼育すること。
曖昧さ回避
- ゲーム(主にオンラインゲーム)におけるレベリング手法のひとつ。高レベルキャラクターが補助することで、低レベルキャラクターを本来の実力では困難な方法で効率よく育成すること。パワーレベリングとも。
- ニコニコ動画のカテゴリ「踊ってみた」で活動する踊り手→養殖(踊り手)
- 計算してわざとボケるエセ天然のこと→養殖(性格)
概要
一言で説明すると(動物、植物問わず)水生生物を増やす行為のことである。
しばしば天然の対義語としても使われ、養殖の魚などの食べ物は自然で取れた物に対して味が落ちるなどと比較されやすい一方、近年では品質の高い高価格品の養殖も増えている。
家畜を対象とする畜産と比較した場合、海洋生物を対象とすることの他、畜舎のような安定した環境を維持することが難しいことから外部要因による壊滅などの被害が発生することが多い。
歴史
魚類養殖で最古の記録があるのは元和年間(1615~1624年)のコイ養殖である。 延宝年間(1673~1681年)に瀬戸内海で地まき式養殖(カキの種苗を干潟にまいて成長させるとしてカキ養殖)が開始されている。藻類養殖に東京湾にノリの養殖がおこなわれている。
内水面魚類養殖は明治以降に発展。1877(明治10)年、東京の現在の国立大学法人東京海洋大学(水産伝習所)でニジマスのふ化飼育に成功、1879(明治12)年にウナギの養殖が始まっている。
貝類養殖は1893(明治26)年に養殖アコヤガイの半円真珠の生産に成功。なお、ホタテガイ養殖は種苗の確保等の技術的課題から時間がかかり、昭和40年代から本格的に確立、内水面養殖は1960年代よりアユ養殖が普及した。
甲殻類養殖は1905(明治38)年、熊本県の天草諸島からクルマエビ養殖がおこなわれている。
1920年代にいかだを用いた垂下式養殖方法が確立、現在の主流となりカキ類養殖が急速に普及した。
海面魚類養殖は明治40年にクロダイとマダイの養殖試験が行われそれ以降に急速に普及している。
昭和後半になると付加価値の高い養殖業が出現する。フグ類、ブリ、マダイ、マアジ、シマアジ、ギンザケ、ヒラメなども養殖されるようになっている。 また、クロマグロの養殖技術が確立したのは平成からである。
2017年から和歌山太地町にてイルカの繁殖研究をおこなっている。
蛸については「銀だこ」を運営するホットランドが石巻水産研究所で完全養殖について研究している。2017年6月7日、日本水産がマダコの完全養殖技術の構築に成功したと発表。ついに蛸の養殖が視野に入るようになった。
愛媛大がスマの完全養殖に成功、2017年から出荷されている。その他にも北海道福島町が水槽でアワビの「陸上養殖」の実験を進めている。
クラウド漁業
株式会社SABARの右田孝宣社長が考案したクラウドファンディングを活用した養殖の形態である。 クラウドファンディングで調達した資金を利用して稚魚を購入、市場価値のある550グラムを超える大きさに育てるというものである。
データ
養殖 | 天然 | |
---|---|---|
マダイ類 | 81% | 19% |
ブリ類 | 53% | 47% |
クロマグロ | 68% | 32% |
クルマエビ | 76% | 24% |
牡蠣類 | 100% | - |
ホタテガイ | 40% | 60% |
海苔類 | 100% | - |
昆布類 | 37% | 63% |
全体 | 23% | 76% |
努力の結果、かつては養殖不能だった品目も可能となってきている。牡蠣類、海苔類は漁獲データがないため(市場にごくわずかしか出回っていない)、農林水産省が養殖100%とみなしている。近年においては他業種の企業が養殖に参入し成功する事例も出てきている。
世界の養殖
漁業・養殖業全体の生産量の49.4%となっている。(水産庁公表データより)。養殖業生産量(重さでの順)の多い国上位5か国を順に並べると中国、インドネシア、インド、ベトナム、フィリピンで日本は11位となっている。
生産される品目の順としてはコイ・フナ類が28%で一位、以下、海苔14%、昆布9%、ハマグリ類6%、牡蠣類5%、ティラピア5%、海老5%、鮭・鱒4%、その他が25%となっている。
歴史
紀元前11世紀の殷に養殖の記載があり、これが世界最古の養殖ではないかといわれている。 同じ中国で春秋戦国時代(紀元前5世紀)に淡水魚の養殖方法である范蠡(はんれい)養魚経が出ている。 古代ローマ時代のヨーロッパで高級品需要があったウツボ、ウナギ等を生簀で養殖されていた。 それらの養殖業は古代ローマ帝国の滅亡と同時に衰退。その後、ニジマスを中心に内水面養殖が北欧にて行われるようになった。 海面養殖としては1860年代フランスでカキ養殖がおこなわれている。海面魚類養殖への取組は1960頃にノルウェーでのタイセイヨウサケ養殖から普及している。
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関連項目
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