チェーンメール(英:chain letter)とは、「他の人に知らせてください」「拡散・シェア希望」等と書き添えて、受け取った人に対して同じ内容のものを他者に送るよう促す手紙・メッセージである。
狭い意味では電子メールによるものや、それにSNSのメッセージを加えたものを指すが、ここでは最も広い意味である、紙媒体まで含めるものとして解説する。
以下の要素があれば「チェーンメール」と呼ばれることが多い。
2010年代に入ると、電子メールのチェーンメールはあまり見られなくなったが、LINEなどのSNSで同様のものが流行するようになった。もはやメールではないが、写メ(写メール)と同じように、メールではないものにもこの言葉を使うようになっている。
初期の内容は
といった都市伝説的で広める人数を限定したものが多かった。しかし、時代が下るにつれ、
など、具体的な文面を伴って不安や良心に訴え、人数を限定せず拡散を促す内容も増えつつある。
いわゆる「拡散」はチェーンメールより広い概念で、Twitterのリツイートなどを含む。
リツイートは、情報を出した人物のツイートを引用して表示する機能である。そのため、もしその内容がデマであれば途中で指摘が入ることもある。
一方で電子メールやLINEのチェーンメールの場合、公にはなっていないうえに、最初の発信者が不明なため情報を遡って検証することが難しく、デマであるという指摘が入りにくい。
「幸運が訪れるなどのポジティブなものや、確かな事実をもとにして他の人に危険を知らせるものであればチェーンメールを回してもよいのでは」と思う人もいるかもしれないが、チェーンメールは他の人に回されていくうちに、伝言ゲームのように徐々に文面が変化する傾向があり、もう不要になった情報であっても勝手に広まっていってしまう性質がある[1]。そのため、回されていくうちに最初の内容とは違う、不正確・誇張された表現になってしまうこともある。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/f75lgr/status/1246373219541463040
デマや混乱に加担しないよう、どのような内容であっても(仮に善意によるものであっても)、「拡散」「シェア」「知らせて」という言葉を見た時点で、必ず情報の出所を公式ホームページ・アカウントなどを見て確認し、事実と判断できないならメッセージを拡散しないことが必要である。また、公益的で確かな情報だと確認したうえで拡散する場合は、LINEではなくTwitterのような開かれた場所で、情報の出所へのリンクを付け投稿するなどして、他の人から見ても必ず出所が確認できるようにすることが重要である。
なお、「○人に回してください」という文面がメールに付いている場合、それを指示通りに全員が実行すると、ねずみ算的にどんどんメールの数が増え、回線等に負荷がかかる危険があると指摘されている[2]。ただしこれについては、スパムメールの方が回線への負荷が大きいし回線もそこまで貧弱ではない[3]、そもそも見た全員が実行するはずがない等の反論もある。
ただし、情報が必要以上に拡散されてしまうため、過去にはチェーンメールにより応援メッセージや関係ない人からの電話が殺到し、SNSのメッセージ公開をやめてしまった例もある[4]。チェーンメールの回線速度的な問題は現在は少ないものの、拡散する人が「情報がどこまで広まっているか」を把握できないため、情報の氾濫を招きやすいという問題は残っている。
チェーンメールのようなものは昔からある。18~19世紀ごろ、アメリカやヨーロッパでは神から贈られたとされる「天使の手紙(独:Himmelsbrief)」が存在していた。所持していると悪魔除けになるとされ、これを写した者も幸せになると書かれていた[5]。20世紀になるとこの内容が徐々に、「○人に送ると幸せになります」という「幸運の手紙」に変化していったと推測されている[6]。
時代が下ると文面に「chain(連鎖)」という言葉が入り始める。これがchain letter(チェーンメール)の語源となったと思われる。
日本では大正時代の1922年、ならびに1926年の夏ごろに「幸運の手紙」が流行した[7]。1926年の手紙の文面は以下のようなものであった[8]。
この幸運の手紙は、○○通として有名な○○○○○氏よりも送り越されしものにして、小生は幸運の連鎖を破らざらんが為之を貴下及び其他八名の友人に回送いたし候。貴下も亦此手紙を写して十四時間以内に九名の友人に御贈被下度候。此幸運なる連鎖は、米国の一士官より発せられ、三度世界を周るべく候。此連鎖を御破なき様願上候。萬一之を破らるる時は、悪運忽ち其身に到るべく候。
(筆者要約:あなたと8人の友達にこの幸運の手紙を送りました。これを写して14時間のうちに9人の友達に送ってください。もしこの幸運の連鎖を破ると不幸が訪れます。)
