FC今治とは、愛媛県今治市を本拠地とするJリーグ所属のサッカークラブである。
概要
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1976年に設立した「大西サッカークラブ」を前身とし、2012年に現在のクラブ名となる。2020年にJリーグに入会。ホームスタジアムは今治市高橋ふれあいの丘内にあるサッカー専用スタジアムのアシックス里山スタジアム(2023年1月完成)。ちなみに同スタジアムは運営会社がである今治. 夢ビレッジが所有している。
2014年に元サッカー日本代表監督の岡田武史がオーナーに就任。以降は、「岡田メソッド」という独自の指導法によってチームを強化している。
実は、トップチームは元々、愛媛FCのセカンドチームだったが、愛媛FCの経営判断に基づき別クラブのトップチームとして再独立し、今日に至る。FC今治となった当初は、愛媛FCとの競合を避けるために「J3までしか目指さない」という目標であったが、岡田がオーナーになってからは「J1を目指す」「2025年までにはJ1優勝し、且つ日本代表を10人以上は輩出したい」という壮大な目標が建てられている。
歴史
元々は愛媛県越智郡大西町を中心とした周辺地域をホームタウンとした『大西サッカークラブ(大西SC)』として1976年に創設。1978年には愛媛県東予リーグに加盟し、1982年には愛媛県リーグ2部で初昇格初優勝を成し遂げ、翌1983年に県1部に所属。その後1991年での四国サッカーリーグ昇格と同時に『今越フットボールクラブ(今越FC)』に改称して、ホームタウンを今治市と越智郡全域の1市1郡とする(※前年には育成組織が設立されている)。「今越」は今治市の「今」と越智郡の「越」を合わせて「いまお」と読む。なお、四国リーグでは8チーム中最下位で愛媛県1部に自動降格している。
長い長い再びの愛媛県1部在籍を経て、2001年に四国リーグに復帰しその後定着。2004年はトップチームは別法人で運営されるために切り離され『愛媛しまなみFC』に改称。これはトップチームの更なる地域密着と強化の向上が目的であった。
2009年からJリーグクラブの愛媛FCの下部組織となることが決まり、そのセカンドチームとして『愛媛FCしまなみ』に改称。その影響でプロ契約選手も増えた結果、天皇杯出場の常連ともなっていく。
2012年には愛媛FCによる運営が出来なくなったことから消滅危機に遭うものの、愛媛しまなみFC時代と同じ運営会社により再び独立する形で存続、現在の名称である『FC今治』に改称する(※当初は『FC.IMABARI』という表記だった)。ちなみに今越FC時代の下部組織のチームは全てFC今治に移管されている。名称変更してから全国的に有名な地元のゆるキャラ「バリィさん」をクラブエンブレムに採用したことが、愛媛県代表として出場した同年の天皇杯本選でシードのサンフレッチェ広島(当時J1)に勝利したことで話題となり、一躍時のクラブとなった。2013年には、2014年から新規創設したJリーグ3部(J3)の加盟を目指していることが、地元紙・愛媛新聞にて明らかになった他、J3加盟条件の一つである収容人数5000人以上のサッカー専用スタジアムの建設構想も明らかにされている。
翌2014年11月、昨年のJ3加盟計画にリンクするかのように、現在の運営法人の株51%を取得した岡田武史元サッカー日本代表監督がクラブオーナーとなり、その人脈で様々な大口スポンサーを獲得し、また、その知名度で大手メディアから注目され、広島を天皇杯で倒した時以上の注目を浴びるようになる。ついでに市内にサッカー専用スタジアムの建設も着手され、それもほぼ現実のものとなってきた。結果としては、かなり危なげながらも2年でJFL昇格を成し遂げて、愛媛県2チーム目の全国リーグチーム誕生となったのだった。余談だが、岡田武史がオーナーになってからバリィさんの立場はエンブレム採用から「スペシャルサポーター」へと移った。
2016年に吉武博が監督に、岡田武史が代表兼務のCMOに就任。2月にJリーグ百年構想クラブとして承認される。この年の全国地域チャンピオンズリーグに優勝し、JFL昇格が決まる。
2017年、ラモス瑠偉がチームアドバイザーに就任。8月には待望の専用スタジアム、『ありがとうサービス.夢スタジアム』が竣工。同年、J3ライセンスを取得した。しかし、リーグでは年間6位に終わり、翌年も5位とあと一歩のところでJ3昇格を逃す。
2019年には、1998 FIFAワールドカップでコーチとして岡田の右腕を務めた小野剛が監督に就任。さらに元日本代表の駒野友一、橋本英郎が加入。前半の15試合を9勝5分1敗の2位で折り返し、第27節でFCマルヤス岡崎に勝利して、3試合を残してJリーグ昇格の要件となる「JFL4位以内」を確定(最終順位3位)。Jリーグ入会が承認され、目標だったJ3リーグ昇格を果たす。
