第一次ネオ・ジオン抗争とは、アニメ「機動戦士ガンダムZZ」の作中で起きた戦争である。
宇宙世紀0088年から0089年にかけて展開された戦争であり、地球連邦軍の組織であるエゥーゴ及びこれに協力するカラバとアクシズから名を変えたネオ・ジオンとの間でおこなわれた。グリプス戦役で各陣営が大きく疲弊した隙を突き、ハマーン・カーン率いるネオ・ジオンが漁夫の利を得る形で戦後の主導権を握ったことを発端とする。
先のグリプス戦役からわずかな時間しか経っておらず、グリプス戦役の頃からエゥーゴとアクシズは交戦状態にあり具体的な宣戦布告もなされず勃発していることから事実上のグリプス戦役の延長戦とも言える戦争である。
また、連邦政官及び軍が終戦間際まで積極的姿勢を示さなかったこと、最終的にネオ・ジオンの内戦に発展したことなど、特異な形態の戦争となっている。グリプス戦役を経たことで疲弊、あるいは人材不足を起こしていた各陣営は統制が緩く、構成員個人の私的感情による単独行動・脱走・寝返り・反乱が続発したこともこの戦争の特徴となっている。
第一次ネオ・ジオン抗争では、両陣営ともに人材が不足していたということもあり、1対多を想定した大火力の第4世代モビルスーツが台頭。飛躍的に出力の向上した熱核反応炉とメガ・コンデンサーによる直結型メガ粒子砲(ハイ・メガ・キャノン)を搭載したニュータイプパイロット対応のモビルスーツが多く登場している。サイコミュの安全性が高く、高度なNT能力をもたないパイロットにも操縦可能な点が特徴となっている。
アクシズの介入により、三つ巴の争いとなったグリプス戦役はエゥーゴの勝利とティターンズ壊滅・解散で幕を閉じた。この戦いで地球連邦軍における主導権を握ったエゥーゴだったが、その代償はあまりに大きく、ほとんどの戦力を失う壊滅的なダメージを受けた。特に最高指導者だったクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)は行方不明となり、エースパイロットだったカミーユ・ビダンは精神が崩壊しとても戦える状態ではなくなっていた。
一方、グリプス戦役で戦力を温存していたアクシズはグリプス戦役終結から7日後の宇宙世紀0088年2月29日、アクシズはザビ家の後継者としてミネバ・ラオ・ザビを戴き、新たなるジオン「ネオ・ジオン」を名乗るようになる。なお、ネオ・ジオンの表向きの目的はザビ家とジオン共和国の復活だったが、ハマーンの狙いはザビ家を利用して新たな支配階級を作り出すことにあった。ただそれも中期的な目標の過ぎず、ハマーンの本当の目的は「地球に住むアースノイドの排除」だった。もっともハマーンはそういった内に秘めた野望をけっして表には出さず、ジオン復興を信じる者を率いて行動を開始するのだった。
宇宙世紀0088年2月29日、ネオ・ジオンはジオンの再興を宣言し各サイドに分遣隊を派遣、各コロニーの制圧を開始する。この背景にはグリプス戦役によってティターンズが壊滅、エゥーゴが大幅に弱体化し、地球連邦の宇宙での支配力が低下していたことがあり、ネオ・ジオンに対しては遊撃的に一部のエゥーゴ部隊がこれら分遣隊と小規模な戦闘を繰り返す以上の事は出来なくなっていた。
すぐに各コロニーを制圧したハマーンだったが、この時点で稼働可能な戦力がファ・ユイリィのメタス1機にまで減少しまともな戦力を有しない状態だったとはいえ先の大戦で見せたアーガマの底力を警戒しており、マシュマー・セロ率いるエンドラ隊にアーガマ追討を命じるのだった。
0088年3月1日、アーガマは修理・補給や負傷兵の入院を目的にサイド1のシャングリラへ寄港。これを追ってネオ・ジオンの巡洋艦エンドラも入港し、アーガマとの戦闘状態に入る。圧倒的に戦力不足のアーガマだったが、ジュドー・アーシタたちシャングリラの少年たちの強力もあってマシュマー隊の追撃を退け、シャングリラを脱出。
その後、アーガマは新型モビルスーツのガンダムZZを受領。修理の遅れていたZガンダム、ガンダムMK-Ⅱ、百式も戦力に加え、シャングリラの少年たちと志願兵のルー・ルカによるガンダム・チームを結成。とはいえ、エゥーゴは戦力の再建が間に合っておらず、アーガマとガンダム・チームがネオ・ジオンに対抗できる唯一の戦力といった状態にあった。
エゥーゴのメッチャー・ムチャはアーガマに対しハイパーメガ粒子砲によってアクシズを攻略しようという無茶な命令を出すが、このときアクシズ内に潜入していたジュドーの制止もあって失敗。核パルスエンジンへの砲撃のみに留まるのだった。
