「荀彧」(ジュンイク 163 ~ 212)とは、三国志に登場する人物である。
概要
字は文若。諡は敬。兄に荀衍・弟に荀諶、従子に荀攸(荀彧の甥と表記されることが多いが、荀彧の祖父が、荀攸の曾祖父の弟であり、正確には甥ではなく、やや血縁が遠い)。
王佐の才
弟の仲介もあって袁紹からスカウトされたが、
袁紹は大業を成す事の出来ない人物だと見切らてしまい、仕官先を曹操に変えた。
曹操は荀彧を名軍師・張良に例え、大いに歓迎したという。
曹操が徐州遠征中に、本拠地の兗州で張邈と陳宮が呂布を引き込んで謀叛を起した。
その際荀彧は留守を任されていたが、張邈からの使者の言動から謀叛を見抜き、夏侯惇、程昱らを使って次々と先手を打って反抗拠点を確保し、曹操の帰還まで守り抜いた。
その後も陶謙が病死したことを知って、呂布を放って徐州を攻めようとする曹操を説得し、本拠地兗州を先に平定させた。
また呂布との戦闘で劣勢になった際に、袁紹から援軍の申し出があった際、実質臣従を要求するような内容にも関わらず、弱気になった曹操が申し出を受けそうになったのを、程昱と共に押し止めている。
同様に官渡の戦いで弱気になり、本拠地の許へ撤退しようとした曹操に対しても、これを激励して考え直させている。
他にも劉協(献帝)の擁立を強く訴える等
政・戦争両方において大きく貢献。
国の礎を築いた者として高く評価され「王佐の才」とも呼ばれた(王佐とは『王を佐(たす)ける』意味)。
当時トップクラスの名士で人材ネットワークの中核にあった荀彧は、甥の荀攸をはじめ
戯志才、郭嘉、鍾繇、陳羣、華歆、司馬懿、杜襲、杜畿、辛毘、王朗、孫資、趙儼、韋康、厳象ら
錚々たる人物を推挙している。
荀彧は曹操に、中原で台頭するための策と人材を用意した。
彼無しでは、曹操は天下の8割までを制することができなかったであろう。
ファッションリーダー
風采(見た目)が良く、後漢きっての狂人・禰衡も荀彧を「弔問の使者に丁度良い」と馬鹿にしながらもその風采の良さは認めている。
またある時枝に頭をぶつけ、冠が凹んだ事に気付かずに居た事があったが、それを見た人々が(荀彧がしているのだから流行だと思って)凹んだ冠を真似したという。
謎の死
漢を想う荀彧だったが、次第に献帝を蔑ろにする曹操との間に亀裂が生じた。その後、病を発して憤死。
三国志演義にも採用されている、空の箱(お前はもう用済みという意味にも取れる)を贈られて自殺したという説もあるが、
いずれにせよその死にまつわる謎は明らかになっていない。
小説などの作品でも荀彧の真意と最期の描き方は多彩で
「反曹操派を集めて一斉に検挙するために敢えて曹操に反抗した」
「あくまでこの時期の公就任に反対しただけ」
「そもそも漢の忠臣ですらなく、曹操を覇者にすることだけを考えていた」
「曹操も漢の忠臣であった。董昭らが曹操を祭り上げ、荀彧は陰謀に巻き込まれた」
などの描写が見られる。
なお、荀彧一家は後継者候補筆頭の曹丕より、やや曹植寄りだったことを付記しておく。
各メディアでの荀彧
イク様と呼ばれる事が多い。
蒼天航路
漫画『蒼天航路』では曹操と荀彧の関係が複雑化。とても深いものとなっている。
『三國志』シリーズ・ニコニコ歴史戦略ゲー
前半のシナリオから曹操の軍師として活躍。近年の作品では、全武将の中で政治力第1位を維持している。
ニコニコ歴史戦略ゲーでは『キャーイクサーン(永江衣玖)』と比較されたり、または『キャーイクサーン』自体が荀彧本人を指す。
『三国志大戦』
あいやーっ! ご苦労様です。
三国志大戦3ではLE荀彧&R荀彧『玄妙なる反計』、UC荀彧『駆虎呑狼の計』、軍師カードR荀彧がある。
『玄妙なる反計』は通常の看破や反計よりも消費士気が多いせいでやたら連発すると自軍の士気が枯渇して自滅を招くため注意して運用しなければならない。相手への牽制にもなるこのカードを常に動かして目を光らせるその様はプレイヤーからは『イク様が見てる』と呼ばれることも。無言MADがいくつかある。
真・三國無双シリーズ
無双7empiresから参戦 (CV:大原崇)
その智謀は「王佐の才」と言われ、曹操からの信頼も高かった武将。無双ユーザーや三国志ファンからは「やっときたか」という声が多かった。
三国志の著者・陳寿曰く「めっちゃイケメンだった」というのがあってか、ビジュアルもかなり涼しげなイケメンとなっている。
相手の身分を問わず敬語を使うキャラである。また、その口調の中で人物の才覚を常に気に留めていると思しき面が見受けられる。
武器は「陣杖」と呼ばれる杖で、何個も投げて陣を作り、チャージ攻撃を発動させるとその陣が爆発してダメージを与えるという杖。
そのアクションを見て「お前のような政治家がいるか」というものがいるが、それを無双で気にしたら負け。
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