松田千秋とは (マツダチアキとは) [単語記事]

松田　千秋（まつだ　ちあき）とは、日本海軍軍人である。最終階級は少将。

連合軍の航空機にボコボコにされていた太平洋戦争末期の帝国海軍にあって、「空襲はすべて回避できる」と豪語した上に、戦艦日向や伊勢らを率いてそれを有言実行してみせた超人。

さらに、戦争末期の絶望的な戦局にありながら、日向以下指揮下の艦艇を１隻も失わずに複数の作戦を成功させたという、実力と強運を兼ね備えた人である。

対米戦の敗戦を事前に予測していた人物でもあり、ミッドウェー海戦の大敗を事前の図上演習である意味予言していたりした天才提督。
対米戦争において割と様々な案件に一枚噛んでいる、もっと評価されるべき提督の一人。

概要

1896年（明治29年）9月29日生まれ、熊本県鹿本郡出身。

海軍兵学校入学時の席次が100人中89番だったが、卒業時は95人中14番までジャンプアップ
- アメリカへの語学留学および駐在武官の経験のほか、ヨーロッパ各国への歴訪あり
- 米留経験者でありながら頑なな反米主義者
専門兵科は海軍の花形である砲術
- 大和型戦艦の基本構想に携わり、後に戦艦大和の2代目艦長を拝命
  ※　宮里秀徳艤装員長は大和就役前に転出しているので艦長に含まない場合の集計
  - 乗員の鍛錬に熱意を注ぐ
     「大和大学」の二つ名はだいたいこいつのせい
- 標的艦摂津の艦長時、日本海軍初の戦術マニュアルとされる「爆撃回避法」を考案
  - マニュアル完成時に「全ての航空爆撃は回避可能である」と豪語したが、後の戦績がそれを証明
  - 次の基礎理論に沿って操艦すれば爆撃の命中率が低下すると説いた
    (1)高高度から来襲する敵機には舷側を向ける
    (2)低空で接近する敵機には艦首を向ける
  - 一航戦の対艦爆撃訓練の最中に実践して全弾回避、その後一航戦のクレームにより連合艦隊から口頭で叱られた
  - なお、敵爆撃機来襲方位と高度に応じた対処法は、太平洋戦後の米軍によるORともほぼ一致
- 戦艦大和の艦長になるちょっと前は、戦艦日向の艦長だった
  - ミッドウェー作戦直前、伊予灘での実弾射撃演習中に5番砲塔爆発をやらかす
    - そのまま応急修理だけ施し、ミッドウェーの支作戦としてアリューシャン方面に進出
      撤収時の実績からレーダーの有効性を周囲に訴える
    - ミッドウェー敗戦後の空母補充策として戦艦日向の航空戦艦への改装を提案、姉妹艦の伊勢も巻き込まれる
  - ミッドウェー海戦前の兵棋演習で米軍側指揮官役を担当、南雲機動艦隊をブチのめす。
  - 審判役の連合艦隊参謀長宇垣纏により、空母への命中弾判定を１/3に減じた逸話はこのときの出来事である。
「昭和16年夏の敗戦」で知られる総力戦研究所の初代所員
- 研究生の採用試験において、日本で初めて「面接」を取り入れた
第4航空戦隊（4航戦）司令官として戦艦伊勢、日向を指揮、レイテ沖海戦、北号作戦に参加
- レイテ沖海戦では小沢艦隊配下にてエンガノ岬沖海戦に参加
  - 戦艦伊勢、日向ともに「爆撃回避法」を活用、囮艦隊ながら損傷軽微で見事に生還を果たす
- 北号作戦では部隊を完部隊と名づけて自ら指揮し、全艦をほぼ無傷で日本に到達させた
  - スコールに紛れて敵航空機をやり過ごす、潜水艦を主砲で撃退するなど、臨機応変な戦術が奏功
戦後はマツダカルテックスという会社を設立・運営
- 百以上の特許・実用新案を自ら考案、特にカード書類のランダム自動抽出装置は病院などに大売れ
戦後のインタビューでは山本五十六元帥の真珠湾攻撃を公然と批判、「素人のいくさ」「はったり頼りの博打」など