J3初年度の2020年にスペイン人のリュイス・プラナグマが監督に就任。9月に解除条件付きながらもJ2ライセンスが交付される。リーグでは中盤までは昇格争いに加わっていたものの、終盤戦に力尽き昇格の可能性が消滅したものの、最終順位は7位と健闘した。
2021年は開幕から7試合でわずか1勝と低迷し、リュイス監督を解任。後任に前松本山雅FC監督の布啓一郎を招聘するが、成績は上向かず9月に解任。5月に暫定監督を務めたクラブのアカデミー・メソッド長の橋川和晃が後任となるが、11位に終わる。
2022年にクラブ所有の今治里山スタジアムが完成。親会社を持たないサッカークラブの「民設民営」が日本で初とのこと。これにより、正式なJ2ライセンスが交付される。
リーグでは大崩れはしないものの、なかなか上位に浮上することができず中位を維持し続けていた。最終的には過去最高順位の5位でシーズンを終える。
2023年、ヘッドコーチの髙木理己が監督に就任。安定した戦いぶりで中位から上位に位置し、昇格争いに加わっていく。7月にチーム得点王のドゥドゥがジェフユナイテッド千葉に移籍し激震が走る。さらに連勝が少なくなかなか上位勢に追いつけないことを踏まえ、フロントは髙木監督の解任を決断。後任にヘッドコーチの工藤直人が就任。昇格争い真っ只中のチームが監督交代に踏み切るのは異例の出来事であった。その後も終盤戦まで昇格争いを繰り広げるが、結局昇格圏に浮上することはなくシーズンが終了。それでも前年を上回る過去最高の4位となった。
2024年は岡田が日本代表監督時代に指導した服部年宏が監督に就任。開幕4連勝と好スタートを切ったが、第5節で初黒星を喫してからは失速。第11節からは4連敗を喫し、一時は14位にまで沈む。だが、夏場に入って調子を上げていき、第17節から第28節まで9勝3分と勝ち点を量産。第21節には昇格圏の2位に浮上する。佳境となる終盤戦に突入しても安定した戦いぶりを続け、首位大宮の独走こそ許したものの3位以下を引き離していく。そして第36節の鳥取戦に大量5ゴールを奪っての大勝を飾り、残り2試合を残してリーグ2位が確定。岡田オーナー就任10年目でクラブ史上初のJ2リーグ昇格が決まる。
岡田メソッド
オーナーである岡田武史が提唱する「主体的にプレーできる自立した選手と自律したチームを育てること」を目的とした、サッカー指導の方法論の体系したものである。
岡田はFCバルセロナで技術部長をしていたジョアン・ビラ氏との対談によって「日本人が世界で勝つための【プレーモデル】を作り、それを落とし込んで、あとは自由にするチームを作ってみたい」という思いが募り、FC今治でプロジェクトを開始した。
公式サイトによると、トップチームから育成まで一貫した型を作ることを目標にし、全カテゴリー同じコンセプトでボールを大切にし、技術とコンビネーションを前面に出した攻撃的なポゼッションサッカーを目指して、「プレーモデル」を整理する独自のトレーニングメゾットを開発するとしている。
参考:岡田メソッド
主なタイトル
現在の所属選手
背番号 | Pos. | 国籍 | 選手名 | 生年月日 | 加入年 | 前所属 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 監督 | 服部年宏 | 1975.9.23 | 2024 | 福島ユナイテッドFC 監督 | 【新】 | |
1 | GK | 修行智仁 | 1984.11.7 | 2024 | 大分トリニータ | ||
2 | DF | 加藤徹也 | 1996.3.13 | 2024 | 奈良クラブ | 【完】 | |
3 | DF | 福森直也 | 1992.8.29 | 2024 | ベガルタ仙台 | 【完】 | |
4 | DF | 市原亮太 | 1998.5.25 | 2021 | 福山シティFC | ||
5 | DF | 白井達也 | 1997.1.18 | 2022 | ギラヴァンツ北九州 | ||
6 | MF | トーマス・モスキオン | 2000.6.2 | 2024 | CAコロン | 【完】 | |
7 | MF | 山田貴文 | 1992.4.28 | 2018 | ホンダロックSC | ||
8 | DF | 野口航 | 1996.1.18 | 2022 | ギラヴァンツ北九州 | ||
9 | MF | 近藤高虎 | 1997.9.28 | 2020 | 流通経済大学 | ||
10 | FW | マルクス・ヴィニシウス | 1998.1.24 | 2022 | ヘトロFCブラズィウ | ||
11 | FW | 阪野豊史 | 1990.6.4 | 2023 | 東京ヴェルディ | ||
13 | FW | 高橋太聖 | 2003.2.8 | 2021 | 今治東中等教育学校 | 【H】 | |
14 | MF | 弓場堅真 | 2000.10.12 | 2024 | HONDA FC | 【完】 | |