各コロニーの制圧を完了して宇宙の主導権を完全に握ったネオ・シオンの次の標的は地球だった。事前にアフリカのダカールにある地球連邦政府本部に工作員を送り込み懐柔することで制圧し始めていたネオ・ジオンは、ハマーン自らが指揮を執り、地球への降下を開始。
一方、ハマーンの動きを察知したエゥーゴは月面都市グラナダでの補給を終えたアーガマにネオ・ジオン艦隊の地球降下の阻止を命じる。しかし、流石にアーガマ単独では艦隊を抑え切ることはできず、地球連邦政府のあるダカールはとうとうネオ・ジオンによって完全制圧されてしまう。さらに、このときのネオ・ジオンは地球各地の旧ジオン軍やティターンズ残党を吸収。さらに連邦政府に対して抵抗運動を続けていたアフリカ民族解放戦線までも勢力下に取り込み、地球支配に向けて破竹の勢いを見せていた。
これに対し、アーガマはカラバとの共同戦線を敷き、ダカールでネオ・ジオンを挟撃する作戦に打って出る。そのため、ガンダム・チームはアーガマと別行動を取り、一足早くダカールへと侵入していた。
ネオ・ジオンはミネバ・ラオ・ザビを担ぎ上げ、大規模なパレードと迎賓館でのパーティーを開催し、地球連邦に対して自分たちの力を見せつけるのだった。それに乗じてガンダム・チームはダカールに対しての奇襲攻撃を開始。エゥーゴ・カラバ連合軍の挟撃作戦は成功し、ネオ・ジオンはダカールから撤退する。
なお、この頃メッチャー率いるエゥーゴ艦隊はハマーン不在のアクシズを叩くためにソーラ・システムⅡを用いた攻撃を仕掛けるが、超巨大太陽発電装置「ラーフ・システム」によって照射エネルギーは吸収されてしまい、作戦は失敗に終わる。
ダカールから退いたネオ・ジオンだったが、これで地球侵攻を諦めたわけではなかった。次なる一手として力の誇示と先のアクシズ攻撃への報復を兼ねてダブリンへのコロニー落としを計画していたのだった。ダブリンで入院していたカミーユによってコロニー落としのことを知ったアーガマとカラバは阻止作戦と住民避難を開始するが、ネオ・ジオンのモビルスーツ隊の妨害を受けてしまう。
0088年10月31日、ダブリンにサイド4のコロニーが落下。コロニーが原型を留めたまま突き刺さる形で落着したことや、住民避難が間に合ったことで被害は抑えられたが、それでもダブリンは壊滅状態となり、民間人も含めた多くの人の命が失われることになった。
なお、地球連邦政府高官はコロニー落としの情報を事前にキャッチしていたが、ネオ・ジオンとの和平を望んでいたことから情報を隠蔽していた。そのため、連邦政府は避難勧告すら出していなかった。そして、コロニー落としを成功させたネオ・ジオンに対し、地球連邦政府は停戦条約の締結と引き換えにサイド3の譲渡を認めてしまう。目論み通りとなったハマーンはサイド3へと移り、ジオン発祥の地とされる「コア3」を活動拠点に置く。
これに対し、ネェル・アーガマを受領したガンダム・チームはサイド3を目指して進軍。なお、戦力の再編を進めていたエゥーゴだったが、指導者のない上層部は緩慢で、迅速に対応できたのはネェル・アーガマのみだった。
一連の作戦で戦局は大きくネオ・ジオン側に傾いていたが、ここでハマーンに大きな誤算が生じることになる。ネオ・ジオンもまたサイド3市民の支持を得られず反乱分子による反乱に悩まされていた。さらには、サイド3への帰還を果たしたことでもともと不明瞭だった組織全体の目的が完全に失われるなど内部は磐石ではなく、ついにハマーンの傀儡支配体制への潜在的な不満が暴発し、0088年12月25日にグレミー・トトを中心とした内乱が勃発。
小惑星アクシズを占拠して決起したグレミーはコア3にプルツーを送り込み、ハマーン暗殺を企てるが失敗に終わっている。
グレミー側にもサイド3市民の支持や明確な目標はなく、両者は漫然とした消耗戦に突入。これによってネオ・ジオンは勢力が二分されることになり、当初は戦力的に劣っていたネェル・アーガマにも付け入る隙が生じるのだった。
0089年1月9日、コア3宙域にてハマーン軍とグレミー軍の本格的な戦闘が開始。一方、ガンダム・チームはサイド3に向けて行動を開始した地球連邦軍艦隊との合流を待たずに、まずグレミーを倒すことで方針を固める。
ハマーン軍は全軍を挙げてグレミー軍が占拠するアクシズへと進行。ガンダム・チームも参戦したことで混乱極まる中、グレミー軍はアクシズ及びその居住ブロック・モウサをコア3へ投射することで一気に勝負を決めようとする。ハマーン軍の激しい抵抗によってモウサの激突は失敗したが、アクシズが衝突したことでコア3は大きく損傷する。
