いい大学行っていい会社に就職しなさい。そうすれば年功序列で一生安泰だから。とは、コピペの一文である。2023年1月頃より5ちゃんねるで散見されるようになった。
概要
いい大学行っていい会社に就職しなさい。そうすれば年功序列で一生安泰だから。
バブル崩壊と共に訪れた就職氷河期、年功序列の廃止・見直し、成果主義・ジョブ型雇用への移行……
現役世代の半数が上記に当たる年齢となった現代にとって耳障りのいいコピペである。
もっとも日本において「いい学校に行っていい会社に就職しなさい」に類する呼びかけはコピペ流行以前、もっと遡れば高度経済成長期から日常的に言われていた。というのも、この頃は戦前・戦中の労働統制の影響を残し転職が難しいとされた時期であり、かつ企業には生活の安定と保障を目的とした終身雇用と年功序列が定着していたからである。
学生はいい大学に入るために受験戦争に挑み、いい会社に就職するために必死に手書きでハガキや履歴書を書き公衆電話で必死に電話をかけながら就職活動に臨んでいた。当時の大変さを知るセカンドライフ世代は「今はネットで全部出来るから楽だよな」と愚痴をこぼすとかなんとか。
コピペ検証
さて、実際にいい大学行っていい会社に就職し、年功序列で一生安泰で人生を終えた方はいるが、
果たして同じようにすれば一生安泰であるかは疑問符が残る。
まず「いい大学に行って」の検証となるが、後述するいい会社に就職するには基本は大学卒が前提となる。
技術職で高卒・専門卒・高専卒の道もあるがそもそも「いい大学に行って」なので大学卒が前提となる。
続いてそもそもいい大学とは?となるので、議論などは→学歴
一般的な解釈では東京大学・一橋大学・京都大学は当然ながらいい大学とされ、また旧帝大である北海道大学・東北大学・名古屋大学・大阪大学・九州大学も含むと思われる。
加えて、上場企業の重役にOBOGが多い慶應義塾大学・早稲田大学も含むと思われる。
ただし、続く「いい会社に就職」が条件となるので企業への就職を前提としない医大は除かれる公算が高い。東京医科歯科大学は紛れも無くいい大学であるがもったいない。いやいや研究職で製薬企業とか行くだろ!?って思う人もいるだろうが、ここは判断が難しい。
次に「いい会社に就職し」の検証となるが、企業への就職が条件となるので安定の国家公務員への道を捨てる事になる。もっとも2000年代の霞ヶ関で働く国家公務員は朝から深夜まで働かされるブラック企業真っ青の実態であると言われているため、避ける学生も増えているのが現状である。
頑張れば磐石の医師、安定の公務員で一生安泰の可能性も高いがその道を若い時点で捨ててしまっている。非常にもったいない。
ともあれいい会社に就職できれば「年功序列で一生安泰だから」なのでいい会社の検証に続く。
高度経済成長期からバブル期にかけての企業は、文系では伊藤忠商事、三菱商事、三井物産等の商社、三菱銀行・住友銀行・富士銀行、理系は日立・東芝・松下電器・ソニーに日産自動車、女子は日本航空が花形とされていた。
バブル崩壊後のこれら企業はお察しである。
日立は子会社の切り売り、東芝はもはや言うに及ばず、日産は外資に、日本航空は墜落、銀行も経営統合の煽りで早期退職に追い込まれた正社員も多い。勝者は商社だったのだろうか。
コピペ反証
一方で、いい大学を中退したりいい企業から脱サラして成功した人や、中卒ながら必死に働いて事業を起こし成功を収めた人がいるのもまた現実である。
ただ、それらの成功はあくまで成功した個人の結果であり他の人の保証にはならない。
成功した人は成功した人なりの才覚や努力に依る部分が大きく、それを理解していない、あるいは理解していても他人が再現できる可能性は少ない。
自身の才覚が無いと感じれば「いい大学行っていい会社に就職しなさい」を目指し勉強したほうが、例え失敗したとしても普遍的な知識・経験を得られる可能性は高く、悪く言えば「潰しが効く」である。
一生安泰にはならない理由
たとえいい大学に行きいい会社に就職し、年功序列で磐石の生活を手に入れたとしても、自身の思い違いやミス、神の気まぐれで財産を失い路頭に迷う可能性もある。
自身やパートナーが脳梗塞を発症し生涯介護が必要になったり、災害や不慮の事故に巻き込まれたりといった不可避の事例もあるが、実際には東洋経済やダイヤモンドで度々記事になっているような、投資詐欺や株式・先物・FX、不動産投資に手を出して失敗したり、いい会社に就職したが故の身の丈に合わない生活、振る舞い言動で不幸な人生に転落してしまう。
最も大事なのは「いい勉強をしていい経験を積みなさい」なのではないだろうか。
関連項目
脚注
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