15 | DF | 阿部稜汰 | 2001.7.7 | 2024 | 明治大学 | 【卒】 | |
16 | GK | 滝本晴彦 | 1997.5.20 | 2022 | 柏レイソル | ||
18 | MF | 新井光 | 1999.4.14 | 2023 | 福島ユナイテッドFC | ||
19 | FW | ウェズレイ・ダンキ | 1996.7.14 | 2024 | クルブ・オールウェイズ・レディ | 【完】 | |
20 | MF | 佐藤璃樹 | 2003.11.30 | 2022 | 神村学園高等部 | ||
21 | FW | 日野友貴 | 1997.6.15 | 2024 | ミネベミツミFC | 【完】 | |
22 | DF | 西袋裕太 | 1994.9.6 | 2024 | ブリオベッカ浦安 | 【完】 | |
24 | DF | 竹内悠力 | 2001.9.29 | 2024 | 日本文理大学 | 【卒】 | |
25 | MF | 楠美圭史 | 1994.7.25 | 2017 | 東京ヴェルディ | ||
26 | DF | 二見宏志 | 1992.3.20 | 2023 | V・ファーレン長崎 | ||
27 | MF | 土肥航太 | 2001.4.13 | 2024 | 栃木SC | 【レ】 | |
29 | FW | アンジェロッティ | 1998.4.24 | 2024 | 大宮アルディージャ | 【完】 | |
31 | GK | セランテス | 1989.5.24 | 2023 | UDログロニェス | ||
33 | GK | 小澤章人 | 1992.8.10 | 2024 | ブラウブリッツ秋田 | 【完】 | |
34 | MF | 菊池季汐 | 2003.9.29 | 2024 | 江戸川大学(在学中) | 【特】 | |
36 | MF | 横山夢樹 | 2005.9.23 | 2023 | 帝京高校 | 【卒】 | |
37 | DF | 梅木怜 | 2005.8.25 | 2023 | 帝京高校 | 【卒】 | |
44 | GK | 伊藤元太 | 1997.5.20 | 2022 | 柏レイソル | ||
50 | MF | 三門雄大(C) | 1986.12.26 | 2022 | 大宮アルディージャ | ||
77 | MF | 加藤潤也 | 1994.12.30 | 2024 | レノファ山口FC | 【完】 |
※備考欄は【完】=完全移籍での加入、【レ】=レンタル移籍での加入、【復】=レンタル先からの復帰、【新】=新任の監督、【昇】=トップチーム昇格、【卒】=新卒での加入、【特】=特別指定選手、【2】=2種登録、【H】=ホームグロウン選手
過去に所属した主な選手
- 駒野友一(2019 - 2022)
- 橋本英郎(2019 - 2021)
- 小野田将人(2015 - 2019)
- 中野圭(2015 - 2020)
- 桑島良汰(2016 - 2020)
- 岡山和輝(2016 - 2022)
- 原田亘(2019 - 2021)
- 玉城峻吾(2019 - 2022)
- 太田康介(2018 - 2019)
- 有馬潤(2018 - 2021)
- 飯泉涼也(2018 - 2022)
- 内村圭宏(2019)
- 園田拓也(2019 - 2021)
- 林誠道(2020)
- 滝上竜二(2020)
- チョン・ハンチョル(2020 - 2021)
- 安藤智哉(2021 - 2022)
- 茂木秀(2022)
- 中川風希(2022 - 2023)
- 照山颯人(2022 - 2023)
- 千葉寛汰(2022 - 2023)
- ドゥドゥ(2023)
歴代監督
国籍 | 監督名 | 在任期間 | 備考 |
---|---|---|---|
木村孝洋 | 2012年~2016年 | 四国リーグ優勝(2012年、2013年、2015年) | |
吉武博文 | 2012年~2018年6月 | ・四国リーグ優勝(2016年) ・全国地域チャンピオンズリーグ&JFL昇格(2016年) |
|
工藤直人 | 2018年6月~12月 | ||
小野剛 | 2019年 | J3昇格(2019年) |
|
リュイス・プラナグマ | 2020年~2021年5月 | ||
橋川和晃 | 2021年5月 | 暫定監督 | |
布啓一郎 | 2021年5月~9月 | ||
橋川和晃 | 2021年9月~2022年 | ||
髙木理己 | 2023年~2023年8月 | ||
工藤直人 | 2023年8月~12月 | 暫定監督 | |
服部年宏 | 2024年~ | J2昇格(2024年) |
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