ゆるキャン△梨っ子号とは (ユルキャンナシッコゴウとは) [単語記事]

ゆるキャン△梨っ子号とは、JR東海が運行した臨時急行列車である。

概

要

概要

2020年 2月に山梨県で開催された「ゆるキャン△梨っ子町めぐり」に合わせて設定され、2月1、2、8、9日の4日間にわたり静岡駅 - 甲府駅間を1日1往復した。使用された車両は身延線特急「（ワイドビュー）ふじかわ」と同じ静岡車両区所属373系（前半2日間はF1編成、後半2日間はF3編成）で、ヘッドマークはタイトルロゴに各務原なでしこのイラスト入りシールを貼付したものである。

停車駅も特徴的で、他路線との接続駅以外は「ゆるキャン△」の聖地の最寄駅に停車するパターンとなっている。

内船駅	各務原なでしこの家の最寄駅
身延駅	アニメ・ドラマ第8話の舞台である駅前商店街の最寄駅
甲斐常葉駅	本栖高校の最寄駅。運転日に「本栖高校自由参観日」を開催
鰍沢口駅、市川大門駅	アニメ・ドラマ第6話 - 第7話の舞台である四尾連湖の最寄駅

一方で、「ゆるキャン△」の聖地の最寄でも以下の駅は通過している。

富士宮駅	アニメ・ドラマ第2話 - 第3話の朝霧高原（ふともっぱら）の最寄駅
波高島駅	大垣千明、犬山あおいの家およびバイト先の最寄駅

通過した理由として、富士宮駅は聖地まで車で1時間以上かかるうえ今回の企画主がJR東海と山梨県であること、波高島駅についても身延駅や甲斐常葉駅に近いうえ家やバイト先は富士川を渡った先となることから、除外されたと思われる。

以下、特急「（ワイドビュー）ふじかわ」との停車駅の差異を記述する。

甲
府

南
甲
府

東
花
輪

市
川
大
門

鰍
沢
口

甲
斐
岩
間

甲
斐
常
葉

下
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温
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延

内
船

富
士
宮

富
士

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特急「（ワイドビュー）ふじかわ」

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急行「ゆるキャン△梨っ子号」

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表のとおり、「ゆるキャン△梨っ子号」のほうが停車駅は少ないが、所要時間は特急「ふじかわ」の約2時間20分に対し「ゆるキャン△梨っ子号」は3時間かけて運行される。これは臨時列車のため身延線内での列車交換が長く取られているほか、停車時間が長めにとられていたり（理由は後述）しているためである。
また、南甲府駅で復路・静岡行の通過を待つ為、対向列車となる「ふじかわ3号」の南甲府駅発車及び甲府駅到着予定時刻を5分ずつ遅らせる措置が取られた。
その復路・静岡行は由比駅で、「ふじかわ3号」から折り返す後続の「ふじかわ8号（甲府駅12:37発）」通過待ちのため運転停車を行なうが、これは「ゆるキャン△梨っ子号」を「ふじかわ8号」が追い抜くシーンを撮影できるよう撮り鉄に対しての配慮と思われる。

運行ダイヤ及び接続列車

終点以外は発時刻。接続列車は運行された2020年 2月時点。

往路

静岡駅	8:31
富士駅	9:04
内船駅	9:53
身延駅	10:08
甲斐常葉駅	10:28
鰍沢口駅	10:41
市川大門駅	10:49
甲府駅	11:29（着）

接続列車
東京・横浜方面より：東京駅7:03発 - 静岡駅8:03着東海道新幹線ひかり461号（岡山行き）
大阪・名古屋方面より：名古屋駅7:18発 - 静岡駅8:10着東海道新幹線ひかり504号（新大阪始発）

復路

甲府駅	12:00
市川大門駅	12:37
鰍沢口駅	12:41
甲斐常葉駅	12:56
身延駅	13:09
内船駅	13:25
富士駅	14:18
静岡駅	15:05（着）

接続列車
東京方面より：新宿駅10:00発 - 甲府駅11:28着中央本線特急あずさ9号（松本行き）

Ｊ

Ｒ

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海

の

本

気

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東海の本気

一番の特徴としてこの列車はJR東海が運行したことである。

人気アニメ「ゆるキャン△」連動企画に合わせて
特別列車の運転とご旅行に便利なフリーきっぷの発売を行います
ＪＲ東海では、山梨県、身延線沿線各自治体が人気アニメ「ゆるキャン△」とコラボしたイベントの開催に合わせ、山梨県のご協力により「ゆるキャン△」のオリジナルイラストを車内で装飾する等、その世界感を車内でも感じていただける特別列車の運転と、イベント開催地の周遊に便利な限定フリーきっぷの発売を行います。
是非この機会に「ゆるキャン△」のモデル地、山梨県峡南地域を巡る旅をお楽しみください。