当時外国で流行していた「幸運の手紙」が日本に輸入され、上層階級の間から広まったと推測されている[9]。このとき民本主義で知られる吉野作造のもとにも手紙が届いており、「馬鹿馬鹿しい」と言いながらも「罪のない余興」として面白がり、他の人には送らないまま日記に手紙を貼り付けている[10]。
このときは警察が発信者に罰金刑を課したため鎮静化した[11]が、その後も水面下では「南無大悲遍照金剛と二十一回唱へ、又此葉書を受取つた後二十四時以内に…」と仏教の要素を取り入れたり、戦時中には「もう戦争はあきあきしました。(略)此の葉書を受取った方は此の通り書いてあなたの知人二人にお出し下さい。早く平和の日がきます。」といったものまで現れ[12]、かなり多くのバリエーションが生まれていた。
戦後になると、上記の「幸運」の部分を除いたような内容である「不幸の手紙」が子供たちの間で送られるようになり、1970年代になると新聞等でも取り上げられるようになる[13]。このころのブームは漫画等でも取り上げられることがあり、『ドラえもん』ではスネ夫が不幸の手紙を送る話[14]や、『ちびまる子ちゃん』では藤木くんが届いた不幸の手紙をクラスメイトに拡散してしまう話がある[15]。
1980年代になると、一般人が文書を短時間で作成し、大量印刷できる機器である「ワープロ」が登場した。それに伴い、「この地域に以下のナンバープレートの車の当たり屋が多数出現するので、気を付けるとともに他の人にこの情報を広めてほしい」など、虚偽の情報が載ったチラシも見られるようになった。このデマは「当たり屋グループ」と呼ばれ、インターネット時代でもチェーンメールとして出回っている[16]。
特にインターネットによる電子メールが登場して以降、複数人に拡散を促すメールが流行し、日本で「チェーンメール」と呼ばれるようになった。その後、LINEなどのSNSのメッセージで同様のものが流行るようになってからも「チェーンメール」と呼ばれている。
1990年代のインターネット黎明期のチェーンメールの代表例は
等がある。もちろんデマである。
2000年代ごろになるとパソコンや携帯電話の普及とともにバリエーションが増え、
等が現れている。繰り返すがもちろんこれらの文面はデマである。「銀行がつぶれる」というチェーンメールにより、取り付け騒ぎが起き、発信者が信用毀損容疑で書類送検された例もあった[23]。
2010年代にはスマートフォンが普及した影響で、電子メールからLINEやTwitterなどのSNSへとネットでのコミュニケーションの場が移っていき、電子メールを使ったチェーンメールは減少した。しかし、LINE等で同様のものが流行ることは多く、2017年・2018年には「エチルエーテルを嗅がされて臓器を売買される(エチルエーテル犯罪)」等のチェーンメールが出現している[24]。
2020年2月には、「『震度10』の地震が発生するという動画はウイルスだから開かないように、という情報を拡散してほしい」という内容のチェーンメールが出現した[25]。つまり、「震度10について述べた地震の動画がある」ということ自体が嘘の情報である。
掲示板
11 ななしのよっしん
2023/04/01(土) 19:03:43 ID: L8nUdQlTds
昔インターネットのゴミ箱っていうチェーンメールをまとめたサイトがあったのを思い出した
12 ななしのよっしん
2023/04/02(日) 03:15:15 ID: Gbv4s/uJNS
小学生の頃に学校じゅうで流行っていたのは普通の郵便の手紙のチェーンレターだった
あともう少し続ければ連鎖の長さがギネスブックに載る、とかいう話が元の手紙に書いてあって、皆で実現させようとかすごく興奮していた
ところが自分の姉が(喜んで協力するとばかり思って)遠くに住む従姉に回したところ
叔母(従姉の母)が手紙を出すまでの最低日数と続いている回数を計算し
最初に出した人物が5000年以上前の縄文人しかありえないことが判明
そんなに続いてるとかギネスブックとか大嘘だということが姉から学校じゅうに知れ渡って一気に鎮静した
しかし今思えば、叔母はなんでそんな子供の遊びを計算するという発想が出たし
13 ななしのよっしん
2023/04/02(日) 14:17:15 ID: 0szwM84beh
小説だと横溝正史に『黒い翼』って短編があって、それに不幸の手紙の類が出てくる。
違いは「墨塗りの上に鉛筆書き」と読みにくいが斜めにすると光の反射でわかるという仕様。
実は犯人がある目的をもって流していたとラストで判明。
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最終更新:2024/09/08(日) 02:00
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