ウィザードリィ#1 狂王の試練場(原題:PROVING GROUNDS OF THE MAD OVERLORD)は、ウィザードリィ(Wizardry)シリーズ1作目である。
概要
舞台は狂王トレボーの支配する城塞。ある日、魔術師ワードナはトレボーから魔除け(アミュレット)を奪い、城塞近くの地下迷宮に立てこもった。
直ちにトレボーはワードナから魔除けを奪還すべく御触れを出し、冒険者が集められる。
かくしてプレイヤーは冒険者のパーティを結成し、全10階層のワードナの地下迷宮に挑む。冒険の目的はワードナの持つ魔除けを奪還することにある。
最初の作品ながら、後の2作より迷宮の規模は大きい。ダークゾーン、回転床、ワープ、落とし穴など、一通りの仕掛けも既に登場しており、迷宮の構造もかなり複雑になっている。
ただしエレベーターで途中のフロアを飛ばせるので、というか階段では最深部までたどり着けないので、半分は行く必要がないフロアになっている。
謎解き要素も少なく、シナリオはキーアイテムを入手することで塞がれていた道が開ける単純な仕掛けで進行するようになっている。シナリオ面での密度はまだ低い。
荒い部分もあるが、現在に至るまで受け継がれているゲーム設計は既に完成していた。後のシリーズでしばしば問題視されるゲームの難易度についても、本作は序盤からエンディングまで絶妙に調整されており、しかも本シリーズ#2~#4のバランスに問題があるせいもあって、#1の評価は突出して高いものとなっている。
ファミコン版
末弥純のモンスターと羽田健太郎のBGM、そしてゲームスタジオの開発による非常に優れた移植。
細かい仕様はアップル版に準拠している部分が多いが、変更点もそこそこある。
大きな違いとして、行く必要のないB6~B8のマップが原作と全然違っていて、B8はとんでもない数のワープがある高難度マップになっている。しかも攻略するメリットは皆無。マップを自力で作成するのが楽しいという人に与えられたボーナスのようなものである。
アイテム名はマイナーバージョンであるマッキントッシュ版準拠で日本語訳したもので、「〇〇+1」のような名前ではなく、「にんたいのかぶと」のようなインパクトのあるネーミングが使われている。「きりさきのけん」と「まっぷたつのけん」のどっちが強いのかよくわからん(しかもこの2つは強いほうが値段も安い)という弊害もあったが、こういうネーミングは日本版シリーズでは定番となっていく。
出来はいいが、このファミコン版1は味方のアーマークラスが機能していないバグ(ACバグ)があり、一部の特殊効果を持つものをのぞいて防具という概念が無意味になってしまっている。
PS版
「リルガミンサーガ」というタイトルで#1~#3をセットにしている。現在一番入手しやすいバージョンと思われ、オートマッピングもありプレイしやすい。それでもファミコン版ほどのスピード感はないが…
モンスターデザインは末弥純のファミコン版デザインを採用、BGMは羽田健太郎の新曲で、ファミコン版を強く意識した構成だが、内容はPC版(国産パソコン版)準拠の移植になっている。
ファミコン版との主な違いはB6~B8がオリジナル同様になっているのと、石の中がロストになっている、マカニトが無効化されるなど。
ハードの制約のためオートセーブもできなくなっている。
またこのバージョンは国産TRPG「ウィザードリィRPG」の設定が一部反映されたらしく、トレボーの城が#2以降の舞台となる「リルガミン」と同一化され、トレボーがリルガミンの王ということになっている。
ついでなのでリルガミンサーガ自体についてもここで書いておくが、サターン版ではオートセーブできるほか、「ボーナスダンジョン」というストーリーのないダンジョンだけのシナリオが追加されている。
ボーナスダンジョンはオートマップを前提とした異常に複雑な迷宮となっている。
その他
- VHS時代にファミコン版をベースにしたと思われるOVAが存在する。
- ベニー松山の小説「隣り合わせの灰と青春」は、ゲームノベライズとしては最初期のものらしい。
- 攻略本「ウィザードリィのすべて」もベニー松山の手によるもので、ストーリーやモンスターの解説も載っている。「隣り合わせ~」の副読本的側面もあり、自著でフラックのブレスの属性を間違えたことについての言い訳も書いてある。
- ファミコン版はShort Swordが「たんけん」と訳されているが、日本語の「短剣」とショートソードは印象が異なる。後の作品では「ショートソード」になっていたりする。
- ファミコン版のワードナは営業時間が日本語と英語で違う。
- オリジナルのB8のマップはRWという文字(ロバート・ウッドヘッドの頭文字)が隠されており、B9のAG(アンドリュー・グリーンバーグ)と対になっていたが、ファミコン版ではAGだけになってしまった。
- B7とB8でしか出ないアイテムがあるという噂があったが、デマらしい。PS版ではB5などに出る敵から手に入る(らしい)
- GBC版はB5~B8が裏ダンジョンに変貌したため、オリジナルでここでしか会えなかったマイナーモンスターが他のフロアにはみ出してきている。
- 最初のフロアに稼ぎモンスター「マーフィーズゴースト」がいたり、「最終フロアが飛ばせない玄室の連続」という迷宮設計は後の日本版ウィザードリィでもよく採用されているが、本国のシリーズではこの作品でしか採用されていない。
関連項目
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