ネヴァーセイダイ(Never say Die)とは「弱音を吐くな!」という意味で、Never give upとほぼ同義である。
ここでは、上述の意味を由来に持つ1951年生まれの米国産の競走馬である
「ネヴァーセイダイ」について記述する。
英国のクラシック二冠馬で種牡馬として活躍を収めたが、
子孫が日本で大成功してしまったせいか、現代では父系はほぼ断絶してしまっている。
父Nasrullah、母Singing Grass、母父War Admiralという血統。
血統についてだが、日本語版Wikipedia
がえらい詳しいので説明はそこに任せる。
ただ言えることは血統表に名種牡馬が多数見られる良血馬である。
当時としてもかなり変わった名前だったらしい。
アメリカで生まれたが1歳になるとイギリスに送り込まれ、そこで競走馬としての訓練を重ねる。
本馬はスピード豊かだが気性難なNasrullahと、闘争心旺盛なWar Admiralからその性質を十分に受け継ぎ、当時の名伯楽ジョセフ・ローソン調教師でもかなり手こずったという逸話が残っている。
そのネヴァーセイダイはやはり父Nasrullahに似て、競走馬としての能力は問題ないのだが、気難しくレースでは不安定な面が多々見られた。
通算成績は12戦3勝。微妙? この3勝の中にエプソムダービーとセントレジャーが入ってます。
2歳時は6戦1勝で、3歳になってもレースを落とし続けた結果、ダービーでは22頭立ての10番人気タイ(単勝34倍)というかなりの人気薄となった。
それでも当時18歳だったレスター・ピゴット騎手と「Never Say Die」という印象的な名前のおかげで人気が高くなったという噂もある。
そのダービーを2馬身差をつけて快勝。アメリカ産馬によるエプソムダービー制覇は史上2頭目、ピゴット騎手(18歳)とローソン調教師(73歳)はダービー初制覇と、実は結構メモリアルである。
ダービー勝利後、2週間後のキングエドワード7世Sに出走するが、このレースはかなり荒っぽいものになり、ネヴァーセイダイはなんと直線で他の馬のケツに噛み付く。最終的に4着に敗れ、ピゴット騎手は半年間に及ぶ長期の騎乗停止処分を食らう。元々荒っぽい騎乗が積み重なってこんな長期になったようだ。
2ヶ月空けて臨んだセントレジャーではチャーリー・スマーク騎手に乗り替わり、12馬身つけて圧勝。本馬がデビューした時点で英国クラシック完全制覇までダービーとセントレジャーだけを残していたローソン師の夢を1頭で叶えた。
ちなみにこれ、現在でもセントレジャーにおける最大着差である。
セントレジャー以後引退し種牡馬となり、イギリスでスタッドイン。その後イギリス政府が所有する国立牧場に寄贈され、イギリスとアイルランドの生産者から歓迎と謝意が与えられた。日本で例えると社台スタリオンにいた第一線の種牡馬が日高の軽種馬場に寄付されるものだ(左遷じゃないよ)。
種牡馬としても1962年にダービー親子制覇を果たしたラークスパーを出し、この年のリーディングサイアーになるなど活躍。1976年に25歳で死亡するまで高い名声を得た。
ネヴァーセイダイは欧州を中心に活躍馬を送り出したが、活躍馬は種牡馬としてあまり活躍しない一方で、競走馬としては微妙な産駒が海外で種牡馬入りすると成功する事例が見られた。
この最たる例が日本に輸入されてきた*ネヴァービートである。競走馬としては重賞入着が精一杯な彼が、良血を買われて日本に種牡馬入りするとこれが大活躍。
一般的にナスルーラ系と言えば、ネヴァーベンドを除けばプリンスリーギフトやボールドルーラー、レッドゴッド、グレイソヴリンなど「スピード系」の印象があるが、ネヴァーセイダイ系は中長距離で活躍傾向にある、いわゆる「スタミナ系」の産駒を多数輩出した。
これが中長距離、障害に高額賞金競走が多数組まれていた60~70年代の日本競馬事情に合致。
本馬に前後して*ダイハード、*シプリアニ、*コントライト、*ラークスパーなど輸入してきた種牡馬は優に15頭以上。同一系統の種牡馬をこれまで輸入してきた例……結構ある。一時期ネヴァーセイダイの上級産駒がことごとく日本に集まるという「ネヴァーセイダイ系ブーム」に発展した。
しかし、80年代以降に*テスコボーイや*ノーザンテーストが隆盛し、更に90年代に*サンデーサイレンスをはじめとする現代スピード競馬についていけず、また日本競馬に蔓延していた「外国産種牡馬信仰」によりネヴァーセイダイの孫が「内国産種牡馬」の烙印を押されて活躍すら出来なくなる状態になるとネヴァーセイダイ系は早々に廃絶。
不運だったのはサイアーラインを伸ばすべき存在であったテンポイントが現役中に死亡し、ヒカルイマイがサラ系の為牝馬が集まらず、また全体的に牝馬に活躍馬が多かった事だろうか。
しかし、ネヴァーセイダイ系種牡馬を父に持つ牝馬たちが、後世の種牡馬との間に数多くの優駿を残しており、日本に古くから続く牝系の中にはネヴァーセイダイを血統に持つ馬も決して少なくない。
ピート・ベストという人物はご存じだろうか。イギリス出身のミュージシャンである。
かのビートルズがメジャーデビューする直前まで在籍していた、「幻の5人目」である。
実はビートルズの創設にはネヴァーセイダイのダービーが大きく絡んでいるのである。
というのも、ピートの母がネヴァーセイダイの馬券を買ったところ的中し、その資金を元手にリヴァプール郊外の屋敷を購入。ピートは友人達を集めて屋敷の地下室を遊び部屋にしていたが、いつしか近隣の子供達が続々と集まり、その中には「クオリーメン」というバンドを結成している連中がいた。
そのクオリーメンにピートが加入して出来たのが「ビートルズ」である。
つまりピートの母親が馬券をスッていたらビートルズが出来ていなかったのであるえ? どっちにしろリンゴ・スター入れてたから関係なかったって? さあ。
| Nasrullah 1940 鹿毛 |
Nearco 1935 黒鹿毛 |
Pharos | Phalaris |
| Scapa Flow | |||
| Nogara | Havresac | ||
| Catnip | |||
| Mumtaz Begum 1932 鹿毛 |
Blenheim | Blandford | |
| Malva | |||
| Mumtaz Mahal | The Tetrarch | ||
| Lady Josephine | |||
| Singing Grass 1944 栗毛 FNo.1-n |
War Admiral 1934 黒鹿毛 |
Man o' War | Fair Play |
| Mahubah | |||
| Brushup | Sweep | ||
| Annette K. | |||
| Boreale 1938 栗毛 |
Vatout | Prince Chimay | |
| Vasthi | |||
| Galaday | Sir Gallahad III | ||
| Sunstep | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
ピード・ベスト氏はバンドを結成して何度か来日している。興味のある人はCDを買おう。
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最終更新:2025/12/05(金) 23:00
最終更新:2025/12/05(金) 22:00
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