JR東海　2019年12月26日プレリリースより（pdf注意）

これまでJR東海はアニメに関連したイベントは勿論のこと、1995年の葛西敬之社長以降はアニメの使用諸諾すら行わなかったほどである。しかし2014年に柘植康英が社長に就任すると一部方針を変更し、「君の名は。」や「聲の形」、「新幹線変形ロボシンカリオン」の車両や駅舎の使用許諾を実施。2018年に社長へ就任した金子慎はさらに一歩踏み出し、「新幹線変形ロボシンカリオン」にてかつてCMで流していたクリスマス・エクスプレスネタの協力を行なうまでになった。その中で先述の「ゆるキャン△梨っ子町めぐり」イベントの目玉として山梨県および観光団体がイベント列車の運行を熱心に働きかけたところ、JR東海もアニメ「ゆるキャン△」の特別協力を行なっていた縁や、リニア中央新幹線建設に絡み山梨県との関係が良好だった事、中部横断自動車道の開通を前に地域と協力して身延線へのテコ入れを図りたいと言う思惑もありこれを快諾した。

ちなみに、本列車が運行されるまでJR 旅客6社でJR東海のみアニメとのコラボレーション列車が運行されていなかったのは言うまでもないが、JR発足時からまったく運行されなかったわけでなく、民営化間もない須田寛社長の頃に「究極超人あ～る」のイベント列車が飯田線で運行されたことがある。但し、これは有志による団体列車としての運行で企画がJR東海の管轄でなく、時刻表には掲載されず（運行スケジュールは鉄道雑誌などでの確認になる）、切符では乗車不可（企画団体への申込が必要）であった。よってJR東海が企画に関わり時刻表に掲載され、かつ切符で乗車できる列車として運行されたコラボレーション列車は「ゆるキャン△梨っ子号」が初めてである。なお、「ゆるキャン△」とのコラボレーション自体は2019年 3月に運行された臨時急行「しだれ桜の里みのぶ号」や同年11月10日に運行された臨時急行「南アルプスはやかわ号」から行われており、この列車ではセミコンパートメントの区画に「ゆるキャン△」のタペストリーやイラストを展示している。

外観上は近年のJR東海が運行している他の特急・急行列車とさほど変わらないスタイルであるが、内装はかなりこだわった物で、列車そのものがイベント色の強いものとなっており（後述）、これまでのJR東海とは一線を画する列車にアニメファンだけでなく鉄道ファンからも驚きをもって迎えられた。また、山梨県内の途中停車駅では停車時間を多くとり列車撮影会を開催したり、甲斐常葉駅では身延町公認のゆるキャラ「もーん兄さん」、甲府駅では山梨県公認のゆるキャラ「武田菱丸」が出迎えたほか、甲府駅の臨時列車を案内するホワイトボードにはJR東日本の駅員によって手書きで大きく紹介され、その下には「私も乗りたかった…」と本音を覗かせるなど、この列車の影響は大きいものとなっている。

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山梨県の悲願

JR東海以外にも、コラボレーション列車の運行を熱心に働きかけた山梨県の存在もある。山梨県がここまで熱心になった一番の理由は「観光県としてご当地アニメとコラボレーションをしたいが、これまで県レベルでコラボレーションのできるご当地アニメが存在しなかった」ことである。

「ゆるキャン△前の山梨」の記事を見てわかる通り山梨県を舞台にするアニメ自体はなかったわけではないが、コラボレーションができるアニメが「迷家-マヨイガ-」を除き存在せず、その「迷家-マヨイガ-」も公共交通機関の乏しい道志村が舞台だったこともあり、山梨県とのコラボレーションには至らなかった。企業レベルでは2014年に富士急行が「ヤマノススメセカンドシーズン」とのコラボレーションを行っているが、一般社団法人アニメツーリズム協会が発表した「訪れてみたい日本のアニメ聖地88（2018年版）」では山梨県は聖地一覧から除外されるなど、ご当地アニメ不在による損失は大きかった。

周辺都県が次々とご当地アニメとのコラボレーションを展開する中山梨県は出遅れていたが、2018年 1月に「ゆるキャン△」がアニメ化され、山梨県と「ゆるキャン△」サイドが製作段階から互いに協力関係であったこと（ロケの際山梨県の関連組織である「富士の国やまなしフィルム・コミッション」が支援している）から、山梨県も特設サイトの開設やイベントの催行、関連商品の販売を次々と展開。アニメ自体もケーブルテレビ経由でTOKYO MXとBS11、インターネット経由でニコニコ生放送で放送され、さらに地元テレビ局の山梨放送も深夜帯であるが4月に放送を開始したため県民の認知度も充分高かった。