また、激しい戦闘の中で両軍のエース級のパイロットたちが次々と戦死。さらにアクシズへと侵入してきたガンダム・チームとの戦闘の中でグレミーが戦死。こうしてグレミー軍は壊滅となり、内乱に勝利する結果となったハマーンだったが、ネオジオン側は戦力を消耗しきってしまい、迫り来る連邦軍艦隊に抵抗する力は残されていなかった。
0089年1月17日、全てを失ったハマーンはキュベレイで出撃し、ジュドーのガンダムZZとの一騎打ちに敗れて戦死。直後に連邦・エゥーゴ共同軍がサイド3を制圧した事で第一次ネオ・ジオン抗争が終結。なお、担ぎ上げられていたミネバは実は影武者だったことが判明しており、本物のミネバはグリプス戦役直後に行方不明となっていた。[1]
こうして第一次ネオ・ジオン抗争はネオ・ジオンの内乱による自滅とそれによって漁夫の利を得たエゥーゴの勝利という結果となったが、スペースノイドの意思を反映させて人類を地球から宇宙へ上げるという当初の目的はブレックス・フォーラやシャア・アズナブルといった指導者を失ったことで形骸化していた。
戦後の主導権を握るかと思われたエゥーゴだったが、従来の地球連邦軍による官僚主義的な体制に飲み込まれていき、事実上崩壊してしまう。その結果、宇宙は地球に住む一部の特権階級によって搾取される時代へと逆戻りするのだった。
統率者を失ったネオ・ジオンは、連邦軍に投降しなかった部隊は各地に潜伏。あるものは反連邦系セクトらと結託しゲリラ化した。生き残った正規軍のうち最大派閥であるダンジダン・ポジドン少将を中心とする一派は、のちの「シャアの反乱」(第二次ネオ・ジオン抗争)まで多数の戦力を温存することとなる。ハマーンの妹セラーナ・カーン外務次官を中心とする穏健派勢力は、連邦政府との和平交渉に臨んだとされている。しかし和平交渉は決裂、セラーナは追撃してきた強硬派との戦闘で行方不明になったという。
また、この時期に台頭した第4世代モビルスーツだが、高コスト化と機体の複雑化という問題も露見しており、第一次ネオ・ジオン抗争後には生産性や整備性の面から開発例が激減。主力MSはシンプルな第2世代タイプに回帰している。
掲示板
18 ななしのよっしん
2025/04/23(水) 16:41:53 ID: YMs9AJaAJc
シャアは、エゥーゴがすっかり勢力弱ったなりにまだ頑張ってる内は反乱起こさないと思うな。エゥーゴによる世直しは結構本気だったはずなので、そんなに早く見切りつけないんじゃないかと(じゃなきゃエゥーゴに参加しないしブレックスの跡を継ぐ形でやりたくない政治をやったりしない)
恐らくZZ末期でエゥーゴが完全に連邦に飲まれ「結局内部からは変わらんのか」という気持ちになったから逆シャアに繋がる訳で、そうなる前のエゥーゴが存在するなら、そしてその時ピンピンしてたらエゥーゴに戻ってきた気がする。そしてカミーユとはまた違う逞しさを持つジュドーに会ったらまだ人類の事信じてエゥーゴによる連邦の変革に尽力したかもしれない。
個人的にはその流れでは逆シャアは起きないって考えだが、でもそうだな、キャスバル・ダイクンが連邦の政治に食い込む事をよく思わない誰かがシャアを暗殺しようとでもしたら、逆シャア以上の戦いが起きるかもな。
19 ななしのよっしん
2025/04/24(木) 17:39:31 ID: QWpPj8zHnv
連邦も人材が払底していたと仮定するとあの弱腰姿勢も納得がいくかも…
第二次世界大戦前の英仏みたいなものか
20 ななしのよっしん
2025/04/24(木) 18:05:03 ID: KGg7RsjxrV
シャアはエゥーゴによる世直しに結構本気だった、と他人が言ってるの見るとなんか予想外に嬉しい。何事にも本気になれない、嫌々という語り口が目立つ中で
ZZエゥーゴがスポンサーの方針に左右されて迷走していたという設定は本来ラスボス・シャア登場の伏線だったんだろう
カミーユの件でニュータイプの可能性に絶望し、ブレックスの志を継がずに目先の利益を追うエゥーゴに失望し、ハマーンに翻弄される連邦を見限り、ジオンの名を騙り跳梁するハマーンを目撃したらシャアが立つ条件として十分だろう
そこに「ガンダムチーム」を名乗る謎の独立愚連隊めいた若者たちが単身自分の暴挙を止めようと乗り込んで来たら、もう一度人類の未来を信じたくなってしまうよなシャアは
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最終更新:2025/05/13(火) 16:00
最終更新:2025/05/13(火) 16:00
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