そして「訪れてみたい日本のアニメ聖地88（2019年版）」にゆるキャン△の聖地である身延町が登録されるとこの流れは山梨県議会、さらには山梨県知事までも動かし、山梨県とゆるキャン△の舞台となっている自治体、観光団体がタッグを組み「ゆるキャン△梨っ子町めぐり」の催行、さらにはJR東海へ依頼・協力し、「ゆるキャン△梨っ子号」の運行にこぎつけた。

余談であるが、運行にあたり各種装飾品やオリジナルグッズの費用は山梨県の観光関連予算から捻出されている（「ゆるキャン△梨っ子町めぐり」も同様）。よってJR東海が運行主体なのは確かだが、山梨県が運行のための費用を出したのを忘れてはならない。

制

作

サ

イ

ド

の

協

力

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制作サイドの協力

運行をしたJR東海および企画をした山梨県は勿論であるが、デッキ部分にキャラクターの大型シールの貼付、座席にはオリジナルイラストのカバーを装着（しかもこのカバーは持ち帰り可能）、オリジナルグッズの配布（非売品）や販売が行われ、セミコンパートメント席には作者「あfろ」によるオリジナルイラストの展示や実写ドラマ版キャラクターの衣装を着たマネキン人形が配置され、車内案内は各務原なでしこ役の花守ゆみりによる自動放送が流されている。ここまで拘った列車が運行できたのは作者や声優、さらにはゆるキャン△を連載している芳文社やテレビドラマを放送したテレビ東京など、制作サイドの協力があったためである。

関

連

き

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ぷ

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ニコニコでの扱い

このように特徴のある列車であるが、ニコニコ動画にアップロードされている動画は非常に少ない。運行が行われた2月にYouTubeには多数の乗車動画がアップロードされたが、ニコニコ動画へのアップロードは皆無であり、翌3月にようやく走行シーンの動画がアップロードされている。その後も乗車動画については投稿されることはなく、半年後の8月になってようやく乗車記録の動画がアップロードされている。

YouTubeと比較してニコニコ動画へのアップロードが少ない理由として、YouTube側は熱心な鉄道・交通系YouTuberやアニメ系YouTuberが積極的に乗車・紹介したのに対し、ニコニコ動画の鉄道系は迷列車で行こうシリーズが主であるため迷列車としての要素が少ないと判断された、または切符がとれなかった（本列車は全車指定席であるが、全列車販売開始1分で満席になった）ことなどが挙げられる。

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ニコニコでの扱い

2022年 7月1日に公開された映画『ゆるキャン△』にあわせ、7月4日より313系 3000 番台（Y10編成）に車内ラッピングやポスターを掲示した特別車両の掲示を8月31日までの期間限定で掲示している。

なお、（ゆるキャン△梨っ子号でそうであったが）車外ラッピングが施されていないのはJR東海が山梨県屋外広告物条例の屋外広告登録を行なっていないためである（恒久的にラッピングをしている富士急行系列や山梨交通系列ならともかく期間限定のコラボでしかラッピングをしないJR東海が営業事業所のない山梨県へ申請するのは非常に手間である）。

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他社のコラボ列車・バス

JR東海以外でも「ゆるキャン△」のコラボレーション列車やバスを運行しているため、ここで紹介する。

叡山電鉄

叡山電鉄では、2018年 1月20日から4月29日の予定でラッピング列車を運行した。デオ720形電車にヘッドマークと内外装のラッピングを施し、運行初日は貸切列車として車内にてポスターの展示が行われた。また、一日乗車券とキャラクターの誕生日が捺印された特別入場券をセットにした「１日乗車券・特別入場券セット」も発売されている。なお、当初は4月29日までの予定であったが好評であったため、志摩リンの誕生日である10月1日まで延長されている。

富士急行・富士山麓電気鉄道

富士急行でも富士急ハイランドで「ゆるキャン△ in富士急ハイランド」開催に関連し、2018年 4月28日から5月27日までの間、同車 6000系電車の1編成にヘッドマークを掲出し、ポスターの展示が行われている。また、富士山麓電気鉄道へ改名した後の2022年 7月1日から28日にかけて6000系の1編成にヘッドマークの掲出を行なっている。

山梨交通

「ゆるキャン△梨っ子町めぐり」の催行に合わせ、身延町から委託されて運行する身延町営バス身延鰍沢線の専用車両にラッピング（前面は「ゆるキャン△」、側面は「へやキャン△」）を施したバスを2020年 2月より走らせた。催行終了後もラッピングは継続されている。

天竜浜名湖鉄道

「ゆるキャン△SEASON2」の第3話にて同社の浜名湖佐久米駅が登場。これに合わせ同社のTH2 100形気動車1両が内外装ともラッピング車両になった。アニメ放送の2021年 1月から運行している（2022年3月までの予定であったが延長されている）。

関

連

動

画

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ゆるキャン△梨っ子号単語